哲学的問題まとめと話題の哲学者。日常生活で哲学をするとは

2018.11.02

哲学という言葉を知ってはいるけれど、詳しく説明できないという人は多いのではないでしょうか。また、哲学に興味があるけれど、何をすれば良いのかわからない人もいるでしょう。そこで、哲学とはそもそも何か?から、哲学をするメリットや代表的な哲学者などを紹介します。

あなたの悩みは哲学的問題かもしれない

哲学というと、「これぞ学問!」という堅苦しいイメージでとらえられがちです。しかし実際は、日常の些細な出来事や考え方が哲学的問題となる場合があります。

哲学の語源と西周による翻訳

哲学とは、もともとギリシア語の『philosophia(知を愛する)』という言葉が語源となっています。このphilosophiaを日本語にしたのが、『哲学』なのです。

つまり、哲学とは、学問という枠組みにとらわれない「人間の知識欲」を示す言葉なのです。

ギリシア語のphilosophiaを『哲学』という日本語に翻訳したのは、西周(にしあまね)という人物です。

西周は、philosophiaを「賢哲を愛し希求する」という意味に理解し、そこから『希哲学』と名付けました。しかし後に『哲学』と簡略化され今日へと至ります。

哲学するとは何をすること?

哲学という言葉の意味自体が、『知を愛する』という漠然とした意味のため、『哲学をする』といっても、人によってさまざまな解釈があります。

例えば、「物事の概念の要因をとらえ、新しい概念を創造する営みを指す」という人もいれば、「己を問うこと。自分の人生で切実な問題に直面したときに、解答を模索していくこと」という人、「本質を考え、問題を解き明かす考えを導き出すことだ」という人もいます。

人によって解釈が異なりますが、全体を通してみると、疑問に思ったことを解決しようとする行動が根本にある事がわかるでしょう。『哲学をする』とはつまり、『深く考え、解き明かそうとする行動』を意味します。

哲学を学ぶメリット

経営学や心理学などの学問は、学ぶと何が身につけられるのかがわかりやすい学問です。しかし、哲学を学ぶと、何ができるようになるのでしょうか。哲学を学ぶメリットを紹介します。

哲学するとじっくり考える力が身につく

哲学を学ぶとは、歴史的な哲学者たちの考えを通して、その問題を自分なりに解き明かしていくことを指します。

「これが答えだ!」と思っても、『なぜ、自分はそう考えるのか』『本当に正しいのか』と自分の考えを疑い、さらに熟考して行くことも哲学の一環です。つまり、哲学を学ぶと、じっくりと考える力が身につきます。

哲学は、必ず解答が決まっているわけではありません。倫理や道徳など、解答がない分野も哲学として研究されています。また、数百年前は素晴らしい解答だと絶賛されたことも、時代を経るにつれて、反論される場合もあります。

哲学をすると、人類が長年悩み続けているような難問に取り組むため、思考力の強化も期待できます。

ビジネスや社会生活にも生かせる

哲学を学ぶと、時代が変化しても変わらない、自分の人生に生かせる力も得られるといえるでしょう。

例えば、哲学で思考力を強化すると『些細なことも疑問に思える能力』『複雑な問題に挑戦する能力』『より深く思考する能力』などが身につきます。どの能力も、社会で必要とされる能力です。

社会は、時代によって変化しています。学んだことが数年後には古い情報になり、使えなくなっていることもありえます。しかし、哲学で鍛えた思考力や経験は一生ものです。これも、現代において哲学を学ぶメリットでしょう。

哲学で考えられている問題まとめ

ここでは、具体的に、哲学でよく語られている有名な問題を紹介します。

私とは何者か?自己同一性に関わる問題

『私とは?』はるか昔から哲学で取り上げられてきた問題です。一見単純な疑問に見えますが、みなさんは『私』とは何か、説明できるでしょうか。

仮に「思考しているのが私だ!」と考えたとしましょう。これも一つの答えです。しかし、近年の脳科学の発展により、脳は電気信号により思考を形成しているであろうことが明らかになってきました。つまり、「思考=私」だというなら、それは脳の処理結果が『私』であるとも言えます。だとすると、脳の働きが同じならば誰でも『私』になってしまいます。

例えば、『私』の脳で発生している電気信号を解析し、複数人の脳にまったく同じ電気信号を送ったとしたら、彼らは皆『私』ということになってしまいます。これはどうも妥当な結論ではないようです。

人類誕生以来、何世紀にもわたり思考されてきた『私とは?』という問題は、シンプルな問いであるがゆえに極めて多様な回答がありえます。一見簡単そうに見える問いを考え抜く、哲学の醍醐味を味わうことのできる命題といえるでしょう。

AIには心がある?そもそも心とはなにか

小説や映画などでは、AIに心があると語られることはよくあります。しかし、実際、AIに心はあるのでしょうか。

AI関連の科学者・技術者は、この問題について、『情報処理に必要ならば、AIは感情を持つかもしれない』『機械に心を持たせたいかどうか、持たせるならどういった心を持たせるのかを考える』という回答をしています。

AIに心を持たせることが不可能だとは、考えていないようです。

科学者・技術者は、『AIに心があるのか』というよりも、『善良な心をプログラミングするにはどうすれば良いのか』、という思考へと切り替わっています。AIが登場した今こそ、心とは何か?という問題に皆が向き合うときなのかもしれません。

犠牲者が少なければ良い?トロッコ問題

哲学には『トロッコ問題』という有名な思考実験があります。トロッコ問題の概要は以下の通りです。

『トロッコの運転をしていたところ、突然制御不能になりました。前方を見ると線路に5人の人が侵入しており、こちらに気が付いていません。このままでは5人はトロッコの下敷きです。

幸い、すぐ先に路線を切り替えるポイントがあったため、切り替えようと考えました。しかし、切り替えようとした路線にも1人、線路の点検をしていた作業員がいたのです。線路にいる人に危険を伝える時間はありません』

このまま何もしなければ、5人の人が亡くなることになってしまいます。この場合、ポイントを切り替えていれば、犠牲者を少なくすることができたでしょう。ではポイントを切り替えたとしたらどうでしょう。この場合、そのままであれば死ぬことのなかった1人を、あなたが「殺す」ことになってしまうといえるのではないでしょうか。結果的に亡くなった人の数は少なくなったとはいえ、その1人の犠牲は間違いなく「あなた自身の意思と行動に基づいて」生まれたものなのです。さて、あなたならばどちらを選択するでしょう。

このように明確な答えなどない状況の中で、いかなる決定をするのが「自分にとって善なることか」を考えるというのも、哲学の本質を映し出しているといえます。

日本で話題になった哲学者まとめ

近現代にかけて、日本でも話題になり多大な影響を及ぼした哲学者を4人紹介します。

名言が人気のフリードリヒ・ニーチェ

フリードリヒ・ニーチェはドイツの哲学者です。1844年~1900年に生き、「神は死んだ」という有名な言葉や、「超人」という概念を残しました。有名な著書に、『ツァラトゥストラかく語りき』『権力への意志』などがあります。

ニーチェの「神は死んだ」という言葉には、キリスト教批判の意味が込められています。彼は、キリスト教を『弱者によるルサンチマンの反逆』と位置づけ、厳しく攻撃したことでも知られています。

簡単に言うと、弱者には強者をうらやむ『怨恨(ルサンチマン)』があり、キリスト教の教えは、強者を弱者に引き下げることを強要するものだというのです。

ニーチェは、権力を持ちたいと思うことは悪ではなく、人間を成長させる機会だと言っています。既存の倫理の枠を壊し、超人的生き方を肯定する思想を残した人物です。

酷な思考実験で知られるマイケル・サンデル

マイケル・サンデルは、1953年生まれのアメリカ合衆国の哲学者で、ハーバード大学の人気講義を担当する教授です。

彼の授業が『マイケル・サンデルの白熱教室』として日本のテレビに取り上げられたことで、日本に哲学ブームを巻き起こした人物でもあります。

代表的な著書は『これからの「正義」の話をしよう: いまを生き延びるための哲学』です。マイケル・サンデルが著書や授業で先述のトロッコ問題を取り上げたことで、多くの人がこの問題を考える機会を作りました。

『トロッコ問題』の他にも、『人を見た目で選んでもいい?』『移民を拒む権利はある?』など、現代が抱える問題をもとに、鋭い切り口から哲学しています。哲学入門者にとっては、とっつきやすいかもしれません。

ドイツの若手研究者マルクス・ガブリエル

マルクス・ガブリエルは1980年生まれのドイツの若手研究者です。29歳という史上最年少の若さで、ボン大学の教授に就任し、『新実在論』の立場を進める気鋭の哲学者として知られています。代表的な著書は『なぜ世界は存在しないのか』です。

21世紀には注目を浴びる思想家が現れていなかったため、マルクス・ガブリエルの新しい思想は、哲学界に大きな風を呼び込みました。

彼の主張は『実在論』とよばれる哲学の脈流を前提とした複雑なものであり、予備知識がないと難しく思えますが、基本的には「世界は観測者から独立して存在しているか否か」という古典的な問いに対する答えを発しているととらえることができます。興味がある人はぜひ読み解いてみてください。

10歳で自著をもつ中学生、中島芭旺

中島芭旺(ナカシマ・パオ)は10歳で書いた著書、『見てる、知ってる、考えてる』がベストセラーとなった、哲学者です。そんな中島芭旺の言葉を一つ紹介します。

『僕の最大の長所は、1人では何もできないこと。それを知っていること。助けてっていえること。(中島芭旺)』

小学3年生のときにいじめが原因で不登校となり、自殺さえも考えたと本人が語っています。そんな中島芭旺が語る言葉は、子どもだからと侮れません。むしろ、子どもならではの飾らない言葉だからこそ、大人の心に響くものがたくさんあります。

哲学するにはじっくり考えることが第一

哲学は、過去から現代までの脈々と続く、偉人たちの『思考の結晶』に触れられる魅力ある学問です。哲学することで自分の考えが広がり、人生の悩みを解決するヒントになることもあるでしょう。

哲学をするには、じっくり考えることが第一です。色々な哲学者の話を参考にしながら、興味を持った物事があれば、とことん考えてみましょう。

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