人類の歴史の謎を解き明かす。考古学の魅力と学び方とは?

2019.07.20

これまで人類の歴史に関する謎を何度か解明してきた考古学ですが、私たちが知っている以上にその魅力は奥が深く、日本でも活発に研究が行われています。考古学の基本について、魅力や学び方と合わせて紹介していきます。

考古学の基本を理解しよう

世界には未だ解き明かされていない歴史がたくさんあります。考古学はその解き明かされていない歴史を紐解くのにロマンを感じる人もいるのではないでしょうか。では、具体的に考古学はどのようなことを研究する学問なのでしょうか。

イメージだけでは、詳細な内容についてあまり馴染みのない考古学に関して、まずは基本知識を理解していきましょう。

考古学とはどんなもの?

考古学とは、人類の文化の発展を遺物を通して研究する学問のことを指します。世界には依然として判明していない歴史が存在していますが、そのような記録のない時代は、考古学によって研究されることがほとんどです。

主な研究対象は、かつての人間の残した遺物や遺跡であるため、発掘調査などが研究の中心となります。考古学の研究によって、古い時代の人類の生活や文化が判明することにより、歴史的な背景や出来事などを推測していくことが具体的な役割です。

考古学と歴史学の違いとは

考古学と似た分野に歴史学というものがあり、どちらも歴史を探求する学問であるという点では、同じようなジャンルとして認識されているでしょう。考古学は歴史学の一部とされることもありますが、実際には二つの学問には違いがあります。

その違いを決定づけているのが『調査対象』です。歴史学は、過去の出来事やそれが起こった場所などを『文献』を考察することで研究していきます。

それに対し、考古学の研究対象は『遺跡や遺物』です。調査対象が文献ではないことから、文字が発明されていない時代に関する研究も行えるというのが考古学の強みではないでしょうか。

また、遺跡や遺物の修復法や保全の技術に関しても学ぶという点が、歴史学にはない考古学の特徴として挙げられます。

考古学を英語で書くと?

考古学は、英語で『archaeology』と表記します。この単語を使った言葉には『archaeological evidence(考古学的資料)』や『an archaeologist(考古学者)』などがあります。

これに対し先ほど紹介した歴史学を表す英語もあり、歴史を意味する『history』を使って『historical science』と表記します。『history』のみで歴史学を表すケースもあるので、使い分けられることを知っておくと良いでしょう。

考古学者の仕事を知ろう

考古学の基本的な知識についてまとめたところで、考古学を研究する『考古学者』の仕事の内容について探っていきましょう。

考古学者という職業名を耳にすることは多いですが、実際にどのようなことをしているのか、業務内容まで詳しく知っている人はあまり多くないのではないでしょうか。人類の歴史を解き明かす考古学者の仕事について、具体的にまとめていきます。

考古学者とは何をする人?

考古学者とは、人類が残した痕跡、遺跡や遺物などから生活様式や文化の変化を研究する人物のことを指しています。

具体的な活動内容には一連の流れがあります。例えば、遺跡が発見された場合をイメージしてみましょう。まずは、遺跡を発掘するためのチームを結成します。その後、チームで発掘を行い出土した品を記録して、整理した上で報告書を作成するのが大まかな流れとなっています。

上記の作業内容は、現場で実際に遺物や遺跡に触れる業務ですが、その他にもいくつかの就業形態があります。

分かりやすい例を挙げると、博物館の学芸員も考古学者に分類されます。また、大学の教授として講義を行うというケースもあります。

他にも、大学院に進みさらに専門性を高めた研究を行う人もいます。一口に考古学者と言っても、その就業形態や収入はさまざまです。

考古学者が活躍する場所

先ほど紹介したように、考古学者にはいろいろな就業形態があります。そのため、活躍する場所も非常に幅広く、限定的でないのが特徴です。

よくイメージされる博物館や埋蔵文化財センター、さらには教育機関や民間の発掘調査会社でも活躍する場所があります。

幅広いのは就業形態だけではなく、研究対象も多岐に渡ります。多くの場合、考古学者と呼ばれる人には専門の研究対象があります。例えば、マヤ文明に特化して研究する人もいれば、縄文時代や弥生時代を専門にしている人もいます。

研究する対象が異なれば、それに応じて活躍する場所も変わってきます。同じ考古学者でも、研究対象や就業形態によって業務内容が異なるのも魅力的なポイントではないでしょうか。

考古学者になる方法

具体的に分けると、研究対象や就業形態が多岐にわたる考古学者ですが、考古学者になるためにはどのようなことが必要なのでしょうか。

考古学者は、一般的な企業に勤めるケースとは異なり、専門的な知識や資格が必要な職業だと言えます。そのため、考古学者を目指すのであれば、大学で専門的な知識を学び資格を獲得するというのが一般的です。

大学卒業後は、学芸員として博物館で働くなどの進路がありますが、さらに専門性を高めたい場合は、大学院まで進んで研究を深めることもあります。

大学で考古学を専門的に学ぶためには、文学部や史学科に進む方法があります。他にも、自分が専門的に学びたい分野が決まっている場合は、その分野の一線で活躍する教授がいる大学に進学するという方法もあるのです。

世界的に有名な考古学者

考古学者の研究分野は幅広いですが、多くの学者の中でも世界的に有名な考古学者が存在します。

多くの人が知っている、遺跡の発掘や日本を代表する考古学者など、特に知名度が高い人物について合わせてチェックしていきましょう。

マチュピチュ遺跡の研究 ハイラム・ビンガム

空中都市として知られるインカ帝国の遺跡マチュピチュを発掘したのが、探検家として活躍したアメリカの考古学者『ハイラム・ビンガム』です。

ハイラム・ビンガムは、1911年、ペルーにあるインカ帝国の遺跡マチュピチュを発見したことで世界的に知られています。

ハリウッド映画の登場人物として有名な『インディアナ・ジョーンズ』のモデルとされていて、考古学者・探検家だけでなく、政治家や軍人などさまざまな経歴があるのも特徴的です。

彼が発見したマチュピチュ遺跡は、1983年に世界遺産に登録され、現在は世界的にも有名な観光スポットとしても知られています。

マチュピチュの周辺地域にはアンデス文明が発達していましたが、文字を持たない文明であったため、未だに解明されていない謎が多い遺跡としても有名です。

ツタンカーメンの墓発見者 ハワード・カーター

世紀の発見と呼ばれるツタンカーメン王の墓を発見したのが、イギリス出身の考古学者『ハワード・カーター』です。ハワード・カーターは、この世紀の発見により、エジプト考古学者として世界的に知名度を上げたと言われています。

世紀の発見をしたカーターですが、自身が高等教育を受けていなかったという出生背景が原因となり、当時の学会では彼の成果は低く扱われていました。さらに、知名度は上がったものの、社会的地位や報酬は業績に比べると低かったとされています。

ツタンカーメン王の墓を発見したのち、カーターはイギリスに帰国し黙々とツタンカーメンの学術報告書をまとめます。しかし、結局その報告書は完成しないまま、1939年、64歳で人生の幕を閉じました。

考古学者で最も有名な日本人 吉村作治

日本を代表する世界的な考古学者として知られているのが『吉村作治』です。

吉村氏は、日本におけるエジプト考古学の第一人者として知られ、衛星写真分析などのハイテク技術を導入し、遺跡発掘を行う手法が世界的に評価されています。

考古学者としての仕事に加え、その知識を生かし、早稲田大学教授やサイバー大学学長を歴任しています。

エジプト考古学の専門家として知られていますが、博士や教育者としての専門は歴史ではないという特徴があり、さまざまな分野を交えて行う比較文明の立場を重視しています。

考古学に興味を持ったなら考古学研究会

世界的に有名な考古学者について、具体的な実績や調査対象を紹介しましたが、これらを知った上で考古学に興味を持ってみると、気になる団体に気が付くでしょう。

それは、考古学に対して研究を進め、その研究成果などを発表している『考古学研究会』です。考古学研究会とは、一体どのような団体なのでしょうか。詳しい情報について見ていきましょう。

考古学研究会とは

考古学研究会とは、日本に事務局を置く考古学に関する学術団体の一つです。1953年に岡山県飯岡村で行われた月の輪古墳発掘運動を原点としていて、翌年、岡山大学考古学研究室において運営が始まりました。

会費を納めることで、考古学に関する資格を有していなくても会員になることができ、団体から発行されている会誌を購読できるほか、毎年4月に行われている総会・研究集会に参加することができます。

考古学の研究だけでなく、考古学を通じた社会との関わりを重視しているという特徴があり、文化財保護や平和・歴史教育などの活動にも重点を置いています。

=考古学研究会= Society of Archaeological Studies

これまでの主な取り組み

上記で記した通り、主な取り組みには二つあります。一つ目が『会誌の刊行』で、二つ目が『総会の実施』です。

『考古学研究』という会誌が刊行されていて、最新号(2019年6月時点)は258号となっています。会員であれば、投稿規定に則り会誌に寄稿することができるというのも魅力の一つです。

会誌の他にも、いくつかの刊行物が発行されています。団体内で行われたシンポジウムに関する内容をまとめた『シンポジウム記録集』や、周年を記念して刊行された『記念誌』などもその例で、会誌以外にもさまざまな活動内容をさかのぼることができます。

総会や研究集会

刊行物以外の活動として行われているのが『総会や研究集会』です。毎年行われる総会ではテーマが決められていて、参加者はテーマに沿った研究報告を聞くことができます。

総会によってはポスターセッションも同時に開催されることがあります。会員同士で研究内容に関して議論を交わせるため、受け手としてだけでなく、発信者として自発的に参加できるのも魅力的な点です。

また、総会とは別に岡山・関西・東海・東京で例会が行われていて、岡山県内だけでなく、中国・四国地方を中心とした最新の研究や発掘調査の報告会として機能しています。

日本の全国的組織となる日本考古学協会

考古学研究会とは別で、日本の全国的組織として考古学を研究テーマに活動している団体が『日本考古学研究会』です。この協会では、具体的にどのような活動が行われているのでしょうか。組織や活動内容の詳細についてまとめていきます。

考古学協会とは

日本考古学協会とは、埋蔵文化財の保護、並びに関連学術団体との連携・協力、国際交流などを目的に1948年に発足された考古学の学会です。

日本を代表する考古学会として知られていて、日本学術会議の指定する協力学術研究団体であると同時に、一般社団法人として活動しています。先ほど紹介した考古学研究会とは、似ていますが全く別の団体です。

入会するためには、25歳以上であることや、作成した著書・報告書・発掘報告書などが、協会の審査委員会による審査に合格する必要があります。

一般社団法人 日本考古学協会

これまでの主な取り組み

1947年、登呂遺跡の発掘調査が全国的に注目を集めたことをきっかけに協会が設立されました。

会員の多くは、大学や博物館などで仕事をしている埋蔵文化財担当職員や、民間の調査会社に所属している人材によって占められているため、埋蔵文化財に対して影響力があるというのが特徴です。

定期刊行物として、機関紙『日本考古学』が年に2回、『日本考古学年報』が年に1回刊行されています。

総会や大会など

考古学研究会と同様、総会が行われているのに加え、日本考古学協会では、大会も開かれています。総会は、毎年5月の下旬に東京近郊で開催され、昨年度の事業報告や収支の決算報告に加え、会員による研究発表が行われます。

10月中旬〜下旬に開催されている大会は各地で開かれ、開催地に関係したテーマの研究成果が発表されるというのが特徴です。大会に関しては、会員でない一般の方でも参加が可能なため、活動内容や研究成果を直接見てみたいという人にぴったりではないでしょうか。

考古学を本格的に学ぶためには

考古学に関する団体について、日本でも有名な二つの団体をまとめましたが、考古学について本格的に学びたいと思ったときはどうすれば良いのでしょうか。考古学を本格的に学び方法について調べていきましょう。

考古学は大学で学べる

『考古学者になる方法』でも触れたように、考古学を学ぶ際に、専門的な知識を深め流ことができるのは大学課程ではないでしょうか。大学で考古学を学べる学部に進学し、専門分野についての講義を受けるのが一般的な方法とされています。

考古学と似ている学科には、歴史学や文化人類学、自然人類学など複数のジャンルがあります。これらの学科で学べる内容をしっかりと理解した上で、自分の専門にしたい領域を修学できるところに進学するのがポイントです。

実習では発掘調査技術を身につける

大学の講義によっては、実習によって発掘調査の技術を身につけられるところもあります。このような学部では、実習で技術を身につけながら、座学で知識も深めていくというのが一般的です。

日本考古学協会の大学講義一覧を参考に

日本考古学会のホームページから『考古学を学べる大学』という項目を選択すると、実際に考古学に関する授業を行なっている大学の講義を一覧で調べることができます。

日本中の考古学を教えている大学や具体的な講義名を調べられるため、非常に参考になります。

初めての考古学におすすめの本

考古学に関して興味があるが専門知識がないという人にぴったりの書籍が販売されています。堅苦しいイメージのある考古学ですが、どの本も初心者に易しく作られています。中でも人気のものを紹介しますので、参考にしてみましょう。

考古学講義

近年の科学技術の発達は、考古学の調査方法にも劇的な影響をもたらしました。新発見が続く考古学について、その最先端を分かりやすくまとめているのが『考古学講義』です。

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考古学初心者が入門書として読むのに最適なのが『考古学入門』です。その名の通り、考古学とはどのような学問であるのかということが記されています。

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人類の基本でもある考古学を学んでみよう

考古学と聞くと難しい印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、考古学には、謎を追い求めるロマンと未来の歴史に繋がる可能性が秘められている学問でもあります。

考古学に関して知識を深めることで、新たに趣味の領域を広げてみてはいかがでしょうか。

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