狂騒のアメリカを描いた作家。フィッツジェラルドの代表作を紹介

2019.08.07

スコット・フィッツジェラルドは20世紀のアメリカを代表する小説家として称されています。若い頃から才能を発揮しましたが、出版数はわずかです。一体、なぜわずかなのか。この記事ではそんな早熟の天才、スコット・フィッツジェラルドの人生と作品をご紹介します。

スコット・フィッツジェラルドとは

スコット・フィッツジェラルド(1896年9月24日 – 1940年12月21日)は、アメリカの小説家、短編小説家です。生前に発表した長編小説はわずか4作品と非常に寡作でしたが、若い頃から才能を発揮しました。

彼は1920年代のアメリカを取り巻いていた「ジャズ・エイジ」と呼ばれる狂騒の時代を描く作家のひとりであり、同世代のノーベル賞作家・ヘミングウェイらとともに「ロストジェネレーション」の筆頭と目されました。そんな彼の生涯を追ってみましょう。

従軍中に書いた小説で大ヒット

フィッツジェラルドはミネソタ州のセントポールに生を受けました。転機となったのは1917年、アメリカが第一次世界大戦に参戦したため、スコット・フィッツジェラルドは当時通っていたプリンストン大学を中退し、陸軍へと入隊しました。

大学時代から脚本などの執筆活動に取り組んでいたフィッツジェラルドは、軍隊への入隊後も執筆活動を続けました。予備将校訓練学校での訓練中に、小説『ロマンティック・エゴティスト』を書いています。

この『ロマンティック・エゴティスト』は第一次世界大戦後に推敲され、1920年3月に『楽園のこちら側』と改題して出版されました。すると『楽園のこちら側』は高く評価され、ベストセラー入りする大ヒットとなります。

その後も、『美しく呪われし者』、『グレート・ギャツビー』 などが次々とヒットし、弱冠30歳にして当時のアメリカを代表する小説家に成長したのです。

晩年は順調ではなかった

人気作家となったことで順調に思えたスコット・フィッツジェラルドの人生ですが、1929年に世界恐慌が起きると、本の売れ行きが伸びなくなります。

また、1930年には、最愛の妻ゼルダが統合失調症を発症しています。

この頃からスコット・フィッツジェラルド本人もアルコールに頼る生活が続くようになり、1930年代後半には、借金の返済におわれる毎日となってしまいます。

結局アルコールを手放せなかったスコット・フィッツジェラルドは、次第に体調を崩すようになり、1940年12月21日、心臓麻痺で亡くなりました。将来を期待された気鋭の作家は、44歳というあまりに早すぎる死を遂げました。

フィッツジェラルドの代表作は?

小説家としての全盛期が短かったスコット・フィッツジェラルドですから、出版された作品はさほど多くはありません。ただし、そのどれもが名作であることは間違いなく、一読の価値があります。

グレート・ギャツビー

『グレート・ギャツビー』は、フィッツジェラルドの残した作品の中でもっとも有名といっても過言ではありません。のちの映像化作品などでは、『華麗なるギャツビー』と邦訳されることもあります。

戦争、富、金融、そして社会の繁栄と狂乱。狂騒の20年代のエッセンスがたっぷりと詰め込まれたこちらの作品は、のちのアメリカ文学の方向を決定づけたといわれるほど、後世の作家に多大な影響を与えました。アメリカ文学史における金字塔といえる作品でしょう。

余談ですが、日本が誇る作家・村上春樹氏は、こちらの作品を「自身が最も影響を受けた作品」に挙げているそうです。また、英米文学の翻訳家でもある彼が手掛けた同作の日本語訳版が、中央公論新社より発売されています。

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夜はやさし

「夜はやさし」 (1934年)は、フィッツジェラルドが生前発表したうち最後となる長編小説になります。

内容は、アルコール中毒の精神科医と妻の姿を描くという自伝的な内容となっています。スコット・フィッツジェラルド自身の人生と重なる部分がおおく、執筆されたのも同時期であることから、彼自身の自伝的小説であるといわれています。

この時代は狂騒の時代と呼ばれる繁栄の時代が世界恐慌によって終結し、社会的にも暗雲が立ち込めていたころ。そうした背景もあってか、全体から悲しみが伝わってくる作品です。

映画もおすすめ

スコット・フィッツジェラルドの作品は、たびたび映画の題材にもなっています。

たとえば、2008年公開の映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(主演:ブラッド・ピット)があります。これはスコット・フィッツジェラルドが1922年に書いた短編小説をもとに、エリック・ロスとロビン・スウィコードが脚本、デヴィッド・フィンチャーが監督を務めた作品です。

同作品は第81回アカデミー賞で作品賞を含む13部門にノミネートされ、美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞を受賞しています。

そのほかにも、先述の『グレート・ギャツビー』は、発表以来いままでに何度も映画化されています。最も最近のものでは、邦題『華麗なるギャツビー』として、2013年にレオナルド・ディカプリオ主演で公開された作品があります。

スコット・フィッツジェラルドの人生

30歳にして人気小説家となったスコット・フィッツジェラルドでしたが、その後は時代背景に恵まれず、悲運もあって大きな活躍はできませんでした。

それゆえに出版数が少ないのが残念ですが、彼が残した作品群はアメリカ文学史に燦然と輝いています。ぜひ、こちらにあげた小説を参考に、フィッツジェラルドの作品を堪能してみてください。活字がとっつきにくいという人は、映画から入ってみるのもいいかもしれませんね。

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