日本の伝統的な紙である和紙は、独特な質感と素朴な表情が魅力的な素材です。色鮮やかで美しいデザインが私たちの心をひきつけます。見ているだけでワクワクしてきつつ、どこか懐かしく心なごむ和紙の魅力を、和紙や和紙折り紙の特徴とあわせて紹介します。
和紙と和紙折り紙の特徴
和紙は、昔から日本人にとって馴染み深い文化と言えます。最初に、和紙と和紙折り紙にはどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
和紙とは
そもそも和紙とは、大陸から伝わった製紙法によってできた紙のことで、1000年以上もの伝統をもつ日本独自の紙です。
大陸では全く別の材料を使って紙が作られていましたが、日本では楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの原材料を使って製紙されていました。
今では機械でも和紙を作ることができるようになりましたが、かつては手漉きで作られており、ランダムな繊維の絡まりが破れにくい強固な紙として重宝されてきたのです。
和紙の特徴
現在では西洋から伝わった製法のコピー用紙などの洋紙が一般的ですが、和紙は原料の特徴をいかした流し漉き製法が特徴です。洋紙よりも強くて柔らかい独特の風合いが面白く、保存性も高いので昔の文書が残っているのです。
和紙と似たような繊維感の素材に不織布があります。湿式の不織布は短い繊維を水で漉くので、和紙を作る製法とよく似ています。
原料によっては不織布と和紙のどちらに分類するのか難しいのですが、繊維を織らずに絡ませて固めるのが不織布で、流し漉きという技法で繊維同士が複雑に絡むのが和紙という違いがあります。
和紙折り紙の特徴
和紙で作られた折り紙は、洋紙の折り紙よりも強く、ぱりっとしたハリがあります。細かな個所や開く折り目で今まで破れてしまっていた折り方も、和紙ならきれいに仕上がります。
また、印刷した紙ではないので同じ色のものでもひとつひとつに違いがあり、個性的なバリエーションが楽しめるのも和紙ならではです。
和紙折り紙での小物の折り方・作り方
和紙の折り紙で折ることで、華やかながら和の雰囲気を醸し出す、おしゃれな小物を作れます。ここからは、和紙折り紙の小物の作り方を3種類紹介していきます。
最初は和紙の折り紙の扱いに手間取るかもしれませんが、慣れれば簡単にできて、かつかわいいものばかりです。ぜひ挑戦してみてください。
和柄の扇子
夏に向けてであれば、おしゃれな小物として飾れる『扇子』を折り紙で作れます。材料は、15cmタイプの折り紙とひものたった二つだけです。
- 折り紙の白い面を上にして置き、縦の長さの3分の1の位置で折る
- 半分に折って開き、折りすじをつける
- 左右の端を折りすじに合わせるよう、真ん中に向かって折る
- もう2回同じように、左右の端を真ん中に向かって折って折り紙を広げる
- 山折りと谷折りが交互になるよう、蛇腹状に折りすじを整える
- 蛇腹状のまま束ねて、底辺から1cmほど上の辺りを糸で結ぶ
- 蛇腹の折り紙を左右に広げたら、扇子の完成です
最初の折の長さで、柄やサイズが変わります。たくさんアレンジを加えて、いくつかまとめて飾ってもかわいいでしょう。
バラの花
立体的なバラは、和紙で作ると風合いが美しく、一つ飾ってあるだけで場が華やぎます。作り方の手順が多く難しいですが、慣れれば簡単にできるので、いくつも柄違いで作るのがおすすめです。
- 半分に折る
- さらに半分に折る
- 袋状の部分に指を入れて割り開く。裏側も同様に開いておく
- 中心に向かって折り、袋状の部分に指を入れて割り開く。反対側も同様に折っておく
- 両側とも折り下げ、上の▽部分を下に折って折り目をつけておく。裏返しにし裏側も2~4と同様に折る
- 折すじに合わせて開き、三角になるように横に引きだし折ってつぶす
- 裏返しにして、三角形の部分を立て、立てた部分を開いて十字にする
- 4か所に4本指を差し込み、3~4回ねじります。
- それぞれの花びらの先端部分を爪楊枝で巻いてカールをつけたらバラの完成です
着物の人形
やはり和柄と言えば着物人形は外せません。着物用だけでも大丈夫ですが、帯用と2種類の紙を用意すればよりおしゃれな仕上がりになります。
- 表を上にして左右を中心に向かって折る
- 裏返して広げて、1でつけた折山に向かって中心線まで折り、長辺を二等分に折る
- 折ったところを広げ、付けた折り線に沿って重なっていないところをハサミで切る
- 切ったところから下を中心まで折る
- 反対側の半分を中心に向かって四分の三辺りまで折る
- 襟を作るために折った部分を折り返し、四分の一を上に出しておく
- 袋状になっている折った部分の中心線寄りの部分を広げ、三角に折る
- 上に出ている襟部分の角を三角に折ったら完成です
和紙折り紙販売の名店
安価に変える和紙折り紙もありますが、やはり質感を求めるなら名店で購入したいものです。ここからは、和紙折り紙の販売店のなかで、よりすぐりの3店舗をピックアップして紹介します。
インターネット販売をしている店舗もありますので、気になるデザインのものがあれば、ぜひ実際に手に取ってみてください。
東京 田中和紙本店
田中和紙本店は、東京浅草橋に店を構える創業百余年の老舗和紙屋です。伝統的な全国の手漉き和紙はもちろん、和紙を使った工芸品まで幅広く取り扱っています。
小物を作るための手作りキットも通信販売をしているので、気軽に和紙小物づくりを楽しめるのもポイントです。
- 店名:田中和紙本店
- 住所:111-0053 東京都台東区浅草橋3-33-3
- TEL:03-3866-3130
- 営業時間:9:00〜17:30 日・祭休み
- 田中和紙:公式HP
京都 丸山染工
丸山染工は伝統的な図柄を用いた意匠企画から配色・捺染までのすべてを行っている工房です。見る人、使う人に優しい気持ちになってもらえるような京和紙を提供しているだけでなく、温故知新の精神で懐かしいながら斬新なデザインが魅力的です。
印刷では決して表現できない独自の製品は、土産品や工芸品をはじめ、針箱や表装飾りなどに利用されています。
- 店名:丸山染工
- 住所:629-0134 京都府南丹市八木町西田向島12-1
- TEL:080-3800-8558
- 営業時間:9:00~17:00 土日祝除く
- 丸山染工:公式HP
岐阜 古川紙工
美濃和紙を中心にした和紙雑貨品を提供しています。WEBオンラインショップでも購入できますし、店舗でも手にできます。さまざまな色・種類の美濃和紙折り紙だけでなく、レターセットや和本などのかわいい和小物も目に楽しいものばかりです。
文具商材も取り扱っていて、女性からは高評価を得ています。書店や雑貨店からの問い合わせも受け付けているようですし、個人でもぜひ利用してみてください。
- 店名:古川紙工
- 住所:501-3784 岐阜県美濃市御手洗23
- TEL:0575-37-2319
- 営業時間:10:00~17:00
- 古川紙工:公式HP
教室に通うのもアリ
和紙小物を作るため、独学で学ぶのには限界があると考える人もいるでしょう。現在では、多くの和紙小物作成教室が開講されています。教室に通って、先生に学びながら上達していくのもおすすめです。
レベルや目的に合わせた教室がたくさん
和紙小物は、自治体が公民館などで開いている講座や、個人がスタジオなどで開催しているワークショップ、サークルなどで学べます。
初心者向けのものから玄人向けのものもありますし、小物といっても、折り紙を楽しむ目的のものから実用的な小物作成まで実にさまざまな種類があります。自分の目的やレベルに合わせた教室を選ぶのがおすすめです。
和紙で折り紙をしてみよう
和紙折り紙の世界は非常に奥深く、柄によっても折る物によってもさまざまな表現を楽しめます。折り方の本を購入して基礎をマスターしたら、折り方にアレンジを加えて独自のアイテムを作るのも楽しいでしょう。
和紙で折り紙をして世界に一つだけの小物を作成してみてはいかがでしょうか。