数学は大人になってからも勉強できる。主な分野や面白い問題を紹介

2019.07.21

数学は、義務教育や高等教育において重要な科目に位置づいています。ところが、学校を卒業して社会に出ると、数学を教養として学ぶ人はあまりいません。しかし数学は大人になってからも、楽しく学べるものです。数学の新しい扉を開いてみましょう。

数学の基礎知識

世の中には、数多くの学問があります。学生時代には、好きな教科や得意な科目、反対に苦手で嫌いな授業もあったでしょう。

当時は意識しにくかったことですが、学問には学ぶ目的があります。何のために学び、身につけるのかを知っておくことで、いずれ役に立つときがやってくるものです。

もちろん、『数学にも学問としても意味』があります。改めて数学とは何かについて探っていきましょう。

数学とは?

『数学』を一言で表すと、『量、構造、空間、そして変化の研究』となります。しかし、この表現で「なるほど」と理解できる人は、あまりいないでしょう。

『物を数えたり、測ったりすることに始まる学問』といい換えることもできます。この表現だと、なんとなく理解できると感じる人も増えるかもしれません。

数学を研究・探求していく人は、さらにパターンを探し、新しい予想を定式化します。そして、公理と定義から厳格な推論を立て、真理を確立しようと試みるのです。

わかりやすく例えてみましょう。この花の種は、この土と肥料と十分な水、そして日光と適切な気温のもとで、おいしい実をつける。

そのパターンを探し、予想を定型化することが数学という学問なのです。

国際的な祭典もある 数学オリンピック

数学は、世界中のあらゆる国の発展に必要です。一つ一つの国の技術力に違いはあれど、それぞれがより豊かさを求めて発展を目指すための共通の基盤に、数学はあるでしょう。

その世界の発展の基礎となる数学を、地球規模で進歩させるための取り組みも見られます。国際数学オリンピック(IMO)が1959年から行っている『数学オリンピック』もその一つです。

2019年には、記念すべき60回大会が開かれますが、前年度大会にあたる59回大会(18年開催)は、ルーマニアで行われ、107カ国から594人が出場。日本は13位でした。ちなみに、日本の最高順位は、09年の50回大会での2位となります。

数学の基礎的な分野は3種類

一口に数学といっても、その分野は一つではありません。効率的に学ぶことを目的とし、また、それぞれの研究を深めていくために、大きく次の3種類に区分されています。

  • 代数学
  • 幾何学
  • 解析学

それらは、どのような違いがあるのでしょうか?三つの種類について、それぞれ見ていきましょう。

方程式などを学ぶ代数学

1次方程式や2次方程式などの言葉を聞いたことがあるでしょう。このような多元方程式(いくつもの文字を使った方程式)や『数学の女王』と呼ばれる整数論などの研究をするものが『代数学』です。

昔から、『方程式を解く』ことは、人間にとって最も基本的な問題の一つでした。だからこそ、日本でも1次方程式や2次方程式は義務教育に組み入れられています。

この分野を深く探究すると、アーベルによる5次以上では解けないことの証明や、ガロアの『群』の発見などが近代代数学の基礎だとわかります。代数学の学びからは、そこから、さらなる発見へとつながるでしょう。

図形について学ぶ幾何学

微分法は、高校の数学で学びます。この微分法を踏まえた微分幾何学と、トポロジーとも呼ばれる位相幾何学を研究する分野が『幾何学』です。

高校で学ぶ微分法がベースになってはいても、その基礎には中学で習う数学が不可欠です。中でも、三角形の合同定理・三平方の定理・円周角など、図形を扱う学習が幾何学の理解には大切です。

さらに高校教育では、直線の方程式・円の方程式といった、座標と式を使用する問題が示されます。これらに共通するのは『図形』であり、図形を対象として考察する分野が幾何学なのです。

微分積分を基礎にした解析学

『解析学』は、微分・積分を基礎として、それらをさらに発展させた数学の一分野です。解析学は、物理学における力学や電磁気学と関係を密にしています。

例えば、落ちていく物体の速度は、変化し続けます。その速度を定式化するには、微小量を扱う必要があることから、微分を基礎とするのです。

円や球など、まっすぐではない図形の面積や体積を定義する方法を考察します。そこでは、微小量の和としての積分が必要です。

このように、近代科学では、構成される要素を細分化して分析し、必要に応じて全体の性質の解析に還元する方法が採られます。ここにおいて、理論的裏付けという重要な役割を担うのが解析学です。

さらに発展させて二つの分野に分かれる

数学が、解析学・幾何学・解析学の3分野に区分されることを前項で説明しました。また、それぞれの概要についても触れたところです。

ところで、近年ではさらに発展させて、数学を次の二つの分野にも区分けしています。

  • 純粋数学
  • 応用数学

次に、この区分について、それぞれの概要について解説します。

3分野をさらに研究する純粋数学

『純粋数学』とは、数学そのものを研究対象として追求する学問といえます。そう説明すると、単純な研究とのイメージを抱く人がいるようです。しかし、そうではありません。

『数学的に未解決だった難問がある学者によって解かれた』と話題になることがあります。しかし、いかにしてそれが証明されたのかを理解することは、専門家でも難しいのです。

未解決の問題が、人類や社会にとって必要かどうかも、未知数です。解決しても、結果として社会に役立たない研究だったケースもあるからです。

しかし、純粋数学の研究者は、要・不要も含めて未知の領域の課題に挑んでいます。ここに、純粋数学の研究に美意識が必要とされ、『芸術的な学問』と称される理由があるようです。

3分野を他の分野に活かす応用数学

数学は、現代社会のあらゆる部分の基礎となっています。電気・水道などの都市生活に欠かせない生活インフラから、電車・車・航空などの移送手段など、数学の発展があってこそ整備されているのです。

加えて、現代社会は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の更なる進化を求めています。このように、幅広い分野で応用可能とするために研究されている分野が『応用数学』です。

数学の面白い問題

数学のイメージには、「つまならない計算ばかり」「たいくつで機械的な問題」との印象を抱く人も少なくないでしょう。それゆえ、学生時代は数学を敬遠していた人も多いようです。

しかし、数学の問題を広く見てみると、とても興味を引かれる、面白い問題がたくさんあるのです。心躍る楽しい問題に触れてみましょう。

偽コインの問題

問題:コイン3枚と天秤があります。3枚のコインのうち、1枚は偽物で、本物よりも少し軽いです。天秤を1度だけ使って、偽コインを見破ってください。

答え:コインを左右の皿に1枚ずつ乗せます。そのとき、天秤が傾けば、上に上がった皿に乗っているコインが偽物です。もし釣り合えば、天秤に乗せていないコインが偽物です。

モンティ・ホール問題

問題:A・B・Cの箱があります。そのうち一つには賞品が入っていて、残り二つには何も入っていません。三つからあなたはAを選びました。そこで出題者はまずCを開けましたがそこに賞品はありません。

ここで出題者は「選んだAのままにしますか、Bに変えますか?一度だけ変えていいですよ」といいました。あなたはAのままにしますか、それともBに変更しますか?

答え:Bを選ぶと当たる可能性は倍になるので、変更するべきです。

理由:まず、最初は等しく1/3の確率です。

A B C
1/3 1/3 1/3

しかし、Cには何もありませんでした。そうなると、次にBに変更することは、もともと「BとCのどちらかだ」と答えることと等しくなり、確率は2/3になります。

A B (Cは既に選ぶ必要なし)
確率は1/3のまま Bに変えることは、この範囲の確率である『1/3+1/3=2/3』を選ぶことと等しくなる

よって、確率的にはBに変更することで当たる可能性は倍になります。

50枚の扉

問題:1~50の番号がふられた扉が50枚と、1~50の番号がついた50人がいます。それぞれの人は、自分の番号の整数倍の番号の扉を開いていれば閉め、閉まっていれば開けます。

まず、1番の人が1の倍数の扉、1、2~50の扉を開け、次に2番が2の倍数の扉、2、4~50の扉を閉めます。1番がすべての扉を開けたので閉めるだけです。

3番は、3の扉は開いているので閉め、6の扉は閉まっているので開けます。このように順々に50番までの人が全員開け閉めすると、最後に開いている扉は何枚でしょう?

答え:開いている扉は1、4、9、16、25、36、49の計7枚です。整数の約数に関する問題としてとらえ、約数の個数が奇数個の場合はどのような場合かを考えましょう。

すると、1、4、9、16となり、ある数の2乗が共通項だとわかります。

将棋盤とドミノ

問題:9×9マスの将棋盤に、1×2マス分のドミノ牌を敷き詰めます。そのままでは、将棋盤のマスすべてをドミノ牌で覆い尽くすことはできません。将棋盤は81マスで、ドミノ牌は2マス分なので、81÷2では余りが出るからです。

そこで、将棋盤から1マスだけドミノ牌を置かない場所を作ります。下の図のようにドミノ牌を置かない場所を定めたとき(黒のマス)、どちらが残り80マスを覆うことができるでしょうか?

パターン1

パターン2

答え:パターン1

理由:まずドミノ牌を白赤に塗ります。

次に、それぞれにパターンでの赤・白を数えます。すると、パターン1では、赤・白どちらも40マスなので、きちんと配置できるはずです。

しかし、パターン2では、赤が39に対して白は41です。これだと、置かないマス以外をドミノ牌で埋めることはできません。

数学検定を目標にしてみよう

「数学が好き」「大人になってからも独自に数学を学んでいる」そのような人もいるでしょう。中には、自分の実力を知りたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

何事も、道しるべや目標があると、取り組む姿勢にもより熱意がこもるものです。そこで、数学検定を一つの指針としてみてはいかがでしょうか。

数学検定とは

まず、実用数学技能検定について知っておきましょう。7種類に分類された数学力(計算・作図・表現・測定・整理・統計・証明)について、それぞれの習熟度を測定するものです。

1~11級と準1~2級とに分かれています。これに、かず・かたち検定のゴールドスター・シルバースターを合わせ、全部で15の階級でできているものです。

そのうち、数学領域は1~5級までです。これを通称『数学検定』といいます。

公益財団法人 日本数学検定協会

数学検定のメリット

数学検定には、さまざまなメリットがあります。まず、実用数学技能検定1級・準1級・2級の取得で、文部科学省の『高等学校卒業程度認定試験(旧「大検」)』において数学が試験免除になります。

また、大学・高等学校・中学校などの一般・推薦入試における『入試優遇制度』でもあります。各校で内容は異なりますが、全国の高等専門学校・高校・中学730校以上、大学・短大・専門学校450校以上で導入されています。

数学検定の目安

15もの階級でできている数学検定について、どのレベルで受験することが望ましいのでしょうか?受験すべき階級が分からない人もいるでしょう。

そこで、数学検定の階級ごとの目安を表にまとめました。

中学生
5級 中学1年生が多く挑戦するレベル
4級 中学2年生が多く挑戦するレベル
3級 中学3年生が多く挑戦するレベル
準2級 自信のある中学3年生が挑戦するレベル
高校生
準2級 高校1年生が多く挑戦するレベル
2級 高校2年生が多く挑戦するレベル
準1級 高校3年生が多く挑戦するレベル
1級 自信のある高校生が挑戦するレベル

数学を勉強した人に人気の就職先

数学は、社会全体の基盤をなす重要な学問です。その数学を学んだ人は、どのような就職を望むのでしょうか?数学を勉強した人に人気の就職先を見てみましょう。

保険業界のアクチュアリー

保険業界で人気の高い『アクチュアリー』という職種を知っていますか?数理的な手法を活用して情報を解析・分析する専門家のことをいいます。

回帰分析など、高い数学の知識を求められる職種です。身につけた数学力を活かして働きたい人には打ってつけの仕事でしょう。

製造業のデータ解析

自動車・電機・機械と言ったいわゆる『製造業』でも、数学を学んだ人が多く活躍しています。生産性を高めるために数学的知識や技術を活用することはもちろんですが、それ以外にも製造業で数学が活躍しています。

例えば、最適化を決定づけるルート構築や、工数の削減などもそうでしょう。データ解析や数学的な思考は、製造業の現場で役に立つのです。

Web業界に行く人も

身につけた数学力を活かして、Web業界に進む人もいます。数学とIT業界との親和性の高さは周知されていますが、Web業界でも数学専攻者がたくさん活躍しています。

最大手の検索サイトでは、Webクローラーに数学の技術を駆使しています。このように、数学を学んだ人の進路には、幅広さが生まれて来てもいるようです。

天才といわれる有名な数学者

数学の世界には、天才の名を欲しいままにしてきた有名な数学者がいます。その代表的な人たちについて解説します。

ユークリッド幾何学のエウクレイデス

『エウクレイデス』は、ユークリッド幾何学を提唱した数学者として知られています。『幾何学の父』とも呼ばれ、数学的な証明を始めて組み立てた人物の一人でもあります。

紀元前323年に生まれたエウクレイデスが構築した数学の初歩は、19世紀初頭まで生き続けました。現代の数学の基礎は、エウクレイデスによって築かれたといっても過言ではありません。

万有引力でも有名なニュートン

数学に関心を持たない人でも、1963年にイギリスで誕生した『ニュートン』の名を知らない人はいないでしょう。数学の世界を超えて、人類の発展の歴史にその名を刻む偉人です。

万有引力の法則は、言葉としてあまりにも有名な発見ですが、その内容を知っている人は多くないかもしれません。しかし、中学や高校で学ぶ『微分・積分を広めた』といいかえると、その偉大さが理解できるでしょう。

さまざまな概念を明確にしたパスカル

「人間は考える葦である」

あまりにも有名なこの言葉を残した偉大な数学者が『パスカル』です。1623年にフランスで生まれ、世界に向けて衝撃的な発見を唱え続けました。

パスカルの三角形・パスカルの原理・パスカルの定理は、彼の功績の一部です。数学者としてのみならず、哲学・物理学・神学においても非凡な才能を発揮しました。

近代数学に影響を与えたガウス

『ガウス』も、数学の歴史を語る上で重要な存在です。1777年にドイツで生まれたガウスは、幼少のころから非凡な才能を発揮していました。

数学に最も大きな影響を与えたとされるだけでなく、物理学などでも多大な功績を残しています。さらに、1833年には世界初の電磁式望遠鏡を共同開発し、天文学の発展にも寄与しました。

数学を勉強してみよう

数学には、ともすると、数字ばかりを扱う味気ない学問と受け取られかねない一面があります。しかし、重要な学問であることはもちろん、実はとても面白味に満ちたものなのです。

知れば知るほど、学べば学ぶほど楽しさに引き込まれる数学を、大人になった今からまた勉強してみてはいかがでしょうか。

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