考える人は世界中にいくつあるの?ロダン制作の傑作彫刻の謎

2019.09.09

フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの作品「考える人」は、世界中の誰もが知っている彫刻として有名です。座り込んで肘をつき、熟考する男性の姿は、誰もが知っているポーズでしょう。でも、世界中あちこちに存在するのはなぜでしょうか。その秘密を紹介します。

本物はどこ?世界に点在する考える人

イラストやアイコンになるほど有名な彫刻、「考える人」。世界各国20体以上存在するといわれ、いったいどれが本物で、どれがフェイク(模造品)?と悩んでしまいます。

日本では上野と京都に

「考える人」は、日本では上野の国立西洋美術館と、京都の国立近代美術館に設置されています。両館とも、美術館内ではなく屋外に展示されていて、180度ぐるりとどの角度からも鑑賞できることは嬉しいことですが、あまりにもその無防備な展示に、思わず「本物がこんなところに展示されているわけない・・」と考えてしまいそうですが、これらは全て本物と認定されているのです。

メトロポリタン美術館のものは?

一方、アメリカのメトロポリタン美術館では、美術館内に考える人が展示されています。座り込み、右ひじを左ひざにおいてからだをねじって思考する男性の姿は、東京や京都にあるものと同じです。背骨のごつごつした感じや、ねじれた筋肉の様子などもそのまま。 そして、日本にあるもの同様、これもオリジナル、つまり本物とされています。

考える人の「オリジナル」とは

彫刻は、絵画や素描と違い、型を作って製造する方法が多く、複数作品を作ることが可能です。ただ、再現なく作品をつくることはなく、作家本人やしかるべき人間や機関がオリジナルとしてナンバーをつけて管理します。

もともとは「地獄の門」の一部分

ロダンは、はじめから「考える人」を作ったわけでなく、最初は「地獄の門」の中のモチーフのひとつとして制作しました。「地獄の門」は、ダンテの「神曲」地獄篇という文学作品に着想を得て、作られた大きな門の彫刻です。ちなみに、上野の国立西洋美術館には、「地獄の門」も、「考える人」のそばに展示されています。 門の上部に腰かけて、地獄に落ちた人々を眺めている審判官の姿を、独立させて大きくしたものが「考える人」なのです。

単独像として有名に

大きな作品のモチーフを独立させて、別の作品に昇華させることは、彫刻だけでなく、他美術作品でもよくあること。 ただ、「考える人」の場合は、「地獄の門」よりも有名になり、出身国・フランスだけなく、オリジナルは世界20か所以上に存在しているということになりました。

近代彫刻の父・ロダン

「考える人」を作ったロダンは、近代彫刻の父と呼ばれるほど、後年の彫刻美術に影響を与えました。なぜ、そんなに彼の作品が人々を魅了するのか、その理由の一端を紹介します。

建築装飾の仕事をしていたロダン

彫刻家になりたいという夢をもっていたロダンは、美術学校に入ることができず、建築現場で装飾の仕事をしながら、彫刻を独学で学び始めます。古代ギリシア彫刻、ミケランジェロのルネサンス期彫刻などをお手本にしながら、均整のとれた調和のある彫刻を学びます。 そして次第に、まるで生きているかのように人の感情をむき出しにした彫刻を手掛けるようになりました。

原型はフランス・ロダン美術館に

その後、自分の追求する彫刻を徐々に発表し世間にみとめられたロダンは、次々と作品を発表します。当時の美術界は、感情を大きく表現したロマン主義が主流となっており、若いころからロダンが表現しようとしていた感情表現に、やっと時代が追いついてきたような様子でした。 フランス政府は、「考える人」の原型(銅などを流し込んで形作る型)を管理し、ロダン死後も新たに鋳造される作品について管理をしています。

誰もが知っている傑作彫刻のわけ

そのキャッチーな姿は、子供のころからよくみんながまねしたもの。よくよく観察すると、その人体の正確な骨組みや筋肉の動きだけでなく、深く思案している様子も伺えます。悩み深い表情も含めて、じっくり鑑賞してみてください。

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