登山の魅力とは?これから登山を始める人に必要な道具とおすすめの山

2019.09.09

日本の豊かな自然を体を使いながら楽しむなら登山がおすすめです。四季折々に表情を変える山林と、登頂した者だけが一望できる眼下に広がる雄大な景色を楽しみましょう。健康増進にも効果がある登山ですが、十分な計画と準備を行ってから挑むことが重要です。

登山の魅力

山は自然の偉大さを全身で感じることができるエネルギーに満ちた場所です。景観を楽しみ、登山を行う中で自然と対話して心身を健やかに保ち、他の登山者たちとの絆を感じることもできます。

景色や自然を楽しめる

登山の醍醐味の一つは、なんといっても雄大な景色と豊かな自然を楽しめるところにあります。

日本は国土の約70%が山岳地帯で、森林面積は約67%にも及び、四季の移ろいも楽しめる自然景観豊かな国です。

ところが、都市部ではコンクリート造りの建物に囲まれ、動植物に触れる機会が少なく、地平線を見ることすらできません。

自然のエネルギーが満ち溢れる山では、都会の喧騒を離れ、日本の原風景を全身で感じることができるのが大きな魅力です。

健康や体力増強にも良い

登山は、山に登ることを目的としたスポーツでもあります。ザック(バックパック)を背負い、上り降りのある傾斜面を歩くことで、平地を歩くより負荷の高い『有酸素運動』を行うことになるのです。

加えて、山道は舗装された道路ではないため、凹凸や土質の違いのある不安定な足場を歩くことになります。

足を滑らせないようバランスを取ったり、転ばないように岩場を歩いたりする中で、普段使わない筋肉を総動員した『全身運動』を行うことにもなるのです。

平地でのウォーキングは負荷が弱く、自宅やジムで行う筋力トレーニングは部分的にしか鍛えられません。

しかし登山なら、全身の脂肪を燃焼させながら体幹・平衡感覚・柔軟性を鍛え、基礎代謝を向上させる効果もあるのです。

登山者同士の交流

登山では、一緒に登頂を目指す仲間との絆を深めるだけでなく、決して広くない山道ですれ違ったり山小屋で出会ったりする登山者同士の交流もあります。

登山中に怪我などのトラブルがあった時に助け合える関係作りにもなるため、最低限の挨拶は交わしていけるとよいでしょう。登りの人から「こんにちは」と会釈し、追い越すなら「お先に」というのがマナーです。

登山では、必要な装備を忘れたり体力が続かなかったりして、登山道で立ち往生するケースもあります。ちょっとした気遣いで、同じコースに挑戦する皆が心地よく登山を楽しめる、ということを意識しましょう。

登山に持っていくもの

登山は、初心者向けの低山であっても、十分な計画と準備を行うことが重要です。平地とは大きく異なる環境を快適に楽しみ、無事に帰ってくるためのさまざまな装備が必要になります。

ここではそれらを大まかに把握しましょう。登山初心者が押さえておきたい、特に重要なものは詳しく後述します。

必ず持っていくアイテム

登山の必須アイテムは以下の通りです。

  • ザック(バックパック)
  • ザックカバー(ザック用雨除け)
  • ベースレイヤー(下着・肌着)
  • ミドルレイヤー(シャツ・フリース)
  • アウターレイヤー(ウィンドブレイカー・レインウェア)
  • 帽子
  • 登山靴
  • ヘッドライト
  • 地形図
  • コンパス
  • 時計
  • 行動食(携行食)
  • 飲料
  • ティッシュ
  • ゴミ袋

ヘッドライト・地図・コンパス・時計はスマホでも代用できますが、バッテリー切れや水没の恐れもあるため、夜間帯での移動を余儀なくされた場合や、脇道に逸れてしまった場合などに遭難を回避するための重要なアイテムです。

万が一のことを踏まえ、誰がどんなルートで登山するのかといったことを記した『登山計画書』も提出しておきましょう。

快適に過ごすための道具

上記はあくまで最低限の装備ですが、状況次第では必須装備にもなる、持っておきたいアイテムもチェックしておきましょう。

  • ゲイター(レインスパッツ)
  • 虫除けスプレー
  • ヒルよけスプレー
  • サングラス
  • 日焼け止め
  • 手袋
  • 着替え
  • 防水バッグ
  • マルチツールナイフ

ゲイターは登山靴に被せるように足首に装着する防水カバーで、雨や小石の侵入を防いで足元を快適に保つだけでなく、虫除けやヒルよけとしても効果がある便利アイテムです。

山では蚊やアブなどの虫だけでなく、ヤマビルの被害も想定されるため、対策を行っておきましょう。

登山中は、脚の疲労や風雨だけでなく、直射日光も体力を奪う原因になります。手袋は、レインウェアとしても機能する防水透湿素材のものがおすすめです。

緊急時に備えよう

登山では、雨天時や休憩時などの体温維持や、持病や怪我などで体調不良になった場合の備えも重要です。

  • 防寒着
  • エマージェンシーシート
  • ツェルト(小型テント)
  • ツェルト用張綱
  • バーナー(登山用ストーブ)
  • ライター
  • 非常食
  • 携帯トイレ
  • ファーストエイドキット
  • 常備薬
  • 健康保険証

登山中に暴風雨や雷雨に見舞われた場合、下手に動くと命に関わる危険があるため、『ビバーク』(野営)をするケースがあります。

『ツェルト』は350ml缶ほどのサイズで収納できるものもあるため、万が一のケースに備え、ザックに忍ばせておきましょう。エマージェンシーシートは薄い毛布のように使え、防寒着やバーナーと合わせて暖をとることができます。

チョコレートや飴などの行動食の他に、缶詰やフリーズドライ食品などの非常食も装備しておきましょう。

登山時の服装の選び方

ウェア・登山靴・ザックは登山において欠かせない基本装備です。移ろいやすい山の天候に対応できる、最適な装備の選び方をみていきましょう。

リュックは容量をチェック

初心者の日帰り登山であれば、ザック(登山リュック)の容量は20L(リットル)前後、大きくても30Lあれば十分です。

内部空間が1層か2層かで1気室・2気室という区別があるので、2気室のザックを選んで必須アイテム入れ・緊急時アイテム入れと分けておくのもよいでしょう。

装備を充実させると、重量物を背負って斜面を登り続けることになるため、肩だけでなく背中全体と腰も使って力を受ける構造のものを選びましょう。疲れにくいザックのチェックポイントは以下の通りです。

  • ザックが肩と背中に無理なくフィットしている
  • ザック下部が腰骨までの長さに調整できる
  • ウエストベルトは腰骨に被る位置にかけられる
  • チェストストラップは脇の下のラインにきている

防水性のある歩きやすい靴

登山は登頂してから下山するまでの1往復を歩くため、疲れにくく歩きやすい登山靴を選ぶことが重要です。

また、山は天気が変わりやすく、急な雨に降られることも稀ではありません。水たまりやぬかるみを歩くケースもあるため、防水性も重視しましょう。

なだらかな低山を歩くならスニーカーに近い『ローカット』のものは、軽く疲れにくいのでおすすめです。

足首をカバーする『ミッドカット』や、くるぶしまでカバーする『ハイカット』のものは、防水効果に加え、足首をひねりにくいという利点もあります。

汎用性でいえば、『ソール』(靴底)が硬くグリップが十分な、ミッドカットのものがおすすめです。靴下はクッション性・速乾性のあるものを選びましょう。

インナーやウェアは乾きやすい素材

山では標高100mごとに0.6℃気温が下がり、強風で体感温度が低くなったり、汗冷えしたりすることもあります。そのため、登山における服装には、状況次第で脱ぎ着できる『レイヤリング』が重要です。

直接肌に触れる『ベースレイヤー』には、雨・汗冷えによる体力消耗を抑える、吸汗速乾素材のシャツ・タイツ・インナーグローブ・ソックスを選びましょう。

『ミドルレイヤー』はムレを抑える透湿性と、体温維持に効果的な保温性の高さが重要です。山シャツやフリース・登山パンツ・防風グローブ・ウールソックスというのがオーソドックスな合わせ方になります。

『アウターレイヤー』は夏場や晴天時は省略しても構いません。防風・防水性に優れたウィンドブレイカーやレインウェアを、ザックに収納しておくとよいでしょう。

登山道具のおすすめブランド

以上の装備の選び方を踏まえて、目的に適うアイテムを選びましょう。ここから選べば間違いないという、品質やデザインに定評のある人気ブランドを紹介します。

世界的に人気な『ザ・ノース・フェイス』

アメリカのバークレーに拠点を置く『ザ・ノース・フェイス』は、1968年の創業以来、スリーピングバッグ・ウェア・テント・ザックと業界標準を覆す革新的なプロダクトを発表し続けてきたアウトドアブランドです。

特にアウターの人気が高く、ブランドの代名詞ともいえるダウンジャケットの『ヌプシジャケット』や、フーディジャケットの『マクマードパーカ』など、タウンユースでも使える高いデザイン性を持ちます。

世界を魅了する堅牢性・機能性に優れたバリエーション豊かな商品展開によって、日本においてはザ・ノース・フェイスのザックはアウトドアの定番といっていいほどの人気商品です。

日本のアウトドアメーカー『モンベル』

1975年に著名な登山家である辰野勇氏が創業した『モンベル』は、軽快さと機能美を追求したMade in Japanの製品作りを続ける、アウトドア総合ブランドです。

ほぼ常に入荷待ちが続く伝説的テント『ムーンライトテント』を代表作として、登山家の視点で使いやすく安全性に信頼のおける、防水・防風性能に優れた製品を取り揃えています。

防水透湿素材ゴアテックスを使用したレインウェア『ストームクルーザー』や登山靴『アルパインクルーザー』などが定番商品で、独自素材のドライテックやブリーズドライテックを用いた商品も秀逸です。

デザイン性も人気な『マムート』

『アルプス黄金時代』の1862年にスイスで創業された『マムート』は、高難度の登山に挑むアルピニストたちのアルパインスタイルにより培われた技術と経験から、機能的で実践的なクライミングギアを販売しています。

ウェアやザックは主にアスリート向けで、機能美だけでなくデザイン性に優れ、スタイリッシュな印象と鮮やかなカラーリングが特徴的です。

タウンユースでも問題なく使える、都会的でおしゃれなアイテムが多いので、アウトドアのセンスを日常に取り入れたい人にも最適なブランドといえるでしょう。

登山の際に初心者が注意するポイント

登山を行うにあたっては、計画と準備が最重要です。ルートの設定や時間配分を考え、不測の事態に備えて代替案を用意しておくことも必要になります。

トイレの場所やタイミングを確認しておく

登山をする上で考えておきたいのは、登山道にはトイレが少ないということと、次のトイレまでは自力で歩いて行くしかないということです。登山者のマナーとして、山を汚さないためにも事前計画を練っておきましょう。

登ろうとする山の地図を入念にチェックし、ルートの設定と時間配分を考えておくことが重要です。

人気の山では、山小屋にトイレ待ちの列ができてしまうことがあります。トイレは必ず利用するという意識を持っておき、多少の時間のロスも織り込み済みの計画を立てましょう。

コーヒーやお茶などカフェインを含んだ利尿作用のある飲料は避け、アルコール飲料も登山中は避けるのが無難です。万が一に備え、下痢止めや簡易トイレをザックに忍ばせておくとよいでしょう。

ペースを考えて登ろう

登山初心者にありがちな失敗は、行きで体力を使い果たしてしまい、帰りの余力がなくなってしまうことです。飛ばしすぎると汗冷えで体力を奪われ、慣れない足場で足指や足首を痛めるリスクが増大することにもなります。

加えて、下山の際には、前滑りを抑えながら歩く筋肉の使い方で想像以上に疲弊することもありえます。大股で直線的に歩くのではなく、小股でジグザグに歩き、体力を温存しつつ余裕のある登山を心がけましょう。

また、ペース配分を間違って夜間帯に下山することになった場合、電灯がない登山道は初心者には危険です。『登山は早出早着が基本』と考えて、日の入り前には出山できる見込みの計画を立てましょう。

水や食事はこまめに少しずつ

登山に慣れないうちは、緊張や疲労で食欲がわかないこともあるでしょう。食欲がわいたからといって、1度に全ての行動食を食べてしまうと後が続かくなります。登山中は、食べられるときに少しずつ栄養補給をしましょう。

疲労感を覚えたら休憩を取り、疲労回復に効果のあるチョコレートやおにぎり、塩分補給ができる塩飴と水を摂取するのがおすすめです。熱中症や脱水症状を防ぎ、水の飲みすぎでお腹を壊すことがないようにしましょう。

行動食は下山の分も踏まえて用意しておき、傷口の洗浄などにも使える水は1L以上は装備しておくことをおすすめします。

初心者におすすめ 関東の登山コース

装備と登山計画の基礎をインプットしたら、次に実際に登山する山選びに入ってみましょう。ここでは関東圏のおすすめ3選を紹介します。

東京都 都心からアクセスのいい高尾山

東京都八王子市の『高尾山』は、京王線新宿駅から1時間ほどというアクセスの良さに加え、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三つ星を取得したこともあり、観光名所として人気の山となっています。

標高599mのなだらかな傾斜の山で、メインの1号路は薬王院を過ぎ山頂まで続き、トイレが豊富で、中腹までケーブルカーかリフトを利用すれば普段着でも登れるため初心者にうってつけです。

側道の2〜5号路で自然観察や森林浴を楽しむこともでき、慣れてくれば高難度の6号路と稲荷山コースに挑戦することもできます。

神奈川県 日本三百名山の一つ丹沢大山

神奈川県の中央部に位置する『丹沢大山』は、富士山のような三角形の山容が美しい、標高1252mの山です。

ケーブルカーで標高700mほどの中腹まで行くことができ、終点の阿夫利神社からの眺めはミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの二つ星を取得した絶景となっています。

子連れのファミリーや老夫婦も利用する、比較的初心者向けの登山道です。山頂までのコースには急階段や岩場・鎖場・吊り橋などがあり、豊かな自然の中で登山の面白味を感じることができます。

茨城県 景色が有名な筑波山

茨城県つくば市にある『筑波山』(つくばさん)は、筑波山神社が建つ西側の男体山(標高871m)と東側の女体山(標高877m)からなり、最も低い日本百名山として知られます。

男体山の山頂へはケーブルカーで、女体山の山頂へはロープウェイで行くことができ、山頂連絡路を歩けば30分ほどで両山頂を行き来することも可能です。

歩いて登山するなら、女体山の迎場コースか、おたつ石コースが初心者向けとなっています。白雲橋コースや男体山の御幸ケ原コースは、若干ハードながら樹齢数百年のスギが立ち並ぶ自然景観が魅力的です。

初心者におすすめ 関西の登山コース

どの都道府県にも名山があります。ここでは、関西圏で登っておきたい、初心者でも十分に楽しめる山をみていきましょう。

兵庫県 子供から大人まで楽しめる六甲山

兵庫県の『六甲山』は東西に数十kmにも及ぶ六甲山系を指し、最高峰は標高931mと高くないものの、市街地からは長距離を歩く山です。

さまざまな初心者コースがあり、例えば芦屋川駅から山頂を抜け、名湯・有馬温泉へ抜けるコースや、阪急岡本駅から有馬温泉を目指すコースなら、約11.5kmを5時間半ほどをかけて歩く形です。

また、ファミリー向けのレジャー施設が豊富にあることも特徴で、ロープウェイで山頂まで行って、昼には自然景観や六甲山牧場を楽しんで夜にはディナーとナイトビューを堪能する、といった遊び方もできます。

滋賀県 霊峰としても有名な伊吹山

滋賀県の最高峰『伊吹山』は標高1377mの日本百名山に数えられる山です。古事記や日本書記にも記され、日本武尊の伝説にも登場する霊峰でもあり、平安時代には修験道における日本七名山の一角でもありました。

山頂までの登山距離は約6kmで片道3時間半ほど、伊吹山ドライブウェイやゴンドラで気軽に山頂まで行くこともできます。

山頂の花畑は天然記念物に指定され、眼下には琵琶湖や比叡山、日本アルプスや伊勢湾が一望できる絶景が楽しめることも大きな魅力の一つといえるでしょう。

大阪府 さまざまな楽しみ方ができる金剛山

大阪府の『金剛山』は金剛山地の主峰で、最高峰は神域として立ち入り禁止となっている標高1125mの葛木岳です。一般には国見城跡広場が山頂扱いとなっていて、標高1112mの湧出岳、1094mの大日岳というピークもあります。

金剛山ロープウェイを使えば広場まで直行することができ、春には金剛桜、秋には紅葉、冬には樹氷と四季折々の自然美を楽しめ、ちはや園地展望台から見る初日の出も人気です。

初心者コースとしては、金剛登山口バス停から千早城跡・千早本道を抜けて国見城趾広場を目指すのが有名ですが、他にもさまざまな48ものルートがあるとされています。

山に登って景色を楽しもう

健康増進を目的とした登山や、トレイルランニングを行う人も増え、老若男女問わず山を楽しむ風潮があります。

どんな目的で山に入るにせよ、自然の圧倒的なエネルギーと美しさは誰の心にも響くものがあるでしょう。

登山を楽しむには、山と人間との力関係を測ることも重要です。十分な計画と準備を行い、装備に体を慣らしてから、山でしか味わえない景色を楽しみに出かけてみましょう。

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