レ・ミゼラブルを時代背景から考察。フランス革命との関わりや歴史とは

2019.07.23

ミュージカル作品の中でも世界的に人気が高い『レ・ミゼラブル』。物語はフランスの歴史と密接な関係がありますが、いまいち時代背景が分からないという方も多いと思います。この記事ではレ・ミゼラブルのストーリーや時代背景についてまとめてご紹介します。

ミュージカル レ・ミゼラブルとは?

『レ・ミゼラブル』は、フランスの作家、ヴィクトル・ユゴーにによって書かれた小説と、それを原作とするミュージカル作品や映画のことを指します。とくにミュージカルはあらゆるミュージカルの中でも非常に人気が高く有名な作品であり、ミュージカル映画化もされています。

悲惨な人々の物語

原題である『Les Misérables』は、日本語で『悲惨な人々』という意味。そのタイトルの通り、主人公ジャン・バルジャンの悲劇な生涯を軸に、当時のフランス民衆の悲哀や苦悩を描いた名作となっています。レ・ミゼラブルは長編の物語となっていますので、物語の冒頭部分のみをご紹介します。続きはぜひ劇場でご覧になってみて下さいね。

レ・ミゼラブルのあらすじ

舞台はフランス。ジャン・バルジャンという男が、飢えた妹のために1本のパンを盗んだ罪により捕まってしまいます。窃盗の罪は5年なのですが、何度も脱獄を繰り返したことで罪が増え、結局パン1本を盗んだことで19年もの間囚人としてとらわれていました。

1815年、やっと仮釈放されたバルジャンですが、長い間服役していたたため仕事につくことさえできません。貧しさにあえぎながら、バルジャンは、高名な司祭がいると評判のある教会へとたどり着きます。貧しく、元囚人で、身なりもみすぼらしい彼に対して、司祭は優しく声をかけ食事とベットを与えます。

その夜、バルジャンは司祭の大事にしている銀の食器を盗んで逃亡してしまいます。一宿一飯の恩を、この上もないあだで返したのです。しかしバルジャンはすぐに警察に捕まってしまい、司祭のもとへと引き立てられます。

しかし、司祭の口から出たのは思いもかけない言葉でした。司祭は、「食器は私が与えたものだから、この人には何の罪もない」と警察官に説明し、釈放された彼に銀の蜀台を与えます。荒廃した人生の中で人の温かさに初めて触れ、恥を知ったバルジャンは人生を悔い改め、善人として生きていくことを誓います。

レ・ミゼラブルの時代背景とは?

物語は、1815年から1833年の33年間を描いています。レ・ミゼラブルと言えば、何となくフランス革命の時代というイメージがあるかもしれません。しかし実際には、フランス革命が終了した後の時代が舞台となっています。1815年のフランスは、バルジャンがパンを盗んでしまうのも致し方ないくらい悲惨で貧しい時代でした。

18世紀末のフランス

ここで、18世紀末から19世紀初頭にかけてのフランスの歴史的出来事と掛け合わせて見てみましょう。

  • 1789年 バスティーユ監獄の襲撃:フランス革命の始まりとされる事件です。民衆が監獄を襲撃し、囚人たちを解放したことで、国家秩序が揺るがされる事態となりました。
  • 1791年 ヴァレンヌ逃亡事件:革命の機運が高まるフランスにおいて、身の危険を感じた国王ルイ16世が国外逃亡を図った事件です。しかし失敗し、宮殿へと連れ戻されることとなりました。
  • 1792年 王政廃止:王政が廃止され、フランスは共和制へと移行します。
  • 1796年 バルジャンがパンを盗む

こう見てみると、バルジャンがパンを盗んだのは、フランス革命により政治が混乱し、社会秩序が著しく揺らいだ時期です。

一見、絶対君主制が崩壊し、市民に幸せが訪れたと思われがちなフランス革命ですが、同時に無秩序が横行し社会基盤が揺らいだ時代でもあります。経済活動も滞り、日々の生活を送る民衆にとっては悲惨な時代だったといえるでしょう。

次に、バルジャンが服役していた間の19年間をみてみましょう。この期間も、フランスは陰惨な激動の時代でした。

19世紀初頭のフランス

  • 1804年 ナポレオンが皇帝に即位:英雄ナポレオンが現れ、共和政を打倒し、帝政の時代が始まります。
  • 1805年~1814年 ナポレオン戦争:ナポレオンがヨーロッパ各地へと進軍し、各国と繰り広げた一連の戦争の時代です。初期は連戦連勝でしたが、次第にフランス軍は劣勢へと追い込まれていきます。
  • 1814年 ナポレオン失脚:フランス軍が連合軍に敗れ、パリが落城します。これによりナポレオンは失脚し、旧体制である王政が復活します。ルイ18世がフランス国王の座に収まりました。
  • 1815年 ワーテルローの戦い:再起を図るナポレオンが再度挙兵しますが、連合軍との戦いに敗れ、ナポレオン戦争が完全に終結します。
  • 1815年 バルジャンが出所

新しい皇帝ナポレオンの即位からつづく10年あまりは、フランス軍とヨーロッパ連合軍との戦争が続く時代です。拡大戦争のさなか、当然社会が豊かになっていくわけもなく、民衆の負担はより重く、貧困は著しかったであろうことが見て取れます。

そんな時代にあってバルジャンの置かれた境遇を考えると、『Les Misérables(悲惨な人々)』という原題の意味がより痛切に感じられることでしょう。このように、時代背景を頭に入れておくことで、歴史と物語の関係性が分かり、よりレ・ミゼラブルを楽しめるようになるかもしれません。

ミュージカル レ・ミゼラブルの魅力

ミュージカルファンの方はすでにご存じのことと思いますが、これからレ・ミゼラブルを見る方へ向けて、レ・ミゼラブルの魅力をご紹介します。

フレンチ・ミュージカルならではの音楽

レ・ミゼラブルでは、哀愁漂う楽曲から合唱曲まで、メロディーが美しい楽曲がたくさん歌われます。新妻聖子さんがバラエティー番組で歌ったことで話題になった「夢やぶれて」や、1人が歌い始め、どんどん人数が増えて合唱になる「民衆の歌」は迫力満点の鳥肌ものです。ミュージカルの醍醐味である歌を存分に味わえる作品です。

セリフがすべて歌になっているから飽きない

レ・ミゼラブルはセリフがすべて歌になっているおかげでメリハリがあり、登場人物の心情も心に響きやすくなっています。3時間ほどの長編作品ですが、全く飽きずに最後まで見ることができます。

映画版で予習するのもおすすめ

これからレ・ミゼラブルを見に行くとい方は、映画版レ・ミゼラブルで予習をしてくのもおすすめです。映画と言っても、ミュージカルの内容がそのまま映像化されたような作品なのでとても臨場感があります。

時代背景を知ってレミゼをより楽しもう

レ・ミゼラブルは、フランスの時代背景や歴史と密接に関係している作品です。時代を知ることで物語の世界観や登場人物の心情が伝わり、ミュージカルをより楽しめるようになりますよ。レ・ミゼラブルが好きな方は、ぜひこの記事を参考に、歴史背景についても調べてみて下さいね。

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