『カント』の哲学を1500字でまとめてみた。人に教えたくなる哲学の話

2019.07.18

カントという名前は知っているけど、彼の哲学がどんなものかはよく知らない。こんな人も多いでしょう。そこでこの記事では『純粋理性批判』を中心に、カントの哲学を簡潔にわかりやすくまとめました。思わず人に話したくなる内容となっていれば幸いです。

哲学者イマヌエル・カントとは

まずカントという人物と、彼の哲学が近代思想史のうえでどんな位置づけなのか、簡単にみていきましょう。

18世紀ドイツの「散歩する哲学者」

イマヌエル・カント(1724-1804)は18世紀後半に活躍したドイツの哲学者です。東プロイセンの首都ケーニヒスベルク(現在のカリーニングラード)に生まれ、79歳で亡くなるまで終生そこで暮らしました。

カントはケーニヒスベルク大学の哲学科教授として教鞭をとるかたわら、多くの著作を発表し、名声を得ました。また規則正しい生活でも有名で、毎日きまった時間に散歩するカントの姿をみて人々は時計を修正した、というエピソードも伝わっています。

経験論と合理論を統合した「近代哲学の祖」

カントの生きた18世紀のヨーロッパは、前世紀の科学革命を経て、啓蒙思想が花開き、フランス革命へとつづいた時代です。

この時代にあってカントの果たした役割とは、イギリスの経験論と大陸の合理論を統合したことにあります。つまり帰納法を基礎にするベーコンらの認識論と、演繹法を基礎とするデカルトなどの認識論を、彼はひとつにまとめ上げたのです。くわしくは後述します。

[関連記事] 哲学とは何かを知る。歴史と思想家から学ぶ大人の哲学入門

『純粋理性批判』にみるカントの哲学

カントの哲学とはどのようなものだったのか。彼の主著『純粋理性批判』を中心に概観してみましょう。

『純粋理性批判』ってどんな本?

哲学とは、「この世界」と「わたしをふくめた人間」について根本的に考える学問です。なかでも

  1. わたしは何を知ることができるか
  2. わたしは何をすべきか
  3. わたしは何を望んだらいいのか

という3テーマが、カントにとっては特に重要でした。つまり真・善・美です。

このテーマに沿って、カントは3つの本を書きました。それが

  1. 『純粋理性批判』1781年
  2. 『実践理性批判』1788年
  3. 『判断力批判』1790年

です。つまり『純粋理性批判』とは、人間が何かを知る・認識するとはいったいどういう仕組みになっているのか、これを解明しようとして書かれた本です。

「理性批判」とは理性を吟味すること

タイトルに「批判」とありますが、カントは理性を攻撃したわけではありません。むしろ理性を話題の中心にすえて、人間が何かを知る・認識するうえで理性はどこまで関わっているのか、その限界を見定めようとしました。

だから、タイトルの「批判」とは吟味という意味です。

「理性」と「ア・プリオリ」の意味

では、人間が何かを知るうえで、理性はどんな役割を果たしているのでしょう。またそもそも「理性」とは何なのでしょうか。最後にカントの認識論をかんたんにまとめます。

カントによれば、人が物事を理解するプロセスは「感性」「悟性」「理性」と3段階あります。

感性とは感覚器官から情報を得る能力、悟性とはその情報をまとめて概念をつくる能力です。この2つの能力によって、経験が得られます。そして人間は経験をもとに、なにか完全なものを見出そうと主体的になる、この最後の能力をカントは理性と呼びました。

感性・悟性・理性にはそれぞれ、あらかじめ備わっている性質があります。感性には空間と時間が、悟性には情報をまとめる際の枠組みが、そして理性には私・世界・神の完全性が、人間みなに備わっています。

この、経験に先立って備わっている(=ア・プリオリな)性質によって、人間の認識には限界があるのだ、同時に共通認識というものもあるのだとカントは主張したのでした。

[関連記事] 哲学用語はかっこいい。明日から使える哲学用語を紹介します

カントを知れば近代哲学がわかる

以上、カントの哲学をほんのさわりだけ紹介しました。見ていただいたとおり、カントの哲学の特徴は人間の精神的なはたらきに重点を置いているところです。

こうした特徴がフィヒテ、シェリング、ヘーゲルへと受け継がれ、「ドイツ観念論」として近代哲学が完成します。この意味で、カントはやはり近代哲学の祖といえるでしょう。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME