シェイクスピアの悲劇『リア王』のあらすじを分かりやすく解説

2019.08.31

400年以上色あせることなく愛されてきたシェイクスピアの戯曲の中で、悲劇中の悲劇と評されるのが『リア王』です。この記事では、壮烈な展開が息を飲む傑作『リア王』のストーリーを分かりやすく紹介します。

まずは『リア王』の概要を知ろう

登場人物やあらすじをご紹介する前に、『リア王』がどのような戯曲なのか、基本情報を確認しておきましょう。

『リア王』には2バージョンある

『リア王』は、シェイクスピアの四大悲劇のうち最も壮大で複雑な構成を持つ物語で、1604年~1606年頃に書かれたとされています。死後に出版されたフォリオ全集版と生前に出版されたクォート版の2バージョンがあり、一般にはその両者を合成した本文が読まれています。

『リア王』には元ネタが複数ある

『リア王』のモデルは、ブリトン人の伝説の王レイアとされ、その王にまつわる様々な文献がシェイクスピアの霊感源と見なされています。シェイクスピアが他の史劇の製作でも参照したラファエル・ホリンシェッドの『年代記』や、エドマンド・スペンサー作『妖精の女王』、イギリスのおとぎ話『コーディリアの塩』にはレイア王の物語が登場し、副筋となるグロスター伯の悲劇については、フィリップ・シドニーの『アーケイディア』が典拠として挙げられています。

『リア王』の登場人物を知ろう

複雑な『リア王』のストーリーを理解するために、まずは登場人物をご紹介します。

  • リア王:ブリテンの王。引退するにあたり娘たちの愛情の深さを測ろうとすることから悲劇が始まります
  • コーディリア:リア王の末娘。王に勘当されフランス王妃に。
  • ゴネリル:リア王の長女でオルバニー公の妻。美辞麗句で父王より広大な領地を手に入れる
  • リーガン:リア王の次女でコーンウォール公の妻。エドマンドを巡ってゴネリルと対立
  • オルバニー公:ゴネリルの夫
  • オズワルド:ゴネリルの執事
  • コーンウォール公:リーガンの夫
  • ケント伯:リア王の忠臣で、諌言によって追放されるが、変装して王の下に戻る
  • グロスター伯:コーンウォール公の家臣でエドガーとエドマンドの父
  • エドガー:グロスター伯の嫡子。父に勘当された後は「トム」として再登場
  • エドマンド:グロスター伯の庶子。異母兄エドガーを追放し、ゴネリル、リーガンをも操って権力を握る
  • 道化:リア王に付き従う道化師。皮肉に満ちた鋭い言葉で真実を突きつけ、リアを狂気に陥れる

『リア王』のあらすじを分かりやすく紹介

ここでは、『リア王』のストーリーを、幕ごとに簡潔にまとめてご紹介します。『リア王』には、リア王親子を軸に進む主筋に加えて、グロスター伯親子をめぐる脇筋があり、その二つの筋書きが重層的に進行していくことで悲劇に幅と奥行きを与えているとされています。ぜひ、二つの筋を意識して読んでみてください。

第一幕

ブリテン王のリアは引退前に領土を三人の娘に分け与えることとし、誰が自分を一番愛しているかと問います。長女ゴネリルと次女リーガンは父への愛を言葉巧みに語り領土を獲得します。実直な末娘コーディリアは、深い愛を言葉にし尽くせず、「何も」と答えて王を怒らせ勘当されてしまいます。また、それを思い留まらせようとしたケント伯も追放されてしまいます。

やがて、長女ゴネリルが住むオルバニー伯の館に滞在するリア王に、別人になりすましたケント伯が再び仕えるようになります。ゴネリルは次第にリア王を疎んじはじめます。

第二幕

グロスター伯の息子エドマンドは、父を騙して兄エドガーを追放させ、領地の相続権を得ます。その城に滞在していたリーガンの夫コーンウォール公は、エドマンドに感銘し臣下とします。

ケント伯とゴネリルの執事オズワルドが起こした決闘騒ぎをきっかけに不信感を抱いたリア王は、リーガン夫妻へ詰め寄りますが、ゴネリルも合流して父王を追い込み、わずかな家臣を残して王を荒野へと放り出してしまいます。

第三幕

リア王とケント伯、道化の三人は、狂人に変装し「トム」と名乗るエドガーに出会い、狂気を孕んだ会話を繰り広げます。グロスター伯はリア王を保護しようとしますが、コーンウォール公の命によって捕らえられた上、両目をえぐられ、ようやくエドマンドに騙されていたことに気がつきます。コーンウォールは、この暴挙を止めようとした召使いと争い、傷を追いました。

第四幕

盲目のまま追放されたグロスター伯は、トムに扮した息子エドガーに出会います。一方、エドマンドと密通しているゴネリルが、リア王への仕打ちを難詰する夫オルバニー公と罵り合っていると、コーンウォールの死が告げられ、オルバニーはエドマンドの陰謀を知ります。

リア王、ケント伯と合流したグロスター伯とエドガーのところに、ゴネリルの執事オズワルドが現れ、エドガーはこれを倒します。そして、ドーヴァーのフランス軍陣営に到着したリア王達は、コーディリアと再会します。

第五

フランス軍は、エドマンド率いるブリテン軍に敗れ、コーディリアとリアは捕らえられます。エドマンドとの仲を疑うゴネリルはリーガンを毒殺し、自身も自害します。エドガーとの決闘によって打ち倒されたエドマンドは、コーディリアとリアを暗殺する刺客を差し向けたことを明かして息を引き取ります。

救出に向かうエドガーですが、時すでに遅く、すでに絞首刑となったコーディリアの遺骸を抱いたリア王が嘆き悲しみながら絶命します。

『リア王』は悲惨の上に悲惨がつづく壮絶な物語

絶対的な権力を持つはずの王が狂気に陥り、息子の謀略によって父親が両目をえぐられる、そんな悲惨な場面が繰り広げられる『リア王』は、人間の弱さを極限まであばきだす傑作悲劇です。あらすじには記せなかった数々の名セリフを、ぜひ翻訳本などで味わってみてください。

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