歌舞伎家系図から見る格の序列とは。時代に伴う変化も解説

2018.10.23

歌舞伎界における格は家系図と深い関係があります。では、歌舞伎の世界での格は一体どのように決まるのでしょうか。また、歌舞伎の格の違いによってどのような影響が出るのか、そして時代に伴ってどのような変化が起こっているのかについて解説します。

家系図で説明する歌舞伎の格とは?

歌舞伎は重要無形文化財にも指定されている、日本の伝統芸能の一つです。歌舞伎の歴史は400年以上と古く、現在では30ほどの家(一門)があります。

格はどうやって決まる

歌舞伎には、一般的にも知られている市川家や尾上家など有名な一門が多数あります。その中で格を判断するポイントは、その家系が何年続いているか、という点です。格の高い家は、歌舞伎が発展した江戸時代から代々続いています。

最上位は市川團十郎が初代の市川家

歌舞伎の家系で最上位とされているのが市川家です。市川家の屋号である成田屋は、歌舞伎における屋号の始まりとも言われています。

市川家は市川團十郎の名を継ぐ一門で、『市川宗家』とも呼ばれ、他の一門と比べても別格です。例えば、歌舞伎十八番を他の家が演じるには、市川宗家の許可を得なければならないなど、独自のルールがあります。

市川家の大名跡である市川團十郎の名は、歌舞伎界で最も権威のある名です。市川團十郎の名跡は、2013年に12代目が亡くなって以降空席となっており、現在は息子である11代目・市川海老蔵が家長となっています。

その他の格が高い家系

格の上で市川家は別格ですが、その他にも格が高い家系として挙げられるのが以下の一門です。

  • 尾上菊五郎家(音羽屋)
  • 松本幸四郎家(高麗屋)
  • 中村勘三郎家(中村屋)
  • 中村歌右衛門家(成駒屋)

どの家も江戸時代から代々続く家で、古くから市川家と共に歌舞伎界の発展に寄与してきました。特に尾上菊五郎家は市川家とともに、『團菊祭』と呼ばれる歌舞伎興行を行うなど、市川家に次ぐ存在として認識されています。

格により生まれる差

歌舞伎界では、家の格によって違ってくる部分があります。どのような点に影響があるのかを解説します。

幼少時からの英才教育

歌舞伎界は、昔は養子などで名跡を継ぐことも数多くありましたが、現在はその家に生まれた男子が継ぐことが多くなっています。そのため、格の高い家に生まれると、跡継ぎとして幼いころから踊りや演技の教育がなされるのが一般的です。

そして、幼いうちに舞台に立つことも多く、早ければ3~4歳の頃に初舞台を経験することも少なくありません。初お目見えは大変な注目を浴びますし、小さいころから歌舞伎役者としての技術や人気を得やすい環境になっています。

もちろん一般家庭に生まれても歌舞伎界に入ることはできますが、幼少時から英才教育を受けられるのは格の高い家ならではです。

格で役や舞台が決まる

歌舞伎の舞台では、代々主役級を演じる家系と、脇役を演じる家系に分かれています。そして、主役級の役柄を演じられるのは、格の高い家柄の役者だけです。

格の高い家に生まれた男の子は、幼いころから舞台に立って経験を積みますが、若いうちに大きな役を与えられることもあります。特に伝統ある歌舞伎座で主役を務められるのは、基本的にはごく限られた家の役者だけです。

地方公演などでは少し格下の家の役者でも主役を務められる可能性がありますが、歌舞伎座では大きな役はなかなか回ってきません。テレビなどでよく見る有名な歌舞伎俳優でも、歌舞伎座で良い役をもらうのは難しいとされています。

格による序列は変わっていく?

歌舞伎界での序列を決めるのは家の格ですが、必ずしもこれは一定ではありません。市川家が別格であることは今も昔も変わりませんが、時代によって変化が出てくる部分もあります。

客を呼べる役者に役がつく

歌舞伎では家の格が高い役者が主役を演じることが多いですが、役を決めるのは家柄だけではありません。いくら家柄が良くても、実力や人気が伴っていなければ、良い役は与えられなくなります。

歌舞伎は芸事ですし、興行として成立しなければならないので、最終的には客を呼べる役者であることはとても重要です。

例えばスーパー歌舞伎で人気を博している市川猿之助家(澤瀉屋)が良い例です。市川猿之助家は、市川宗家の弟子筋のため、家の格は決して高くはありませんが、歌舞伎座でも良い役をもらえる俳優となっています。

屋号の復活による変化

2017年1月、市川右近が三代目・市川右團次を81年ぶりに復活させて襲名し、屋号を『高嶋屋』とすることで話題になりました。

歌舞伎の長い歴史の中では、屋号が途絶えたり復活したりということはままあることです。この流れによって、歌舞伎の序列が変わることもあります。

歌舞伎の家系図を知れば配役の理由がわかる

歌舞伎は家柄の格により、出演できる公演や役の大きさが変わります。つまり、よく主役を演じている人は、基本的に格の高い家系に属しています。

ただし最近では、役者個人の人気が高まれば序列を超えた配役が行われることも増えてきました。よりファンを満足させることに主眼をおいた変化が今後も起こっていくかもしれません。

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