「SFの父」といわれたウェルズ。彼が遺したSFの不朽の名作を紹介

2019.08.23

ハーバート・ジョージ・ウェルズ(1866年~1946年)は、イギリスの小説家です。ヴェルヌと共に「SFの父」といわれた彼は、歴史家、社会活動家としても多くの業績を遺しました。ここではウェルズの代表作や人物についてご紹介します。

ウェルズについて

商人の家に生まれたウェルズは、奨学金で科学師範学校に入学します。ここで得た科学的知見は、後の彼の作風に大きな影響を与えました。

作家として

ウェルズは教員になることを目指していましたが、教育界の体質が肌に合わず、また持病により諦めることとなり、作家としての活動を始めます。

ジャーナリストとして、「タイム・マシン」「モロー博士の島」「透明人間」など、現在でも色褪せることない作品を生み出しました。これらの作品は、空想の物語でありながらも科学的な知識に基づいており、当時としては斬新なタイプの小説でした。ウェルズが始めたこうしたジャンルは、後に「サイエンス・フィクション(SF)」と呼ばれるようになりました。

ちなみに、当時はSFという用語はなかったらしく、ウェルズは自身の作品のジャンルのことを「科学ロマンス」と呼称していたそうです。彼が「SFの父」と呼ばれるゆえんです。

ウェルズの代表作

100年以上も前に書かれた作品ですが、現在でも面白く色褪せないウェルズの作品。数ある作品から彼の代表作をご紹介します。

「タイム・マシン」1895年

SF小説の出発点となっているような作品です。時間旅行をするタイムマシンに乗ってタイムトラベルする科学者。この主人公である科学者が誰かは分かりませんが、有名な科学者だということが登場人物たちの会話の内容から伝わってきます。科学者は自ら実験台になり未来への旅行に出掛けます。

「タイム・マシン」は社会主義思想がベースとなり、ウェルズの政治観を訴えた小説です。2回映画化されて、どちらの作品にも主人公の科学者には名前が付けられています。

「モロー博士の島」1896年

海で遭難したアンドリューは、動物が沢山乗っている船に救出されます。その動物たちと一緒にある島へ上陸した彼は恐ろしい実験を見てしまいます。モロー博士は、遺伝子を操作し動物を人間に変える実験を行っていたのです。

島を脱出しようとしたアンドリューですが、その計画がモローに知られてしまいます。果たして彼の運命は…というあらすじになります。

ウェルズは科学師範学校時代、生物学を専攻し、ダーウィンの進化論などを学んでいたそう。そんなウェルズらしさが現れたSF作品になります。

「透明人間」1897年

ロンドンで暮らすとある科学者の野望は、透明人間になることでした。彼はある薬品を開発し、彼はその薬を使って透明人間になることを成功させます。彼は透明人間になったことを利用して暴走してしまいます。そして、透明人間になったまま元の姿に戻れなくなった悲劇が待ち受けていました。

「透明人間」という、いまではSFの定番となった構想は、ウェルズによって一般的になったといわれています。

「宇宙戦争」1898年

頭の大きなタコのような火星人と地球人との戦いを描いた作品です。現在では一般的となった宇宙人の「タコ型の形状」というデザインは、この作品がもととなっています。

ちなみに、この作品がアメリカでラジオドラマとして放送されたときに、あまりの迫真に多くの聴衆が「本当に火星人が攻めてきた」と勘違いし、パニックを起こしたそうです。現実には起こりえないことが実際に起こったように書かれているウェルズ作品の怖さ。この作品が100年以上も前に書かれていることに驚かされます。

ウェルズの映画作品

ウェルズの原作が映画化された作品はかなりありますが、その中からご紹介します。

「インビジブル」2000年

ウェルズの「透明人間」が下敷きになって制作されたアメリカの映画です。ケビン・ベーコンが扮する天才科学者セバスチャンは極秘の国家プロジェクトで生物が透明化して後に復元することを研究していました。研究チームと一緒に動物実験してすでに成功していましたが、透明化させる状態が長引くと凶暴になることで、復元は難しいものでした。

セバスチャンは自分の身体を使って人体実験し、名声を手に入れようと暴走してしまいます。そして、国に報告しようとする研究チームのメンバーを殺害していきます。

「宇宙戦争」2005年

ウェルズの「宇宙戦争」を原作としたアメリカ映画です。スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で壮大なSF映画となっています。スピルバーグといえば、「未知との遭遇」や「E.T.」などを手掛けたことで有名な監督です。この作品は、2001年9月11日に起きた同時多発テロで多くのアメリカ人が受けた衝撃を反映し、敢えて描いた作品でもあります。

19世紀に書かれた驚くべき斬新な小説

時間を移動できる機会を発明するという発想を最初に思いついた人がウェルズでした。ウェルズの「タイム・マシン」は、未来は発展しすぎていて、むしろ衰えているという結末に驚かされます。「ドクターモローの島」では、動物から人間を作り、人間だと思っていた若い女性が実は動物だったことに驚かされます。これらは全て未来への警鐘だったのではないでしょうか。100年以上も前からウェルズには未来が見えていたのかも知れません。

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