盆栽松の種類には何がある?作り方や手入れを知って始めてみよう

2019.08.05

松の盆栽は、数ある種類の中でも人気の高い、代表的な樹種です。年間を通して繁る葉を鑑賞でき、管理も比較的簡単なため初心者にもおすすめです。盆栽松の種類や特徴を知り、作り方や育て方について理解を深めましょう。

盆栽松の主な種類

初心者から熟練者まで、多くの人に愛される盆栽松は、育て方によっていろいろな趣を表現でき、比較的育てやすい性質を持つ魅力的な樹種です。

黒松や五葉松が有名

常緑針葉樹でつくる盆栽を『松柏盆栽』と呼びますが、黒松と五葉松は『松柏盆栽の双璧』といわれ、盆栽松の枠を超えて人気を集めています。

中でも、黒松は『松柏盆栽の王様』といわれ、多くの盆栽ファンに栽培される代表的な盆栽松です。『男松』の別名を持ち、荒れて黒みを帯びた幹が美しく、強さを満たした針葉が特徴です。

黒松はとても育てやすく、剪定方法は他の松柏類の基本となります。樹の勢いも強いため、松柏の中でも扱いやすい樹種です。

豪快で男性的な黒松に対し、五葉松は繊細さや優美さを感じさせる盆栽松です。あらゆる樹形に調和し、様々な風情を醸し出す特徴を持ちます。

日本最高峰の盆栽美術展である『国風盆栽展』でも、毎年最多の出品数を誇る人気の樹種です。

その他の盆栽松

赤みを帯びた幹が名前の由来となっている『赤松』は、樹に柔らかい趣があるため別名『女松』とも呼ばれ、盆栽松の中でも珍重されている樹種です。

黒松の仲間である『錦松』は、瀬戸内海の島々や海岸一帯に自生する樹種で、樹皮に分厚い亀裂があることが特徴です。樹齢を重ねていくことで、盆栽の持つ古木感と豪快な趣が感じられる樹に育ちます。

クリスマスツリーにも使われるトド松も、盆栽松として近年人気を集めています。松らしい形状をしていない、すらっとした姿が素敵な樹種です。

他の松と異なり、直射日光や暑さを嫌う特性を持つため、どんな場所でも育てやすい特徴を持ちます。

盆栽松の作り方

盆栽用の松は、ある程度整えられた木を購入し育てるのが一般的ですが、自分で作ることも可能です。盆栽松を作る主な方法を紹介します。

種からの実生や挿し木

松の種を発芽させ、木へと育てる方法が『実生(みしょう)』です。一般的に植物を一から育てるイメージで作ります。

初期段階から育成をコントロールでき、盆栽に対してやりがいが持てます。時間や手間のかかる作業ですが、一から盆栽を育てることのできる唯一の方法です。

実生と比べ難易度が低い方法が『挿木』です。育てている最中の盆栽から枝をカットし、土に挿して根を生やし、木へと育てます。

挿木からの盆栽松作りは、新しい木を安価に育てられるという点がメリットです。松の挿木は活着率が低いため、何本も挿して試してみるとよいでしょう。

接木と取木

二つの異なる樹種を合わせて、一つの木として作る方法が『接木』です。例えば、成長の遅い五葉松に成長の早い黒松を接木で合わせると、成長の早い五葉松が作れます。

接木はそれぞれのメリットを併せ持った木が作れる魅力がありますが、知識や経験が求められハードルが高い方法とです。

一つの盆栽からある程度まとまった枝や幹を切り取る方法が『取木』です。他の作り方に比べ、最も短期間で新しい盆栽を作れます。

取木は基本的に、どのタイミングでも行えます。背が高くなりすぎた盆栽を小さくしたい場合や、好みの樹形でない木を最短で作り直したい場合にも有効な方法です。

松ぼっくりからの方法も

松ぼっくりから盆栽松を作る方法もあります。笠の隙間から伸びる松の枝がかわいらしく、比較的手軽に作れるため、初心者にも人気の盆栽松です。

盆栽に使う松ぼっくりは、まだ青さが残り笠が開ききっていないものを選びましょう。松ぼっくりをきれいに洗い、しばらく水に漬けて虫だし作業を行います。

その後、数日乾かすと、笠が開きたくさんの種が出てくるので、種を水につけて選別を行います。水に浮く種は中身が少なく、沈んだ種は中身が充実していると判断できるため、沈んだ種を選びましょう。

松ぼっくりの笠の隙間に土を詰め込み、ピンセットで種を植え、土が乾かないようこまめに水やりを続けましょう。うまくいけば数日後には発芽します。

盆栽松の手入れ

水やりや置き場所など、盆栽松の管理方法について解説します。

日常の手入れ

盆栽の手入れで最も重要なことは『水やり』です。基本的には、土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと水をかければよいのですが、表面が乾いた状態でも土の中に十分な水が残っている場合があり、判断が難しいと感じることもあるでしょう。

水やりは、季節ごとにルールを決めて行うことで、比較的簡単に管理ができるようになります。春と秋は1日1回、夏は1日2~3回、冬は2~3日に1回を目安に行えば、水のやり過ぎや水不足の状態をある程度回避できます。

季節ごとに回数を決めたら、あとは鉢底から水が流れ出るまで毎回たっぷりと水をかけましょう。土をこぼさないよう、やさしく水をかけることも重要です。

また、室内で育てる場合は、適度な日当たりがあり風通しのよい場所に置きましょう。乾燥を避けるため、エアコンの風などにも注意する必要があります。

季節による手入れ

盆栽松は、季節ごとに適した手入れ方法があります。

1月は葉抜きや剪定、針金かけを行い、樹形を整えます。3月の新芽が出始める前までに、植え替えも必要があれば済ませましょう。

新芽が伸びる5月初旬に施肥を行います。成長期に合わせて肥料を与えることで、より発育が促進されます。

植え替えをしていなければ、初夏の頃に芽摘みをしましょう。芽摘み後に伸びてきた葉で不要と思われるものは、9月中頃までに芽かきをします。

11月初旬に古葉落としをすれば、年間の手入れが完成です。基本的に、この流れを毎年繰り返しましょう。

剪定や植え替えについて

肥料や用土、剪定、植え替えについて解説します。

肥料と用土

盆栽松に使う肥料は、油粕を主成分とした有機肥料がおすすめです。油粕には葉や茎の成長を促すチッ素が多く含まれるため、松をはじめあらゆる木に有効な肥料となります。

肥料の種類は、匂いがおさえられた固形の玉肥を使いましょう。鉢のへりに置けば、水やりをすることでゆっくりと溶け出します。

木が目に見えて弱っている場合は、効き目が速い液肥を使うとよいでしょう。

鉢に入れる用土は、赤玉土がおすすめです。赤玉土は、盆栽の基本用土として広く使われる用土の種類で、盆栽松の用土としても適しています。

硬質の赤玉土なら、粒の間に空気が入りやすくなるため、酸欠になりにくく良質な土壌環境を保てます。

剪定の種類と方法

剪定の主な目的は、樹形を整えることや、風通し・日当たりの改善などです。剪定は、木の種類や季節などにより、目的や方法が異なります。

『間引き剪定』は、不要な枝を取り除くなど、主に樹形を整える際に利用される剪定方法です。

枝を途中から切る方法が『切り返し剪定』です。切り残した枝や葉に力を与え、枝や葉を増やす効果が期待できます。

その他、太い枝を剪定し、樹形を大きく変えられる『切り込み剪定』という剪定方法もあります。

植え替えに必要な道具と方法

根詰まりにより木が枯れるのを防ぐために、盆栽は定期的な植え替えが必要です。盆栽松は、新芽が出始める3月までに、必要であれば植え替え作業を行いましょう。

必要な道具は、植え替え用の鉢と用土、根を整える剪定ばさみ、用土を入れる際に木を固定する針金などです。

植え替えを行う際は、木を取り出し、根についた土を落とし、根の剪定を行います。根の剪定は基本的に植え替え時しかできないため、忘れずに行いましょう。

根を整えたら新しい鉢に木を針金で固定し、用土を入れ、たっぷりと水をかけましょう。数日後に根が活着し木が動き出せば、植え替え作業は完了です。

盆栽と季節を楽しむ

盆栽の中でも人気の高い松は、盆栽らしい見た目を鑑賞できるうえに、手入れも比較的簡単なため、初心者にもおすすめです。

日頃の手入れ方法をしっかりとマスターし、季節ごとに表情を変える盆栽松で楽しみましょう。

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