バイクのメンテナンスを始めよう。今日からできる実践ガイド

2019.08.03

バイクメンテナンスを日頃から心がけていると、愛車が長持ちするだけでなく、高いパフォーマンスや安全性が保持できます。セルフでできるメンテナンスの種類や初心者がそろえるべき基本の工具をチェックしておきましょう。

バイクのメンテナンスのメリット

バイクメンテナンスは日常的、または定期的に行う必要があります。メンテナンスを怠るとどんなことが起こるか、セルフで行うメリットは何かを考えてみましょう。

最大限のパフォーマンスを発揮できる

メンテナンスには、洗車・錆取り・注油・ケーブル交換などありとあらゆる作業が含まれます。

雨や砂ぼこりを洗い流すだけの洗車でも、やらないのとでは大きな差が出るのを知っていますか?定期的に錆びとりや注油を行うことで各部品の酸化や劣化が防げ、性能を高い状態でキープできるでしょう。

日常のメンテナンスで磨きをかけることで、バイク本来のパフォーマンスが発揮されます。

ツーリング時の不意なトラブルにも対応

メンテナンスを怠りブレーキパッドが減り続けた結果、ブレーキの効きが悪くなるというケースがあります。ミラーや電装品が突然壊れ、走行に影響する場合も少なくありません。

近距離の走行であればなんとかできますが、オフロードでのツーリングでは危険を抱えたまま走ることになってしまうでしょう。

バッテリーやチェーンの切れ、ボトルの緩みなどが事前に分かれば、走行中の危険性がぐっと減少します。定期的なメンテナンスは、バイクのパフォーマンスを上げるとともに不意の事故を防ぐことにつながるのです。

自分でやれば作業費用を抑えられる

メンテナンスは業者に依頼すると工賃がかかります。チューブ交換は1500円~、ホイールメンテナンスは1000~5000円、ブレーキ交換は3500円~が相場です。

しかし、セルフメンテナンスはコストが抑えられる上、愛車の状態がより細かく把握できるようになります。のちほど詳しく説明しますが、セルフメンテには『基本の工具』が必要です。数千円から数万円の初期費用がかかることを覚えておきましょう。

メンテナンスの頻度は?

愛車の異常を見逃さないためには、『走行距離』と『時間』の両方からメンテナンスの時期を決める必要があります。加えて、状態に合わせた手入れを続ければ、愛車は最大限のパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

走行距離に応じたメンテナンス

次に走行距離別に見ていきます。

1000~3000kmに必要なメンテナンスはチェーン・タイヤ・ブレーキといった安全にかかわる部分です。張り具合や摩耗具合をチェックし、清掃や注油も行いましょう。

3000~5000kmになると、エンジンオイルの交換や冷却液の補充を行うタイミングです。ブレーキディスクやパッドも摩耗が進んでいる時期なのでそろそろ交換をしなければなりません。

5000km~1万kmでは、各電装品の清掃や点検が必要になってきます。乾式エアクリーナー・ブレーキフルード・ブレーキパッドも状況に応じて交換しましょう。

1万km以上になると、これまでに挙げたメンテナンスに加え、燃料ホース・油圧式クラッチの点検を行うなど、より丁寧なメンテナンスが必要になります。

走行距離が長くなるほど寿命に近づくので、プロのサポートを借りるケースも出てくるでしょう。

時間に応じたメンテナンス

走行距離にかかわらず、バイクの各部分は経年劣化し、性能が少しずつ衰えていきます。また、オイル類は時間とともに劣化するので半年に1回の交換は必要でしょう。以下は1~24カ月以内のメンテナンス例です。

1カ月ごと

  • チェーンの掃除および注油、点検
  • タイヤの空気圧の確認

3カ月ごと

  • クラッチワイヤーへの注油
  • ドラムブレーキの点検

6カ月ごと

  • エンジンオイル交換・冷却液の補充
  • 排気漏れ・ネジの緩み・フロントとリアのサスペンション点検

12カ月ごと

  • スパークプラグ・バッテリー・スプロケットの点検と掃除
  • オイルフィルターの交換

24カ月ごと

  • フューエルホース・油圧式クラッチの点検
  • ブレーキフルード(フロントとリア)・ギアオイルの交換

その他都度必要なメンテナンス

上記で挙げたメンテナンスはあくまでも一例です。どんな走りをしたか、どんな場所に駐車しているかによって車の状態は変わるので、メンテナンスは臨機応変に行わなければなりません。

次に紹介する『バイクの日常点検』を日頃から行い、異音や異常を感じたら、即時メンテナンスを行いましょう。特にバイクはブレーキやタイヤが命です。ブレーキの効き具合・エンジンの音には十分、注意してください。

メンテナンスの方法

ここでは日常的に行う点検と、各系統のメインとなる点検およびメンテナンスの方法を紹介します。回数や頻度は愛車の状況に応じて決めましょう。

今日から始められる日常点検と洗車

毎日運転前にチェックしなければならないのは、タイヤ・ブレーキ・フロントフォーク・ボディです。

  • タイヤにへこみ・亀裂・異物がないか
  • ブレーキパットやタイヤに溝は十分あるか
  • チェーンの張りに異常はないか
  • フロントフォークから油漏れがないか
  • ボディに歪みはないか
  • エンジン起動時に異音や異常がないか
  • ライトやウインカーなどがきちんと作動するか

バイクの洗車は汚れが目立つとき、または1カ月に1回程度が目安です。洗車は愛車をじっくりと点検できるいい機会とも言えます。

洗車を水なしで行うときはパーツクリーナーやシリコンスプレーを使って丁寧に磨き上げましょう。水を使うときはマフラーの排気口や鍵穴をテープで塞ぎ、水の侵入を防ぐ作業も忘れてはいけません。最後に注油・コーティングをして仕上げます。

チェーン関連のメンテナンス

チェーンは汚れや錆びがこびりつくとエンジンのパワーを後輪に伝えることができなくなります。

付属のブラシなどで錆びを取り除き、パーツクリーナーを使いながらウエスで拭き上げましょう。雨の日に走った後、または走行距離に応じてオイル注油を行います。

チェーンには適度な『緩み』が必要です。緩みすぎ、張りすぎの場合は調節をしましょう。

オイル関連のメンテナンス

オイル関係のメンテナンスでまず重要なのが『エンジンオイル』と『ブレーキオイル』の確認と交換でしょう。

『エンジンオイル』にはパーツの潤滑・熱の冷却・防錆など、さまざまな役割があります。量が十分か、汚れはないかをチェックし、必要があればエンジンオイルの排出・交換を行いましょう。

『ブレーキオイル』はシリンダー内に充填されているもので、劣化するとハチミツのような色と粘りになります。放っておくとブレーキの効きが悪くなるので、劣化を感じたらすぐに交換してください。

また、アクセルワイヤー・クラッチワイヤーなどには注油メンテナンスが必要です。クラッチレバーからワイヤーを取り出し、ワイヤーグリスを流し込んでいきましょう。

電気系統のメンテナンス

電気系統のメンテナンスは多岐にわたり、初心者では難しいケースもあります。中でも代表的な3つのメンテナンスは以下です。

  • バッテリーの点検と交換
  • ヒューズの点検
  • バルブの交換(ヘッドライト・ウインカー・テール)

『バッテリー』は電気類を機能させる要の部分です。日常ではメーター内のランプ類が正常に点灯するかの確認でOKですが、正常に充電されるか、バッテリー上がりが頻繁に起こらないかもチェックしておきましょう。

『ヒューズ』は過剰な電流が流れたときに回路を遮断して、電気回路のダメージを防ぐ役割を担います。バイクの場合、ヒューズが切れたら必ず交換が必要です。定期的に取り出し、切れ・錆びなどがないかを確認しましょう。

メンテナンスに必要な工具

セルフメンテナンスは工具がなければはじまりません。バイクのメンテナンスはワークポイントが狭いため、バイク専用の工具一式をそろえることをおすすめします。

最低限必要な工具

バイクメンテナンスの工具と一口に言っても、どこをどう直すかによって必要な工具は変わります。ビギナーができるメンテナンスの種類は限られているので、最初は必要最低限の工具があれば十分でしょう。

  • スパナ(8~17mm)
  • ドライバー
  • 六角レンチ(延長ハンドル付き)
  • コンビネーションレンチ
  • プライヤー

以上は、ホームセンターやAmazonなどで購入が可能です。100円均一ショップの工具はバイクメンテナンスに耐えうるクオリティであるかは保証ができません。多少値は張ってもプロ仕様の工具を選びましょう。

最初は基本の工具セットがあればOK

メンテナンスビギナーは、上で紹介した『最低限の工具』を含めた『基本の工具セット』があると便利です。『工具セット』は、メンテナンスや家具の組み立てなど、日常に必要な工具をボックスにまとめたもので、コンパクトで持ち運びに優れています。

まずは基本の工具セットをそろえ、その都度必要な工具を少しずつ足していくといいでしょう。工具セットの価格はピンキリで、安いものだと3000円~、高いものだと4万円以上になります。

KTC(京都機械工具)やスナップオンなど、世界的に有名な工具メーカーの工具はクオリティが高く、長く愛用できるでしょう。

あると便利なメンテナンススタンド

『メンテナンススタンド』は、整備や洗車時にタイヤをリフトアップして固定する道具のことで、あるのとないのとでは作業の進み具合が全く違います。

特にチェーンメンテでは、ホイールを手で回すだけで作業ができるので、わざわざ車体を移動させる必要がありません。

また、メンテナンススタンドを使うと車体を直立でキープできるのでタイヤに負担がかからず、ガレージ内で長期保管する際にも重宝するでしょう。

メンテナンススタンドがなくても整備は可能ですが、初心者や女性の場合、作業中にバイクを転倒させる恐れがあるので、使用した方が安心です。

1人でできるメンテナンススタンドの使い方

タイヤをリフトアップするときは2人1組で行うのが安全ですが、他人の力を借りずとも整備や洗車ができるように慣れておきたいものですね。

メンテナンススタンドは『リアスタンド』と『フロントスタンド』があり、両者は併用して使われることが多いです。

まずはリアスタンドから使用

『リアスタンド』はリアタイヤをリフトアップする際に用いられます。フロントスタンドと併用する際は、先にリアスタンドを使用しましょう。

最初にやるべき作業は、ブレーキレバーとハンドルを二重の輪ゴムまたはガムテープで固定し、前輪ブレーキをかけておくことです。

車体を持ち上げた際、転倒しないようにバイクのサイドスタンド部分に木製ブロックなどを挟み、バイクを垂直状態にしておきます。

次に、リアスタンドのフックにタイヤを掛け、車体の右側に立ちます。左腕または左足でリフトスタンドを押し下げながら、右腕で車体を持ち上げましょう。

なお、リアスタンドは受け部の違いにより『Vフック式リアスタンド』と『ユニバーサル式リアスタンド』の2種類に分けられます。自分の愛車はどちらに適しているかをチェックしましょう。

フロントスタンドの使い方

リアスタンドは単独で使えるのに対し、フロントスタンドはリアスタンドと必ず併用して使う必要があります。両方を使うと車両が水平に保て、よりメンテナンスがしやすくなるのです。

作業前は、フロントフェンダーに傷がつかないよう、ウエスやタオルなどでガードしておきましょう。

まず、フロントスタンドの先端に車両のステムシャフトの径に合った『カラー』という部品を選びます。ナットでしっかりと取り付けた後、スタンドのカラー部分を車両のステムシャフトパイプ穴に差し込みます。

スタンドのハンドル部分を両手でおさえ、体重をかけて降ろしていきましょう。

おすすめのメンテナンス工具

こまごまとしたメンテナンス工具を0からそろえるのには時間もお金もかかります。初めてメンテナンスをする人は、基本工具一式が入った『ツールセット』の購入がおすすめです。メンテナンススタンドはコスパの高さや使いやすさを重視しましょう。

E-Value ガレージツールセット

『E-Value ガレージツールセット』はバイク・自動車のメンテナンスに使える45点組のセットで、収納や持ち運びに便利なハードケース入りです。基本のアイテムはしっかりそろっており、不足分だけを少し買い足すとマルチに使える道具箱になるでしょう。

六角棒レンチは1.5mmから6mmまでの8種類、ドライバーは5種類、コンビネーションレンチは6種類で、メンテナンスはもちろん、家具の組み立てなどあらゆるシチュエーションで重宝します。

45点が収納されているとは思えないコンパクトさなので、アウトドアにも最適です。ツールセットの中ではかなりリーズナブルなので、緊急用などに1つ購入しておいて損はないでしょう。

  • 商品名:E-Value ガレージツールセット
  • 価格:3744円(税込)
  • Amazon:商品ページ

KTC ツールセット チェストタイプ

自動車やバイクの整備に適したスタンダードな工具が67点入ったセットで、狭い場所でも使える便利なアイテムが満載です。

ボックスは3段式になっており、どこに何が収納されているかが一目瞭然です。工具は所定の場所にぴったりおさまるので、持ち運び時にバラバラになることもありません。

4万円越えと値は張りますが、工具の精度は高くボルトやナットはしっかりと食いついてくれます。ホームセンターの数百円のアイテムと比べると、格の違いは歴然でしょう。

クオリティの高さを感じさせるブラックの道具箱は、車庫のちょっとしたインテリアにもなりそうです。

  • 商品名:KTC ツールセット チェストタイプ
  • 価格:4万6850 円(税込)
  • Amazon:商品ページ

ジェイトリップ ショートローラースタンド

タイヤをリフトアップするためのローラースタンドで、高さが3段階で調節できます。コンパクトなショートサイズなので、収納時も場所を取りません。

足でリフトするタイプのため、車両を両手で支えることができる点も優秀でしょう。超重量車の場合は、ハンドルの長いロングタイプのローラースタンドをおすすめします。

  • 商品名:ジェイトリップ ショートローラースタンド
  • 価格:1万4511円(税込)
  • Amazon:商品ページ

参考になるバイクメンテナンスの本

バイク初心者はもちろん、セルフメンテナンスを何年か続けている人でも、バイクの仕組みや修理方法を全て把握するのは難しいのではないでしょうか。参考書代わりになるメンテナンスの本が1~2冊あると、いざというときに便利でしょう。

本を選ぶ際は、近年の最新技術および保安基準などが反映されているかも要チェックです。

自分でやりたい人の最新バイクメンテナンス

成美堂出版から2015年に出版された140ページ以上にわたるバイクメンテナンスの専門書です。バイク初心者に役立つ知識が豊富で、オートバイのメカニズムがイラスト付きで掲載されているのがポイントでしょう。

バイクメンテナンスの基本となる「必要となる工具・材料」や「実施時期の目安」が分かるので、計画的に作業が進められそうです。日常点検と乗車前点検は特別な工具が不要なので、さっそくはじめてみましょう。

著者の太田潤氏は、16歳でモトクロスチームを作りメカニックを経験したオートバイのプロです。豊富な経験から提供される知識の数々は、初心者以外の人でも満足できるでしょう。

  • 商品名:自分でやりたい人の最新バイクメンテナンス
  • 価格:1296円(税込)
  • Amazon:商品ページ

見てわかる バイクメンテナンス&洗車完全ガイド スクーター対応

「いちばんやさしいメンテの教科書」と記される通り、メンテナンス初心者を対象にした写真付きの分かりやすい説明が高評価されています。

洗車や傷のリペアから日常点検まで、愛車を長持ちさせるためのポイントが満載でしっかり読み込めばベーシックなメンテナンスが1人でもできるようになるでしょう。

エンジンがかからないときの『トラブル対応法』はいざというときの助けになります。

本書の対象車種は第1種原動機付自転車(50cc以下)と第2種原動機付自転車(125cc以下)で、スクーターに乗り始めた学生や女性にもおすすめですよ。

  • 商品名:見てわかる バイクメンテナンス&洗車完全ガイド スクーター対応
  • 価格:1404円(税込)
  • Amazon:商品ページ

雑誌 モトメンテナンス

最新のバイクメンテナンス情報を取り入れたい人は、バイクメンテ専門誌『モトメンテナンス』がおすすめです。基本的な知識にプラスアルファの情報を取り入れたいときに役立つでしょう。

惜しまれながら2019年4月号で休刊となっていますが、バックナンバーなども出回っているので、比較してみるのも面白いでしょう。

  • 商品名:モトメンテナンス
  • 価格:1566円(税込)
  • Amazon:商品ページ

大切な愛車のメンテナンスを始めよう

やるべきメンテナンスが分かったら、洗車や日常点検、ライトの交換など、自分でできるところからはじめてみましょう。初心者の場合、車体を分解するのはやや難易度が高いかもしれません。

特に駆動系やエンジン・ブレーキ系は生半可な知識と技術でいじると安全性に大きく影響します。経験豊富なバイク仲間やプロのサポートを借りながら、正しいメンテナンスを行っていきましょう。

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