オペラ「蝶々夫人」が異色と言われる理由。あらすじなどを解説

2019.07.29

日本で最も有名なオペラ作品と言われている「蝶々夫人」。明治時代の長崎を舞台にした物語なので、始めて鑑賞する際にも時代背景などが理解しやすくおすすめです。この記事ではそんなオペラ「蝶々夫人」の簡単なあらすじから、詳しい物語までまとめてご紹介します。

オペラ『蝶々夫人』とは?

蝶々夫人は、イタリアの作家「ジャコモ・プッチーニ」が作曲したオペラ作品です。原作はアメリカのジョン・ルーサー・ロングが発表した小説です。

その小説を元に、劇作家「デーヴィッド・ベラスコ」が戯曲を制作します。プッチーニはその戯曲を観覧して感銘を受け、オペラにアレンジしたそうです。

日本で最も有名な異色オペラ

オペラと言えば、西洋音楽というイメージがありますが、蝶々夫人はオペラの中でも珍しく日本音楽が多用されています。

「さくらさくら」「君が代」「お江戸日本橋」など、誰もが知っている有名曲も登場します。オペラに馴染みが無くても、日本人ならどこか懐かしさを感じる異色な作品です。

登場人物(メインキャスト)

蝶々夫人の主な登場人物を簡単にご紹介します。

  • 蝶々夫人(ソプラノ):15歳の没落藩士令嬢。夫を一途に愛する純粋な心を持っている。
  • ピンカートン(テノール):アメリカの海軍兵。日本駐在中に蝶々夫人と結婚する。
  • シャープレス(バリトン):長崎在住の領事。蝶々夫人を思いやる優しい人物。
  • ケイト・ピンカートン(メゾソプラノ):ピンカートンがアメリカで結婚した本妻。
  • スズキ(メゾソプラノ):蝶々夫人の世話をする女中。
  • ゴロー(テノール):お調子者の結婚紹介人。
  • ボンゾ(バス):蝶々婦人のおじであり僧侶。

蝶々夫人の簡単なあらすじ

舞台は明治の長崎。没落藩士令嬢の蝶々夫人は、アメリカ海軍士官ピンカートンと結婚します。蝶々夫人は2人の愛を永遠と信じていましたが、ピンカートンはアメリカに帰り、別の女性ケイトと結婚します。その事実を知った蝶々夫人は希望を失い、ピンカートンとの子どもを残して自殺してしまいます。

ちなみに、ミュージカルの名作「ミス・サイゴン」は、蝶々夫人の物語を元に、舞台をベトナム戦争時代にアレンジした作品です。設定や登場人物は違いますが、大まかな物語は非常によく似ており、どちらも悲劇作です。

『蝶々夫人』のあらすじ第一幕

ここからはより詳しく蝶々夫人のあらすじをご紹介します。この作品は第1幕50分、第2幕60分、第3幕30分に分かれており、上映時間の合計は約2時間30分です。

 ピンカートンとゴロー

アメリカ海軍兵のピンカートンは、結婚紹介人のゴローに新居の説明を受けています。ピンカートンはゴローに、日本で結婚する現地妻の紹介を依頼し、ゴローは15歳の娘・蝶々夫人に目を付けました。ピンカートンと蝶々さんは、今日からこの新居で生活することになっています。

 ピンカートンとシャープネス

そこに駐長崎領事のシャープレスがやってきます。シャープレスは、蝶々夫人が結婚を心から喜び、生涯の愛を信じていることを思い出します。

そこでピンカートンに蝶々夫人のことを本当に愛しているのか尋ねます。ですがピンカートンは、「この結婚も一時の愛」と楽観的に答え、シャープネスは戸惑います。

蝶々夫人とピンカートンの結婚式

蝶々さんは夫との愛を誓うために、キリスト教へ改宗までしていました。ピンカートンと蝶々さんが結婚式を挙げた後、彼女の叔父であり僧侶のボンゾがやってきます。

ボンゾは蝶々夫人が改宗したことに激怒し、彼女を勘当します。蝶々夫人は、親戚に捨てられても、幸せと語り、ピンカートンは彼女を慰めます。そこで2人が歌う愛の二重唱「可愛がってくださいね」が奏でられ一幕が終了します。

『蝶々夫人』のあらすじ第二幕・三幕

続いて第二幕・三幕のあらすじをご紹介します。初演版では第一幕60分と第二幕90分に分かれており、三幕はありませんでした。上映後、90分の上映時間は長すぎるという不評があり、改訂版は三幕に分けられました。

ピンカートンがアメリカに帰る

舞台は第一幕から3年が経過しています。日本での任務を終えたピンカートンは、故郷であるアメリカに帰ることになりました。蝶々夫人は寂しがりますが、ピンカートンは「コマドリが巣をつくる頃には帰ってくるよ」と約束をします。

信じて待っている蝶々夫人に、女中のスズキは「ピンカートンは返ってこないのではないか」と伝えます。それでも彼女はいつか帰ってくることを信じ、有名なアリア「ある晴れた日に」を歌います。

蝶々夫人とピンカートンの子供

その後、シャープネスはピンカートンから、アメリカ人と結婚したという内容の手紙を受け取ります。しかし、蝶々夫人の純粋に待ち続ける姿を見てしまい、なかなか真実を伝えることができません。

蝶々夫人のそばには、ピンカートンとの間に生まれた子供が寄り添っていました。シャープネスはその子供を見て衝撃を受け、ピンカートンに子供の存在を伝えると約束します。

しばらくたち、港にピンカートンの軍艦の船が到着しました。蝶々夫人は、「夫が戻ってきた」と喜び、スズキと共に「桜の枝を揺さぶって」を歌います。ですが結局朝になってもピンカートンは戻って来ませんでした。

 ピンカートンケイトを連れて戻る

翌日の朝、ピンカートンはアメリカ人の妻・ケイトを連れてスズキに紹介します。スズキは激怒しますが、「蝶々夫人の子供をケイトに預けれくれたら、責任をもって育てる」という申し出を受け、蝶々夫人を思い絶望します。

ピンカートンはようやく自分の罪の重さに気づき、蝶々夫人に合わせる顔もないと去っていきます。

 全てを悟った蝶々夫人が自害する

蝶々夫人が目を覚まし、ピンカートンの妻・ケイトの姿を目撃します。すべてを悟った彼女はケイトに挨拶をし、自分の子供を預けることを伝えます。

一人になった彼女は、子どもを抱きしめて目隠しをします。そして、「名誉のために生きることが叶わないならば、名誉のために死にましょう。」と、父の形見の短刀で自害してしまいます。

蝶々夫人は初めてのオペラ鑑賞におすすめの名作

蝶々夫人は日本で最も上映されている名作オペラと言われています。日本音楽や美しい歌を堪能できるため、オペラデビューにもおすすめの作品です。オペラに興味のある方はぜひ一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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