歴史における新聞の役割とは。世界や日本の新聞の歴史を知ろう

2019.07.30

普段何気なく読んでいる新聞にも古くからの歴史があり、ときに社会の重要な役割を担う存在として扱われてきました。世界や日本における新聞の歴史を知り、社会に対して新聞が持つ役割について理解を深めましょう。

世界の新聞の歴史

世界史における新聞の歴史について解説します。

新聞の始まり

紙に印刷されるタイプの新聞は、近代に入ってから普及したといわれていますが、それ以前にも、社会的な情報を世間に伝える新聞の類似物が存在しました。

現在、最古の新聞とされるものは、古代ローマ時代に存在した掲示板『アクタ・ディウルナ』といわれています。元老院の議事録や民会の決議、市民の誕生や死亡などのニュースが内容として扱われていました。

ローマの執政官カエサルの命令により作られた『アクタ・ディウルナ』は、蝋を塗った木版に手書きで記されたもので、公共広場に張り出されていたといわれています。

紙の新聞は中国から

紙で作られた新聞として最古のものは、中国の唐時代に発行された『開元雑報』とされています。『開元』とは当時の唐の元号で、『雑報』は現在の速報に似た意味の言葉です。

『開元雑報』の主な購読者や出資者は唐の皇族で、政治や国内のニュースを編集者が毎日集め、各地方に届けるために記者が翻訳し転写していました。

活版印刷の登場

15世紀のヨーロッパでは、木や金属に字形を刻み、それにインクをつけて何度も印刷できる『活版印刷』が登場します。この技術により、1605年にフランスで世界初の週刊新聞が創刊され、さらに1650年にはドイツで世界初の日刊新聞が創刊されました。

その後、次々と日刊新聞や週刊新聞がヨーロッパで盛んに出版されるようになります。しかし、それらの多くは言論弾圧のために高い税金がかけられ、裕福な商工業者などにしか読まれないものでした。

19世紀に入り、新聞に対する税金が廃止されたことに加え、印刷機が発達したことに伴い、労働者階級も新聞が安価で入手できるようになり、大衆新聞が広まりました。

日本の新聞の歴史

日本では新聞がどのような歴史をたどったのか解説します。

英字新聞が最初の新聞

日本において新聞の元祖といわれるのが、江戸時代の『瓦版』です。自然災害や事件、大火事などのニュースが一枚の紙に刷られたもので、中身を読み上げながら売られていたため、『読み売り』とも呼ばれていました。

幕末には、外国人居留地に住む外国人の間で英字新聞が読まれ、これが日本における最初の新聞とされています。また、ジャワで発行されていたオランダ語の雑誌を幕府が和訳した『官板バタビヤ新聞』も発行されていました。

1868年に日本人によって作られた国内の報道が中心の新聞が登場し、1871年には日本初の日刊紙として『横浜毎日新聞』が創刊されます。使われた紙や紙面のレイアウトなど、現在の新聞に似たものでした。

発行部数の伸びと影響力の増大

1894年に日清戦争が開始されると、戦争に関するニュースにより発行部数が大幅に増え、社会に対する新聞の影響力が増大しました。

1918年には、米価の高騰に苦しむ民衆により『米騒動』が起こされ、新聞の報道によって米騒動がさらに広がるのを恐れた政府が、言論を統制する事件が起きます。

この事件は『白虹事件(はっこうじけん)』と呼ばれ、日本のメディアが政治に従う傾向となる大きなきっかけとなった事件といわれています。

第二次世界大戦では、各新聞社は政府発表をそのまま新聞に掲載し、戦争を自ら扇動しました。敗戦を迎えると、言論に対する政府の取り締まりや統制が消え、新聞の社会的地位が高まります。しかし、新聞社同士の競争は激しくなっていきました。

現代の多様な変化

近代化に大きく貢献した日本の新聞は、20世紀には発行部数や普及率も世界でトップクラスを誇っていました。しかし、21世紀になりインターネットが普及すると、新聞を読まない人々も増えてきています。

そこで、最近は各新聞社も紙の媒体に加え、電子化されたインターネット新聞を発行しています。インターネット新聞は、紙媒体の新聞と比べ紙面の制約を受けず、音声や動画、関連記事へのリンクなど、幅広い情報を分かりやすく伝えられる点がメリットです。

しかし、災害による停電時はネットが利用できなくなり、情報が断たれてしまう可能性もあります。このような場合は、新聞が情報伝達に大きく役立つ側面を持つといえるでしょう。

新聞の役割とは

人間の歴史や社会において新聞が持つ役割を理解しましょう。

基盤とライフライン

政治・経済・社会をはじめ、さまざまな分野の知識や情報を手軽に入手できる新聞は、国民が国の針路について的確な判断を下す環境を作るという意味で、『民主主義を支える基盤』の役割を果たす存在といえます。

また、広告掲載により企業が自社の商品を広く伝え、地域の身近な出来事や人々の話題を通して交流の場としても機能する新聞は、『国民生活の基盤』としても価値のある存在です。

新聞は、ときに『情報のライフライン』としても大きな役割を担う存在です。災害時などに携帯電話やインターネットといった電子媒体が使えなくなっても、紙媒体の新聞は情報の生命線として重要な役割を果たします。

変わらない役割

新聞は歴史の記録者であり、真実の追求は記者の責務です。取材を通じて掘り起こされ た歴史的ニュース、公的機関や企業が抱える問題の追及や記事を通じた問題提起が、不正 や税金の無駄遣い、社会の不条理を正すきっかけとなった例は数多くあります。

新聞は、情報発信を公的機関の一方的判断に委ねるのではなく、第三者の視点でチェックする姿勢を持つ存在です。報道倫理に基づく取材に裏付けられた確かな情報を、新聞を通して国民に提供する重要性と必要性は、むしろ高まっています。

インターネットが主流の時代になっても、新聞が担うべき責務に変わりはありません。様々な情報についても背景などを取材し、深みのある質の高い記事を国民に提供する役割があります。

新たな役割

新聞は、政府や政党などにコントロールされることがなく、常に客観的な立場で主体性を持つ存在です。そのため、世の中の数あるメディアの中でも、新聞はいまだに最も世間から信頼を得ている媒体といえます。

そこで、これからの新聞は、新しい公共性を実現するべく、デジタル媒体も十分に用いた上で、『人々が議論する場所』としての役割を期待されています。

参加者の意見をまとめ、社会に向けて発信していくことによって、さまざまな考え方の人たちをつないでいき、社会の中のさまざまなグループもつなげることが可能になるでしょう。

新聞の歴史における著名なジャーナリスト

日本における新聞の歴史を語るうえで欠かせない著名な人物を3名紹介します。

新聞や広告界を先駆した岸田吟香

『岸田吟香(きしだ・ぎんこう)』は、幕末から明治初期にかけて活躍した新聞・広告界の先駆者です。

日本最初の液体目薬『精錡水(せいきすい)』の販売に新聞広告を利用し成功を収め、製薬・広告業界の大立者となりました。

明治初期に『東京日日新聞(現毎日新聞)』に入り、翌年5月には台湾出兵に従軍し、日本で初めての従軍記者として観戦記を連載しました。その報道文は『岸田の雑報』として広く知られることになります。

本格的な大衆新聞を作り上げた黒岩涙香

『黒岩涙香(くろいわ・るいこう)』は、大衆新聞の生みの親として知られる、明治・大正期を代表する新聞人です。

新聞や雑誌で執筆活動に従事した後、明治25年に『萬朝報』を創刊し、本格的な大衆新聞を作り上げました。「簡単な記事、平易で通俗な文章」を売り文句に、弱者を味方にし強きをくじくキャンペーンを打ち出し、たちまち読者の人気を集め部数を増やしていきます。

明治30年代に入ると優秀な記者を集め、特に日露開戦前夜には、内村鑑三・幸徳秋水・堺枯川らが非戦論を展開したことで有名です。

大正に入ると、憲政擁護運動に続く山本権兵衛内閣打倒にまい進し、大隈重信内閣成立の裏で精力的に活動したことでも知られています。

国際記者の草分け高田元三郎

『高田元三郎(たかた・もとさぶろう)』は、国際記者の草分けとして知られる、大正から昭和期に活躍したジャーナリストです。

大阪毎日新聞社外国通信部に入社後、日本初の常設特派員としてニューヨークヘ赴任し活躍しました。帰国後に起きた関東大震災では、外国に送られた大震災詳報第一報となる電報を、大阪からアメリカへ発信しています。

その後、再びニューヨーク特派員となった際には、日本人特派員として初めて夫人を同伴しました。以後は数々の要職を歴任し、国際的な記者賞も受賞を経験している人物です。

新聞が届くまで

新聞が読者のもとに届くまでの流れを解説します。

新聞記事作りや書き方

新聞を作る上で最初に行うことは『ネタ集め』です。どんなことをどんな内容で記事にするのか、誰に対して取材すればよいのかを考える必要があります。

記事の書き方は、正確で読みやすく分かりやすい文章にするため、『5W1H』の要素を入れた構成を作ることがポイントです。また、結論を先に述べることで、読者がいち早く重要な情報を手にできます。

見出しも新聞の大事な要素の一つです。一覧性を重視される新聞は、ひと目で内容を理解できるような見出しがつけられ、レイアウトにも工夫が凝らされます。

取材から届くまでの流れ

取材から読者のもとへ届くまで、新聞が作られる流れは以下の通りです。

取材 さまざまなジャンルの現場に足を運び、人々の話を聞き取ります。写真を撮るのも記者の仕事です。
執筆 新聞は真実を正確に伝えることが重要です。分かりやすい記事を目指して書きます。
編集会議 紙面に載せるニュースや扱いの大きさなどを話し合って決定します。
紙面制作 紙面のレイアウトを組み、見出しをつけます。見出しが大きいほど重大性の高いニュースです。
校閲 記事や見出しの間違いや表現のミスがないかチェックします。
印刷 紙面が完成したら印刷を行います。大手新聞社では印刷センターの高速印刷機で印刷されます。
発送 印刷を終えて発送され、新聞が読者のもとに届きます。

新聞の歴史について理解して読もう

新聞には古くからの歴史があり、それぞれの時代において社会に対する重要な役割を果たしてきました。インターネットが主流となりつつある現在においてもなお、新聞は世の中において最も信頼できる媒体として、大事な存在であり続けるでしょう。

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