調味料の『さしすせそ』とは?いまさら聞けない料理の基礎知識

2019.07.17

料理をするときに、大切なことは『さしすせそ』だと聞いたことはないでしょうか?この言葉は、調味料に関する基本的な決まり事について示しています。いったい、どのような意味なのでしょうか。今さら聞けない料理の基本をしっかり押さえておきましょう。

調味料のさしすせそとは

「おいしい料理を作る秘訣は、調味料の『さしすせそ』ですよ」

日本の家庭で古くから語り継がれる言葉です。料理をしたことがない人でも、一度はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

この言葉は、調味料に関する大切な決まりを、わかりやすくまとめたものです。『さしすせそ』の意味を考えていきましょう。

砂糖・塩・酢・醤油・味噌の五つ

答えからいうと、さしすせそは次の五つです。

  • さ 砂糖
  • し 塩
  • す 酢
  • せ 醤油
  • そ 味噌

そのどれもが、和食には欠かせない大切な調味料です。こう説明されるとすぐに理解できるでしょう。

ところが中には間違って覚えている人もいます。『し』のことを醤油、『そ』についてはソースだと思っている人もいるようです。この機会にしっかりと覚えておきましょう。

調味料を入れる順番を指している

さしすせそが、それぞれ調味料を表していることがわかりました。では、単に調味料の種類を説明したものなのでしょうか。

実は、きちんと意味があります。それは、料理をおいしくするための『調味料を使う順番』を教えてくれているのです。

さしすせその順番なのはなぜ?

 

それではなぜ『さしすせそ』は順番通りが好ましいのでしょうか。単に入れる順番だと覚えるのでなく「なぜその順番で入れることが望ましいのか」も合わせて理解することが大切です。その理由を見てみましょう。

最初は分子量の大きい砂糖

なぜ砂糖が一番先に入れるのかというと、『食材に染み込むのに最も時間がかかるものが甘味』だからです。ほかの調味料より甘味が浸透しにくい理由も、科学的に説明されています。

砂糖は、塩などと比較して、分子量が大きい調味料です。分子量の小さい塩を先に入れたとしましょう。すると、食材の細胞の隙間に、いきなり塩が詰まってしまうことになります。

そこに、後から砂糖を入れても、分子量の大きな砂糖は食材に入り込む余地がなくなっています。そのため、甘味が染み込みにくくなってしまうのです。

次に塩を入れる

塩を料理の初期段階で入れるにも、合理的な根拠があります。

塩には、食材を引き締める作用があります。よく「魚を締める」といいますが、これは、水分を食材から外に追い出す効果によるもので、浸透圧の高さによる効果からきています。

では、料理の最終段階で塩を入れてしまうとどうなるでしょう。食材から水分を締め出す効果によって、せっかく味付けをまとめた食材から、水分とともに味わいまで抜き取られてしまいかねないのです。

味付けの最後に入れる酢・醤油・味噌

それでは、酢・醤油・味噌は、なぜ料理の後半で入れるといいのでしょうか?それぞれの理由を説明します。

酸味は、熱などで飛んでしまいやすい性質があります。ですから、酢は料理の早い段階ではなく、最後の方で入れることが望まれるのです。

醤油や味噌は、味付けもさることながら、風味をつける役割を担うことが多くあります。長時間に渡り火にかけてしまうと、その風味が損なわれるので、料理の仕上げとして入れるといいでしょう。

さしすせその役割と種類

次に『さしすせそ』で用いる、それぞれの調味料の役割などについて、さらに詳しく見てみましょう。

素材を柔らかくする砂糖

『砂糖』の主たる役割は、甘味をつけることです。また、味わいのコクを深く引き出したり、臭みをとったりする効果もあります。

それだけではなく、食材のつや・照りを出すこともできます。味わいという面以外に、見た目を華やかに演出するために使われることもあるのです。

塩は食材の水分を追い出し『締める』効果があると説明しましたが、砂糖は反対に、水分を抱え込む性質を持っています。そのため、素材を柔らかくする役割を果たす一面もあるのです。

料理によく使用する砂糖には、次のような種類があります。

  • 上白糖
  • グラニュー糖
  • 三温糖
  • 和三盆

味を引き締める塩

すでに説明しましたが、高い浸透圧により食材の水分を外に追いやり、食材を締める働きが『塩』にはあります。それは同時に、味を引き締めることでもあるのです。

締めた食材は、より味わいがふくらむとともに、保存期間を長く保てます。鮮魚などは傷みも早いため、少しでも長く食べられる期間を延ばせる塩の効果は、古来より重用されてきました。

さらに、塩には『味を調える』という働きもあります。一流の料理人の中には、絶妙な塩の加減によって、その料理のでき映えをより高くする技術を持っている人がいるといわれているのです。

加えて、アク抜きの効果もある塩には、次のような種類があります。

  • 精製塩
  • 粗塩
  • 岩塩

酸味や防腐効果のある酢

『酢』は、現代の健康志向を背景に、ヘルシーな調味料として注目されている面もあります。酢に含まれるクエン酸や酢酸は、血圧や血糖値の上昇を抑えてくれるでしょう。また、疲労回復の効果も期待されてもいます。

酢を入れることで、料理の味わいがスッキリとまとまり、臭みのある食材を食べやすくしてくれる働きもあります。また、酢独特の爽やかな味わいは、野菜や海藻類などのおいしさを引き立ててくれるのです。

さらに、酢には高い殺菌作用や、食材に付着する細菌の抑制、生臭さの消臭など、衛生面での効果もあります。家電などが発達していなかった時代には、酢の防腐効果は大きな役割を果たしてきました。

酢には、以下のような種類があります。

  • 米酢
  • 果実酢
  • 黒酢

和食に欠かせない醤油

和食に欠かせない代表的な調味料といえば『醤油』です。日本の味の代名詞ともいえる醤油は万能性も備えており、海外では『SOY SAUCE(ソイソース)』と呼ばれ、国境を越えて愛されています。

醤油自身が味付けの主役となることもあれば、出汁の味を引き出す役割を果たすこともあります。あるいは、食材を色付けする際にも使われるものです。

日本の代表的な味といっても、地域によって醤油の味わいは異なります。関東では濃口(こいくち)醤油が、関西では薄口(うすくち)醤油が好まれる傾向にあるようです。

素材そのものを生かした料理では、色合いや風味が抑え気味の薄口醤油を使用することがおすすめです。青魚などに代表される臭いの強いものの調理には、濃口醤油を用いることでおいしく仕上がります。

コクが出る味噌

『味噌』も、醤油と並んで日本を代表する調味料といえるでしょう。醤油と同様に大豆を発酵させる製法で、甘味・塩気・旨味が織りなす特有のコクと風味は独特の味わいです。

発酵食品である味噌は、加熱により香りを失いやすいので、仕上げ直前に使用する調味料です。味噌汁を作るときには、だし汁と具材を煮立て、最後にお湯を90度以下にして味噌を溶きましょう。

味噌にいろいろな種類があり、味・色・原料などによっていくつかに分類されています。

  • 米味噌
  • 豆味噌
  • 麦味噌
  • 合わせ味噌

さしすせそ以外にも欠かせない調味料

料理を支える大切な調味料のさしすせそについて説明してきましたが、調味料は、これだけではありません。

さまざまな料理で力を発揮してくれる調味料はまだまだたくさんあります。そのほかのお役立ち調味料を見てみましょう。

さに含まれるともいわれる酒

『酒』も、調味料として和食にはなくてはならない存在です。そもそも酒そのものにコクや旨味が含まれており、豊かな香りも備えています。そもそも調味料ではありませんが、大きな効果をもたらします。

酒は、さしすせその『さ』に含まれるとする人もいるほどです。酒が持っている旨味やコクは、食材の臭みを消す効果があるといわれています。そのため、砂糖よりも先に加えることが多いのです。

和食の調味料に日本酒が適している理由は、ほかにもあります。それは、酒類の中でも塩分が控えめである点です。

塩分は、料理のできを大きく左右するので、塩分が少ない日本酒が適しているのです。

大きく分けて2種類あるみりん

和食で使われることの多い調味料に『みりん』があります。この、みりんには『本みりん』と『みりん風調味料』という2種類があり、大きくな違いも存在します。

それが、アルコールを含んでいるかどうかです。アルコールが含まれているものが本みりんで、含まれていないものがみりん風調味料です。

そのため、みりんは、酒と同様の扱いになるので料理の最初の段階で使用するといいでしょう。アルコールの働きによって煮くずれを防いだり、生臭みを消す、味のしみこみをよくするといった効果を発揮してくれます。

さしすせその豆知識

料理には欠かせない調味料の『さしすせそ』は、奥深いものです。ここでは、知っていると得をする二つの豆情報をまとめます。

せが醤油の理由

よく間違われるのが『せ』です。ここまでの記述でも「おや?」と感じた人もいるでしょう。なぜ醤油は『し』ではなく『せ』なのでしょうか。

その答えは旧字にあります。

醤油は、昔の仮名遣いでは『せいゆ』と書かれていました。そのため、『せ』として扱われているのです。

必ずしも順番通りではないことも

料理のさしすせそは、必ず守るべき順番なのでしょうか?基本としては、さしすせそ通りに使用していれば、料理がよりおいしくなり、大きな間違いや失敗は起こりにくいといわれています。

しかし、決してこの順番でなければいけないというわけでもありません。ときには変えた方がいい料理もあります。

例えば、ある地域には、塩で下味を付けてから煮込む伝統料理があります。順番はさしすせそと違っても、その料理を多くの人は好んで食します。そうでなければ、長く親しまれてはこないでしょう。

また、酢の効果を使って食材の臭み取るときには、ほかの調味料より先に酢を使います。順番にこだわるだけでなく、調味料の特性を理解した上で使用することも大切です。

調味料のさしすせそをマスターしよう

料理には、調味料を使うべきタイミングがあります。それをわかりやすく示してくれる言葉が料理の『さしすせそ』です。さしすせそをマスターして、おいしい料理を作りましょう。

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