印象派の女性画家・モリゾ。色の名手と謳われた彼女の代表作をご紹介

2019.09.04

ルノアールやドガと親交があり、最初期の女性印象派画家の1人と呼ばれるのが、フランスの画家モリゾです。「色の名手」と呼ばれることもあるほど優しい色彩を使いこなすモリゾですが、一体どんな作品を残したのでしょうか。この記事では、そんなモリゾの作品と作風をご紹介します。

画家、モリゾとは

ベルト・モリゾ(1841 – 1895)は、19世紀に活躍した印象派のフランス人女性画家です。当時圧倒的に男性中心の社会であったフランス画壇において、女性でありながら中核の人物として制作活動を行ったことでもよく知られています。

かねてより画家を志望していたモリゾは、20歳の時(1861年)に姉・エドマと共にバルビゾン派の画家、ジャン=バティスト・カミーユ・コローに弟子入りしました。当時は絵画を学ぶこと自体は女性にとって教養の一つとされ、推奨されていたものの、女流画家として生計を立てることはまだまだ一般的ではありませんでした。

姉の方は結婚、出産を機に創作活動を辞めてしまいましたが、モリゾは作品を作り続け、1864年には2つの風景画でサロンに初入選しています。

マネとの運命的な出会い

モリゾと同時期に活躍した画家の一人に、印象派の先駆者的な立場であったエドゥアール・マネがいます。

モリゾはこのエドゥアール・マネに絵画を学びながら、同時にモデルも務めていました。

長い間、モリゾとエドゥアール・マネは画家として互いに影響しあいましたが、そのあまりにも親密な様子から、恋仲が噂されるほどまでなっていました。

実際には、モリゾはエドゥアール・マネの弟、ウジェーヌ・マネと結婚しているのですが、結婚後もエドゥアール・マネとの噂が絶えることはなかったそうです。

ルノアールやドガとも親交があった

後に「モリゾ以上に才能のある洗練された印象派の画家はいない」と賞賛されるほど、早くから画家として高く評価されていたモリゾは、エドゥアール・マネ以外の印象派画家からも注目の的であり、数多くの著名な画家との親交がありました。

そのなかには、当時の印象派の指導者的存在であったルノワールや、エドガー・ドガもいました。

その親交はかなり深かったようで、ルノワールやエドガー・ドガはモリゾの死後に、一人娘ジュリー・マネの後見人を引き受けています。

モリゾの作風

モリゾの作品からは、19世紀の階級制度やジェンダーといったものを垣間見ることができます。

というのも、子供から老人、農夫から貴婦人まで、さまざまな人の日常生活をテーマにして描いているからです。

例えば、代表作の一つである「穀物畑」では、バルビゾン派に師事した画家らしく農夫が農作業している姿を描き、「舞踏会で」という作品では、センスを手に持った貴婦人を描いています。

色の名手、モリゾ

モリゾが描いた日常の風景は、その色使いによって、全体的に穏やかで優しい雰囲気が漂っています。

とくに「緑を基調としていること」と「白色を多用し他の色と混合していること」はモリゾの作品のひとつの特徴であり、その穏やかで優美、ときに鮮烈な色使いは、モリゾが「色の名手」と呼ばれる所以でもあります。

モリゾの技法

油彩、水彩、パステルなど、様々な画法を使いこなしていることから、モリゾは当時としても非常に器用な画家であったことがうかがえます。

また、初期の頃は短めで急なストローク(筆触)を用いていましたが、やがて印象派の影響を受けてか、長く屈曲したストロークへと移行していきました。

そのため、前期と後期の作品ではだいぶ印象が異なって見えます。

優美な女性モチーフを描き続けたモリゾ

モリゾは、19世紀という男性が尊重される時代にあって、女性としてフランス画壇に強い存在感を放ち続けました。そんな女性が残した数々の女性モチーフの作品は、のちに当時のジェンダーを知る手掛かりとして、フェミニズムの立場からのアプローチも多く試みられています。

自らの姉が、赤ちゃんをゆりかごに寝かせてあやしている姿を描いた「ゆりかご」などはその代表例です。母子像は絵画として決して珍しいモチーフではありませんが、モリゾが描いたこの絵は、赤ちゃんが薄いヴェールに覆われてあまり目立たない一方で、母の慈愛にみちた表情にスポットが当たっているような構図と描写になっています。

このように母と子という2つのモチーフの重要度に差をつけることは当時としては珍しく、子供を前提とした母の存在ではなく、一人の独立した女性としての母性を描き出している作品だとも解釈することができるでしょう。これは、当時の画壇においてはモリゾしか描けない絵であったに違いありません。

色の名手と呼ばれたモリゾ

当時の社会情勢のなかにあって、印象派の中心人物の一人として活躍した女流画家・モリゾは、若い頃から高く評価されていました。

特に、緑を基調としつつ白を巧みに織り交ぜていく手法は、「色の名手」と呼ばれ、モリゾの特徴の一つになっています。

印象派というとルノアールやモネが有名ですが、これを機にぜひモリゾにも注目してみてはいかがでしょうか。

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