泡盛の原料は何?焼酎との違いやラベルの表記について

2019.07.22

大まかなジャンル分けで焼酎に分類される泡盛は、製造方法や原料に関し一般的な焼酎と大きな違いがあります。泡盛と焼酎の異なる点やそれぞれの特徴について理解を深めましょう。より泡盛を楽しめるようになるポイントも解説します。

焼酎や泡盛の主な原料

焼酎や泡盛に使われる主な原料について解説します。原料の違いによって味わいが違いますので、選ぶ際の参考にしてください。。

芋焼酎の原料として使われるサツマイモは、鹿児島県や宮崎県、東京都の伊豆諸島で主に栽培されます。でんぷんを多く含むコガネセンガンが、もっとも多く使われている品種です。その他、ベニサツマ・ベニアズマ・ジョイホワイトなどがあります。

ジョイホワイトは芋焼酎専用に開発された新世代品種で、それまでの芋焼酎と異なります。柑橘系の香りを出す特徴を持ち、『芋臭さ』が極力おさえられた品種です。

一般的に、芋焼酎は蒸し焼きにしたさつま芋のような香りを放ち、芋本来の香りや風味がダイレクトに焼酎の味わいとして表れる特徴があります。

麦は米と並び、人類が最も大切にしてきた食物です。主食以外にも酒類の原料として使われてきた歴史を持ちます。

日本では、長崎県で麦焼酎が最初に造られました。その後、全て大麦が使われる大分麦焼酎が誕生し、全国的なブームとなりました。現在でも、麦焼酎に使われる麦の産地は、大分や長崎を中心とした九州地方に限られています。

麦焼酎は豊かな香りがあり、口当たりがよく飲みやすい焼酎として、今なお多くの支持を集めています。

古くから日本の主食として食卓を支え続けている米は、焼酎の原料としても重要な役割を担い続けてきました。焼酎における製造過程でアルコール発酵させるための麹は、焼酎の種類に関わらず米を使うことがほとんどです。

つまり、芋焼酎や麦焼酎も、発酵には一般的に米麹が使われます。その中でも、最終段階まで米を使い続けて造る焼酎が米焼酎です。

米焼酎の代表格といえば、熊本県の球磨地方で造られる球磨焼酎が有名でしょう。きれいな水で栽培された米が使われ、コクのある味わいで人気を集めています。

米自体は全国各地で作られており、米焼酎も各地の特徴を生かしながら全国に渡って造られています。

また、沖縄県の地酒である泡盛も、米を原料として造られることで知られるお酒です。

そばやサトウキビ

昭和48年ごろに宮崎県で誕生した『そば焼酎』は、本格焼酎のニューフェイスとして現在まで親しまれています。

そば焼酎には厳選されたそばの実が原料として使われています。独特の芳醇さがあり、かすかな甘みが特徴的な焼酎です。

サトウキビの産地として有名な奄美諸島では、特産品として『黒糖焼酎』を生産しています。奄美地方では、黒糖焼酎が日常的に飲まれており、健康に良いお酒として現在では全国的な知名度を持つ焼酎です。

サトウキビは糖度が最も上がる冬の終わりごろに収穫され、黒糖焼酎の仕込みは黒糖に加えて米麹が使われます。

ほのかな甘みと軽い口当たりでさわやかな飲み心地が得られる焼酎です。

泡盛の原料

泡盛は原料に米を使う蒸留酒です。独特な風味を醸し出す泡盛の原料について解説します。

泡盛の原料はタイ米

泡盛の原料には、一部の銘柄を除き、インディカ種のタイ米が使われます。600年もの歴史を持つともいわれている泡盛は、古くから様々な原料が使用されていました。

しかし、昭和初期を境に原料としてタイ米が定着し、現在ではほとんどの蔵元でタイ米が使われています。

泡盛の持つ独特な香りや風味の原因は、製造工程など様々な理由が挙げられますが、原料にタイ米を使用していることも、味を決定付ける大きな要因といえます。

また、タイ米は一般的な米焼酎で使われるジャポニカ米と比べて糖質が高い傾向にあり、泡盛のアルコール度数が高い理由も、タイ米を原料として使用することに原因があります。

タイ米を使う理由

泡盛の主原料にタイ米が使われる理由は、以下の三つが挙げられます。

  • 硬質米であるためべとつかずさらさらしているため、黒麹菌に混ぜて糖化する工程で必要な米麹にした際に、作業がしやすい
  • 水や酵母を加えてアルコール発酵させる際の温度管理がしやすい
  • タイ米が主原料として定着する以前に使っていた他の米と比べ、取れるアルコールの収量が多い

上記のような理由から、現在でも泡盛造りに最適な原料として、ほとんどの酒造所でタイ米が使われています。

焼酎との違いとは

泡盛は焼酎と比較されることが多いお酒ですが、両者にはいくつかの大きな違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

酒税法では泡盛も焼酎の1種

泡盛は、日本の税法上はかつての乙類焼酎である単式蒸留焼酎に分類され、焼酎の一種として扱われます。発酵や蒸留といった大まかな部分は一緒ですが、製造工程において両者には以下のような大きな違いがあります。

  • でんぷんを糖質に分解するため使われる麹が異なります。焼酎は『白麹』が使われますが、泡盛に使われるのは『黒麹』です。
  • 多くの焼酎が『二次仕込み』を採用しているのに対し、泡盛では原料を全て麹にしており水と酵母を加え発酵させる『全麹仕込み』が採用されています。
  • 両者とも単式蒸留を採用していますが、焼酎が『常圧蒸留』で造られるのに対し、泡盛は『減圧蒸留』で造られます。

原料の違い

一般的な本格焼酎では、芋・麦・米などが原料として使われ、米焼酎でも基本的には国産のジャポニカ米が使用されます。一方で、泡盛では主な原料にタイ米が使われます。

タイ米とジャポニカ米はカロリーがほとんど同じですが、タイ米の方が糖質が多いため、アルコール度数が上がりやすくなります。

また、タイ米はジャポニカ米と比べ硬質でさらさらしているため混ざりやすく、温度にムラが出にくいため管理がしやすいのも特徴です。

原料は味にも大きく影響します。泡盛の独特な香りや風味は、原料のタイ米による影響も強く、古くから受け継がれてきた風味を出し続けるために、今なおほとんどの酒造所でタイ米が使われているともいえるでしょう。

古酒の有無

泡盛の大きな魅力として、長期熟成させることにより古酒に育てられることが挙げられます。長期間寝かせるほど古酒としての価値が高くなることは、他の焼酎にはみられない泡盛の特徴です。

ウイスキーやブランデーなどの洋酒にも、数十年物の古酒が存在します。しかし、樽の力で熟成する洋酒と違い、泡盛は容器の影響を受けることがありません。

そのため自らの成分そのものを変化させて古酒になるため、ビン詰めした後でも熟成が進むことが大きな特徴です。

泡盛は古酒にすることでまろやかな味わいになり、甘い香りを醸し出します。最も古い古酒としては、150年物といわれている古酒が確認されており、他にも100年前後級の古酒が現存しています。

泡盛の度数と味の特徴

アルコール度数が高い泡盛について、度数が上がる原因や度数と味の関係を解説します。

泡盛の度数と高い理由

泡盛はアルコールが強いお酒として知られ、実際に平均的なアルコール度数は約30度です。アルコール度数が20~25%の一般的な本格焼酎に比べ、度数は高めであるといえます。

日本の酒税法では、焼酎のアルコール度数の上限が45%と定められており、上限ぎりぎりの古酒も多く存在します。

度数が高い理由として、蒸留の仕組みに原因が見て取れます。製造工程の中の蒸留により、熱で気化させたアルコールを冷やし液体にしますが、より純度の高い成分が抽出され、アルコール度数が高いお酒になるのです。

度数と味について

一般的に、泡盛は法定上限までアルコール度数を高めたものに水を加え、最終的な度数の調整を行います。度数を下げるために水で薄めることになるので、必然的に度数の低いものは風味や香りが弱まります。

香りやコクをしっかりと味わいたい場合は、アルコール度数の高い商品を選べばよいでしょう。逆に、飲みやすさを求める場合は、度数の低い商品を選べば、きつさを感じることなく楽しめます。

また、20度の泡盛をストレートやロックで飲む場合と、40度の泡盛を水割りで約20度まで落とした場合を比べると、40度を水割りした方が香りやコク、甘みを強く感じられます。

知っておきたいポイント

ラベルを読む際に注意すべきポイントを確認しましょう。

琉球泡盛や原料用アルコールの表記

泡盛は、製法を守りさえすれば、現在でも沖縄以外の地域で製造することが法律上可能です。しかし、泡盛の誕生や製法に関する歴史から考えると、泡盛は沖縄独自のお酒であるといえます。

地域の特産品を守ることは、地域経済の活性化を促進する要素でもあるため、沖縄で生産された泡盛には『琉球泡盛』の記載がなされ、その製品が間違いなく沖縄県産であることを示しています。

また、与那国島で製造される『花酒』という商品は、泡盛と全く同じ原料と製造法で造られるお酒ですが、アルコール度数が60度あるため『琉球泡盛』の表示ができません。

アルコール度数が45度を超える場合は、酒税法上『原料用アルコール』と表示されます。

古酒の表記

かつての泡盛は、3年以上熟成させたものが商品における全量の半分以上を占めていれば、『古酒』の表記が許されていました。

しかし、2015(平成27)年8月以降は、商品における全量が泡盛を3年以上熟成させたものに限り、『古酒』の表示が許されることとなっています。

つまり、現在『10年古酒』として販売されている商品は、その全量が10年熟成されたものか、10年古酒にそれ以上の時間をかけて熟成されたものをブレンドしたもののどちらかということになります。

深く知ることでより楽しめる

泡盛の原料は焼酎と異なり、タイ米が使われています。タイ米を使うことで製造がしやすくなり、アルコール度数も上げやすくなります。本来の独特な風味も、タイ米だからこそ醸し出せるものだといえるでしょう。

原料の他にも、製造方法や古酒など、泡盛には焼酎と異なる点があります。特徴を深く理解することで、より泡盛の魅力を楽しめるようになるでしょう。

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