道教の祖「老子」の教えとは?2000文字で簡単に解説

2019.07.29

中国の固有宗教でありながら日本の文化にも多大な影響を及ぼした道教。その祖師とされる老子とはどのような人物なのでしょうか。この記事では老子の教えをその著作や名言とともにご紹介します。

老子の人生と著作

生没年は不詳とされ、伝承では生まれながらに老いていたとも言われる老子。その思想に触れる前に、老子の人物と残した書物を簡単に確認しておきましょう。

老子とはどんな人物か

老子は、かつて孔子の師とも言われましたが、現在では孔子の生きた時代より後の紀元前4世紀頃の人と推定されています。長らく周王朝の図書室で記録係をしていましたが、周の国力の衰えを見て都を離れたとされています。途中に立ち寄った函谷関の関守をしていた尹喜(いんき)に求められ残したのが、今日『老子』あるいは『道徳経』と呼ばれている書物とされています。

道教の教典『道徳経』

道徳経は、五千数百字あまりの書物で、アフォリズム(教訓的な短い文章)の連なりで構成されています。「道」の字で始まる第1章から第37章の上篇と、「徳」の字で始まる第38章から第81章の下篇からなるため、『道徳経』と呼ばれています。第1章冒頭の「道の道う可きは、常の道にあらず」という言葉から、老子にはじまる学派を道教と呼ぶことになりました。

老子の教えの根幹

のちに易経(えききょう)や陰陽道(おんみょうどう)とも結びついていく老子の「道教」の基本思想とはどのようなものなのでしょうか。「道」「自然」というキーワードと、道教の始祖の一人とされている荘子との違いから考えてみましょう。

宇宙の源に「道」の存在

『道徳経』の冒頭において老子は、これが「道」だとはっきり述べられるようなものは不朽の道ではない、としながら、天地の根源にあって、つねに変化しうごめき続ける混沌のようなものが「道」であると論じました。つまり、老子のいう「道」とは、この世の森羅万象を生み出す万物の根源、宇宙意識のようなものと考えられます。

「自然」であること

老子が唱えた「自然」とは、現代で言うネイチャーとは異なり、「あるがままの状態」「おのずから」を意味します。人間の生活や政治・経済・社会の一切のなかに流れている「道」にしたがい、作為なく自然であるならば、すべては自ずから発展していくという考えです。

荘子との違い

道教は、ときに老子と荘子の名前をとって「老荘思想」とも呼ばれます。荘子は老子より遅く紀元前32世紀頃の人物です。荘子が記し、後に荘子学派によってまとめられた書物『荘子』には、善悪美醜といった相対的な差はなく、すべて等しい価値を持つという「万物斉同」の境地が、壮大でファンタジックな寓話を介して論じられています。老子が「道」を政治的提言として主張したのに対して、荘子は個人の精神のあり方として自説を論じました。

『道徳経』にみる老子の名言

最後に、老子が『道徳経』に残した名言をいくつかご紹介します。

  • 大器晩成(第41章)

老子の論じた元々の意味は、「大きな器はなかなか完成したように見えない」。つまり、「道」は、誰にでも見えたり簡単に理解できるものではないということを示しました。

  • 大巧は拙なるがごとし(第45章)

「本当に巧妙/真の名人は、小手先の細工をしないから、一見下手に見える」という意味です。

  • 千里の行は足下より始まる(第64章)

言わずと知れた「千里の道も一歩から」という心構えです。

  • 天網恢恢祖(てんもうかいかい)にして漏らさず(第73章)

「天が悪人を捕まえるために張り巡らせた網目は粗いが、悪事を働いたものを漏らすことはない」という意味で、いまでは、「悪事を働けば、必ずいつか報いを受ける」といった意味で使われます。

  • 柔よく剛を制す(第78章)

現在と意味は同じで、柔軟であれば堅く強いものに打ち勝つことができます。この言葉の後には、「天下に水より柔弱なものはないが、堅く強い者に勝つのに水にまさるものはない」と続きます。

道教と老荘思想

道教は、中国古来の神仙思想や民俗信仰と結びついて、「易」や「風水」へと発展していきました。現在では、そうした「道教」と「老荘思想」とは区別して論じられるのが一般的です。日本でも陰陽道や修験道(しゅげんどう)につながっていった道教の広がりについて、さらに知識を深めてみるのも面白いかもしれません。

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