陶芸家ってどんな仕事?仕事内容や、有名な陶芸家を紹介

2019.07.25

『陶芸家』と聞いて、どのような印象を抱きますか?寡黙にろくろを回し陶芸品を作り上げる芸術家というイメージかもしれませんが、実態はどのようなものでしょう。陶芸家の仕事内容や、有名な陶芸家について解説します。

陶芸家とは

『陶芸家』には、特別な資格や免許、そして学歴などは必要ありません。いい換えれば、「この資格があるから陶芸家なのだ」という決まりはなく、ある意味で漠然とした肩書だともいえます。

それでは、具体的にどのような人を『陶芸家』と呼ぶのでしょうか?陶芸家の仕事や就職先など、まずは概要について見ていきましょう。

焼き物を作る職業

陶芸家の仕事を一言であらわすと、『焼き物を創作すること』です。それは、お皿やお椀、あるいは花瓶やオブジェなど、幅広いものでしょう。いずれにせよ、高い技術や感性を必要とする実力主義の世界です。

陶芸家という言葉の響きには、美術品を創作する『芸術家』を想像する人も多いでしょう。メディアで目にする著名な陶芸家には、アーティストとしての風格もうかがえます。

しかし、陶芸家は、そのような人たちばかりではありません。実用的な食器を商業活動として生産している人の中にも、陶芸家と呼べるのです。

多くの陶芸家は窯元に就職する

陶芸家には、個人で活動をしているイメージを持つ人もいます。実際は、多くの陶芸家は窯元に就職し、そこで焼き物の制作に携わっている場合がほとんどです。

縄文時代に生まれた土器から始まったとされる陶芸品は、中国や朝鮮から伝来した技術を取り入れながら進歩してきました。そして、全国に広まった陶芸は、各地で独自の製法を確立させてきたのです。

そのため、それぞれの地方に窯元があり、その土地ごとに受け継がれてきた陶芸品を製造しています。そして、陶芸家を志す人の多くは各地の窯元に就職し、そこで経験を重ね技術を磨くのです。

陶芸家になるには

伝承された技術で作られた陶芸品には、人の心に訴える力が宿っています。陶芸の世界に魅了され、陶芸品の創作に強い意欲が湧くと、陶芸家を目指そうと考える人もいるでしょう。

その陶芸家になるには、どのような道筋をたどるのでしょうか。陶芸家になるプロセスについて見てみましょう。

美術系の大学や専門学校に通う

陶芸について未経験の状態で就職することは、極めて困難です。そこで、美術系の大学や専門学校に通って知識や技術を身につけるのが一般的になります。

大学の中には、デザインや工芸・造形、文化について専門的に学ぶ学部を持っている学校もあります。そのような大学で身につけたものは、窯元への就職などに生かせるでしょう。

また、専門学校にも、伝統工芸やデザインを深く学べる学校もあります。調べてみると、陶芸に特化したコースを有している専門学校もあるほどです。即戦力としての力をつけたい人は、検討してみるといいでしょう。

陶芸家の弟子になる

陶芸について学び、技術を身に付つけたいのであれば、陶芸界で活躍している陶芸家に弟子入りすることも一つです。職人としての側面も持つ陶芸界では、徒弟制度の中から世に出た陶芸家も数多くいます。

弟子入りといっても、そのスタイルはさまざまです。以前は、仕事場の環境整備から身の回りの世話まで、すべて師匠の望む通り行うという関係も多く見られました。

しかし、現在はそのようなスタイルばかりではなく、企業の上司と部下のような関係で仕事をしているケースも存在します。そして、報酬や賃金についてもそれぞれで、一概にはいえないといえるでしょう。

弟子入りのメリットは、技術や知識の吸収はもちろん、材料の調達ルートや作品の流通経路などに関する人脈なども得られることです。将来独立を望む人にとっては、貴重な財産になります。

陶芸家の仕事内容

『焼き物を創作する』それが陶芸家の仕事です。一言で要約すると簡単に聞こえてしまいますが、より具体的に陶芸家の仕事内容を見てみましょう。

副業として活動する人も多い

陶芸に惹かれ、強い創作意欲を持つ人の多くには、独立し個人として活動したいと願う人もいるでしょう。しかし、陶芸という仕事は決して安定する職業ではありません。

そのため、副業として陶芸の仕事に携わっている人も多くいます。仕事の合間や就業後、そして休日を制作や勉強の時間にあてながら活動するのです。

独立すると陶芸を中心とした生活に

確かな知識と技術、そして資金と人脈を築いた後に、陶芸家として独立する人もいるでしょう。個人の工房を持つことは、陶芸家を志す人にとって一つの夢といえます。

この場合、主に工房を構えて、自宅との往復をしながら創作活動をしていくのです。陶芸の制作工程では、水につけては乾かすことを繰り返すなど、細かな作業が多いので、自宅と工房は近いほうが便利でしょう。

ただし、独立にはいくつかのハードルがあることも確かです。その最も高いハードルは、やはり資金力といえます。窯の設置や広い作業場の準備、釉薬など材料の確保には相応の資金が必要になるのです。

人間国宝になった陶芸家

陶芸品は、生活に欠かせない実用的な側面がある一方で、芸術品として高い価値を有するものもあります。焼き物は、長い歴史と伝統の中で、文化であり芸術としても発展してきました。

そして、その優れた創作力で高い評価を受け、人間国宝に定められた人たちもいます。そこで、広く認められた陶芸家について紹介しましょう。

濱田庄司

1894年に東京に生まれた濱田庄司(はまだしょうじ)氏は、近現代における日本の代表的な陶芸家の一人です。東京府立一中時代に、既に陶芸家の道を志していました。

大正時代半ばに、陶芸を極めようとイギリスに渡り、陶芸家としてのキャリアをスタートさせました。帰国後は、地方での暮らしを求めて、益子に移住したのは1924年のことです。

1930年代には、柳宗悦氏や河井寛次郎氏らと民芸運動をはじめ、日本の工芸界に大きな影響を与えました。

数々の功績を称えられ、1955年には第1回重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に認定され、陶芸家として3人目となる文化勲章も受賞しています。

加守田章二

1900年代後半に活躍し、その大いなる才能で陶芸界に大きな衝撃を与えながら、40代でこの世を去った加守田章二(かもだしょうじ)氏は、夭逝(ようせつ)の陶芸家と呼ばれる天才陶芸家です。

1933年に大阪府岸和田市に生まれ、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で陶芸を学びました。その後、59年に栃木県益子町で窯を構え、以来、独自の創作活動を展開しました。

陶芸家としての活動は、わずか20年という短いものです。その間、加守田氏は精力的に創作を行い、荒々しさと繊細さをあわせ持った緊張感あふれる作風は、現代美術に大きな功績をもたらしました。

北大路魯山人

北大路魯山人(きたおおじろさんじん)氏の名前を知らない人はいないだろうと思えるほど、近現代日本の文化を支えた偉大な存在です。陶芸のみならず、幅広い分野でその影響力を発揮しました。

1883年、京都の上賀茂神社の次男として生まれた房次郎(魯山人の本名)は、10代のころに『書の天才』と謳われました。類まれなる創作力を武器に、魯山人は30万点ともいわれる陶芸作品を残したのです。

美食家としても知られる魯山人は、37才で古美術商となり、そこで扱う食器に自ら作った料理を盛り付け振るまいました。その味が評判を呼び、政財界の大物が駆けつけて作られたのが、かの有名な『美食倶楽部』の始まりです。

河井寛次郎

河井寛次郎(かわいかんじろう)氏は1890年、島根県に生まれました。1910年には、東京高等工業高校(現・東京工業大学)窯業科に入学します。

そこで起こる運命的なでき事が、同じく陶芸家として人間国宝となる濱田庄司氏との出会いです。その後、京都市立陶磁器試験場に入所し、66年に死去するまで京都を拠点に創作活動を続けました。

陶芸家としての初期には、中国古陶磁に倣い、技巧的で華麗な作品を多く手がけています。第二次世界大戦中は制作を中断せざるを得ず、再開後にはその反動的エネルギーでより抽象的で芸術的な作風へと向かったのです。

有名な若手陶芸家

著名な陶芸家の活動を見てきましたが、若手陶芸家にも才能あふれる人材がひしめいています。その中から3人の陶芸家を紹介します。

新しい陶器を作る青木良太

爽やかな印象とは裏腹に、朝はラジオ体操で体調を整え、昼は自分で打った十割そばで食事、週に一度はテニスをし筋トレも欠かさない。そんな型破りな陶芸家が青木良太(あおきりょうた)氏です。

ヒップホップが大音量で流れる仕事場は、焼き物の産地である岐阜県土岐市に構えています。美しい山々に囲まれた工房から生み出される作品の数々は、力強くエネルギーに満ちています。

女性に人気の高いムラタカオリ

暖かい作風で女性に人気の高い陶芸家がムラタカオリ氏です。陶器に動物の柄をあしらった作風が話題を呼び、人気陶芸家の一人になりました。

神奈川県に生まれ、東京藝術大学美術学部工芸科陶芸専攻卒業後、同大学大学院美術研究科陶芸専攻修了という華々しい経歴です。愛らしくユニークな陶作品には、穏やかさとポップさが共存しています。

シンプルで使いやすい増渕篤宥

卓越した技術をもとに、膨大な手間を掛けて精緻なうつわを作りあげる、そのような姿勢で精巧な陶芸品を生み続けるのは増渕篤宥(ますぶちとくひろ)氏です。

1970年、茨城県笠間市に生まれ、中学時代に陶芸の道を志しました。92年に愛知県立瀬戸窯業高等技術専門校を卒業してからは窯元で修業し、97年には笠間焼の窯元の向山窯に入り、その才能を開花させています。

陶芸家の道は険しい

古くから受け継がれてきた陶芸は、伝統ある奥深い文化です。しかし、日常の食器の一部は焼き物からプラスチックなどへと変わり、さらに外国から安価な陶磁器が輸入され、日本の陶芸は厳しい環境にあります。

そのような状況で、陶芸家として独り立ちするまでの道のりは、とても険しいといわざるを得ません。しかし、それでも優れた陶芸家は現在も生まれています。

そんな魅力ある陶芸の世界にもっと触れてみてはいかがでしょうか。

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