『リア王』の舞台を鑑賞しよう!上演の歴史から国内の名演まで

2019.09.02

エリザベス朝イギリスに活躍した劇作家シェイクスピアが生んだ名作悲劇『リア王』は、世界中の舞台で最も多く演じられてきた演目の一つと言えるでしょう。この記事では、『リア王』を舞台で楽しむための予備知識として、上演の歴史や日本国内での名演についてご紹介します。

シェイクスピア悲劇最大のスケール!『リア王』とは

シェイクスピア悲劇の中でも極めてスケールの大きいとされる『リア王』とは、どのような舞台なのでしょうか。本場イギリスで演じられてきた『リア王』の概要をご紹介します。

400年演じ継がれた『リア王』

『リア王』は、16041606年頃に記されたとされ、シェイクスピアの四大悲劇のうちで最も壮大な構成を持つと評されています。娘たちに裏切られ荒野をさまようリア王と、息子に諮られて両目を抉られるグロスター伯。2つの筋が交錯し、悲惨な結末へとなだれ込む壮烈な物語です。

『リア王』は、チャールズ2世による王政復古期に、詩人のネイハム・テイトによって勧善懲悪のハッピーエンドの物語として改変され、そのまま1681年~1838年の長い間演じられていました。シェイクスピアの完全なオリジナル版が再び演じられるようになったは、20世紀になってからだそうです。

本場イギリスの舞台で『リア王』を

シェイクスピアの戯曲を舞台で、しかも本場イギリスで見たいという方が目指すべき場所は、「ロイヤル・シェイクスピア・シアター」です。1875年に設立された「シェイクスピア記念劇場」を前身とする歴史の古い劇場で、シェイクスピアの生地ストラトフォード・アポン・エイヴォンに位置しています。『リア王』は、数年に一度は演じられていますので、機会を狙えば最高峰の演技に触れることができるでしょう。

日本シェイクスピア劇の最高峰、蜷川『リア王』とは

日本で『リア王』はどのように演じられてきたのでしょうか。現代の日本で上演されるシェイクスピア劇の最高峰は、おそらく、世界的演出家・蜷川幸雄演出による舞台でしょう。1974年に『ロミオとジュリエット』、75年に『リア王』を演出している蜷川は、1998年に「彩の国シェイクスピア・シリーズ」を開始し、シェイクスピア劇全てを上演することを目指しました。惜しくも2016年に他界し、俳優の吉田鋼太郎らがその意思を継いでいます。

蜷川は、1999年に上記のロイヤル・シェイクスピア・シアターで『リア王』を演出して絶賛を浴び、2008年には英国人キャストを日本人俳優に置き換えて再上演しています。同舞台は映像で見ることができますので、気になる方はぜひ手にとってみてください。

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他にもある!日本で上演された『リア王』の名演

人間存在の本質をえぐり出す悲劇『リア王』は、世界のニナガワだけでなく、数多くの演出家、俳優を魅了してきました。ここでは、近年に日本で上演され好評を得た『リア王』の一部をご紹介します。

独自の演出が魅力!鈴木忠志の『リア王』

唐十郎や寺山修司らとともに1960年代の新しい演劇運動を担った演出家・鈴木忠志も、『リア王』を繰り返し演出してきました。初演は1984年で主宰する劇団SCOTの本拠地である富山県利賀村の合掌造りの劇場で行われています。1988年にはアメリカ版を全米各地で上演し、高い評価を得、1994年には本場ロンドンで上演。2004年にはモスクワ芸術座の定期公演演目にも選ばれ、以後、国内外で繰り返し演じられています。

舞台を精神病院に、道化師役を看護師に置き換え、死を待つばかりの孤独な老人とリア王を重ね合わせる大胆な演出で、人間の普遍的な弱さや惨めさに焦点を当てた濃密な舞台です。

ギネス記録!?ベテラン俳優・横内正の『リア王』

2016年~2018年まで3年連続で上演されたのが、水戸黄門の初代格さん役で知られるベテラン俳優・横内正主演の『リア王』でした。20162017年は劇団夜想会主催の野伏翔が、2018年は主演の横内自らが演出を手がけていますが、ストーリーが分かりやすいと評判です。77歳でのリア王役は世界でも最年長だそうで、ギネス記録を更新したとか。2019年には横内は最後の挑戦として『マクベス』の主演を務めています。いつか、DVD化されることを願います。

次々と演じられる不朽の名作『リア王』

シェイクスピアの不朽の名作『リア王』は、翻案劇も数多く演じられています。例えば、麿赤兒がリア王を演じたティーファクトリーによる『荒野のリア』(2016年)は、第3幕のみを男性キャストだけで凝縮して見せ、旺なつきが主演したタイプスプロデュースの『リア王』(2018年)は全キャスト女性だけで演じられました。これから『リア王』を舞台で見るという方は、どんなリア王に出会えるのかも楽しみの一つになりそうです。

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