名著「こころ」の中で紡がれる夏目漱石の想い。あらすじを簡潔に紹介

2019.08.29

夏目漱石が書き上げた小説の中でも有名な「こころ」という作品を読んだことがあるでしょうか。この記事では、夏目漱石の「こころ」を読んだことがない方や途中で読むことをやめてしまった方へ向けてあらすじを簡単に解説していきます。

夏目漱石の「こころ」の登場人物たち

夏目漱石の「こころ」という作品に出てくる登場人物は少なくはないのですが、主要人物をまとめると構成は極めてシンプルです。

まずは「私」と「先生」。この2人の出会いがなければ話は進みません。私は大学生で、謎多き先生に惹かれます。そして物語の進行に不可欠な存在である先生の美しい「奥さん」。

残るは、話が進むにつれて出てくる「K」です。大きく分けると、夏目漱石のこころはこの4人を中心として回っていく話なのです。

夏目漱石の「こころ」の簡単なあらすじ

登場人物の姿をあらかた捉えることができたところで、あらすじの簡単な紹介に移っていきます。

主人公と先生の関わりが始まる

主人公が先生と初めて出会ったのは海でした。主人公の目には先生はひと際目立って見え、主人公は先生に強く惹かれます。

ところが主人公とは反対に、先生の態度は友好的とは言えません。仲良くなったかと思えば関わりが希薄になるため、なかなか距離感が掴めないのです。

先生と奥さんとの間の秘密

主人公は先生をよく見るうち、自分に対してだけ冷たいわけではないことを知ります。先生は自身の奥さんに対しても、心を閉じてひっそりと壁を作り続けているようです。

奥さん曰く、先生は昔は朗らかな人だったとのこと。心を閉ざした理由は奥さんですら詳しく知りません。主人公から見た先生の生き方についての謎は、ますます深まるばかりでした。

強固となる先生の自殺願望と実際の死

ある日主人公のもとへ届いた先生からの手紙。書き出しはまるで遺書そのものでした。先生は深い悲しみを抱えて死んでいったのだということに、初めて主人公は気づいたのです。

自殺の理由は「明治天皇の崩御」。しかしながら、それはきっかけの一つでしかなく、本当の自殺の理由は学生時代に同じ下宿生だった親友Kの死でした。

死の原因になったのは先生本人。Kの純粋な恋心を横から奪うこととなり、結果的にKは死を選んだのです。その罪悪感から、先生は心を閉ざし隠居していたのでした。

夏目漱石が「こころ」で伝えたかったこと

夏目漱石が「こころ」の作中で書き上げたかったことは、もちろん人によっても様々な解釈が可能です。その中でも「人間のエゴイズムの矛先と、それが招く悲しみ」という点を取り上げて、簡単に解釈を加えたいと思います。

悲しみは連鎖します。どこかで断ち切らない限り、悲しみゆえのエゴイズムが生まれ、それがまた悲しみを呼んでしまいます。

親友Kを死に追いやった自分を死に追いやることで、先生はすべてをリセットしたかったのでしょう。しかし皮肉にも、先生が死を選ぶことすら人間のエゴイズムなのです。

「死をもって償う」というのは、自身の死に価値があると信じていなければ到底できないこと。先生は死ぬことで償いができると感じていたのです。それは美しく潔い行為といえるかもしれませんが、まさにある種のエゴの表れでもあります。拭いきれない罪を、ぼんやりとごまかす行為とさえ言えるかもしれません。

人間は生死に関わっている以上エゴイズムを切り捨てることは難しいのだ、と夏目漱石は考えたのではないでしょうか。

ただし、この解釈ももちろん一つの立場にすぎません。ぜひ実際の作品を読んで、あなた自身の解釈を見つけてみてください。

夏目漱石本人をよく知るためにおすすめの本

複雑な人間の心とその中に潜む罪を書き上げた夏目漱石。より深く登場人物のこころを読み解きたいのであれば、実際に本を読むのがいい方法です。

まずは原作の「こころ」を読んでみよう

夏目漱石が伝えたかったことをありのまま知りたいのであれば、原作を読み通すのがベターな選択と言えるでしょう。

こころは決して短い小説とは言えないので、活字嫌いな方にとっては読了が難しく感じるかもしれません。しかし、手ごろな価格で手に入るので自分のペースで考察を交えながらページをめくるのも粋な楽しみ方です。

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詳しくかつ簡潔に読める漫画版「こころ」

やはり活字ばかりを読み続けるのは難しいと考えている方には、漫画版がおすすめです。ここで紹介する「まんがで読破」シリーズは、原作を忠実に追いかけて描かれているので要点をしっかり理解することができます。

昔の風景や人々の描写がわかりにくくイメージが湧かない方も、漫画を通せば夏目漱石が描きたかった世界感を知ることができるでしょう。

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夏目漱石の心の在り方を追うための1冊

「こころ」を読んで夏目漱石自身に関心を持ったのであれば、夏目漱石の足跡を追ってみるのも文学の楽しみ方のひとつです。夏目漱石はその偉大さから、後世の研究者が後を絶たず、文学研究の専門書から入門書まで数々の本が執筆されています。

中でも夏目漱石を愛してやまない著者が出したこの本は、まるで夏目漱石図鑑。イラスト付きでわかりやすく夏目漱石の軌跡を辿ってくれます。

代表作品についてもまとめられているので、こころ以外の気になる作品を見つけてみることをおすすめします。

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人間の心は愚かだけれどとても尊いもの

人間の心は決して強くありません。順風満帆に見える生活には苦悩が潜み、自由に見える生活にも足かせがついています。

人間の心はエゴイズムにまみれているからこそ、恋愛や友情などの特別な感情を生み出せるのです。夏目漱石の「こころ」は、十人十色の「人間の心」を見つめるきっかけになることでしょう。

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