バイクの「キャブレター」ってどんな機械?エンジンの不調に気を付けよう

2019.08.16

バイクのキャブレターはとても繊細なパーツのためメンテナンスが必要不可欠です。どのように駆動しているのか、メンテナンスはどのように行うのかを知れば大切なバイクのエンジンを守れるでしょう。不調を見つけるきっかけも参考にしてみてください。

キャブレターの基礎知識を知ろう

まずは、キャブレター(インジェクション)と呼ばれるものが、どのような役割を持っているのかなど、基礎知識からチェックしましょう。

燃料と空気の混合量を調整する装置

キャブレターとは、エンジンに接続されている『燃料と空気を混ぜてエンジン内部に送り込む』役割の装置です。燃料と空気をそれぞれ最適な量で混ぜ合わせる役割も、一緒に担っています。

また、名称によってシステムに違いがあり、燃料と空気を最適な量に混ぜ合わせてエンジン内部に送り込む作業をアナログで行うものがキャブレター、デジタルで行うものがインジェクションと呼ばれています。

簡単な仕組みと構造を解説

キャブレターは綺麗で新しい空気を吸うエアクリーナーとエンジン本体の間に取り付けられ、アクセルともワイヤーで固定されています。

仕組みは、エアクリーナーから吸気された空気が、キャブレター内を通り燃料と混ざりエンジン内部へ供給される、シンプルなものです。吸い込まれる空気によって作動するため、キャブレター自体に動力はありません。

キャブレターに繋がれたアクセルのワイヤーによって吸い込まれる空気の量や燃料も変わるため速度が変化します。

インジェクションとの違い

では、インジェクションとの仕組みの違いはどのようなものでしょうか。

キャブレターでは、機械的に空気の流れや負圧の作用によって燃料を吸い上げます。一方、インジェクションは各所に取り付けられたセンサーからコンピューターが情報を解析し、1番最適な燃料を噴射して速度を調節しているのです。

キャブレターは、部品単位で交換が可能なほかセッティングが変えられるため、自分好みのバイクに仕上がるメリットがあります。インジェクションは、天候に関係なく安定し、燃費が良いメリットがあるので『それぞれの特徴や好み』で選んでも問題ありません。

キャブレターのセッティング

趣味性の高いバイクだからこそ、細かく自分好みにセッティングができるキャブレターは人気があります。次は、多くのバイカーが楽しみの1つとしているキャブレターのセッティング方法をチェックしてみましょう。

外気温によって調整が必要

キャブレターはとても繊細な部分のため、マフラーや排気量、エアクリーナーの有無によってセッティングが変わります。また、天候・気温・気圧・湿度によっても影響される部分なのです。

例えば、夏場は気温が高く湿気が多いので酸素の密度が低下し『混合気(酸素と燃料を混ぜ合わせたもの)は濃くなる』傾向があります。冬場は酸素の密度が上昇するため『混合気が薄く』なり、雨の日は湿度が上昇して『混合気が濃くなる』のです。

これらの状況から、その日の状態に合わせてキャブレターを調節します。忙しいときでも、チューニング車の場合は少なくともジェットの番手を変更する必要がでてくるので覚えておきましょう。

主な調整方法

キャブレターの調整の中で、代表的な例を3つ紹介します。

1つ目が、エンジンが冷えているときに使う『チョークレバー』です。エンジンを始動させる前にレバーを上側に引くことで、空気の通路を一時的に遮断して混合気を濃くできます。しばらくアイドリングをし、エンジンが温まったらチョークを戻してあげましょう。

2つ目は、左右に回転させてアイドリングの回転数を設定する『スロットルストップスクリュー』です。時計回りに締めればアイドリング回転数が上昇し、半時計回りに締めればアイドリング回転数が下降します。

エンジンが温まった状態で徐々に緩め、エンジンが停止しない位置に調節しましょう。

3つ目に、スロージェットに繋がっている『低回転域の混合気調整用スクリュー』の調整です。暖機運転後、エアスクリューを時計回りにまわして全開の状態にします。少しずつ緩めてアイドリングの回転数が高くなる位置で停止させ、スロットルを軽くあおってから、吹き上がりの良い位置に微調整しましょう。

他にも、マシンに合わせて微調整が必要な場所がでてきます。ピッタリのセッティングは、自分が乗っているバイクの装備によっても影響されるので、参考程度に覚えて自分なりの調節をしてみましょう。

キャブレターヒーターを用いる

冬に限らず、気温が低く湿度が高い日はアイドリングが安定しない、回転が安定しない、エンストしてしまうという状態がおきてしまいます。そんなときに用意したいのがキャブレターヒーターです。

キャブレターヒーターで冷えたキャブレターを温めることで、湿度の高い空気でも安定した性能を引き出せます。

キャブレターの同調とは?

次は、キャブレターの同調についてチェックしてみましょう。

『キャブレターの同調』とは、スロットルバルブの開度を全て調整する作業のことです。キャブレターには気筒の数だけスロットルバルブが用意されているため、全て調節してあげる必要があります。

どのような場合に同調を行うか

開度を一定に調節しなければ、気筒ごとの空燃比率が変化してしまうため、アイドリングの不調など、エンジンに不具合がおきてしまいます。

  • 低回転時にエンジンから異音が聞こえる
  • アイドリングが不安定
  • 高速域から低速域に落としたときに違和感がある

低回転時に多く見られる上記の症状があれば、キャブレターの同調がおすすめされています。

同調を行うとどのような効果があるか

同調を行うと、燃料の流量が安定するためアイドリングが安定します。また、低回転時のトルク感が正常になる効果も期待できるのです。他にも、アクセルの反応が良くなる、発進時のトルクが上がる、音や吹け上がりが良くなるなどもあります。

エンジン始動時に不調を感じたときや、チェックしてもキャブレターの不調がないときに、気になる症状があれば同調で改善できるか試してみましょう。

同調の方法を知ろう

キャブレターの同調には下記の方法があります。

  • バキュームゲージ(負圧計)を使う・・・4気筒分の負圧計がついたキットを負圧ホースにつなげ、気筒ごとの負圧を測定して調整する。
  • 目視で行う・・・キャブレターを取り外し、バルブを閉じた状態で隙間がないように調節する。ライトを使ってキャブレターの後方から照らし、光の漏れがなければ完了。
  • 金属棒を使う・・・金属棒を気筒の数だけ用意し、バルブに挟み少しずつ開閉していく。挟んだ金属棒が全て同時に落ちれば調節完了。

バキュームゲージが最も安心できる方法ですが、やや機材が高めです。心配なときにはバイクショップで点検・調節をしてもらいましょう。

定期的にオーバーホールをしよう

キャブレターを正常に保つためにも空気と燃料の通り道が綺麗であることが重要です。そのためにも、定期的にオーバーホールすることをおすすめします。

エンジンの不調時は分解洗浄

エンジンの不調を感じたときには、通り道に汚れがたまり詰まっている可能性があります。詰まってエンジンが不調になる前に、分解して洗浄しましょう。

キャブレターを取り外して、分解し洗浄してメンテナンスを行いますが、部品が多く手順も複雑です。分解中に部品をなくしてしまうこともあるため、注意して行うようにしましょう。

工具や工程が多いため、不安な時は専門店へ

キャブレターの分解・洗浄には特殊な工具が必要となるケースもあります。工程もとても多く、作業にも時間が掛かってしまうため初心者には難しいものです。どうしても自分でしたい人は、専用の用品を用意してゆっくり慎重に行いましょう。

不安なときには専門店やバイクショップに頼むとキャブレターのオーバーホールを実施してもらえます。費用はかかりますが、プロの手でメンテナンスを行ってもらえるので安心です。以下は、オーバーホールもできるバイク専門店のリンクなので、参考にしてみてください。

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燃料のオーバーフローに注意

キャブレターの不調はエンジンの寿命に大きく影響すると言われています。気づかないうちにエンジンにダメージが蓄積してしまうこともあるため、オーバーフローは特に注意しておきたい点です。

オーバーフローとは

燃料のオーバーフローとは、フロートやフロートバルブで自動調整しているフロートチャンバーの設定油面を超えた燃料があふれ出している状態です。大量にあふれ出しているものであれば、すぐに気づいて対策できますが、徐々に漏れ出しているケースもあります。

部品の経年劣化で引き起こされることもあり、乗らなくなる冬の時期などの保管中でも起きてしまう可能性があります。大切なバイクの寿命を縮めてしまう前に、定期的な点検を怠らないようにしましょう。

細部まで隅々調べよう

漏れ出した燃料は、ウォーターハンマー現象を引き起こして強い衝撃を与えます。場合によってはコンロッドを破壊してしまうこともあるため、フロートチャンバーガスケットやフロートバルブ、燃料コックまで隅々調べて対処しましょう。

オーバーフローを防ぐためにも分解清掃・油面調整が必要ですが、何度行っても止まらないケースもあります。ゴム系のパーツを全て新品にするほか、燃料の通路が正しい状態か、数ミリ単位の隙間はないかまでチェックが必要です。

初心者には難しい作業なので、原因を特定するためにも不安な場合はバイクショップや専門店に確認してみましょう。

キャブレターのメンテナンスは欠かさず行おう

キャブレターのメンテナンスはインジェクションタイプでも欠かさずに行うのが、大切なバイクを守るための方法です。

キャブレターの調整はバイカーの楽しみの一つではありますが、自分でメンテナンスできないときには、プロの手でしっかりとチェックしてもらいましょう。

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