司馬遼太郎の傑作『関ヶ原』。描かれる石田三成の忠義と挫折

2019.09.10

日本人の歴史観を変えたとも言われる小説家・司馬遼太郎が、歴史上の大事件を描いた『関ヶ原』。この記事では、大ベストセラーとなった小説『関ヶ原』のあらすじや読書のポイント、映画作品までをご紹介します。

司馬遼太郎『関ヶ原』とは

デビューからヒット作を飛ばした司馬遼太郎の7番目の長編歴史小説となった『関ヶ原』。その概要と読書のポイントをご紹介します。

歴史小説『関ヶ原』の概要

19647月~19668月に『週間サンケイ』にて連載された『関ヶ原』は、196610月に新潮社より刊行されます。現在までの累計発行部数620万部超という大ベストセラーです。

豊臣秀吉死後の徳川家康とその謀臣・本多正信、石田三成と腹心左近、この4人を中心とした人間模様と謀略を中心に、天下分け目の合戦までの顛末を描く一大歴史小説です。

『関ヶ原』の読書のポイント

家康と三成の謀略戦が読み応えある本作ですが、自らの欲望のために天下統一を目指す家康に対して、秀吉への忠義を尽くすために戦う三成の生き様や心情も注目のポイントです。

また、そんな三成が、尊大な性格で人に無用の反感を覚えさせたり、智弁だけが立って人の心を動かす才に欠けたりしていることが、家臣や愛人・初芽の目を通して語られています。

司馬遼太郎は、正義を愛し、物事を観念的に捉えすぎるところに三成の魅力と敗因があったことを小説を通して伝えているのかもしれません。

歴史小説『関ヶ原』のあらすじ

一大長編『関ヶ原』は、謀略が錯綜する複雑な物語となっています。そのあらすじを前半と後半に分けて、わかりやすくご紹介します。

『関ヶ原』前半のあらすじ

天下人秀吉が死ぬと、豊臣政権の中枢官僚であった石田三成に憎しみを抱く加藤清正、福島正則らは反三成派を結成し、彼を追放しようとします。

これに対して徳川家康は、計略巧みな部下・本田忠信とともに政権簒奪を企て、反三成派を次々に籠絡。一方で、命の危険を感じた三成は、自分にはまだ利用価値があることを理解し、敵である家康に助けを求めて近江にいったん隠遁します。

『関ヶ原』後半のあらすじ

三成隠遁後に大阪へ入った家康は、豊臣秀頼の命で、他の武将たちを引き連れて会津の上杉家討伐に出陣。これを見た三成は、上杉と共謀して東西から家康を挟撃しようとしました。しかし、家康は、小山での軍議において上杉討伐軍全体を自軍に加え、三成打倒に向けて西に兵を動かします。

いよいよ関ヶ原で合戦が始まると、三成が味方とした西軍の将のほとんどが家康に攻略されており、やがて小早川隊の裏切りをきっかけに西軍は総崩れとなりました。再起をかけて領地・近江に逃げのびた三成ですが、やがて捕縛され京の六条河原で斬首されます。

映画『関ヶ原』の魅力

『関ヶ原』は、1981年にテレビドラマ化、2017年には映画化され、第41回日本アカデミー賞を総ナメにしています。ここでは、そんな映画『関ヶ原』の魅力をご紹介します。

演技派俳優が演じる個性豊かな武将たち

映像化された『関ヶ原』の魅力は、何と言っても個性あふれる武将を演じる俳優たちの演技です。主演の石田三成役には岡田准一、徳川家康役に役所広司、小早川秀秋役に東出昌大、直江兼続役に松山ケンイチと実力派俳優が並びます。

1991年から映画化を構想していた監督の原田眞人は、主役を三成に定めた後には、岡田准一が三成役の出来る年齢になるまで待っていたと言います。また、三成の右腕で、顔に無数の刀傷が残る島左近役を演じた平岳大の重厚な演技には、監督から絶賛が送られています。

原作とは異なる愛人・初芽の設定

『関ヶ原』のヒロインで三成の愛妾である初芽は、司馬遼太郎が創作した架空の人物。原作では、淀君と三成の仲を割くために家康から三成のもとへ送り込まれる藤堂家の家臣の娘という設定ですが、映画ではなんと伊賀忍者として登場。時代劇初挑戦となった有村架純が、激しいアクションや男装姿を披露しています。

映画を見る前に『関ヶ原』をぜひ文庫版で

俳優陣やスペクタクルな合戦シーンなど見どころ満載の映画『関ヶ原』ですが、歴史に詳しくないと分かりにくいという意見も。文庫版で手軽に手に取ることができますので、ぜひ司馬遼太郎の原作を読んでから充実した鑑賞を楽しみましょう。

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