大英博物館にツタンカーメンのマスクはある?

2019.07.20

大量の収蔵品を持つことで知られるイギリスの大英博物館。そこには、「ツタンカーメンのマスクもある」と信じている人もいるようですが、実はこれは間違いです。では、現在ツタンカーメンのマスクはどこにあるのか。この記事では、この点についてご説明していきます。

ツタンカーメンとは

ツタンカーメン(紀元前1342年頃 – 紀元前1324年頃)は、古代エジプト第18王朝のファラオ(君主)です。アクエンアテン王の子として生まれ、若くしてファラオの座につきました。

大規模な宗教改革を行いその名を轟かせた父・アクエンアテンと違い、ツタンカーメンにはファラオとしての偉業を物語るエピソードはありません。

そんな本来マイナーであるはずのファラオがここまで有名になったのは、1922年11月4日に、ミイラや黄金のマスクをはじめとする数々の豪華な副葬品が発掘されたためです。

実のところ、古代エジプトのファラオの墓は、そのほとんどが過去に盗掘にあっており、ミイラや副葬品の多くが失われてしまっています。ですが、ツタンカーメンの墓はほぼ無傷の状態で発見されました。そのため、黄金のマスクを含むあらゆる副葬品がそのまま残っていたのです。

このことが、ツタンカーメンの名を知らしめる要因となったことは間違いないでしょう。

ツタンカーメンの黄金のマスク

ツタンカーメンの墓から出土した物の中で、ひと際有名なのはやはり黄金のマスクでしょう。

重さは11㎏、23金という極めて純度の高い金でつくられており、表面には銀を混ぜた18金(部分的に21金)が薄く塗られています。

頭部にはハゲワシとコブラ(どちらも神聖な生き物とされている)の装飾があり、それを当時金よりも高価だったとされるラピスラズリなどの宝石で彩ってあります。

さほど権力があった訳ではないツタンカーメンですらこれだけ豪華な副葬品と共に埋葬されていた訳ですから、より大きな権力をもつファラオの副葬品はどれほど豪華だったことか、もはや想像もつきません。

ちなみに、ツタンカーメンの黄金のマスクには長いひげがありますが、2014年にこのひげが折れてしまい、その修復作業を接着剤を使うという非常に安直な手法をとっていたことが発覚し、修復作業員2人、修復専門家4人、元修復責任者、元博物館長が訴えられるという事件が起こっています。

大英博物館は黄金のマスクを返還した

さて、今でも多くの人を魅了しているツタンカーメンの黄金のマスクですが、「大英博物館に行けばみることができる」と考えている人が多いようです。事実、黄金のマスクは長期間に渡り大英博物館で展示されていましたが、現在(2019年)は展示されていません。

現在の展示場所は、エジプトのカイロにあるエジプト考古学博物館です。

ツタンカーメンの黄金のマスクは学術的に非常に価値があり、なおかつ、古代エジプトの王であったことから、エジプト政府が大英博物館に返還を強く要求していたのです。

大英博物館としては目玉の収蔵品を失うことになる訳で、返還に消極的な意見もあったようですが、最終的には倫理的配慮からエジプトに返還されました。

また、それに伴って、ツタンカーメンの墓から出土した副葬品の大半も返還されています。古い情報誌をみると、「大英博物館ではツタンカーメンの黄金のマスクが見どころ」などと書かれているものもありますから、間違えないようにしましょう。

大英博物館にツタンカーメンのマスクはない

煌びやかな装飾が施されているツタンカーメンの黄金のマスク。その実物をみたいという人も多いことでしょう。かつて大英博物館で展示されていたことから、今も同博物館にあると思われがちですが、すでにエジプトに返還されています。

現在の大英博物館ではお土産品としてグッズが売られているだけですから、間違いないようにしてくださいね。

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