夏休みに訪れたい。明治時代の建築を学べる『博物館明治村』の魅力を解説

2019.08.01

『博物館明治村』は、明治時代の文化的遺産を収集した大規模な屋外博物館であり、明治浪漫を体験できるテーマパークでもあります。レンガ造りの建築物や夏目漱石の文学作品に魅力を感じるなら、明治村でもっと深く明治を学んでみましょう。

博物館 明治村とは?

現代では明治時代の建築物はほとんど失われてしまっていて、明治浪漫を感じたくても機会はそうありません。

しかし、『博物館明治村』を訪れれば、レプリカではなく本物の明治建築に出会うことができます。

文化財保存のために作られた明治村

『博物館明治村』は、愛知県犬山市の広大な敷地の中に、明治時代の建築物や鉄道を当時そのままの姿で移設した、屋外型博物館です。

移築展示されている建築物は67件にのぼり、森鴎外や夏目漱石の邸宅などを擁しています。その中には日本の文化遺産である重要文化財や近代化産業遺産を多数含んでいるほどです。

明治建築は、鎖国時代の木造建築を基盤としながら、開国により技術が伝えられた石造・煉瓦造の洋風建築を導入し、産業革命の進行に伴って鉄・セメント・ガラスを用いた『近代建築の礎』となりました。

その後の戦災や戦後の高度経済成長に伴って明治時代の建築物は失われていきますが、文化財としての価値ある建築物を収集・保存するために、明治村が創設され移築が進められたという経緯があります。

博物館明治村

全国有数の広さを持つテーマパーク

明治村は博物館としてだけでなく、100万平方メートルという広大な敷地の中で、明治時代を追体験できるテーマパークという性格も持ちます。

明治は日本に初めて鉄道が開通した時代でもあり、村内は日本初の市内電車『京都市電』が毎日運行しており、当時の姿そのままの『蒸気機関車』に乗車することもできるのです。

他にも、村内の歴史的建造物を回って明治に関する問題を解いていく『明治村 錦絵れきし探偵団』、明治建築に囲まれて花火大会が楽しめる『宵の明治村』など、明治にまつわる常設・期間限定イベントが随時開催されています。

博物館として明治を知り、テーマパークとして明治を楽しむ、明治村で明治浪漫の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

博物館  明治村の基本情報

明治村は巨大なテーマパーク・屋外展示場のため、街中からは少し離れた位置にあります。アクセスと村内の移動も踏まえた料金を見てみましょう。

明治村の料金

明治村の入村料金は大人1700円、『のりもの一日券付入村券』は2700円となっています。のりものに含まれるのは蒸気機関車・京都市電・村営バスです。

村内は広大で1〜5丁目までエリアが分かれており、乗り物は展示物であるだけでなく移動手段としても活用できます。

村営バスは大人500円で乗り放題ですが、蒸気機関車と京都市電は毎回500円かかるため、乗り物を含めてたっぷり明治村を楽しむなら、のりもの一日券付入村券を購入した方がおトクです。

また、普通車の駐車料金は3〜11月が800円、12〜2月は500円となっています。バイクや原付の場合は年中200円です。

割引情報

名鉄ミューズカードか名鉄インプレスカードを提示すれば大人300円割引が受けられ、入村料金は1400円になります。ただ、のりもの一日券付入村券には割引がないため注意しましょう。

また、村内の『近衛局本部付属舎(1丁目4番地)』で、大人3500円の『明治村住民登録』をすれば、登録日の翌日より1年間は何度でも無料入村でき、駐車料金は平日無料・土日祝300円(二輪車100円)割引となります。

明治村へのアクセス

明治村の最寄り駅は名鉄犬山駅で、東口から『明治村行』バスに乗ると約20分で到着です。また、名鉄名古屋駅の上階にある名鉄バスセンターから高速バスに乗ると77分ほどで到着します。

犬山駅東口からのバスは朝8時台から1時間に2・3本運行していますが、名鉄バスセンターからは平日で8・9時台、土日祝でも10時台しか運行していないので注意しましょう。

車の場合は中央自動車道『小牧東IC』からおよそ3kmとなっています。なお、開村時間は月によって変動がありますが、おおむね9:30〜17:00です。

博物館 明治村の見どころ

明治村には外観だけでなく内観にも優れた建築物が多数展示されています。歴史的価値の特に高い重要文化財も含まれる建築物群の中で、見逃せない3件を紹介します。

聖ヨハネ教会堂

京都市下京区河原町に建てられていた『聖ヨハネ教会堂』は、200年に及ぶ鎖国時代を経てキリスト教禁止令が解かれた明治時代に、各地に建てられた教会堂のうち、現存するものとして貴重な重要文化財です。

外観はロマネスク様式を基調として、ゴシック建築の要素も取り入れられています。建築技法は明治独特のもので、1階が煉瓦造、2階が木造、屋根には薄い金属板が葺かれているのです。

1階部は当時、日曜学校や幼稚園として、木造の2階部が会堂として使われていました。木造の教会は世界的にも珍しく、会堂内部が木造というのは明治時代ならではの建築といえるでしょう。

帝国ホテル中央玄関

『帝国ホテル中央玄関』は、近代建築の3大巨匠と呼ばれるフランク・ロイド・ライトの建築作品の一つ、帝国ホテル・ライト館の中央玄関を移築したものです。

ライトの建築はプレイリースタイル(草原様式)と呼ばれ、水平線を強調した佇まいと、部屋同士を区切らず一つの空間として緩やかに繋いだ構造を特徴としています。

帝国ホテル中央玄関は、従来の日本建築が平面的で外観から内部構造が想像しやすいものであったのに対し、複雑な外観だけでなくメインロビー中央を3階までの吹き抜けとするなど、立体的な構成へと発展させた建築物です。

なお、2階部は『中央ホテル喫茶室』としてカフェ営業しています。優雅な建築を堪能しながら、穏やかな一時を楽しんでみてはいかがでしょうか。

西郷従道邸

重要文化財『西郷従道邸』は、西郷隆盛の弟で元帥海軍大将・政治家であった西郷従道が、東京都目黒区上目黒の自邸内に建てた、接客の場としての洋館です。

煉瓦のしっかりとした土台の上に、半円状に張り出したベランダや手すりの細工が特徴的な、全体に白く繊細な印象を受ける洋館で、屋根には瓦ではなく銅板が葺かれています。

内観も、天井に貼られた押し出し模様の鉄板や、曲線が美しい廻り階段に加え、舶来品と思われる調度品の数々が展示されるなど、これだけで一つの博物館といえるほど見どころのある建築物です。

体験型の遊びも豊富

歴史的建造物を鑑賞するだけでなく、体験型の遊びも充実しているのが明治村の特色です。明治を体験し、明治浪漫を感じる、そういう催しの中から3件ばかりを紹介します。

ドレスや袴が着られるハイカラ衣装館

『安田銀行会津支店』内にある『ハイカラ衣装館』は、明治時代の気分を高める衣装に着替えて写真撮影や散策ができる施設です。

記念撮影コースは、男性ならフロックコートか書生服、女性ならオリジナルドレスか女学生衣装が選べます。1着5分間800円で撮影用小物1点付きです。

散策コースは、書生服と女学生衣装のみの貸し出しで1着3000円、先着20名となっているため、明治浪漫により深く浸るには早めの入村をおすすめします。

10年後に手紙を送れるはあとふるレター

『はあとふるレター』は、10年後の自分や大事な人に手紙が送れる明治村独自のサービスです。

重要文化財『宇治山田郵便局舎』内の簡易郵便局窓口に定型サイズの封書を預けておき、指定した宛先へ10年後に発送してもらえます。10年間の保管料と送料込みで1通500円です。

重要文化財を使ったリアルなアトラクション、といえるかもしれません。過去(明治時代)から送られてきた手紙のような形で、未来の自分や大事な人に宛ててメッセージを贈る、というのも粋ではないでしょうか。

交通手段として使う明治の乗り物

明治村は歩いても楽しいですが、明治時代の乗り物で移動してみるのも乙でしょう。展示物でもある蒸気機関車・京都市電と村営バスが利用できます。

蒸気機関車は、明治村内の『なごや』駅と『とうきゃう』駅を結ぶ蒸気機関車12号と蒸気機関車9号で、当時の姿そのままに蒸気を上げて走ります。『三等客車ハフ11・13・14』の内装も見どころでしょう。

京都市電は日本初の電車であり、村内を走る狭軌1型は3駅2区間を走ります。レトロな待合所と木漏れ日の落ちる市電の組み合わせは明治の雰囲気を盛り上げてくれるでしょう。

博物館明治村のグルメ

明治は、西欧文化の流入の中で食文化が発展した時代でもありました。明治村にはさまざまな店がありますが、オムライス・牛鍋・コーヒーを味わえる店を紹介します。

オムライスが美味しい浪漫亭

『金沢監獄中央看守所・監房』付近にある『浪漫亭』は、明治に生まれた庶民の味、オムライスが美味しいお店です。

オムライスは始めライスオムレツと呼ばれ、トマトケチャップを使わず、溶き卵に具材を混ぜ込んだスプーン一つで食べられる賄い料理からはじまったとされています。

トマトケチャップが一般に流通するのは明治41年のことで、現在のオムライスはその後に生まれたものです。そう考えると、浪漫亭のオムライスは、明治時代としては比較的新しい料理といえるかもしれません。

文明開化ならではのすき焼き牛鍋大井牛肉店

『牛鍋 大井牛肉店』は、文明開化の象徴ともいえる日本料理、牛鍋を高級和牛でいただけます。日本は古来より牛肉を食べる習慣がなく、日本人が牛食を一般とするきっかけとなったのが牛鍋です。

明治3年、福沢諭吉は牛馬会社の宣伝文『肉食之説』の中で、牛肉や牛乳の摂取を勧め、明治10年には東京だけで牛鍋屋は550軒を数えるほどのブームになっていました。

ちなみにすき焼きは関西発祥で、元々は鍋料理ではなかったものが、牛鍋と融合し、東京でさまざまな具を入れた関西風すき焼きを出す店が増え、次第に牛鍋という名前が使われなくなっていったという経緯があります。

一休みするなら帝国ホテル喫茶室

『帝国ホテル中央玄関』の2階部にある『中央ホテル喫茶室』は、明治村の中で軽食・喫茶を楽しむなら最もおすすめのスポットといえるでしょう。

日本でコーヒーが飲まれるようになったのは幕末の頃で、現代に見られる喫茶店の形でコーヒーが振る舞われるようになったのは明治時代なのです。

帝国ホテル中央玄関の明治浪漫溢れる内装に浸りながら、コーヒーを1杯、というのは他所ではできない体験でしょう。

博物館明治村を存分に楽しもう

現代は明治の香りをほとんど感じることがない時代になっています。200年間も鎖国されていた日本に西洋文化がどっと押し寄せ、未知の文化が次々と発見されるインパクトのある時代が明治でした。

連綿と築き上げてきた日本文化と真新しい西欧文化を融合させる、その瞬間の煌めきが明治時代にはあります。

博物館明治村で当時の文化的な興隆に触れ、味わい尽くせないほどの明治浪漫を体験してみてはいかがでしょうか。

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