心理学といえばアドラー。生涯や功績、おすすめ書籍をご紹介

2019.09.19

心理学は現代を生きる人々にとって欠かせない学問です。人の心にフォーカスを当てた科学は、今日も人々の心を癒しや助けとなっています。そんな心理学を学問と成立させた偉大なる学者、それがアドラーです。この記事ではそんなアドラー心理学についての情報や関連するおすすめ書籍を紹介していきます。

アドラーとは

アドラーは、少しでも心理学に触れたことがある人ならば知っている存在でしょう。おもに対人関係に関する数々の心理学的研究から、近年ではビジネスなどの場面でもしばしば言及されることがあります。

人々の心について多大な貢献を残したアドラーとは、一体どのような人物だったのでしょうか?ここからはそんなアドラーの基本情報や功績について解説していきます。

心理学の三大巨匠

心理学の大御所とされるアドラー。彼は同年を生きた「フロイト」「ユング」と並んで、心理学の三大巨匠と呼ばれています。

個人としての功績は後述しますが、この3人は現代の心理学そのものを成立させた人物として知られており、後年の心理学に関する領域にはもちろんのこと、日常生活で私たちが何気なく使っている概念などにも多大な影響を与えました。

簡単な例を出せば、私たちが寝ているときに見る「夢」を深層心理の表れととらえ、夢で何が起きたことから私たちの心理状態を分析するという方法は、フロイトが最初に取り入れたといわれています。これは私たちが一般的に行っている「夢占い」などにも通じる考え方でしょう。

その功績

アドラーは前述にもある通り、同業者であったフロイトとユングと共に心理学を成立させ、心理学における三大巨匠と呼ばれています。とくにフロイトとは一時共同研究を行っていたこともあり、関係が深かったとみなされています。

しかしアドラーはある程度研究が進んだ時点でフロイトとは袂を分かち、「個人心理学」とよばれる学派をつくりあげました。個人心理学とは、人々はそれぞれが個人であり、劣等感を払拭するために生きていることを提唱する学派であり、現代の心理学療法においては「アドラー心理学」としてその名が知れ渡っています。

アドラーの生涯

アドラーは現代から100年ほど前の時代を生きた人物です。それほどの時が経った現代においても重要視される彼の功績は、どのような形で残されてきたのでしょうか?ここからはそんなアドラーの生涯について解説していきます。

オーストリアの名医

アドラーは1870年にオーストリアで誕生しました。比較的裕福な家庭ではありましたが、兄弟の大病や自身にも生涯があり、それらの経験がのちにアドラーが医者を目指すきっかけとなったのです。医大を卒業したのちには上流階級よりも率先して貧しい人々の治療に励み、その中で人々の精神的な動向や法則に気づき、のちに三大巨匠を含む研究チームで心理学の基礎を作り上げることとなります。

その後は前述にもある通り「個人心理学(アドラー心理学)」を提唱し、弟子たちを取りながらも医者として活動を続け、1937年に突然の心臓発作でこの世を去りました。弟子たちはその後も個人心理学の研究を重ね、その研究成果が今日の心理学にも生かされているのです。

アドラー心理学とは?

そんなアドラーが提唱したアドラー心理学とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

個人を最小単位とし、それ以上の分割は認めない

アドラー心理学の特徴は、個人心理学という別名からもわかる通り、「個人」を最小単位としてとらえることにあります。この点、たとえばフロイトが提唱したような、個人を「精神と肉体」の2つにわけ、それぞれを分析する「精神分析」の手法とは大きく異なります。

人間のあらゆる行動は対人関係である

また、「人間は個人として行動しながら、ある目的に向かって生きている」という目的論的な考え方に立ったうえで、人間のあらゆる行動をすべて「対人関係」に向かうものとして、個人とそれにかかわる人間、そしてその先にある社会との関係を論じました。この点も、「人間の行動にはすべて原因がある」とするフロイトの精神分析学からは異なっています。

アドラーによれば、人間はすべて「対人関係」において自分の立ち位置を決定し、心理状態を主体的に決定していきます。たとえば、人間は自己認識において、他と比較して優劣を判断することしかできず、もしそれがマイナス(=劣等感を覚える立場)だった場合、これを解消しプラス(=優越感を覚える立場)に向かおうとします。これがアドラーのいう人間の本質的な心理だというわけです。

共同体感覚を重要視する

また、アドラーは人間のもつ「共同体感覚」という概念を重要なものと考えました。これは、自分を超えた共同体(=家族、友人、社会etc)に貢献することを自然に行い、そのことを幸福であると考える個人は、心理的に健全であり、個人として良い心理状態にあるというわけです。

アドラー心理学に関する書籍

アドラー心理学は、こうした前提に立ちながらも、一筋縄では説明できない複雑なものです。ここからはアドラーが提唱した心理学に関連した書籍を紹介していきます。心の支えが欲しい方やアドラーの研究に興味がある方はぜひチェックしてみてください。

嫌われる勇気

「嫌われる勇気」はアドラーの残した個人心理学に基づいて、学者と青年の対話形式で対人関係のあり方やコツを説いていく作品です。社会における対人関係や人に嫌われてしまうメカニズムなどを知ることができます。

幸せになる勇気

「幸せになる勇気」は前述で紹介した「嫌われる勇気」の続編作品です。前作から数年後に再び行われる対話において個人心理学そのもののあり方や、最終的な指針などを説いています。最終的に幸せを得るためにはどうすれば良いのかが分かる一冊です。

アドラーは人々の心を治し続けている

アドラーの残した個人心理学には、批判もあります。代表的なものが、科学哲学者のポパーによる批判でしょう。これは、アドラーやフロイトの残した理論がすべて「反証可能性」を持たない非科学的なものであり、解釈次第でどのようにでも操作できる、という批判です。こうした背景もあり、現在ではアドラーやフロイトの心理学は厳密科学的というよりむしろ、一種の読み物や自己啓発的な側面で語られることが多いといえます。

とはいえ、仮に科学的でなかったとしても、つらい人生を生きる私たちにとってアドラー心理学が一つの指針となってくれることもあるでしょう。多くの人々を癒しながらその心に触れ、治療法を成立させた彼の功績は、心理学を学ぶすべての人々に及んでいます。

日常に辟易してしまった人はこの記事を参考に、アドラー心理学に触れてみてはいかがでしょうか?

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