焼酎のアルコール度数はどのくらい?度数の高い「初垂れ」の魅力も解説

2019.08.17

焼酎はアルコール度数20度や25度が多いことに疑問を感じたことはありませんか?これには一般に語られない深い事情があります。度数と蒸留、原酒と初垂れといった焼酎作りの理解を深めましょう。加えて、隠れた名酒を蔵元の魅力とともに紹介します。

焼酎のアルコール度数は?

焼酎は日本酒よりアルコール度数が高いですが、20度や25度という決まりきった数字の裏に、何か隠れた意味があるように感じないでしょうか。

焼酎は20度から25度が主流

現在販売されている焼酎はアルコール度数25度のものが一般的で、最近は20度のものも増えてきています。度数の区切りの良さは何に起因するものなのでしょうか?これを考えるには『酒税法』を少々理解する必要があります。

現行の酒税法では、20度までは税率が据え置きで、21度以上になると1度ごとに税率が上昇します。つまり、満足度の高い濃さで酒税が高くならないギリギリの度数が20度なのです。

一方で、1940年に制定された『旧酒税法』では25度が基準でした。さらに、明治期から続く伝統製法では約25度の焼酎が作られるのです。これを再現したのが国分酒造の『維新ノ一滴』となります。

つまり、約25度が製法・習慣的に根付いていた焼酎業界が旧酒税法により25度に統一され、後年、新基準に合わせた20度も作られたという形です。

度数が高いのは蒸留が理由

焼酎は『蒸留酒』です。高いアルコール度数を実現するには『蒸留機』が必要になります。本格焼酎で採用される単式蒸留機で精製する場合は1回で最高70度ほど、明治中期にイギリスから輸入された連続式蒸留機では1サイクルで最高96度ほどの『原酒』が得られます。

この原酒を酒税法や慣習に合わせた度数になるまで割水(加水)し、貯蔵・熟成したものが一般的な焼酎となります。

焼酎は伝統的にお湯割りで飲むことが一般的で、本来は出荷前に加水する必要はありません。ただ、『一升瓶』で売るには、税率も加味して割水した方が一本あたり低コストという事情もあったのです。

焼酎のアルコール度数に関する豆知識

焼酎のアルコール度数には他の観点からも秘密があります。500年にも及ぶ歴史の中で、ここ100年ほどの間に起こったさまざまな変化が度数に関係しているのです。

焼酎のアルコール度数は最高何度?

ペットボトルなどで販売される安価な大量生産焼酎は、連続式蒸留機で精製される『連続式蒸留焼酎』(旧・焼酎甲類)で、販売時は36度未満と規定されています。商品として35度が表示上の最大値です。

一方で、単式蒸留機で精製される『単式蒸留焼酎』(旧・焼酎乙類)は45度以下と規定されています。芋焼酎・麦焼酎・米焼酎などと原料で種別される焼酎はすべて単式蒸留焼酎です。

主に二つの度数で作られるのはなぜ?

上述の通り、ほとんどの焼酎銘柄は25度か20度です。実はこの設定の裏には他にも事情があります。

焼酎は古くから南九州を中心に庶民の酒として親しまれてきましたが、戦後の混乱期には粗悪な密造酒が出回りました。

当時、宮崎市内や都市近郊で大規模な密造集落が形成され、1947年には密造酒生産量が50万klを超え、正規業者の販売量約34万klを大幅に上回ったほどです。

宮崎県産の焼酎に20度のものが多いのは、政府が正規業者に低税率の酒造を認めて密造酒対策を図った結果でもあります。

こういった経緯もあり、現在も密造酒対策で20度未満の個人酒造は禁止されているのです。

一般的な焼酎よりも度数の高い原酒

焼酎のほとんどは原酒に割水したものが販売されます。では原酒とはどういった特徴を持つのでしょうか?

原酒は蒸留後に何も足していない

焼酎は蒸留酒ですが、ほとんどの銘柄は原酒に割水して度数を低め、貯蔵・熟成し、さらにものによっては他の酒などをブレンドすることもあります。

原酒は麦焼酎・米焼酎では43度ほど、芋焼酎では37度ほどが一般的です。これに加えられる割水が含むミネラル分などで口当たりや風味が変わるため、蔵元は良質な地下水や湧き水が得られる場所に構えられます。

また、蒸留方法は濃厚な芳香が得られる『常圧蒸留』が一般的です。一方『減圧蒸留』では低気圧化の低い沸点で蒸留を行うことにより、もろみの香味成分が移行しにくくなり、スッキリした優しい風味が得られます。

減圧蒸留の例は芋焼酎『魔王』・麦焼酎『二階堂』・米焼酎『白岳しろ』などで、いずれも飲みやすさが特徴です。

35度以上の高さもある

蒸留後の原酒は一度に全てではなく段階的に抽出されますが、これを3段階に分け『初垂れ』(はつたれ・はなたれ)、『本垂れ』(ほんだれ)あるいは中垂れ、『末垂れ』(すえだれ)と呼ぶのです。

一般的な本格焼酎は本垂れを用いますが、初垂れは度数44〜60度にもなり、このまま出荷されるものは45度を超えればスピリッツに分類されます。末垂れは10度程度で香味の薄い最終段階です。

初垂れは香気成分が豊富に含まれることも特徴で、割水して45度以下に調整したものは『初留取り』(しょりゅうどり)と呼ばれます。

これは焼酎の醍醐味を存分に味わえるものの量が少なく、普通は蔵元でしか味わえない贅沢品です。

原酒はストレートやロックがおすすめ

原酒は焼酎本来の香味や味を感じやすいため、ストレートやロックで飲むのをおすすめします。なお、原酒は雑味を取り除くために濾過処理されたものが一般的です。

特に米麹を用いた焼酎では原酒に含まれる油成分を除去するのが普通ですが、『無濾過』のものは濾過を全く行わない、あるいは水面に浮き上がる油を手ですくい取る程度で出荷されます。

無濾過を味わうなら『前割り』を試しましょう。これはあらかじめ好みの割合で割水を行い、数日間寝かせてから、飲む直前に温める方法です。

前割りで飲む焼酎は、お湯割りよりまろやかな味わいになります。お湯割りは水が馴染まないうちに飲みますが、寝かせる間に分子レベルでの変化が起こり、水分子がアルコール分子を包み込むのです。

アルコール度数の高い焼酎

アルコール度数が44度ということは、初垂れを度数上限ギリギリのところまでの加水に留めているということです。焼酎の奥深さを味わうには初留取りを飲むのが一番でしょう。

黒木本店 爆弾ハナタレ

百年の孤独で有名な黒木本店の『爆弾ハナタレ』は、その衝撃的なネーミングとは裏腹に、フルーティで華やかな風味の初留取り芋焼酎です。

黒木本店の原料は焼酎粕を肥料とする循環型の自家栽培で作られています。尾鈴山水脈から注ぐ地下水を用い、自家培養の純粋酵母を木桶仕込みで発酵させるなど、豊かな自然と伝統製法を融和させているのです。

爆弾ハナタレは、凝縮された芋の味わいととろみを持ち、水割りにしてフローラルな香りに、お湯割りでさらに甘ったるいバナナの風味が感じられます。

  • 商品名 : 爆弾ハナタレ 本格 芋焼酎 360ml  新ラベル
  • 価格 : 3780円(税込)
  • Amazon : 商品ページ

西酒造 万暦

創業170年を数える西酒造の『万暦』(ばんれき)は、冷凍庫でキンキンに冷やして美味い、初留取りの『冷凍焼酎』です。

西酒造は徹底して芋作りにこだわり、全社員で農業を行なっています。春夏は40種以上の芋を世話し、秋冬にそれらを原料として酒造を行うのです。

モンドセレクション最高金賞を受賞した『薩摩宝山』が代表銘柄で、芋・麹・仕込みを変え、薩摩宝山と薩摩の2銘柄だけで16種にも及ぶ多彩な商品展開を行なっています。

研究精神溢れる芋のプロたちが提案する『冷凍焼酎 万暦』を、パーシャルショットで堪能してみてはいかがでしょうか。

  • 商品名 : 西酒造 初留取り万暦44.5~44.9度360ml
  • 価格 : 3000円(税込)
  • Amazon : 商品名

白石酒造 珍多羅

創業120年を数える白石酒造の『珍多羅』は、果実のような甘みが特徴的な『無濾過』の初留取り芋焼酎です。

白石酒造の芋は無農薬・無肥料で作られており、通常の半分ほどの量しか採取できない代わりに非常に甘く、採算性より可能性を追求しています。

また、石蔵造りの麹室で三石和甕を用いたかめ仕込みを行ない、小型の蒸留機を用いて原酒にこだわるなど、少量生産にならざるを得ない製法をあえて選んで他の蔵元にはない芳醇な香味を実現しているのです。

白石酒造の焼酎は酒造関係者たちを唸らせる味で、しかも進化を止めません。珍多羅の次に『天狗櫻』や『花蝶木虫』も味わってみることをおすすめします。

  • 商品名 : 初留取り無濾過原酒 珍多羅44.1~44.9度300ml 【白石酒造】
  • 価格 : 2325円(税込)
  • 楽天 : 商品ページ

焼酎の一般的なアルコール度数は20度か25度

焼酎はほとんどの種類で20度か25度に割水されたものが販売されています。プレミアム焼酎と呼ばれる焼酎も含め、一般に紹介される多くの銘柄はおおよそこれに該当します。

原酒の濾過を行い熟成させることで、雑味のないまろやかな味に仕上がりますが、初垂れでなければ味わえない焼酎本来の芳香があります。名酒を求めるなら初留取りを味わってみてはいかがでしょうか。

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