歌舞伎の公演を楽しむポイント。覚えておきたいマナーと全国の劇場

2018.10.02

観劇になじみのない人はもちろん、観劇経験がある人でも、歌舞伎は少し敷居が高いイメージがあります。しかし、マナーさえ守れば、歌舞伎の公演は初心者でも楽しめるものです。歌舞伎の公演を楽しむためにおさえておきたいポイントを紹介します。

初めて行く歌舞伎公演を楽しむポイント

歌舞伎の公演は他の演劇公演とは違い、独特の方法で上演されます。また、歌舞伎には様々な演目があるので、初心者にわかりやすい演目を知っておくと選びやすいです。歌舞伎公演を楽しむためのポイントを紹介します。

見取りと通しの違いを知る

歌舞伎の上演方法には、『見取り』と『通し』の2種類があります。『通し』というのは、一つの演目の最初から最後までを上演する方法です。ストーリーを最初から追っていくため、演目の知識がなくても内容を把握できます。

それに対して『見取り』は、演目の中の一部の見せ場のみを上演する方法です。この場合、観客が話の流れを知っていることを前提として名場面だけをチョイスして上演する、おいしいとこどりのスタイルと言えます。

ストーリーを、最初から順を追って楽しみたい場合は通し、歌舞伎の雰囲気を味わいたい場合は見取りがおすすめです。ただし、現在の歌舞伎公演は見取りのスタイルが一般的で、通しが少なくなっています。

初心者の演目選びのコツ

初めて歌舞伎を見に行く場合、内容をしっかり理解できるか不安に思う人も多いでしょう。歌舞伎の演目にはいろいろな種類があるので、その中で初心者向けのものを選ぶと安心です。

まず、初心者におすすめしたい種類として『世話物』があります。世話物とは、江戸時代の庶民の日常を扱った演目で、ストーリーもセリフもわかりやすいのが特徴です。

また、セリフがなく舞踊中心の演目である『所作物』や、比較的新しい時期に創作された『新歌舞伎』『新作歌舞伎』なども初心者におすすめできます。

また、あらすじを書いた『筋書き』と呼ばれるプログラムも販売されていますし、イヤホンガイドでの解説も行われているので、初心者でも心配はいりません。

知っておきたい歌舞伎鑑賞のマナーと心得

実際に歌舞伎を鑑賞する場合、どのような点に気を付けておけば良いのでしょうか。歌舞伎の公演で守るべきマナーや心得をチェックしておきましょう。

音に気を付ける

歌舞伎鑑賞で気を付けたいのが、上演中の音です。舞台の幕が開くと客席は静かになるため、ささいな音でもかなり響きます。私語はもちろん厳禁ですし、小さな音であってもなるべく立てないように注意しましょう。

例えば、急に咳が出てしまった場合でも、ハンカチで口をおさえるなどして、なるべく周囲に響かないようにするのがマナーです。また、バッグやビニール袋をガサガサする音なども周囲の人には気になるところですので、注意しましょう。

掛け声は要注意

歌舞伎のイメージとしてよく知られているのが、俳優の登場や見せ場のシーンで観客が『成駒屋!』『二代目!』などと声をかけることです。これは『大向こう』と呼ばれているもので、歌舞伎を鑑賞するなら、やってみたいと思う人もいるかもしれません。

大向こうは男性ならば誰がやっても良いのですが、タイミングが非常に難しく、下手な声掛けではセリフや芝居の邪魔になる可能性があります。初心者はむやみに掛け声をせず、静かに鑑賞するのがおすすめです。

服装のルール

歌舞伎を見に行く際の服装には、特に決まりなどはありません。カジュアルな服装もよし、スーツや着物などでもOKです。ただし、休憩時間以外は座ったままのため、リラックスできる服装にしておきましょう。

また、多くの人が集まる空間で、前後左右には知らない人が多数いる空間ですので、清潔感のある服装で行くのが基本です。香水なども控えめにしてください。

歌舞伎を見に行く際の服装でNGなのが帽子です。後ろに座る人の観劇の妨げになるので、もし帽子をかぶっていく場合には着席したら必ずぬぐようにしましょう。

歌舞伎の公演時間について知る

歌舞伎の公演は時間が長いイメージを持っている人も多いですが、実際にはどのくらいの公演時間がなのでしょうか。また休憩時間がどのように入るのか、そして休憩時間の過ごし方を紹介します。

公演時間は4時間程度

一般的な歌舞伎の公演時間は4時間~4時間30分程度です。多くの場合、昼公演、夜公演の2回行われるため、昼公演は11時~15時30分頃、夜公演は16時または16時30分~21時頃というスケジュールになっています。

4時間の中で、30分~1時間程度の演目を3~4つ上演するのが、歌舞伎の基本的な上演スタイルです。そして、それぞれの演目の間に休憩時間が入ります。

公演中の休憩は

休憩時間は上演する演目の数により2~3回ですが、うち1回が30分程度と少し長く、それ以外は10~20分程度です。30分の休憩は大体食事どきに当たるように設定されているため、ロビーや客席でお弁当を食べたり、食堂で食事をしたりする人が多くなっています。

チケットの半券があれば一旦劇場から出て再入場することも可能ですが、次の幕が開く時間に遅れないように注意しましょう。

また、歌舞伎座をはじめ歌舞伎を上演する劇場では、ロビーに多数のお土産物が販売されていることが多いので、休憩時間も退屈せずに過ごすことができます。

実際に歌舞伎の公演に行ってみる

歌舞伎鑑賞の基本を知ったところで、実際に歌舞伎の公演が見られる場所やチケットの購入方法について説明します。

歌舞伎が見られるところ

歌舞伎が見られる劇場として最も有名なのが東京・東銀座にある歌舞伎座です。その名のとおり歌舞伎のために建てられた劇場で、年間通して歌舞伎が上演されています。

その他の劇場でも歌舞伎は上演されることがありますが、年間の上演回数はそれほど多くはありません。歌舞伎座以外では、ミュージカルなどのその他の演劇作品の一つとして、歌舞伎が上演されるのが一般的です。

比較的歌舞伎の上演が多い劇場としては、東京では新橋演舞場や国立劇場、愛知の御園座、大阪の松竹座、福岡の博多座などがあります。

チケット購入の方法

歌舞伎のチケットは前売り、または当日売りの2種類があります。前売りはインターネットまたは電話での購入です。インターネットの場合、松竹が運営する『チケットWeb松竹』やチケットぴあなどでも購入できます。

松竹のサイトで購入したチケットは、郵送またはコンビニでの引き取りのほか、当日劇場に設置されている切符引取機で受け取り可能です。

また、歌舞伎座には1演目ごとに販売される『一幕見席』という席があります。座席は4階でどのくらいの席数が販売されるかは演目によって異なりますが、椅子席90名、立見60名ほどが最大定員で、当日券のみの販売です。

初心者の座席選びのポイント

チケットの料金は座席の種類によって1等席~3等席に分かれており、歌舞伎座の場合4,000円~20,000円とかなりの幅があります。一般的には1等席が人気ですが、それなりの料金がかかるので、初心者にはハードルが高いかもしれません。

もう少し安い料金でまず歌舞伎を見てみたいという人には、3階席の前方もおすすめです。3階A席は舞台からの距離は遠くなりますが、舞台全体が良く見えるため、歌舞伎の雰囲気を味わうには十分の席です。

購入時に希望すれば座席の指定もできるので、初心者は電話で見やすい席をオペーレーターに確認しながら購入しても良いでしょう。また、当日のみの販売となりますが、一幕見席は1,000~2,000円程度の料金で気軽に歌舞伎を楽しめるので、初心者におすすめです。

日本各地の歌舞伎公演場所を紹介

日本各地では歌舞伎の公演が見られる場所がいくつかありますが、その中から、特に有名な3つの劇場を紹介します。

東京の歌舞伎座

歌舞伎座は1889年に開場し、歌舞伎専用の劇場として知られています。これまでに4度改修されており、現在の歌舞伎座は2013年4月にオープンした建物です。年間300日もの間歌舞伎が上演されており、ひと月ごとに演目が変わります。

客席は1階から4階までありますが、特徴的なのが1階両脇に設置された桟敷席と、4階の一幕見席です。桟敷席では事前に予約しておくことで、専用の食事メニューを楽しむことができ、幕間までに座席まで届けてもらえます。

一幕見席は1演目ごとの設定でお得に鑑賞できるため、初心者やリピーターに人気です。

  • 劇場名:歌舞伎座
  • 住所:東京都中央区銀座4-12-15
  • 電話番号:03-3545-6800
  • 公式サイト

名古屋の御園座

御園座は1896年に、東京の明治座を手本として建設された劇場です。空襲や火災での焼失による建替えなどを経て、現在の建物は2018年4月にオープンしました。御園座では、歌舞伎をはじめ、ミュージカルや歌謡ショーなど様々な演目が行われています。

ちなみに、歌舞伎の公演では、客席を貫くように設置された花道があるのが一般的です。御園座は歌舞伎以外の公演にも利用されるため、花道ありとなしの両パターンで使用できるようになっています。

  • 劇場名:御園座
  • 住所:名古屋市中区栄1−6−14
  • 電話番号:052-222-8201
  • 公式サイト

大阪の松竹座

1923年、大阪・道頓堀に誕生した松竹座は、当初は映画の上映を中心に行う洋式劇場でした。その後の改装によって演劇専門の舞台設備を備えた劇場として生まれ変わり、歌舞伎やミュージカル、コンサートなどに利用されています。

地下鉄のなんば駅から徒歩1分とアクセスもよく、利用しやすい劇場です。

  • 劇場名:松竹座
  • 住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-19
  • 電話番号:06-6214-2211
  • 公式サイト

初心者でも意外と気軽に楽しめる歌舞伎の公演

普段の生活にはあまりなじみがないことから、敷居が高いと思われがちな歌舞伎ですが、実はそうではありません。ガイドも充実しており、初心者でも気軽に楽しめる工夫がされています。

周囲に迷惑をかけたりせず、基本的なマナーさえ守っていれば、歌舞伎は誰もが楽しめる娯楽です。演目などの情報をチェックして、一度歌舞伎の公演に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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