誰でも気軽にプレイできるボウリングは、楽しむだけなら知識や運動神経がなくてもできますが、せっかくなら正しいフォームでかっこよく、ハイスコアを目指しませんか?ボールの投げ方の基本を覚えて、ボールを思い通りにコントロールさせましょう。
ボウリングの基礎知識
ボウリングのルールは『レーンの先にある10本のピンを、ボールを転がして倒す』という、とてもシンプルなゲームです。
1ゲームは10フレームあり、1フレーム基本2投ボールを投げることができます。
1投目で10ピン全部倒せば『ストライク』、2投目で残りのピンを全部倒せば『スペア』です。ストライクを取ったら、1球のみとなります。
10フレーム目のみ1投目にストライク、または2投目でスペアの場合に最大で3投目を投げることができます。
倒したピンの合計点数を競うゲームで、ストライクやスペアの場合には特別な計算方法で点数が加点され、最高スコアは300点です。
高得点を目指すためには、ストライクやスペアを出すことが必須になり、その全てはボールの投げ方にかかっています。
基本となるボールの投げ方をしっかりマスターして、高得点を目指しましょう。
投げ方の種類
ボウリングには、主に4種類の投げ方があります。
投げ方は、ボールの軌道を決定づけるもので、ボールを投げる直前(リリース時)の指の位置が肝要です。以下、右利きの人を想定して解説します。
『ストレートボール』は、ボールを進行方向に回転させ、直進させる投げ方です。リリース時の親指は12時の方向、中指と薬指は6時の方向に向けます。
『カーブ』は、ボールが弓なりの軌道を描く投げ方です。リリース時の親指は9時の方向、中指と薬指は3時の方向に向けます。
『フック』は、ピンの直前までストレートと同じ軌道で進み、ピンの直前で急激に曲がる投げ方です。リリース時の親指は10-11時の方向、中指と薬指は4-5時の方向に向けます。
『バックアップ』は、カーブやフックとは逆に曲がる投げ方です。親指は12時よりも右にある状態で、フォームが悪く安定しにくいので、プロでも好んで投げる人はあまりいません。
パーフェクトストライク理論とは
『パーフェクトストライク理論』とは、1番ピンと3番ピン、または1番ピンと2番ピンの間に、3-6の入射角度でボールが当たるとストライクが取れると言われるものです。
しかし、残念ながらボウリング場に置いてあるハウスボールや、初心者用ボールは、プロが使うマイボールと構造が違い、せいぜい1-2度程度しか角度を出せないと言われています。
その為、ストライクを狙ってハイスコアを出す上級者ボウラーのほとんどは、カーブやフックが自在に操れるマイボールを使っているようです。
だからと行って、ハウスボールではストライクが出ないというわけではないので、できるだけ1番と3番ピンの間(もしくは1番と2番ピンの間)を狙って投げましょう。
ボールの選び方
ボウリング場にあるハウスボールには、5〜16ポンド(2.72〜7.25kg)の重さのボールと、SMLの3種類の指穴のサイズがあります。
重さの基準は、自分の体重の10分の1程度が良いとされています。
指穴は、まず中指と薬指を入れてみて、緩すぎずきつすぎず、2本の指で楽に持ち上げられるもの、親指はやや緩いくらいのものを選びましょう。
知っておきたいボウリング用語
フォームの基本を練習する際に知っておきたいボウリングの基本用語を紹介します。
スライド
『スライド』とは、ボールを投げる際の助走で、最後に後ろにくる足を反対側の足の後ろ方向にスライドさせることを言います。
基本的にボウリングでは、右足から始まる4歩助走でのアプローチが基本となるので、右足がスライドすることになります。
この時、ただスライドさせるということではなく、『右足に乗っている重心を左足に乗せ変える』ことが重要です。
体重60kgの人が15ポンドのボールを持って助走をつけて投げる時に、足にかかる負荷は最大で80〜90kgにもなります。これをスライドすることで、片足にかかる負担を減らすとともに、助走の勢いを逃すことができるのです。
インステップとアウトステップ
インステップとアウトステップは、ボールリリース時の足の踏み方のことです。
まず、レーンに向かってボールを持って構えてみましょう。その時の左右の足の中間からファールラインに垂直になるように1本の直線をイメージしてください。
『インステップ』は、ボールリリース時の左足が、その直線の上~右側にくるステップの踏み方を言います。
左足が右足側にイン(内側に)することで、スイングする時の軸足に近くなり、体重を支える形として理論上合理的なステップです。
対して『アウトステップ』は、ボールリリース時の左足がその直線の左側にあるステップの踏み方を言います。ちょうど構えた時の左足の延長線上に、ボールリリース時の左足がくるイメージです。
重心移動とスライドが不安定になり、バランスを崩しやすいと言われます。
リフトアンドターン
『リフトアンドターン』は、前述したピンの直前で急激に曲がる『フック』よりさらに回転力をつける投げ方です。
『フック』では、リリースまで一貫して親指を10-11時の方向、中指と薬指は4-5時の方向に向けましたが、『リフトアンドターン』では、ボールを後ろに振る時には親指を12時の方向に、そして前にスイングしてリリースする時には10時方向に向けます。
この時に、親指だけの意識ではなく中指と薬指も、左回転にするように意識して動かすと、ボールに回転がかかりやすくなります。
初心者が意識すべきポイント
初心者のうちは特に、重いボールを持つとどうしても重心を持って行かれがちですが、ブレないフォームを心がけて投球することが、ボウリングを上達させるうえで1番大切です。
足腰の安定性
野球やゴルフなどの他スポーツと同様に、ボウリングも投球フォームが固定されていないと安定したボールが投げられません。
そのためには、体幹を鍛え、足腰の安定性を作り上げることが必要です。
誰でも気軽に楽しめるボウリングですが、案外何ゲームか続けると腕や肩周り、太ももなども筋肉痛になったりします。
筋肉を鍛えることでフォームが安定し、スコアアップに繋がるので、上達させるためには特に利き腕、太もも、体幹の筋肉を鍛えることを心がけましょう。
力みや疲労
投球し続けていると、ピンが倒れづらくなることがあるかもしれません。それは疲労により投球フォームが崩れてきた証拠です。
また、フォームが崩れる時は、どこか別の場所に力が入っている可能性があります。
慣れないボールを持って連続で投球すると、腕や肩にかなりの負担がかかってしまうので、適度に休憩を挟んで、基本の姿勢を見直しましょう。
フォーム練習のポイント
ボウリングでは、ボールを持って投球するまでの間に、気をつけなければいけないポイントが3つあります。
フォームが崩れたなと思った時は、この3つの動きを見直しましょう。
ポジション
ボールを投げる時に助走をしますが、この助走を始める『ポジション(立ち位置)』がとても重要になります。
上級者では、数センチ単位で位置を調整するほど、ボールの行方を左右するものです。
初心者の場合は、まずファールラインからレーンを背にして4-5歩ほど歩いた位置が助走開始地点となります。
自分のフォームが確立したら、必ず同じ立ち位置から助走をスタートさせるようにしましょう。
左右の感覚は、床にある『スタンドドット』という丸い5つの点を目印にします。左右の立ち位置は、狙うピンによって変わるので、その都度左右に動いて調整しましょう。
スイング
ボールを投げる腕は、肩を視点に『振り子運動』をイメージします。
- プッシュアウェイ:両手で構えたボールを体の前に出す
- ダウンスイング:ボールを前に出すと、ボールの重さで自然にボールが下に降りてくる
- バックスイング:下りるスピードを利用して、ボールがそのまま身体の後ろまでいく
- フォワードスイング:体の後ろまで行ったボールは、自然落下でまた前に戻ってくる(この時、身体の前に出た瞬間にボールをリリースする)
フォワードスイングで、スピードを出そうと力みやすくなりますが、バックスイングの頂点で完全に力を抜いて、ボールの重さに任せればしっかりスピードが出ます。
余計な力が入ると、肩の位置がずれてしまったり、親指が抜けにくくなったりして、コントロールが乱れてしまうので気をつけましょう。
ステップ
『スイング』で上半身の動きが染み付いたら、次は『ステップ』で下半身の動きと合わせます。
ステップは4歩助走が基本になるので、『スイング』の4段階の動きに合わせてステップを踏みましょう。
- かかとからつま先へ、ゆっくり体重をかけながら右足を前に踏み出す
- 自然に歩くように左足を出すが、半歩くらいの小さめの距離を意識する
- 次に出る右足は、やや大きめに踏み出す
- 最後の左足も大きく前に踏み出し、つま先を前に送るようにスライドさせる
フックやカーブを投げるには
始めのうちは、ストレートボールのみでボウリングをプレイする人が多いですが、上達するにつれてフックやカーブがかけられるようになると、ストライクを取れる可能性はかなりアップします。
ハイスコアを出してさらにボウリングを楽しむために、フックとカーブを投げるコツを掴みましょう。
フックのコツ
ピンの直前までストレートと同じ軌道で進み、ピンの直前で急激に曲がるのが『フック』です。
フックを投げる時は、プッシュアウェイ時に12時方向にあった親指をリリース時に親指を抜きながら10時の方向に動かして、親指・中指・薬指の順で指を抜いて回転をかけます。
カーブのコツ
ボールをリリースしてからピンに届くまで、大きく弓なりの軌道を描くのが『カーブ』です。
カーブを投げる時は、プッシュアウェイからフォワードスイング前半までは親指を12時方向に向けて、フォアードスイング後半で9時の方向に向けます。
フック同様、親指、中指、薬指の順で指を抜くとボールに回転力が加わり、進行方向に対してボールが90度に傾くほど曲がり具合が強くなります。
フックを投げる際も、カーブを投げる際も、無理に手首を捻って回転させようとせず、あくまで指の方向と抜く順番を意識しましょう。
指を同時に離してしまうと、ボールに十分な回転がかからずストレートボールになってしまうので気をつけましょう。
自分に合ったフォームでスコアアップを
ボウリングでストライクやスペアを取るのはなかなか大変ですが、基本フォームを守って安定した投げ方を心がればスコアアップに繋がります。
初心者でも投げられるストレートボールから、難易度の高いフックやカーブボールまで、いくつか投げ方を紹介しましたが、今の自分に合ったフォームを選んで練習を積み重ねて行きましょう。