世界一有名な名探偵。コナン・ドイルの代表作「シャーロック・ホームズ」を解説

2019.08.29

アーサー・コナン・ドイル(1859年~1930年)は、イギリスの作家、医師、政治活動家です。ミステリーの基盤を作った彼は「シャーロック・ホームズ」の著者で知られています。ドイルはホームズよりも歴史小説を書くことの方に興味があったようです。

コナン・ドイルについて

コナン・ドイルは、アイルランド系の技師の息子としてスコットランドのエディンバラ市に生まれました。貧しい少年時代を過ごしますが、裕福な叔父の援助で寄宿学校に入学することができました。

卒業生のほとんどは神父になる学校でしたが、ドイルはエディンバラ大学に進学して医学を学びました。

医師として成功せず

エディンバラ大学を卒業し医師となったドイルは、大学の同級生・パッドとともに診療所を共同経営します。しかし、パッドが医師としての才能を発揮した一方で、ドイルの医師としての評判は芳しくなく、ドイルが診療を行うようになってからは患者が激減してしまい、二人の関係は悪化しました。

その後、ドイルは別の土地サウスシーで個人で開業しましたが、開業した地域に医師がたくさん居たこともあり、8年間の経営は苦しいものでした。

副業として執筆していた

ドイルは、患者の待ち時間を使って短篇小説を執筆し、作品を雑誌社に投稿しました。少しでも家計の足しになるように、との思いで、いわば副業として執筆活動を行っていたわけです。

しかし、短編小説では名前も掲載されず、お小遣い程度の収入にしかならないことを憂慮したドイルは、ついに長編小説を書く決意をします。こうして最初に書いた長編小説こそが、後に世界一有名な探偵となる「シャーロック・ホームズ」シリーズの第一弾「緋色の研究」でした。

ちなみに、「シャーロック・ホームズ」のモデルはエディンバラ大学の医学部のベル教授だといわれています。

シャーロック・ホームズが大ヒットする

こうして発表されたドイル最初の長編小説でしたが、あの「シャーロック・ホームズ」シリーズの第一作であるにも関わらず、評判はそこそこといった程度で、大成功とはほど遠い状況だったそうです。今となっては信じられませんね。

最初の長編は思ったほどのヒットにつながらなかったのですが、ドイル自身の名前が世に知られたこともあり、徐々に小説家としてのキャリアは上向いていきました。ホームズシリーズのほかにいくつかの翻訳や長編小説を手掛け、小説家としてその名が知れ渡るようになっていきます。

やがてドイルは、シャーロック・ホームズを主人公とした短篇小説を書くことを考えました。最初のホームズ短編集は6編から成り、これが雑誌に掲載されると、「シャーロック・ホームズ」のシリーズは一気に爆発的なヒット作品となりました。

ホームズを作品の中で葬る

ドイルはホームズをそれほど長く書くつもりはなかったようです。彼は推理小説よりも歴史小説に興味があり、ホームズシリーズのヒットの前に「マイカ・クラーク」や「白衣団」などの作品も書いています。

次第にホームズの人気が高まり、社会現象といえるセンセーションを巻き起こすさなか、ついにドイルは決意します。

ホームズシリーズ「最後の事件」で、ホームズを滝に落とし、作品の中でホームズを葬り、シリーズに終止符を打ったのです。

読者の哀しみは想像を絶するもので、ホームズが生還するストーリーを執筆するよう哀願する旨の手紙を、ドイルは何百通も受け取ったそうです。また、毎週のようにドイルの家の周辺でホームズの葬儀が行われたといわれています。

シャーロックホームズシリーズ① 長編小説

そんな圧倒的人気を誇る「シャーロック・ホームズ」シリーズ。最初の作品を含む、ホームズシリーズの長編小説をご紹介します。

「緋色の研究」1887年

ホームズシリーズの第一作であり、2部構成で書かれた長編です。ロンドン大学で医学を学んだ2歳年上のワトスンとの邂逅も、この作品に描かれています。

ワトスンはアフガニスタンで過酷な軍医を務めて帰還し、住まいを折半する同居人を探していました。紹介されたのがホームズでした。

ホームズは鋭い洞察力でアフガニスタンへ行っていたことを当て、ワトスンを驚かせました。ベーカー街221Bで二人は共同生活を始めます。

「四つの署名」1890年

「緋色の研究」はイギリスではさほど評判になりませんでしたが、アメリカの出版社から、もう1作ホームズとワトスンが活躍する長編小説を依頼されました。

ホームズシリーズの第ニ作で、こちらも2部構成で書かれた長編です。ホームズが暇を持て余していたところに事件の相談の電話が鳴るところから物語は始まります。第1部では事件について、第2部では事件の推理や犯行の背景が書かれています。

「バスカヴィルの犬」1902年

ホームズシリーズの長編第三作です。不気味で雰囲気のある風景描写に引き込まれる長編小説で、この作品だけ2部構成ではなく簡潔で読みやすくなっています。

この作品はホームズシリーズの中では特殊な展開で、終盤までホームズが不在のまま、代わってワトスンが大活躍します。最後にはついに満を持してホームズが登場するのですが、そのシーンのカッコ良さ、そしてワトスンの驚きと喜びの描写には、胸がわくわくすること間違いなし。やはり二人は名コンビだと再認識させられます。

「恐怖の谷」1915年

ホームズシリーズの四作目。2部構成で書かれた長編です。どちらも独立した物語になっていて読みごたえがあります。第2部にはホームズもワトスンも登場しないという大胆な手法。「恐怖の谷」の舞台は、ペンシルベニア州のヴァ―ミッサ渓谷です。なお、この作品がホームズシリーズ最後の長編小説となりました。

シャーロックホームズシリーズ② 短編小説

「シャーロック・ホームズ」シリーズの短篇小説は全部で56作品あります。全ての作品は一話完結になっていますが、あまりに膨大で、とても1つずつ紹介することはできません。

それぞれの短編は、短編集にまとめられています。発売順にタイトルだけまとめてみましたので、参考にしてみてください。

「シャーロック・ホームズの冒険」1892年

  • ボヘミアの醜聞 / 赤毛組合 / 花婿疾走事件 / ボスコム渓谷の惨劇 / オレンジの種五つ / 唇のねじれた男 / 青い紅玉 / まだらの紐 / 技師の親指 / 独身の貴族 / 緑柱石の宝冠 / ぶな屋敷
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「シャーロック・ホームズの思い出」1894年

  • 白銀号事件 / ボール箱 / 黄色い顔 / 株式仲買売店 / グロリア・スコット号事件 / マスクレーヴ家の儀式 / ライゲートの大地主 / 背中の曲がった男 / 入院患者 / ギリシャ語通訳 / 海軍条約文書事件 / 最後の事件
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「シャーロック・ホームズの帰還」1905年

  • 空き家の冒険 / ノーウッドの建築業者 / 踊る人形 / 孤独な自転車乗り / プライオリ学校 / ブラック・ピーター / 犯人は二人 / 六つのナポレオン / 三人の学生 / 金緑の鼻眼鏡 / スリークウォーター疾走 / 僧坊荘園 / 第二の汚点
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「シャーロック・ホームズの最後の挨拶」1917年

  • ウィスタリア荘 / ボール箱 / 赤い輪 / ブルースパーティントン設計書 / 溺死の探偵 / フランシス・カーファックス姫の失踪 / 悪魔の足 / 最後の挨拶
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「シャーロック・ホームズの事件簿」1927年

  • マザリンの宝石 / ソア橋 / 這う男 / サセクッスの吸血鬼 / 三人ガリデブ/ 高名な依頼人 / 三破風館 / 白面の兵士 / ライオンのたてがみ / 隠居絵具師 / 覆面の下宿人 / ショスコム荘
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どれも評判の高い作品ばかりなので、ぜひ気になったものを手に取ってみてください。

コナン・ドイルの葛藤

コナン・ドイルといえば、「シャーロック・ホームズ」と、ほとんどの人はそう思い浮かべると思います。しかし、ドイルはホームズの作者といわれることを極端に嫌い、歴史小説家として名を残したいと思っていました。

彼はホームズを長く書くつもりは無かったといわれており、ホームズの人気が出るとホームズにうんざりして、作品の中でホームズを葬ってしまいます。

10年後、読者の強い希望に負けて、ドイルはホームズを復活させました。今も尚、ホームズの人気は衰えません。こんなに愛されるホームズを書いた作品をまだ読んでいない方は、是非この機会に読んでみてはいかがでしょう。

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