面白い脳科学の話12選。ビジネスや恋愛で使える脳科学の知識

2019.07.21

『脳科学』と聞いて、どのような印象を持ちますか?とても難しそうで、素人には難解なものと敬遠してしまう人もいるでしょう。しかし、脳科学は、ビジネスをはじめ、生活のさまざまな部分で活用できる面も持っています。脳科学の世界を探ってみましょう。

脳科学とは

脳科学者と呼ばれる人の活躍を、メディアで目にするようになって久しく経ちます。そこで、『脳科学』という言葉も一般の人々に浸透してきました。

しかし、脳科学とはどういうものかを、しっかりと理解している人は意外と少ないようです。脳科学とは何かについて解説します。

人などの脳機能について研究する学問

脳科学を一言で表すならば、『人などの脳機能について研究する学問』だといえます。さらに簡潔に説明すると、『脳の働きの研究』です。

人間の脳の平均重量は1400gほどでしかありません。この小さな器官が、人間の行動のすべてを司っている、いわば司令塔としての働きをしています。

動くことも、感じることも、考えることも、すべて脳がなければできず、生きていくことすら不可能でしょう。そんな脳の働きを解明するのが脳科学なのです。

脳は感情や生命活動におけるあらゆる機能を司るため、脳科学には幅広いアプローチが求められます。そのため、脳科学における研究範囲は広範です。心理学や医学・生物学・電子工学・遺伝学などと密接な関わりを持ちながら研究されています。

心理学との違い

心理学は『人の行動から心理状態を読み解く』ことを目的としている学問で、心と行動の関係を研究します。一方、脳科学の対象は、『心』ではなく『脳』です。そこに違いがあります。

心が抽象的なものである一方で、脳は生物の具体的な器官です。それを踏まえた場合、『行動につながった原因』を『脳』だととらえて研究するか、『心』だとして研究するかという視点で見てみると、脳科学と心理学の違いがわかるでしょう。

ビジネスに応用できる脳科学

脳の働きを解明する脳科学は、社会の各分野でも大いに活躍しています。そこで、脳科学がどのようにビジネスで応用されているのかを見てみましょう。

一部の企業では脳科学を導入している

「人の好みや、購買へと向かう意思がいかに生まれているのか」

そのような深層心理を読み解き、マーケティングに活用する試みが、ビジネスの世界に広がっています。

『ニューロマーケティング』もその一つです。脳科学で消費者の反応を見極めようとするものですが、一部の企業ではすでに研究されています。

消費者の心の動きは、具体化・数値化しにくいものです。そこで、消費者の考えを的確につかむため、脳画像(MRI)・脳計測(COE)・脳個性診断(SRI)などを利用して計測する試みもなされています。

このように、『商品が消費者に与える心理』について、脳を多方向から解析し、『何が消費行動を決定させるのか』を判断することにも脳科学は用いられているのです。

人は報酬によってモチベーションが上がる

人が報酬を得ると、神経伝達物質である『ドーパミン』が脳内で放出されます。これは、喜びにつながる化学物質です。そして、ドーパミンは、モチベーションを上げる効果も証明されています。

この『報酬でドーパミンを放出させモチベーションを上げる』という仕組みも、ビジネスにおいてとても有効な手法といえるでしょう。

報酬は、お金という意味だけではありません。『ご褒美』ととらえてもいいでしょう。それは、他者に対してでもそうですし、自分に対しても機能します。

例えば、「今日、ここまで仕事を進められたら好きなスイーツを食べて帰ろう」と自分に『報酬』を提示するのです。すると、モチベーションが上がり、それを達成することで次の仕事への意欲にもつながるでしょう。

表情でコミュニケーション能力が低下する

ボトックスとは神経毒素の一種ですが、これが発生すると表情筋の働きが抑制されます。つまり、表情が乏しくなりますが、この状態はコミュニケーション能力を低下するといわれています。

なぜかというと、脳は相手の表情を観察し、共感の作用で無意識に真似てしまいます。そして、それは相手の心情を察する機能とつながっていることがわかっています。

つまり、明るい表情をしていれば相手も前向きな気持ちになり、乏しい表情では相手も心を開いてくれない結果になってしまうのです。

ですから、モノを買ってもらったり契約を決断してもらったりなど、相手にポジティブな判断をしてもらうためには、明るい表情で対応することが大切なのです。

生産性を上げるための脳科学

「仕事が思うようにはかどらない」「なかなか作業のペースが上がらない」そのような悩みが生じることもあるでしょう。生産性を上げることに関しても、脳科学が活用できる点について見てみます。

社会的促進を利用する

『社会的促進』と呼ばれる過程に着目した、脳科学の興味深い研究が報告されています。それは、『そばに他者がいるほうが、仕事のパフォーマンスが向上する』という現象についてです。

そばにいる他者は、よく知っている仕事仲間でもいいですし、まったく見知らぬ他人でも構いません。『一人ではない』ことが大切です。

例えば、個人のフリーランスとして仕事をしている人もいるでしょう。その場合、自分だけの仕事場よりも、シェアオフィスなどで仕事をするほうが生産性が上がると考えられます。

自分のペースを評価してもらう、成果をお互いに提示しあうなどの行為が、生産性の向上につながることを知っておくとよいでしょう。

趣味に時間を費やす

趣味や好きなことに時間を費やすことで、生産性が高まるといわれています。運動生理学スタジオとして知られる『iNform』は、次のような発表をしています。

「生活が忙しくなると、他人のために趣味を犠牲にします。そして、疲労などが起こると、また自分を犠牲にします。その繰り返しで生まれたストレスを、より忙しくすることで感じないようにしてしまうのです」

そのように自己犠牲の悪循環を示したあとに、趣味に時間を使うことの効果として、こう続けます。

「意識的・無意識的なフォーカスがずれ、支配された心理に、隙間を作り出すことができる」

つまり、趣味や好きなことをすることで、抜け出せなかった悪循環から、自分を切り離すことができ、リフレッシュにつながるのです。

出典:The Neuroscience Of Hobbies And Productivity – iNform Health and Fitness Solutions

空想で脳をリラックスさせる

『トム・ソーヤーの冒険』などで知られる作家マーク・トウェインや、ハリー・ポッターシリーズの原作者であるJkローリングなど多くの著名人は、脳が休んでいるときに偉大なアイデアを得たといわれています。

脳は、『リラックスしているときにかけ離れたアイデアと思考をつなぎ合わせる』ことを、脳科学は証明しています。新たな発想やイノベーションを生むのは、空想からの結びつけなのです。

人は、どうしても結論や結果にとらわれがちです。しかし、ときには自由な空想をすることが、良い結果をもたらすことがあります。

コミュニケーションで使える脳科学

仕事でもプライベートでも、コミュニケーションは生活に欠かせないものです。大切なことであるがゆえに、コミュニケーションを上手にとらないと思わぬトラブルを招くこともあります。

次に、コミュニケーションで使える脳科学について探ってみます。

メッセージはシンプルに

他者とコミュニケーションを取る際は、相手に送るメッセージはシンプルなものにするように心掛けましょう。送ったメッセージがわかりやすいほどいいのです。

理解しにくいメッセージは、相手に考えさせてしまい、脳を疲れさせます。このように、脳に負担がかかることを『認知負荷』といいます。このような負担は、コミュニケーションにはマイナスです。

「資料は簡潔に1枚でまとめなさい」「余計な言葉を削って一言で説明しなさい」とビジネスの現場で指導されることは、この認知負荷を避けて、スムーズな関係を維持する点で生きています。

ストーリーで共感を得る

脳には『ミラーニューロン』と呼ばれる神経細胞があります。これは、他人の行動を見ていると、自分も同じ行動をしているかのように脳に反応させる作用を持っているのです。

ミラーニューロンは、『共感脳』とも呼ばれています。相手の共感を得るには、このミラーニューロンを刺激することが有効なのです。

例えば、何かを伝えようとするときに、ストーリー仕立てにして、そこに動きを加えると共感を引き出しやすくなります。

ビジネスなどにおける構成のしっかりした動画でプレゼンをすることは、このような作用に基づいています。

わずかな負荷で行動を促す

脳は、「考える負荷を避けたい」という面がある反面、「自分で考えて決断したい」という相反する思いも持っています。そして、そのストレス(負荷)は小さいほどいいとされています。

これを理解する例として、募金を増やすための調査について説明します。募金を多く集めるには、次のどのようなお願いの仕方がいいでしょうか。

  • いくらでもいいので募金してください。
  • 100円でいいので募金してください。
  • 1円でもいいので募金してください。
  • あなたの思いやりが誰かを救います。

答えは、「1円でもいい」とお願いすることです。

「いくらでも」だと思考をさせ過ぎで、「100円でも」ではそれで何が買えるだろうと考えさせてしまいます。「誰かを救う」ではあまりにも抽象的です。

この中では、1円が最も乗り越えやすい負荷として作用し、結果としてこの表現が最も募金を集められるのです。

恋愛に応用できる脳科学

恋愛は、たくさんの人が直面するもので、かつ多くの人が悩むことでもあります。脳科学は、恋愛においても応用できるのです。その一面をのぞいてみましょう。

好き嫌いは脳が決めている

「人は好き・嫌いを、考えるよりも先に、瞬間的に判断している」そう指摘されて、思い浮かぶことはありませんか?

例えば、『メガネをしている人』を見て、真面目や秀才という印象を瞬時に持つようなことです。好き・嫌いは、これよりもさらに早く判断すると考えられています。それは脳の『角回』と呼ばれる部分の働きによるものです。

角回は、連想記憶に関する器官です。人のあらゆる記憶のデータベースとして機能しています。

恋愛に関しても、その人が今まで好意を抱いた相手に関するデータを、角回が蓄積します。そして、新たな出会いのときに、角回が過去のデータに照らし合わせて、瞬間的に好き・嫌いを判断しているといえるのです。

恋愛は長くて3年しかもたない

異性が出会い、恋愛を始めたての頃は、誰もが幸せな感情に包まれます。毎日が楽しく、相手のために何かしようという努力も惜しまないものです。

しかし、残念ながら時間の経過とともに、次第にときめきは失われてしまうケースが多いものでもあります。どうしてこのような変化が生じてしまうのでしょうか。

それは、脳内で放出されるドーパミンに関係しています。新鮮な気持ちで高揚しているときには、ドーパミンが分泌し、幸福感があります。

しかし、安定した関係を手に入れることで、気持ちが落ち着き、ドーパミンの量は減少します。そして、この感情を維持できるのは、長くて3年、短いと6カ月という場合もあるのです。

相手にメリットを想像させる

異性に好意を抱くと、脳内ではいろいろな想像が働きます。「食事をするならどこがいいか」「自分と趣味は合うだろうか」などです。

この想像を、脳科学的に説明すると『報酬予測』といいます。この報酬予測は、好意から付き合いを決断させるために不可欠なものなのです。

そのため、相手との関係を成就させたいと願うならば、相手にとってのメリットを具体的にイメージさせましょう。そのメリットのイメージが自分の求めるものとマッチしたときに、関係が成就する確率は高くなるといえるでしょう。

脳科学を学べる大学の学部は?

『脳科学』という言葉はよく聞くようになりましたが、どこで学べるのでしょうか。脳科学者と呼ばれる人たちはどこで勉強してきたか、気になる人もいるでしょう。そこで、脳科学を学ぶ場について考察します。

脳科学部は存在しない

学問として認知されてきた脳科学ですが、どこでどのように学ぶのか気になるところです。その他の分野のように、大学に進学すれば勉強できるのでしょうか?

ところが、現在の日本の大学に、脳科学部という学部は存在しません。脳というとても大切な器官でありながらも、脳科学そのものを教える大学はほとんどないのです。

脳科学は、一部の大学院で研究の対象となっています。ですが、その大学院でも、確立された学問として研究されているわけではありません。

脳にまつわるデータをさまざまな角度で収集しながら、個人個人が方向性を探りながら研究を続けることが、多くの大学院での研究スタイルです。

医学部や心理学部に入学する必要がある

脳科学を研究できる学部として、まず『医学部』があります。人体の仕組みや各器官に宿る病気などについて学ぶ中で、脳の働きについても触れられます。

脳科学を意識して学ぶならば、脳神経科学がそれに向いた科目でしょう。脳の基本的な内容にはじまり、脳の病気に至るまで幅広く学べるので、脳科学の分野に進むきっかけを見出せるのではないでしょうか。

『心理学部』も、脳科学を探究する上では有効な選択です。人の心について実験や観察・調査などの分析をしながら学ぶので、脳科学につながる学習が可能な学部といえます。

脳科学の勉強ができるおすすめの本

「大学や大学院に通うことは難しいけれど脳科学を学んでみたい」

そのような人におすすめの脳科学にまつわる本を、厳選して紹介しましょう。

進化しすぎた脳

薬学博士の池谷裕二氏が、最先端の大脳生理学の知識を駆使して、脳の働きについて詳細に語っています。中高生でもわかりやすいように、記憶のメカニズムから意識の問題まで取り上げた作品です。

特に、ニューロンという脳を構成する神経細胞の働きについて、最新のデータなどを用いて明快に説明されています。脳科学の入門書として最適な1冊です。

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使える脳の鍛え方

認知心理学者や作家など、幅広い分野からなるチームによって書かれ、学習と記憶の働きを解説した1冊が『使える脳の鍛え方』です。

ここでは、これまで教えられてきた学習方法を間違いだと断罪します。「IQは伸ばせるか?」「テストは学習ツールか、計測手段か?」など、脳と学習法について深く考察しています。

認知心理学と教育をつなぐことを目指し、『本当に身につく学習法』を提示した内容です。

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走れば脳は強くなる

普通に生活を送っていたら、脳はどんどん退化するという前提から、著者の考えはスタートします。日常によく起こりがちな「人の顔を見て瞬時に名前が浮かばない」などは、脳の退化にほかなりません。

その上で、脳の衰えを防ぐには『走る』ことが効果的だと説いているのが本書です。脳科学の観点から、脳の退化を防ぐ走り方を伝授している、楽しく読める内容になっています。

  • 商品名:走れば脳は強くなる
  • 参考価格:1382円(税込)
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アタマがどんどん元気になる! ! もっと脳の強化書2

35万部を超える大ヒットとなった『脳の強化書』の待望の続編が本書『アタマがどんどん元気になる! ! もっと脳の強化書2』です。第2弾では、欲求について掘り下げています。

『人は、どうすれば本当の欲求を見つけ、引き出し、育てることが出きるのか』をテーマとして、脳を強化するユニークな方法を伝える内容です。風変わりなトレーニングで、脳を元気にさせたい人必読です。

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脳科学を日常に活用しよう

脳科学は、複雑な脳の仕組みを研究する、とても難解な学問です。しかし、その研究成果は、私たちの生活にとても役立つものでもあるのです。脳科学を知って、日常に活用しましょう。

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