歌舞伎の歴史の始まりは?原点を初心者にも分かりやすく解説します

2018.10.25

歌舞伎はほとんどの日本人なら知っている伝統芸能です。安定した人気があり、映画やテレビなどで活躍する歌舞伎役者もたくさんいます。しかし、その原点やたどってきた歴史は意外と知られていません。ここでは歌舞伎の歴史と現状について、解説します。

歌舞伎の歴史、その原点は?

歌舞伎の原点は、江戸時代の始めに流行した『かぶき踊り』といわれています。かぶき踊りは1人の女性が始めた街頭パフォーマンスであり、男性が舞台で演じる現在の歌舞伎とはかなり異なるものでした。

かぶき踊りが流行した理由と背景、そして歌舞伎へと発展した経緯を紹介します。

歌舞伎の語源とその特徴

江戸時代の始め頃、常識はずれな行動や服装で街中を闊歩し注目を集める者たちが現れました。こうした行為を『傾く(かぶく)』と言い、傾く行動をする者は『かぶき者』と呼ばれました。

そんなかぶき者の独特な装いや動きを取り入れた『かぶき踊り』が当時大流行し、現在の歌舞伎の元となりました。

激しい動きや華やかな衣裳、顔に色とりどりの線を描く隈取(くまどり)といった歌舞伎の特徴は、もともとは『かぶき者』のファッションだったのです。

歌舞伎を始めた人物とは

かぶき踊りを最初に考案したのは、出雲大社の巫女『阿国(おくに)』です。出雲大社への勧進(寄付を集めること)を目的に全国をまわっていた阿国の一行が、客集めのために考えついたパフォーマンスがかぶき踊りでした。

かぶき者を真似た派手な男装スタイルで、歌と踊りを披露してまわったところ、評判となり1603年には京都で大変な人気を得ていたという記録があります。

やがてその評判は江戸にも届き、人気にあやかろうと多くのかぶき踊り集団が出現しました。しかしこの女歌舞伎はきわどい演出のものも多く、風紀を乱すとして江戸幕府が禁止してしまいます。

その後歌舞伎は男性だけで演じられるようになり、現在の歌舞伎へ受け継がれています。

誕生から現代まで、歌舞伎年表

1人の女性の踊りから始まった歌舞伎が、現在の形となるまでの変遷をみていきましょう。女歌舞伎が禁止された後、美少年が演じる『若衆歌舞伎』が流行します。

しかしこれも風俗的な意味合いが強かったため、やはり禁止されてしまいます。その後やっと、現在のように成人男性が演じる『野郎歌舞伎』となりました。

江戸時代中期以降は江戸の『荒事』、京都の『和事』のように系統が分かれ、それぞれ発展していきます。

明治時代に入ると政府の後押しもあり歌舞伎の文化的地位が向上、1887年には天皇陛下も観劇されています。大正時代には海外の作風を演出に取り入れた『新歌舞伎』の上演が始まります。

戦後は歌舞伎座の再建、『スーパー歌舞伎』の登場を経て現在は海外でも人気の伝統芸能となっています。

歌舞伎と差別

歌舞伎の歴史を理解するうえで、身分差別の問題を避けて通ることはできません。人気の裏に隠された、歌舞伎役者の苦難に触れていきます。

歌舞伎の知られざる歴史的背景

中世から江戸時代の終わりまで、時代や形はは変わっても日本には厳格な身分制度が存在していました。そしてその身分制度の枠からはずされ、社会の最下層に置かれた人たちも多くいたのです。

歌や踊り、楽器演奏などを生業として全国を放浪する芸能人も、こうした層とみなされ差別的扱いを受けていました。歌舞伎役者もまた、例外ではなかったのです。

歌舞伎役者のルーツ

江戸歌舞伎の代表的な役者といえば初代市川團十郎ですが、彼は『菰(こも)の十蔵』と呼ばれていました。

菰とは物乞いを意味する言葉で、父親が被差別民出身だったためにこのように呼ばれたと伝えられています。

歌舞伎役者の辿ってきた道

人気者だったにも関わらず、長い間差別的な扱いを受けざるをえなかった歌舞伎役者ですが、大名や大奥女中からの支持を集め始めた1708年には訴訟を起こすなどして、差別支配からの独立をはかります。

しかしどんなに人気があっても、制度上の身分までは変えることができませんでした。江戸時代が終わるまで住む場所や服装に関する規制は続き、明治時代に身分制度が廃止されたことで、やっと解放されたのです。

海外も注目、世界に広まる歌舞伎

歌舞伎は現在、日本国内だけでなく世界からも注目されるエンターテイメントに発展しています。国内外で活発化している、歌舞伎の国際化への取り組みをみていきましょう

歌舞伎は海を越えても人気

歌舞伎独特の派手なメイクや衣裳、荒々しい動作は言葉が通じない海外の人にも伝わりやすく、人気があります。

2018年にはマドリードやパリ、モスクワといった大都市での公演が行われるほか、ラスベガスでは市川染五郎さんが英語での歌舞伎に初挑戦するなど、新たな試みも行われています。

英語字幕や海外向け歌舞伎サイトも開設

一方、日本国内でも外国人観光客に向けた取り組みが積極的に行われています。歌舞伎座では字幕ガイドに英語の字幕を追加し、一幕見席でも使えるようになりました。

また、英語の情報サイト『Kabuki Web』では、公演スケジュールの公開やチケット販売のほか、観劇のノウハウなどをわかりやすく掲載しています。

海外公演をする意味とその歴史

明治以降、政府の方針で文化的価値を高めてきた歌舞伎は、1928年にはすでに旧ソ連で初めての海外公演を行っています。公演前は成果が疑われていましたが、蓋を開けてみると予想外の大成功でした。

それから90年、歌舞伎の海外公演はひんぱんに行われ、訪問先は2017年8月時点で36カ国、110都市を数えています。

歌舞伎は単なる娯楽としてだけでなく、国際交流の一助を担う重要な役割も期待されています。このため海外公演の機会は、今後もますます増えていくと予想されます。

歌舞伎に関するオススメの本をご紹介

最後に、歌舞伎鑑賞の予習・復習に役立つ入門書を紹介します。難解な演目も、予備知識があれば楽しく観ることができますよ。

入門編から知りたい歌舞伎初心者に

1度は歌舞伎を観てみたいと思っていても、敷居が高そうで及び腰になってしまう初心者には、こちらの本がおすすめです。

著者は歌舞伎を観ること50年の筋金入りの歌舞伎ファンというだけあって、チケットの取り方から服装、弁当のことまで歌舞伎鑑賞に必要なノウハウを懇切丁寧に解説しています。

また、なぜ歌舞伎役者にはスキャンダルがつきものなのか、といった豆知識も紹介されており、読めば歌舞伎鑑賞がより楽しくなる1冊です。

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歌舞伎の知識をもっと深めたい人に

こちらは豊富なカラーイラストで、歌舞伎の基本や楽しみ方を解説している図鑑です。初心者はもちろん、もっと歌舞伎のことを知りたい方にもおすすめです。

歌舞伎用語や役者のこと、舞台に登場する道具や動物、有名な演目の概要など歌舞伎に関するあらゆる情報がわかりやすく書かれています。

持ち歩きやすいサイズでマンガのように楽しく読めるので、子どもと一緒に歌舞伎を観に行くときにも役に立つでしょう。

歌舞伎の辿ってきた歴史、そして今を知ろう

歌舞伎は発祥から400年以上、庶民の娯楽として支持され続けてきました。伝統を守りながらも新しい挑戦を重ね、進化する歌舞伎は今や日本だけでなく海外からも注目されています。

紹介した記事や本を参考に、歌舞伎の歴史と現状を正しく理解して、劇場での鑑賞に役立ててください。

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