地ビールってどんなビール?今さら聞けない分類や楽しみ方

2019.08.12

地ビールはクラフトビールとも呼ばれ、近年話題を集めているご当地ビールです。全国各地でさまざまな種類の地ビールが製造され、旅のお土産としても人気です。地ビールの概要や種類、おすすめの楽しみ方などを紹介します。

地ビールの基礎知識

地ビールとはどのようなビールなのか、地ビールの歴史も併せて解説します。

クラフトビールや地ビールとは

『地ビール』とは、小規模な醸造所で少量生産されている、地域密着型のビールです。

また、『クラフトビール』とは、各地域で地ビールが誕生したことにより日本のビール文化に生まれた地域性や価値観を、より追求して命名されたビールのことをいいます。

日本で地ビールが出回り始めた頃は、地方のお土産品の域を出ない銘柄も多い状態でした。

そのような中で、アメリカから波及したクラフトビールのブームにあやかり、地ビールの地域性や個性を『クラフト』という名前をつけることにより高めようとした動きが背景にあります。

つまり、『クラフトビール』と『地ビール』は、地域に根付いて造られるビールという点では、どちらも同じものだといえるでしょう。

また、国内大手5社のメーカー以外で造られたビールを、全て地ビールと呼ぶ考え方もあります。

地ビールの歴史

規制緩和による1994年の酒税法改正で、従来の規定より少ない生産量でもビールの製造免許を取得することが可能となり、地ビールが誕生するきっかけになりました。

日本で最初の地ビール会社として開業したのは、1995年に開業した新潟の『エチゴビール』とされ、この年が実質的な地ビール元年といわれています。

その後、観光資源としての注目度が高まり、2000年頃までの5年ほどの間に、日本国内の地ビール醸造所は全国各地に300近く数えられるほどまで増え、国内における地ビール生産が活発化していきます。

また、歴史ある日本酒や地酒の蔵元が地ビールを製造・販売するケースも、古くから現在まで続いています。

ビールの分類や種類

ビールの製造工程には、酵母菌などの微生物が糖質をアルコールと炭酸ガスに分解する『発酵』が必要とされます。

ビールにはさまざまな種類がありますが、発酵で使用する酵母の種類により、大きく上面発酵・自然発酵・下面発酵の3種類に区別できます。

現在飲まれているビールのほとんどは、『上面発酵』または『下面発酵』で造られたものです。

上面発酵ビール

『上面発酵ビール』は、発酵が進むと麦汁の上部に浮き上がる性質をもつ『上面発酵酵母』を使用し、15~25℃の常温に近い温度で発酵させ造られたビールです。

3~4日間の発酵期間を必要とし、その後の熟成期間は約2週間です。

下面発酵の技術が確立するまで、ビールはこの上面発酵で造られていました。現在でも、ペールエール・スタウト・アルト・ヴァイツェンといったビールが、上面発酵酵母を使って醸造されています。

自然発酵ビール

空気の中に存在する天然の酵母を利用して発酵させるのが『自然発酵ビール』です。

最も古典的な製法であり、ベルギーのブリュッセル近郊でつくられる『ランビック』が、この製法で造られるビールとして有名です。

日本でも、岩手県のブリュワリー『いわて蔵ビール』が定番アイテムとして造るビールが、干し柿由来の天然酵母を使用した自然発酵ビールとして知られています。

下面発酵ビール

『下面発酵ビール』は、発酵が進むにしたがってタンクの底の方に沈降していく『下面発酵酵母』をつかい、5~10℃の比較的低温で発酵させ造られたビールです。

7~10日間の発酵期間を必要とし、その後の熟成期間は約1カ月です。

日本で最も多く飲まれているラガーや、世界で最も親しまれているピルスナー、ヘレスなどのドイツ淡色ビール、アメリカンビールは、下面発酵酵母を使って醸造されています。

地ビールの製造工程

地ビールの製造工程は、原料を粉砕した後、『仕込み』『発酵』『ろ過』と進むのが基本的な流れです。発酵の後に『熟成』を行う場合もあります。

原料の仕込み

ビールの基本的な原材料は、モルト・ホップ・酵母・水の4種類です。この他に地ビールでは、さまざまな副原料を加えることで、銘柄ごとに特色のある味を出しています。

原料を選んだ後は、大麦を発芽させてモルト(麦芽)にする『製麦(せいばく)』、モルトを機械で細かく砕く『粉砕』の順に工程が進み、仕込み作業に入ります。

粉砕された原材料を糖に変化させ麦汁を作る『仕込み』の流れは以下の通りです。

  • 麦芽に温水を混ぜ、糖化液を作る
  • 糖化液をろ過し、麦汁を作る
  • 麦汁にホップを加えて煮沸し、ホップの成分を溶かす
  • 造るビールの適温になるまで、麦汁の水分を蒸発させる
  • 麦汁を移し、不要物を取り除き、透明な麦汁を作る
  • 麦汁を発酵開始に適切な温度まで冷却する

発酵とろ過

冷却された麦汁は発酵タンクに移され、酵母を添加します。発酵タンク自体も発酵熱による温度上昇を押さえるために冷却され、適切な温度に保たれます。

酵母の働きによって麦汁の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解され、若ビールとも呼ばれる発酵液ができますが、この段階では香り・味ともに未熟です。

そのため、酒発酵が終わると、発酵液は貯蔵タンクに移され『熟成』されます。熟成中にビールのまろやかな風味や香りが生まれ、熟成期間は造るビールの種類により異なります。

熟成に続いて行われる行程が『ろ過』です。ろ過機を使用して酵母や他の不純物などを取り除くことで、よりクリアなビールができあがります。また、ろ過を調節し、生きた酵母によるビールをつくることも可能です。

人気ランキング常連の主な銘柄

全国各地から数多く販売されている地ビールの中でも、広く知られている有名な銘柄を厳選して三つ紹介します。

ペールエール よなよなエール

『よなよなエール』は、長野県にある株式会社ヤッホーブルーイングで製造・商品化されている、アメリカンペールエールスタイルの地ビールです。

最高級アロマホップが醸し出す香りは柑橘系を思わせ、甘さを感じるコクと少し強めの苦みは、本場のエールビールの味を知る人々からも絶賛されています。

世界3大ビール品評会『インターナショナル・ビア・コンペティション』において、前人未到の8年連続金賞受賞を成し遂げた実績を持つ、人気と実力を兼ね備えた地ビールといえるでしょう。

  • 商品名:よなよなエール 350ml×24本
  • 価格:6090円(税込)
  • Amazon:商品ページ

ヴァイツェン 銀河高原ビール

『銀河高原ビール』は、岩手県にある株式会社銀河高原ビールで製造・商品化されている、ヴァイツェンタイプの地ビールです。

南ドイツ伝統のホワイトエール『ヴァイツェン』の一種を元に、小麦麦芽と大麦麦芽をブレンドしアレンジされています。

天然水で仕立てられ、厳選された麦芽とホップにこだわり、地ビールにありがちな副原料も一切使用しない製法が美味しさの秘密です。

毎年開催されている地ビールの品評会『アジアビアカップ』でも、受賞ビールの常連として広く知られています。

  • 商品名:銀河高原ビール 350ml×24本
  • 価格:8679円(税込)
  • Amazon:商品ページ

ピルスナー コエドブルワリー瑠璃

『コエドブルワリー瑠璃』は、埼玉県にある株式会社協同商事で製造、商品化されている、さわやかな飲み口が特徴的なピルスナータイプの地ビールです。

軽やかな口当たりながらも、深みのある味わいでホップの香味・苦味のバランスも良く、上質な大人の味が堪能できます。

自家酵母を使用したこだわりの長期熟成により、飽きのこないまろやかさを実現し、どんな食事にも合うビールです。

  • 商品名:コエドブルワリー瑠璃 350ml×12本
  • 価格:4248円(税込)
  • Amazon:商品ページ

地ビールの楽しみ方

地ビールには、色や香り、使うグラスや共に食す料理などで、さまざまな楽しみ方ができます。

色や香りを楽しむ

地ビールにはさまざまな色があり、ビールをグラスに注いだ後、光に透かして色を楽しめます。

代表的な色には、淡い麦わら色・麦わら色・淡い金色・濃い金色・黒色などがあり、これらの色は原料として使われるモルトの色からくるものです。

ビールの色を料理と合わせる楽しみ方もあります。淡い色のビールには色味の淡い料理を、濃い色のビールには色味の濃い料理を合わせると、相性が良いといわれています。

地ビールはそれぞれが放つ香りも特徴的です。ワインのように軽くグラスを回すと、香りが広がりやすくなります。

地ビールには、スパイスやハーブ、フルーツなど、副原料としてさまざまなものが使われることも多く、ビールの奥から感じるそれらの香りをかぐことも楽しみ方の一つといえます。

味わいやグラスの違いを楽しむ

多くの地ビールは、のどごしの良さ以上に、味わい深さを追求して造られています。

大量に生産されている一般的なビールのようにゴクゴク飲むのではなく、一口ずつゆっくり、じっくりと味わうのがおすすめです。

ビールを口に含んだ最初の瞬間から、飲みはじめ・中盤・後味と余韻の三段階で、苦み・甘み・酸味などのさまざまな味わいが変化していく様子を楽しめます。

また、地ビールの味わいはグラスによっても微妙な変化を見せます。

居酒屋よく使われる中ジョッキは、大きく開いた口からほどよく炭酸が抜けていくため、爽快な飲み心地を楽しみたいラガービールに最適です。

香りや味わいをゆっくり堪能したいエールビールなら、ワイングラスのような形状のゴブレットやチューリップ型なら、香りがグラスの中に留まりやすいのでおすすめです。

料理とともに楽しむ

地ビールは銘柄ごとにさまざまな味わいが楽しめるため、食事と味わう際には、お互いの良さを引き立たせることに意識を向けてみましょう。

さわやかな香りが魅力的なペールエールなら、ハーブで香りを加えた肉料理、濃厚な黒ビールには旨味たっぷりの煮込み料理がおすすめです。

また、すっきりとしたベルジャンホワイトには白身魚や貝料理、苦味が効いたインディアペールエールには少し辛さの効いた中華やエスニック料理などが、相性が良いといわれています。

自分の好みに合わせて、いろいろな組み合わせを試してみましょう。

地ビールを飲んでみよう

地ビールは、小規模な工場で製造される、地域に根付いたビールです。クラフトビールと呼ばれることもあり、全国各地で300を超える地ビールが生産されています。

原料や製造方法の違いなどにより、地ビールはそれぞれに特有の味わいがあります。いろんな地ビールを試し、お気に入りの1本を見つけてみましょう。

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