日本の名画といえばこれ。近現代の日本を代表する名画8選

2019.07.23

日本にも、世界的に知られる有名な絵画がたくさんあります。19世紀後半に活動した西洋の画家たちの間では、浮世絵などの日本芸術が注目されていました。日本の名画の知識を深めることで、より鑑賞を楽しめるでしょう。時代別に日本の名画を紹介します。

江戸時代の大作

江戸時代の日本芸術では、浮世絵などの名作がたくさん生まれました。海外の画家たちにも影響を与えた葛飾北斎をはじめとする日本の画家たちが、日本人らしい繊細かつ独特の表現力によって、作品を描いたからです。

ここでは、江戸時代に描かれ、後世でも大作として評価の高い作品を3つ、ご紹介します。

葛飾北斎 富嶽三十六景

葛飾北斎(かつしか ほくさい)は、日本を代表する浮世絵師の1人です。彼は、世界的な画家ビンセント・ヴァン・ゴッホやアンリ・リヴィエールなどのほか、音楽家のクロード・ドビュッシーにも影響を与えたことでも知られています。

葛飾北斎の魅力的な生涯や、約70年もの長い間、描き続けられた多彩な作品は、現在でも高い評価を得ています。彼の作品を代表する『富嶽三十六景』は、浮世絵風景画の代表作です。

この富嶽三十六景は、富士山の姿を今の東京、神奈川、千葉、山梨、静岡などに当たる場所から描いています。富嶽三十六景の1つである『神奈川沖浪裏』や『凱旋快晴』は、日本人ならば一度は目にしたこともあるほどに有名な作品です。

歌川広重 東海道五十三次

葛飾北斎の富嶽三十六景によって、風景画ブームが訪れようとしている頃、歌川広重(うたがわ ひろしげ)は、『東海道五十三次』を世に出し、風景画の第一人者として幕末に人気を博した浮世絵師です。

東海道とは、江戸時代に徳川家康によって作られた五街道のうちの1つです。東海道には現在の東京〜京都まで53の宿場があり、それを東海道五十三次と呼んでいます。

歌川広重の東海道五十三次は、起点である江戸の日本橋に始まり、53の宿場と終点である京都の三条大橋まで、計55図で構成された風景画のシリーズ作品です。

伊藤若冲 動植綵絵

伊東若冲(いとう じゃくちゅう)の『動植綵絵(どうしょくさいえ)』は、最高級の岩絵具をふんだんに用いて描かれた、30幅に及ぶ花鳥図の大作です。若冲の代表作としても知られています。

描かれたさまざまな植物、鳥、昆虫、魚貝などは、命の輝きを感じるリアルさで、観る者を圧倒するでしょう。禅に帰依したという若冲が、すべての生き物を慈しんでいる心が感じられます。

裏彩色(紙や絹などの裏側から色を塗ること)や極彩色を用いるなど、たぐいまれな才能と独特な技術によって、若冲は動植綵絵を完成させました。

近代日本の名画

近代日本の名画には、どんなものがあるのでしょうか。近代日本画は、明治維新と、それに伴う近代的国家体制の樹立という大きな変革の時代でした。

日本の芸術界も、それまでの日本の美術の美意識とは全く異なる西洋美術によって、大きく変わり始めました。ここでは、近代日本の名画を3作品紹介します。

東山魁夷 緑響く

東山魁夷(ひがしやま かいい)の『緑響く』は、テレビCMなどに使われていたこともあり、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

この作品は、信州の美しい自然の『御射鹿池(みしゃかいけ)』をモチーフに描かれたものです。この御射鹿池の水は酸性が強いため、生き物が生息できません。そのことを表現するかのような、凛とした雰囲気が作品から伝わってきます。

御射鹿池を眺めているときに、頭にイメージがわいてきた白い馬を、魁夷が表現した言葉は『ピアノの旋律』というものでした。

また、樹々の背景は『オーケストラ』と表現しており、モーツァルトのピアノ協奏曲の第二楽章の旋律が頭の中に響いていたと、東山魁夷館所蔵作品集に書き記しています。

横山大観 無我

横山大観(よこやま たいかん)は、昭和12年に第1回文化勲章を受章し、明治・大正・昭和と日本画界をリードした画家です。

『無我』は、彼の初期代表作であり、無我とは仏教用語で『世の無常に己の存在を否定する意』を意味しています。大観が、その無我を表現しようとして描きだしたのが、無心で天真爛漫な幼児の姿でした。

日本の季節感とともに『無』を描くという、それまでの日本画界では見られなかった斬新な発想は、まさに気鋭の青年画家と呼ばれるにふさわしい作品となりました。

速水御舟 炎舞

速水御舟(はやみ ぎょしゅう)の『炎舞(えんぶ)』は、真っ赤な炎に色彩豊かな蛾が群れ飛ぶ幻想的な世界観を描いたもので、御舟の最高傑作とも呼ばれる作品です。

速水御舟は、先輩であり同じく日本画家だった中島光村から、絵を描くときにはよく見て写生をし、よく工夫をして描かなければならない、というアドバイスを受け、生涯その言葉を忘れずに絵を描いたと言われています。

大正14年の夏、家族と訪れた軽井沢での焚火を見ていて構想が浮かんだという炎舞も、毎晩焚火をし、炎や蛾をよく観察し写生することで、幻想的かつリアリティあふれる作品が完成した、ということかもしれません。

現代の有名作品

日本美術界では、主に第二次世界大戦以降の作品を指して『現代美術』とすることが多いようです。

現代の作品には、特に共通点があるわけではなく、それぞれ個性豊かな作品が発表されています。ここでは、現代の有名作品を2点紹介します。

千住博 ウォーターフォール

千住博(せんじゅ ひろし)の『ウォーターフォール』は、単なる滝の描写ではありません。漆黒の闇を背景に、流れる滝を描いた作品です。

絵の具自体を滝と捉えて作成されたウォーターフォールは、水の流れた形そのものに美を見出し、絵具を上から下に流すことで滝を描いています。

絵具自体にもこだわることで、光の加減や効果によって表情に変化をつけ、臨場感あふれる新しいタイプの日本画が誕生したと言えるでしょう。

草間彌生 南瓜

草間彌生(くさま やよい)は、アメリカのTimes誌で『世界で最も影響力がある100人』にも選ばれたこともある、世界的な日本人芸術家の1人です。

『南瓜』は、黒い背景に黄色い南瓜が描かれており、トレードマークのドット柄が印象的です。彼女は、これまでに南瓜をモチーフとした作品を多数創作していますが、一つとして同じ南瓜を描いていません。

時代背景や作者も踏まえて鑑賞しよう

日本の名画は、どんな時代に、どんな人が描いた作品かを理解するだけでも、見え方が変わってきます。時代背景や作者の知識を深めて、鑑賞をもっと楽しんでみましょう。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME