シューベルトの代表作をご紹介。歌曲王と呼ばれた華麗な音楽とは

2019.08.21

フランツ・シューベルト(1797年~1828年)はオーストリアの作曲家。歌曲とピアノ曲の功績が大きい作曲家です。ベートーヴェンを尊敬し、一世代あとに生まれながら後を追うように亡くなったシューベルト。歌曲王ならではの代表作をご紹介します。

歌曲の代表作

歌曲の王といわれたシューベルトは31歳の短い生涯で600曲以上の歌曲を作曲しました。その中から代表作をご紹介します。

魔王 ト短調 D.328

最も有名な歌曲です。ゲーテの詩にインスプレーションを得て18歳の時に書かれました。原曲はト短調ですが、日本の音楽の教材のはホ短調です。歌手がひとりで「語り」「父親」「息子」「魔王」の4役を担います。

魔王が迫ってくるような緊張感のあるピアノ伴奏。オクターブの連打で速く弾くため、かなり難しいです。フランツ・リストがピアノ独奏に編曲した作品は超絶技巧を要します。

アヴェ・マリア 変ロ長調 D.839

最晩年に書かれた歌曲で最も人気の高い作品の一つです。「アヴェ・マリア」で知られている有名な歌曲ですが、歌曲集「湖上の美人」の中の「エレンの歌 第3番」というのが本当のタイトルです。

「アヴェ・マリア」から始まるので聖母マリアを讃える宗教音楽と思われていますが実は誤解なのです。

セレナーデ ニ短調 D.957

遺作歌曲集「白鳥の歌」の第4曲。シューベルトの歌曲の中で広く親しまれている作品です。恋人に対する切ない想いが歌われます。

ピアノ曲の代表作

シューベルトはピアノ曲も多く書きました。技巧的な作品からピアノで語らうような暖かい曲調の作品をご紹介します。

さすらい人幻想曲 D.760 (Op.15)

全4楽章から成りますが、切れ目なく演奏されます。シューベルトのピアノ作品の中で最も高度な演奏技術を要する作品で、シューベルト自身はうまく弾けずに「こんな曲は悪魔にでも弾かせてしまえ」と言ったという有名なエピソードがあります。

幻想曲と付いていますが、4楽章から成る自由なソナタ風作品は、後にリストがピアノ・ソナタ ロ短調を作曲する上で大きな影響を与えた作品です。

即興曲(アンプロンプチュ)

シューベルトのピアノ作品で最も評価が高い「即興曲」は、ピアノ作品の傑作といわれています。作品90と142があり、全8曲は全てフラット系の調です。

D.899(Op.90)

円熟期の作品でシューベルトの代表的なピアノ曲です。第1曲:ハ短調から始まりハ長調で終わります。第2曲:変ホ長調 流れるような優雅さと激しいロ短調のコントラストが素晴しいです。

第3曲:変ト長調 シューベルトらしい優雅な歌に溢れています。第4曲:変イ短調 よく知られている曲です。メランコリックな分散和音が美しい作品。

D.935(Op.142)

4曲から成りますが、シューマンは全曲弾くとヘ短調のソナタを思わせるといった作品です。第1曲:ヘ短調 即興的な性格を存分に発揮した曲です。第2曲:変イ長調 穏やかな曲調でトリオを挟んだ3部形式。

第3曲:変ロ長調 主題と5つの変奏から成る有名な曲です。第4曲:へ短調 小気味良い軽快なリズムで始まりますが、中間部は対照的です。

ピアノ・ソナタ

全21曲から成るピアノソナタ。ベートーヴェンに憧れ、初期の作品ではベートーヴェンのように書けないことに苛立ちましたが、後期の作品にはシューベルトらしい歌に溢れた作品が多く、シューマンやブラームスに影響を与えました。

第13番 イ長調

シューベルト独特のチャーミングな旋律で、つい口ずさみたくなるような幸せに満ちた作品。最も親しまれている曲の一つです。

第21番 変ロ長調 D.960

シューベルト最晩年の最後のピアノソナタです。人生を振り返って瞑想するかのように低音のトリルが印象的です。

室内楽の代表作

歌曲の王シューベルトらしい旋律が美しい曲をご紹介いたします。

ピアノ五重奏曲「鱒」イ長調 D.667

22歳の時の若々しい希望に満ち溢れた時期の作品です。歌曲「鱒」の旋律による変奏曲で、水の中を活き活きと泳ぐ鱒が楽しく演奏されます。

アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821

ピアノとチェロのためのソナタで、広く親しまれている曲です。この作品を書いていたときシューベルトは梅毒に冒され死の恐怖と向き合っていました。哀愁が漂う美しい旋律を持った作品です。

31歳という短い生涯で書いた作品の数々

ロマン派初期を代表するシューベルトは31歳という短い生涯に交響曲、管弦楽、室内楽、ピアノ曲、歌曲など様々なジャンルの作品を残しました。尊敬していたベートーヴェンの後を追うように亡くなり、ウィーンの中央墓地にベートーヴェンの墓の隣に埋葬されました。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME