名作悲劇『ハムレット』を深く知るために。おすすめ本9選を紹介

2019.09.07

シェイクスピアが記した四大悲劇のうちの一つ『ハムレット』は、父王を殺され復讐に燃えるデンマーク王子とその周囲の人々をめぐる悲劇の物語です。この記事では、このシェイクスピア随一の名作悲劇を楽しむためにおすすめの本をご紹介します。

基本の一冊はどれを選ぶ?『ハムレット』の翻訳本

戯曲『ハムレット』は、明治時代以後に13回も翻訳されているそうです。日本で最初にシェイクスピアを翻訳したのは坪内逍遥で、1909(明治42)年に『沙翁全集』全40冊を出版しています。坪内逍遥による翻訳は、「世にある、世にあらぬ、それが疑問じゃ」と歌舞伎調になっているそうで、最初の一冊には高難度な印象です。ここでは、文庫で手に取ることのできるオススメの翻訳本をご紹介します。

劇作家による長年愛されてきた底本

1955年に「文学座」で上演された『ハムレット』で演出を務めた劇作家の福田恒存による翻訳です。いかにも舞台にセリフという印象で、慣れていない方には少し読みづらく感じるかもしれませんが、シェイクスピア翻訳の底本として長らく読まれ、演じられてきたため、戯曲としての『ハムレット』を楽しむには基本の一冊と言えそうです。

  • 商品名:ハムレット (新潮文庫) 文庫 – 1967/9/27
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テンポよく読めると評判の新訳版

現在、福田訳に変わるスタンダードと捉えられているのが、英文学者の小田島雄志による翻訳で、文章の意味を汲んだ分かりやすい訳とテンポの良さが読みやすいと評判です。この訳者は、シェイクスピアの解説本も多数刊行しているので、あわせて読んでみてはいかがでしょうか。

  • 商品名:新訳 ハムレット (角川文庫) 文庫 – 2003/5/24
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近年話題のシェイクスピア演劇の台本

近年話題の舞台で使用されることが多いのが、松岡和子による翻訳本です。こちらは戯曲という印象が少なく、小説のように読み進めやすいという評判です。また、脚注や解説、日本での上演年表が付いているので、セリフの意味や背景を知りながら読むことができます。

  • 商品名:シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫) 文庫 – 1996/1/1
  • 参考価格:713円(税込)
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もっと分かりやすく!『ハムレット』の解説本からマンガ版まで

上に紹介した『ハムレット』の翻訳本はいずれも戯曲形式で書き連ねられ、物語に没頭したり、反対に、セリフの意味を一つ一つ考察したりするのには向いていません。ここでは、そんな『ハムレット』の物語をもっと身近に感じるために、詳細な解説本、児童向けバージョン、そして、漫画版をご紹介します。

原文付きでしっかり学びたい方へ

左ページに英文を、右ページに日本語訳を配置した対訳版は、原文のテクストを楽しみながら物語を楽しめます。しかも、これまでのシェイクスピア研究の成果を踏まえて、英文テクストの編纂から翻訳、注釈までなされているため、初心者から研究者まで参考にできる本です。舞台写真などの図版や、創作年代などについての解説も豊富です。

  • 商品名:ハムレット (対訳・注解 研究社シェイクスピア選集8) 単行本 – 2004/9/1
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とにかく分かりやすさ重視の人へ

大人向けの翻訳書も評価の高い小田島雄志が『シェイクスピア』を児童向けに書き直し、少女漫画界の重鎮で近年はギリシア神話や名作オペラの漫画化にも取り組む里中満智子が挿絵をつけたシリーズのうちの一冊です。分かりやすい人物相関図もついています。

  • 商品名:ハムレット (シェイクスピア名作コレクション) 単行本 – 2016/9/1
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サクッとあらすじを追いたい人へ

『ハムレット』は、シェイクスピアの悲劇のうちで最も長大とされ、翻訳であったとしても途中で挫折してしまう心配も。そんな人は、漫画版を手にとって、あらすじを追ってみてはいかがでしょうか。様々な古典文学を漫画で読める「まんがで読破」シリーズのうちの一冊で、電子書籍でも読めますので、もし気に入れば他のタイトルを読んでみるのも良いでしょう。

  • 商品名:ハムレット (まんがで読破) 文庫 – 2011/3/1
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番外編!『ハムレット』を別の角度から見てみたら

様々な翻訳に触れ、解説も読んだら、さらに別の視点から『ハムレット』を楽しんでみ流のはいかがでしょうか。ここでは、後世に記された『ハムレット』のスピンオフ作品とパロディ作品をご紹介します。

脇役の視点から見た『ハムレット』!?

主人公ハムレットの学友として登場する脇役2人を主人公に展開する『ハムレット』のスピンオフ的な作品。終幕で「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」の一言で片付けられてしまう2人に、一体何があったのか。イギリスで高い評価を獲得する劇作家、トム・ストッパードの出世作となった劇作品で、気鋭の演出家・小川絵梨子が翻訳しています。

  • 商品名:トム・ストッパード (3) ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ (ハヤカワ演劇文庫 42) 文庫 – 2017/10/5
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太宰治が書きなおした『ハムレット』!?

『人間失格』で知られる太宰治は、『ハムレット』のパロディ的作品である『新ハムレット』を1941年に初の書き下ろし長篇小説として発表しています。人物の名前と環境はそのままに、不幸な家族の顛末を描き、現代人の心の葛藤や現代的悪を表現しています。『ハムレット』同様に戯曲形式で書かれ、実際にたびたび上演されていますが、太宰は小説のように読まれることを想定して執筆したそうです。

  • 商品名:新ハムレット (新潮文庫) 文庫 – 1974/4/2
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『ハムレット』はオーディオブックもおすすめ

もともとは俳優によって上演されるために書かれた戯曲作品である『ハムレット』ですが、なかなか劇場まで足を運ぶのは難しいですよね。そんな時は、セリフを耳で聞いて楽しめるオーディオブックもおすすめです。ダイジェスト版になっているので、ナレーションの表現力を楽しみつつ、簡単に物語を楽しむことができますよ。

  • 商品名:60分でわかる ハムレット (-シェイクスピアシリーズ3-) CD – 2012/8/1
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