建築物すら芸術。和とモダンが調和した南青山「根津美術館」の建築

2019.08.14

国宝の燕子花図屏風をはじめとする有名作品を収蔵している美術館「根津美術館」。東京・南青山にある根津美術館は、建築物としても芸術的なオーラをひときわ放っています。この記事では根津美術館の建築の特徴や構造について触れていきます。

根津美術館を建築したのは誰?

現在の根津美術館は昔からあった根津美術館とは違います。現在の根津美術館はいつ誰が建てたものなのでしょうか。

根津美術館の本館は隈研吾氏が設計

根津美術館の本館は、古くからあった建物を取り壊して2009年に再建築されました。そのときに設計をしたのは隈研吾氏という有名な一級建築士です。彼は令和元年に紫綬褒章を受けています。

根津美術館は、本館が新設されてからBCS賞や毎日芸術賞などを受賞しています。それほどまでに芸術性の高い建築物となったと言えるでしょう。

根津美術館の建築はどういう構造なのか

根津美術館はエリアごとに分けることができます。美術館エリアや庭園エリアなどについて見ていきましょう。

本館

日本を代表する建築家のひとり、隈研吾(くま けんご)氏が設計し清水建設が建てた本館は、1階と2階に分かれています。1階にあるのはホールと展示エリアのうちの半分、そして売店であるミュージアムショップです。

残りの半分の展示エリアは2階にあります。1階のホールの南側の壁は全てガラス張りとなっており、庭園が一望できる仕様です。

ホールにも展示物が飾られているので、入った瞬間から美術鑑賞が始まるというユニークな作りになっています。区切りがなく、すべてが溶けあっている根津美術館ならではの展示方法ではないでしょうか。

新館(事務棟)

1990年に作られた新館は、当時企画展示室として使われていましたが現在は事務室と収蔵室になっています。したがって一般の方は基本的に立ち入ることができないエリアです。

庭園

カキツバタが咲くことで有名なのがこの根津美術館の庭園です。毎年4月から5月にかけて庭園中にカキツバタが咲き誇ります。

それに合わせて国宝である燕子花図屏風の展示も行われますので、その時期はより一層来館客でにぎわいます。

庭園からは本館のホールが見えます。お互いにガラス窓を通じて広がりを見せる空間は、外と中の境目がないように見え、すべての調和が取れている印象を受けます。

根津美術館という建築物に施された技術

根津美術館はただぱっと見が美しいだけではありません。美術品を展示し、その品質を維持していく役目を担っているわけですから、機能美も備わっています。

美術品を守る工夫がされている

根津美術館で展示されている作品の多くは、和紙や絹などのとても繊細な材料からできています。それらは日光によるダメージや蛍光灯による影響を受けやすく、扱いが難しいのです。

そこで根津美術館では展示ケースの中の照明をすべてLEDに変えています。そうすることで、電球の熱から作品を守ることができるのです。

また、LEDの数は8万個を超えているので、様々な光の加減を表現することができます。LEDだからといって人工的にならないように、細かいところまで気を遣っている美術館と言えるでしょう。

梁や傘立てを隠す工夫も

設計上の問題で表に見えてしまう梁については、竹垣の中にひっそりと隠す工夫がされています。こうすることで建築物であるという認識よりもアート作品であるという見方ができるようになるのです。

また、傘立てといった日常風景に溶け込んでしまうような雑多なものについても、根津美術館では隠すようにしています。根津美術館の中に足を踏み入れる前から、すでに美術鑑賞は始まっていると言っても過言ではありません。

根津美術館は建築物すら芸術品

根津美術館は都会にある美術館でありながらも、現代アートではなく古典を追い求めている美術館です。その心意気は展示作品だけではなく、その扱いや建物そのものにまで表れています。

根津美術館は、美術と建築が見事に融合しあい、外観や内観もすべて含めてひとつの作品として完成しているのです。美術に今まで関心がなかった方でも、きっとこの不思議な空間の美しさに引き込まれることでしょう。

  • 施設名:根津美術館
  • 所在地:〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1
  • アクセス:表参道駅から徒歩7分程度
  • TEL:03-3400-2536
  • FAX:03-3400-2436
  • 開館時間:10:00~17:00(最終入館時間16:30)
  • 閉館日:毎週月曜日(祝日の場合は火曜日)、展示物の入れ替え期間、年末年始
  • 特別展入館料:大人1,300円/学生(高校生以上)1,000円
  • 企画展入館料:大人1,100円/学生(高校生以上)800円
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