哲学用語のかっこいい言葉5選。おすすめの用語辞典も紹介

2018.10.04

『哲学』と聞くと、抽象的で難しいイメージですが、実は私たちの生活の中で使いこなせる思想もたくさんあります。哲学をテーマに、ワンランク上の知性を身につけたいあなたに知って欲しい知識や用語をまとめました。

哲学とは?哲学という営為とその背景

『哲学』という学問の名は一般的に広く知れ渡っていますが、哲学とは何かと問われた場合、一言で言い表すことは難しいかもしれません。まずは、哲学という言葉の語源や定義など、基本的な概念について説明します。

哲学の語源は「知を愛すること」

『哲学』とは、ギリシア語のphilosophiaを日本語に訳したものです。”philein”は『愛する』という意味に、そして”sophia”は『知』という意味を表します。つまり哲学とは、人間の賢智を愛し、探求する学問です。

最初に哲学という言葉を用いた人物は、明治の西洋哲学者である西周(にしあまね)です。西周は当初『希哲学』との言葉を用いましたが、その後『哲学』へと用語を改めました。

哲学の定義は人によって異なる

では、「哲学の定義は?」と問われると、人により、または時代により様々な答えが返ってきます。

『西洋哲学』と『東洋哲学』に分かれ、その中から更に、『ギリシア哲学』や『イスラム哲学』『インド哲学』『日本哲学』など細分化されています。哲学が主題とする分野も、科学や宗教、数学、論理学など様々です。

このようなことから哲学の定義は人によって異なります。強いて定義をあげるなら、やはり『知を愛する=英知を探求する学問である』と言えるでしょう。

哲学用語で超有名なカタカナ語3選

ここからは、主な哲学用語について紹介します。まずは、哲学用語の中でも大変有名なカタカナ語3つについてまとめました。いずれも哲学を学ぶなら初めに知っておきたい用語です。

ヘーゲルの『アウフヘーベン』

『アウフヘーベン(aufheben)』とは、ドイツの哲学者ヘーゲル(1770~1831年)が用いた『弁証法』の基本的概念です。日本語では『止揚(しよう)』または『揚棄(ようき)』と訳します。

弁証法とは『あるモノやコトを否定するものの、そこから次代に残すべきものを残し、新たな世界を築く』という問題の解決方法を論じたものです。

アウフヘーベンはその中で『命題(正)とそれに対する反対命題(反)をまとめて第三の道(合)へと導く概念』として使われています。どういうことなのか、具体例で見ていきましょう。

たとえば、「体重を増やしたくない」という命題に対し、「おなか一杯食べたい」という反対命題があったとします。普通に考えれば、おなか一杯食べれば体重は増えるはずですから、これらは互いに矛盾する命題であるといえます。しかし、ここで「低糖質の食事をする」といった新たな命題を考えてみると、これら2つの矛盾する命題はどちらも解決できることが分かります。

このように、2つの矛盾する命題(正と反)を解決する新たな命題(合)を生み出す思考の過程を、アウフヘーベンと呼ぶのです。

古代ギリシア哲学、プラトンの『イデア論』

『イデア』とは、ソクラテスの弟子としても有名なプラトン(紀元前427~347年)の思想です。ギリシア語のideinという言葉から生まれたもので、日本語に訳すと『見えているもの・姿・形』という意味を持ちます。

イデアとは何か、プラトンは次のように話しています。「われわれが見ているものは、炎で照らされて壁に映る影である」

つまりイデアとは『とあるモノの真の存在』であり、イデア論とは『この世にあるモノはいずれもイデアのコピーに過ぎない』という観念を指します。

この概念を軸に、プラトンは「精神世界の中に存在する『真なるイデア』を追求することが人間の本質である」という哲学を発展させていくのです。

ニーチェの『ルサンチマン』

『ルサンチマン』とは、被支配者層あるいは弱者が根底に溜め込む恨みや妬みのことです。19世紀の哲学者ニーチェ(1844~1900年)は「ルサンチマンが『強者は悪・弱者は善』とする奴隷道徳を生み出した」との考えを示しました。

人が、ルサンチマンに陥る背景には『自分が弱い立場である』との意識が隠されています。ルサンチマンに陥ると、社会全体が悪であると感じるようになります。強い他者を否定することで、弱い自分を肯定することができるのです。

ルサンチマンに陥りがちな状況は、社会のあちこちで見られます。ニーチェは、ルサンチマンこそが苦悩の原因であり、これを超越した人間こそが真の強者だとも述べています。

人気のかっこいい哲学用語2選

会話の中で哲学用語をさりげなく使えると、相手から一目置かれる存在になれるでしょう。知っていると「おっ?」と思わせるような、かっこいい哲学用語を2点紹介します。

「アンチノミー」と「パラドックス」の使い分け

「アンチノミー」と「パラドックス」、どちらも『2つの矛盾や相反』を指すときに使われますが、その中身には少し違いがあります。

アンチノミーとは『二律背反』のことです。2つの命題に食い違いがあり、お互いに矛盾しているので現実には両立しません。中国の古典に登場した『何でも貫く矛と何も貫けない盾』の話は、二律背反の事例です。

パラドックスとは『逆説』のことです。一見正しい命題と推論を用いつつも結論は矛盾を含んだものになる、または一見成り立たない命題と推論だけど結論は妥当、といった状況を指します。

アキレスと亀のパラドックス

具体例として、有名な『アキレスと亀』のパラドックスをご紹介しましょう。それは以下のようなエピソードになります。

アキレスはとても足が速い男です。そんな彼があるとき、亀と100mの競争することになりました。しかし当然亀はとても足が遅いので、アキレスは亀に10mのハンデを上げることにしました。

スタートの合図と同時に、アキレスは一瞬にして10m進み、あっという間に亀がもといた地点まで到達してしまいます。しかし亀の方も、のろまながらも3m先に進んでいます。次にアキレスが3m進むと、亀は1mだけ先に進んでいます。アキレスが1m進むと亀は30cm、アキレスが30cmすすむと亀は10cm…というように、アキレスが進んだ時間の分、亀も少しだけ進むので、アキレスはいつまでたっても亀に追いつくことはできず、結局アキレスは競争に負けてしまいました。

いかがでしょうか?これは一見すると論理的に正しいように感じられ、説得力のある命題ですが、現実的には『アキレスが亀を追い越すことはできない』という結論は荒唐無稽です。これは、「一見正しいようだけれど実は間違っている」パラドックスの典型的な例と言えます。

どこが間違っているか、あなたにはわかりましたか?

ポストモダニズムで行われた「脱構築」

ポストモダニズムとは、モダニズム(近代主義)に対立する形で生まれた思想です。フランスの思想家デリダ(1930~2004)は『脱構築』と呼ばれる方法論を提唱し、モダニズムからの脱却を試みました。

『脱構築』とは、それまで常識だと思っていた構造を壊し、それらを再構築しようという考え方です。言い換えると「絶対だと思っていたこと(真理)は単なる解釈に過ぎない」とも言えます。

脱構築は、建築やデザインをはじめとする、幅広い分野に取り入れられています。近年よく見られる前衛的なデザインの建築物も、従来の建築物の概念を崩して新たな創造物を生み出している脱構築の一例と言えます。

哲学用語にはほかにも、日常生活でも使えるかっこいい言葉が数多くあります。知性の光る会話を楽しむために、この記事も参考にしてみてください。

哲学用語はかっこいい。明日から使える哲学用語を紹介します

哲学用語辞典5つで用語の背景を学ぼう

用語の背景を学ぶことで、哲学への理解はどんどん深まります。哲学用語辞典を理解度に合わせて5冊紹介します。

入門から初級者向けはイラスト付きで

田中正人・斎藤哲也の両氏による『哲学用語図鑑』は、哲学の入門書として大変人気の高い書籍です。イラストを効果的に使用してわかりやすく説明されているので、哲学初級者でも読みやすいでしょう。

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初級から中級者向けは筆者と共に歩む本で

入門書を卒業した、初級から中級者向けでおすすめの用語辞典がこちら、村治能就氏編集の『哲学用語辞典』です。用語の解説だけにとどまらず、哲学的な問題意識もちりばめられているので、読めば読むほど哲学の世界を深く味わうことができます。

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初級から中級者向けの書籍なら、中山元氏による『思考の用語辞典―生きた哲学のために』も良いでしょう。語り口調で親しみやすく、ライトな読み物的哲学書でありながらも、しっかり学びも得られる仕組みになっています。

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中級から上級者向けは議論も見られるものを

哲学の中級者から上級者向けにおすすめの事典が、廣松渉氏の編集する『岩波哲学・思想事典』です。1929ページと非常に膨大なページ数で、東西の哲学用語はほぼ網羅しているでしょう。

大きめの図書館や大学の研究室には大抵置かれているので、見かけたことがある人も多いかもしれません。

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スタンフォード大学のオンライン事典『Stanford Encyclopedia of Philosophy』も、中級から上級の学習に向いています。世界中の研究者が分担して作成した事典であり、まさに世界の哲学がここに集まっていると言えるでしょう。

英語が読める場合は、ぜひ積極的に活用したい事典です。

Stanford Encyclopedia of Philosophy

背景を知れば用語の理解が深まる

哲学を学ぶには、用語を深く理解することが大切です。何故なら、用語の1つ1つが生まれる際には、哲学的な思想が必ず背景にあるからです。

用語の理解を深めるためにも、ぜひその用語に関わる出来事や人物、時代などの背景も一緒に学ぶようにしましょう。背景を学ぶことが用語の理解へ、ひいては哲学への深い理解へと結びつきます。

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