陶芸とは?種類や主な産地、制作工程から始め方までを徹底解説

2019.07.24

「陶芸に興味が湧いたけれど、何から学び、どのように始めたらいいか分からない」というような人もいるでしょう。そこで、陶芸の種類や主な産地、製作工程などについてまとめました。素晴らしい陶芸の世界をぜひのぞいてみてください。

陶芸とは?

『陶芸』とは、日本が誇る伝統芸術の一つです。具体的にどのようなものなのか、まずは、陶芸に関する基本的な知識を身につけましょう。

焼き物を作る技術

陶芸とは、いわゆる『焼き物』を作る技術のことをいいます。身近なものでいえば、皿であったり茶碗であったり、あるいは湯飲みなどを作ることです。

一口に陶芸といっても、大きく4種類に分けられます。詳しくは後述しますが、『土器(どき)』『陶器(とうき)』『磁器(じき)』『炻器(せっき)』です。

技法としては、錆びた鉄を含む絵の具で模様を描き、本焼きの際に鉄分の変色を利用して模様をつける『鉄絵』や、素焼きの陶器に絵の具の呉須で紋様を描く『染付』、他にも『色絵』や『蒼白磁』などさまざまな技法があります。

陶芸の始まり

陶芸の始まりは、縄文時代といわれています。この時代に作られていた焼き物は、最も原始的な形態である土器でした。

その後、5世紀ごろには、朝鮮半島から窯とろくろを使った技法が伝わってきました。そこから、陶芸の技術は徐々に発達していきます。

現代にまで連なる本格的な陶器が作られるようになったのは鎌倉時代からです。それらは『土もの』とも呼ばれますが、これに対して、17世紀になると『石もの』と呼ばれる磁器が登場します。

磁器の製法が進歩することに合わせて、次第に日本各地に広まっていったといわれています。

陶芸作品の種類

陶芸にはいくつかの種類があります。それぞれ、原料となるものが異なり、完成形にも当然違いがみられます。そこで、陶芸作品の種類について解説しましょう。

最古の技法である土器

陶芸の中で、最古の技法といわれているものが『土器』です。その歴史は古く、縄文時代から作られ始めたとされていて、古来より日本人に親しまれてきた焼き物です。

吸水性が高く強度が低い土器ですが、安価で作れるという利点があります。そのため、中世以降は、使い捨ての食器として用いられてもいました。

現代の生活では食器には不向きですが、透過性や保水性に優れている面もあるので、植木鉢などには適しています。または、アロマテラピーで精油を蒸発させる際に利用されているのが土器なのです。

釉薬を混ぜて焼く陶器

草木を燃やしてできる灰と、長石などを砕いた土石類を水で溶いた材料を『釉薬(ゆうやく)』といいます。この釉薬を混ぜて焼いたものが『陶器』です。釉薬は『うわぐすり』とも呼ばれます。

陶器の始まりは奈良時代だとされていますが、鎌倉時代に急速な技術の進歩がありました。この時代に、今に伝わる陶器の基礎が築かれたといえるでしょう。

陶器の特徴として、水漏れがしにくい点があります。釉薬が、器の表面にガラス質の層を作るためです。そのため、食器や花瓶として広く使われるようになりました。

また、陶器の発達は、実用面だけではなく、美術品としての価値も高めました。粘土の特徴を生かした滑らかさや温かさは、観賞用としても見る者の心に訴えかけるものがあります。

石の粉末を混ぜた磁器

粘土を原料とする土器や陶器にたいして、陶石(とうせき)という粉末状の石を用いて作るのが『磁器』です。この製法は17世頃に日本に伝わりました。

陶石を使い高温で焼くことで、陶器に比べて、色が白く、硬く焼き上がる点が磁器の特徴です。強度が高いことで、薄く繊細な器を創作できるようになりました。

このことは、陶芸の芸術的価値をより高めることにつながっています。日本における代表的な磁器は、有田焼・九谷焼・砥部焼などです。そして、現代の生活で使われる食器のほとんどが磁器になります。

陶器と磁器の間の炻器

陶器と磁器の中間の特性を持っているのが『炻器』と呼ばれるものです。鉄分やアルカリを多く含んだ粘土を、高温でかつ長時間焼いて作ります。

『半磁器』ともいわれる炻器は、陶器と同様に、あまり透光性がありません。しかし、吸水性は低く、叩くと澄んだ音がする点が特徴です。

日本では丹波焼・備前焼・信楽焼などが有名で、陶磁器ブランドとしても有名なウエッジウッド社の『ジャスパーウェア』でも採用されています。

日本の陶芸品の主な産地と特徴

陶芸は外国からも技法を取り入れつつ進化してきました。そして、その発展とともに日本全国に広がり、それぞれの土地で育まれた陶芸の技が現代にまで伝えられています。

日本の陶芸品には、どのようなものがあるのでしょうか?主な産地と特徴などについて説明します。

古くから作られる六古窯

古来より受け継がれた陶磁器窯の中で、『中世(平安末期~安土桃山時代)から約900年以上の歴史を持つ』『現在も生産が続いている』という条件に見合う窯は、現在六つあります。その六つの窯を総称して『六古窯(ろっこよう)』と呼んでいます。

古陶磁研究家の小山冨士夫氏によって命名され、2017年には日本遺産にも認定されています。

そんな六古窯にあたるのは、信楽(しがらき)・備前(びぜん)・丹波(たんば)・越前(えちぜん)・瀬戸(せと)・常滑(とこなめ)です。

六古窯は、中国や朝鮮から渡った陶芸の技術によって形作られた、近世以降の窯(薩摩・唐津・萩・高取・有田など)とは明確に区別されています。

それ以外の代表的な産地

『日本のやきもの』と呼ばれているものが六古窯から生まれてくるとはいえ、それ以外にも、日本には伝統的なやきもの産地が数多くあります。そのどれもが、古くからの日本人の生活と文化を支えてきたといえるでしょう。

国内の代表的な焼き物の産地を紹介します。

  • 大堀相馬焼(福島県双葉郡浪江町)
  • 会津本郷焼(福島県大沼郡会津)
  • 笠間焼(茨城県笠間市)
  • 益子焼(栃木県芳賀郡益子町・真岡市・市貝町・茂木町など)
  • 九谷焼(石川県金沢市・小松市・加賀市・能美市)
  • 美濃焼(岐阜県多治見市・瑞浪市・恵那市・土岐市・可児市・可児郡御嵩町など)
  • 赤津焼(愛知県瀬戸市)
  • 四日市萬古焼(三重県)
  • 伊賀焼(三重県伊賀市・名張市)
  • 京焼(京都府京都市・宇治市・亀岡市・城陽市・向日市・長岡京市)

陶芸作品の大まかな制作工程

これまでに、焼き物の原料や、その違いによる種類などを見てきました。それでは、陶芸の手順とはどのようなものなのでしょうか?

大まかな制作工程を見てみましょう。

使う素材を決めて粘土を練る

まずは、原料となる良い土・石を選ぶことからスタートします。そして、それらを粘土状にしましょう。

粘土に欠かせないものは、もちろん土です。しかし、陶芸に使用するにはそれに適した土を選ぶ必要があります。形を作り、焼いても耐えられるように、耐火性や可塑性(かそせい)が求められます。

窯で焼き、完成させるまで壊れないような素材を選んで、しっかりと粘土を練る必要があります。

成形して乾燥させる

次に、練った粘土を使って、形を作ります。形を作るにも、いくつかの方法があるので紹介しましょう。

粘土を玉状にしてから形を作る『玉作り』や紐(ヒモ)状にした粘土を積み上げていく『紐作り』、粘土の板を作って貼り付けたり巻いたりして作る『たたら作り』、そしてろくろを使う『ろくろ作り』などです。

それぞれの方法で形付けた作品は、形成したては柔らかい状態です。そのため、少しの力で変形してしまう場合があります。そこで、乾燥させて固くするために、30~60分程度は手をつけずに置いておきます。

焦って乾燥させようと日光などにさらしたり、一方だけから風を当てたりすると、ヒビが入り壊れることもあります。ゆっくりと乾燥させて、固くしてから仕上げていきくのがポイントです。

窯で素焼き

次に、窯で素焼きです。およそ750~780℃の温度で、形付け乾燥させた作品を素焼きします。素焼きとは、釉薬を使用せずに、諸段階として窯で焼く作業です。

なぜ素焼きをするかというと、そのことで割れにくくなり、吸水性も強まるからです。そして、固まりつつある作品に釉薬をかけやすくします。

窯から取り出すときにも、注意が必要です。十分に窯の炉内の温度が下がってから取り出します。高温の状態で作品を外に出すと、急激な温度差でヒビが入ったり割れてしまったりすることもあるので、細心の注意を払う必要があります

うわぐすりをかけて本焼をする

素焼きが終わったら、うわぐすり(釉薬)をかけて装飾をします。これによって、ガラス質の膜ができ、より美しく仕上がるのです。

その後、約1200~1300℃の高温で焼き締める焼成(しょうせい)を行いますが、これには、主に2種類の方法があります。

十分な酸素を与え焼成(完全燃焼)させる酸化焼成と、不十分な酸素の状態で燃焼(不完全燃焼)させる還元焼成です。

焼成の違いによって、完成したときの下絵や釉薬の色合いに大きな違いが生じます。還元焼成では、酸素が足りず不完全燃焼になるため一酸化炭素が出ます。それが色合いに変化をもたらすのです。

手びねりとろくろの違い

作品を形付ける方法にも、主に二つあります。『ろくろ』と『手びねり』です。それぞれ、どのように違うのでしょうか。一つ一つ、その方法について解説します。

陶芸のイメージでもある電動ろくろ

『陶芸』と聞くと、反射的にろくろをイメージする人も多いことでしょう。回るろくろの前で作品を形付ける光景は、多くの人に強い印象を与えています。

テレビなどで目にして、「一度はチャレンジしてみたい」と考えた人も多いのではないでしょうか。上級者が作ると簡単そうに見えますが、始めは思うようにいかないものです。

工程そのものは、とてもシンプルです。まず、粘土を台の上に乗せます。そして、電動などのろくろを回し始めるのです。そのろくろの回転を利用して、器の形を作っていきます。

お椀などを作るときには、形がゆがんでしまわないように気を付けながら粘土を伸ばしていきます。最後は、土台から切り離して完成です。

自由な形が作れる手びねり

もう一つ紹介する方法が、『手びねり』です。こちらは、ろくろと違って聞き慣れない言葉かもしれません。

手びねりは、テーブルの上で手で粘土をこねて作る方法です。電動ろくろは、その性質状、回転形の作品を作るのに適しています。

それに対して、手びねりは形に制限がなく、どのような形状にでも自由に作品を作れることが利点でしょう。

例えば、お魚を盛る角皿やなどが代表です。

また、あえて形を崩したようなフォルムの作品は、手びねりでなければ作れません。

電動ろくろによる作品には均整がとれた美しさがあります。一方、手びねりには自由な発想でオリジナリティーあふれる作品が作れる魅力があるのです。

陶芸の始め方

「陶芸のことを知ってますます興味が湧いたけれど、どうやって始めたらいいかわからない」という人のために、陶芸の始め方について紹介します。

手軽な陶芸体験から始めてみる

「とても関心はあるけれど、続くかどうか分からない」と考えている人は、まずは手軽な陶芸体験から初めてみることをおすすめします。

各地にある陶芸教室や美術教室では、1日体験コースなどを用意しているところがたくさんあります。手頃な費用で、初歩的なことを体験してみてはいかがでしょうか。

また、自治体が主催する体験会なども見つかることもあります。気になる体験会などがあったら、気軽に問い合わせてみるといいでしょう。

陶芸教室に通って習う

陶芸についてしっかり学びたいと考える人は、陶芸教室に通うという方法が良いかもしれません。調べてみると、住まいの近くにも陶芸教室は見つかるものです。

陶芸教室に通うメリットは、たくさんあります。まず、専用の道具がそろっているので、良い環境で陶芸を習えます。また、経験が必要な焼成も任せることができる点は心強いです。

そして、なんといっても熟練の先生や講師が直接教えてくれることは、陶芸の上達にはとても有利です。直接説明を聞き、技術を目の前で見られることで、より多くのものを吸収できるでしょう。

本やインターネットから独学で学ぶ

お金をかけたくない、時間に縛られたくない、そのような人は独学で学ぶこともできます。陶芸に関する書籍はたくさん出版されているので、自分に合う教則本もきっと見つかるでしょう。

また、陶芸にまつわるサイトも多数あるので、そこからいろいろな知識や技術を身につけられます。さらに、インターネット上には、陶芸作品を作る動画もアップされています。上級者の技術を動画で確認しながら、独学で学ぶ人もたくさんいるのです。

自宅で陶芸をするために必要な陶芸用品

陶芸作品を作るには、どのような道具や備品を使うのでしょうか?自宅で陶芸をしようと思っている人に向けて、必要な陶芸用品について説明します。

陶芸用の土や釉薬

陶芸には、陶芸用の土を用意します。大型のホームセンターであれば購入できる可能性は高いです。また、近所に陶芸用品店があるかどうか調べてみるといいでしょう。

陶芸用の土は、10kg単位で売られていることが多いものです。そのため車で買いに行くことをおすすめします。あるいは、ネットでも注文できるので、販売サイトを見てみましょう。

焼成には、釉薬も必要です。釉薬も、大型ホームセンターや陶芸用品店、インターネット上のショップで購入可能なので、自分が欲しい釉薬を手に入れましょう。

成形するためのろくろ

お皿などではなく、円形のお椀や湯飲み、花瓶などを作るならろくろも準備します。自宅で作品を作るなら、高価な電動ろくろではなく、手回しろくろがおすすめです。

ろくろにも、サイズはいろいろあります。そして、サイズによって価格は異なりますが、数千円で購入できるものも多いので、探してみましょう。

手回しろくろは、単に電動ろくろの簡易型というわけではありません。絵付けなどで使う機会も多いので、電動ろくろを使う人でも用意しておきたい道具です。

土を整えるためのセット

陶芸作品を作るなら、何といっても良質の粘土を用意する必要があります。そのために、土を扱うことが重要になります。ですので、土を整えるためのセットを準備しましょう。

セットの内容としては、土を切るワイヤー・ヘラ・かきべら・こて・スポンジなどです。かきべらやヘラは、作る作品の大きさに合わせて、いくつかのサイズがあると安心です。

自宅で焼くなら窯も必要

陶芸では、素焼きと本焼きで、焼成を2回行います。そして、自宅で焼成までしたいと考えるならば『窯』も必要です。実際に、趣味が高じて窯を自宅に設置した人は少なくありません。

しかし、決して安価なものではありません。小さなタイプでも20万円はするので、それなりの負担です。また、窯を置くためのスペースも必要になります。

窯には電気式と灯油式があります。一般家庭で陶芸をするなら、家庭用電源で使える電気式がおすすめです。ただし、どちらも熱くなるので、設置場所に耐熱対策が必須となります。

陶芸作品を作ってみよう

土に触れ、自由に作品を作れる陶芸は、魅力あふれる創作活動です。集中して作品を形付けることで、神経が研ぎ澄まされ、心落ち着く時間も得られます。

陶芸に興味が湧いて自分で作ってみたいと思ったときは、陶芸教室やイベントなどで、陶芸の楽しさに実際に触れてみてください。

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