宝石サンゴの種類と意味。サンゴ礁との違いや歴史も解説

2019.07.29

『海の宝石』と呼ばれることもある宝石サンゴ。宝石というとダイヤモンドやサファイア、エメラルドなどの鉱石をイメージするかもしれませんが、サンゴも宝石として扱われることがあります。では宝石サンゴについて詳しく見てみましょう。

海の宝石サンゴとは?

宝石サンゴは高級な宝石の一つとして、世界的に知られています。貝の中で育つ真珠と共に『海の二大宝石』と呼ばれることもあり、希少性のある天然宝石として重宝されてきました。

珊瑚虫と呼ばれる動物

珊瑚が動物であることがわかったのは1742年です。それ以来、珊瑚の研究が行われて、現在、『宝石サンゴ』と呼ばれているものは、珊瑚虫であり、さらにその中の刺胞動物の花虫類に分類される『ポリプ』という種群であることがわかりました。

このポリプとは、医学用語のポリープにも通じるところなのですが、腔腸動物(こううちょうどうぶつ)が生活していく上で、一時的に示す円筒形または管状の状態のことです。この際、岩などに付着して固着生活をすることが知られています。

そして、この珊瑚虫が群生して固くなったものが宝石サンゴなのです。

珊瑚礁との違い

では、宝石サンゴと珊瑚礁にはどのような違いはあるのでしょうか。実は、宝石サンゴと珊瑚礁は珊瑚虫の『口の周囲にある触手の数』によって分類されます。

珊瑚礁は別名を『六放サンゴ』といい、6本の触手があります。比較的浅い海に生息し、成長が速いのが特徴です。イソギンチャクもこの珊瑚礁の仲間です。

一方、宝石サンゴは『八放サンゴ』とも呼ばれ、8本の触手があります。深海に生息しその成長も遅いことから、あまり人目に触れません。しかも、1センチ成長するのに50年近くかかる種類もあります。

このように、浅い海岸などで見つけることが出来る珊瑚礁と宝石サンゴは別の種類のもので、希少性が高いことから世界中の人々を虜にしているともいえます。

宝石サンゴの種類と意味

宝石サンゴは血赤珊瑚・赤珊瑚・桃色珊瑚・白珊瑚の4種に大別されます。それぞれ、見た目・産地・希少性などに違いがあります。

希少価値の高い赤珊瑚

日本でも、赤珊瑚は多く採取されます。この赤珊瑚の中でも、特に色が濃いものを『血赤珊瑚』と呼び、日本では高知県の土佐湾で採取される血赤珊瑚は最高級といわれ、本物の血のような色をしています。

血赤珊瑚は、海外では『オックスブラッド(牛の血)』という名前で親しまれ、世界中を見渡しても希少性が高い珊瑚として知られています。そして現在では、日本の伝統産業として根付くまでに成長しました。

ちなみに、血赤珊瑚と赤珊瑚では並べてみると色味がかなり違います。そして、人気も希少性も血赤珊瑚の方がはるかに上回っています。

日本近海に多く生息する桃色珊瑚

日本近海の広い範囲で生息しているのが『桃色珊瑚』です。

海底300~500メートルで採取されるのですが、特に高知県沖の宿毛で採取される珊瑚が色・品質共に評価が高く、彫刻細工に利用されています。

色はピンクからオレンジをしており、赤珊瑚よりは薄い色味が特徴となっています。

高値で取引される白珊瑚

東シナ海から日本近海の広い範囲に生息する『白珊瑚』は、高値で取引されることが多い宝石サンゴです。ホワイトコーラルと呼ばれることもあります。

その中でも象牙色(薄く黄色がかった白色)は、特に高値で取引されます。というのも、希少性が高い上に細工がよく際立ち美しい仕上がりになるからです。しかし素材自体が柔らかいことから、加工する時は高度な技術を要します。

宝石サンゴの歴史

日本はほとんど鉱物質の宝石を産出しないことで有名な土地です。その中で、四方を海で囲まれていることから、いくつかの場所が宝石サンゴの良い漁場として知られています。

特に高知県は日本で初の珊瑚採取漁業が行われたこともあり、『珊瑚産業の中心地』となっています。そして高知の宝石珊瑚細工も、世界的に有名な産業に成長しました。

では、この宝石サンゴの歴史はどのようなものなのでしょうか。

始まりは旧石器時代

人類と珊瑚の出会いは、紀元前2万年の旧石器時代といわれています。地中海沿岸では装飾品として珊瑚が使用されていました。また、薬品として珊瑚を利用していた記録も残っています。

また、珊瑚にまつわる興味深いものの一つに、ギリシャ神話においては勇者ペルセウスと魔女メドゥーサの戦いに赤珊瑚が出てくることが挙げられます。

これはペルセウスがメドゥーサとの戦いに勝ち、メデゥーサの首を切ったところ、その首は遠くに飛んで行ってしまいました。その際に首から落ちたメデゥーサの血が海藻に触れ、赤く染まった部分は珊瑚になったという伝説です。

このことから、ヨーロッパにおいては珊瑚は『魔よけ』としての意味合いを強くしていきました。

日本では仏教の伝来とともに伝わる

日本に珊瑚が初めてもたらされたのは、6世紀のことです。仏教と共に日本に渡ってきた珊瑚は、後に東大寺を建立したことで知られる聖武天皇に献上されたといわれています。

その後、江戸時代までは珊瑚を海外から輸入して宝石として利用していました。そして19世紀初めに、高知県で偶然にも珊瑚が採取されたのです。

その際、輸入品よりも色も品質も良かったことから、高価で取引されることが予想されましたが、江戸時代に発布されていた倹約令に抵触する可能性があり、漁自体は行われませんでした。

しかし、明治時代になると文明開化・富国強兵という方針が打ち出され、珊瑚漁も急速に発展しました。

宝石サンゴの豆知識

このように、世界中から注目を集める日本産の宝石サンゴですが、ここからはこの宝石サンゴにまつわる知っておきたい豆知識を紹介していきましょう。

宝石サンゴの採取方法

高知県などでは伝統産業となっている珊瑚採取漁業ですが、2種類の方法で行っています。

一つは採取網を利用したもので、伝統的な漁法となっています。採取網におもりをつけて、海底の珊瑚を引っ掛けながら採取していく方法です。

闇雲に海底を底引いてしまうと環境破壊につながりかねないので、潮の流れに任せることになります。そのため、運によって左右される方法ともいえるでしょう。

もう一つの方法が、ロボット潜水艇を利用する最先端の漁法です。成長した珊瑚だけを狙い撃ちして採取する漁法で、無人潜水ロボットが採取を行います。

ロボットの先端に付いたアームを操作し必要な珊瑚だけを採取するので、資源保護と有効活用を両立させる漁法として、現在多くの現場で採用されている方法です。

幸福という意味を持つ宝石サンゴ

宝石には花言葉のような『宝石言葉』がありますが、珊瑚の宝石言葉は『確実な成長』『長寿』『聡明』『幸福』などとなっています。

特に赤珊瑚の色から連想されるものとして血があります。その血が生命力と考えられることから、『健康を守る魔よけ』として利用されてきました。

日本では室町時代頃から、親から子へ引き渡す宝石として重宝され、娘にはかんざしなどにして引き継いでいったそうです。

日本での主な産地は沖縄や高知

珊瑚の色こそ産地によってさまざまですが、日本では高知県を筆頭に沖縄や小笠原諸島で珊瑚採取漁業が行われています。

世界から注目されている血赤珊瑚については、日本が最も有名な産地と知られています。その他、赤珊瑚はイタリアやフランスといった地中海に面している西ヨーロッパでも採取されています。

宝石サンゴは希少価値の高い宝石

このように、日本産の血赤珊瑚は特に人気の高い方世紀として知られています。濃く深い赤褐色の珊瑚は、日本近海でしか採取できないという希少性も手伝って市場価値は高いままです。

とはいえ、日本国内で採取できる貴重な宝石です。大切な資源である血赤珊瑚の資源が破壊されないよう、今後もしっかりと見守っていく必要があります。

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