中国酒の定番『白酒(ぱいちゅう)』とは?日本でも飲めるおすすめ銘柄

2019.07.12

世界三大蒸留酒に数えられる茅台酒を含む白酒は、広大な中国大陸の各地で、特色ある銘柄が多数生産されています。豊かな味わいだけでなく、芳醇な香りも特徴的な白酒を飲み比べてみてはいかがでしょうか。おすすめの白酒も紹介します。

白酒とは?

白酒という中国酒は、広大な中国大陸の各地で生産されてきた深い歴史を持ちます。それぞれの特産穀物や気候・土壌・微生物を生かし、多様な味と香りを表現する白酒を知るために、まずは基礎的情報を見ていきましょう。

中国の蒸留酒 

『白酒』(パイチュウ)とは、中国発祥の蒸留酒で、コーリャン(高粱)・ジャガイモ・トウモロコシなどの中国産作物を原料として作られます。中国全土で広く飲まれる、中国の代表的な蒸留酒です。

主原料がコーリャンであるものを高粱酒(カオリャンチュウ)、蒸して作る蒸留の製法から焼酒(シャオチュウ)とも呼びます。

中国の代表的な醸造酒は黄酒(ホアンチュウ)と呼ばれますが、これは名前の通り褐色をしており、黄酒を無色透明になるまで蒸留したものが白酒と呼ばれるのです。

多種多様な白酒がある中で、白酒の1種である『茅台酒』(マオタイチュウ)は、スコッチウィスキー・コニャックブランデーに並び、世界三大蒸留酒に数えられるほどの名酒として知られています。

白酒の歴史

中国酒の歴史は古く、中国の賈湖遺跡(かこいせき)で行われた調査によれば、およそ9000年前に酒造蔵が行われていた形跡が確認できたとされています。

時代は下り、実在が証明されている最古の中国王朝である殷(いん)の時代には黄酒が飲まれていたとされ、少なくとも4000年前には白酒の元になる醸造酒が誕生していたことになるのです。

醸造酒を蒸留して蒸留酒を作る、という技術が中国に伝来したのは13世紀(元の時代)頃と考えられており、元朝後期(1300年頃)に白酒製造が始まったとされています。

白酒黎明期には白酒の1種である『汾酒(フェンチュウ)』が生まれ、1400年頃には西鳳酒、1704年には国酒として名高い茅台酒が誕生しました。

現代では広大な中国全土の各地でさまざまな特色を持つ地酒が生産されており、高級酒もあれば庶民向けの白酒もあり、広く一般に飲まれるポピュラーな酒として知られています。

白酒の基礎知識

白酒は食中酒としてだけでなく祝い酒として振る舞われることも多い酒です。アルコール度数や飲み方の基礎を見てみましょう。

白酒のアルコール度数

蒸留酒として広く認知されているブランデーやウィスキーは、ほとんどがアルコール度数40度ほどです。

これでも低い数字ではありませんが白酒の場合は45度や50度、特に高い『汾酒』などは、60度を超えるものもあります。

白酒には多種多様な銘柄があり、一見同じ商品名の白酒でも、38度程度の『低度酒』もあれば、昔ながらの50度を超える『高度酒』もあるので、パッケージの記載情報に注意を払っていくと良いでしょう。

中国では乾杯のときに飲まれる

白酒は祝い酒として飲まれることも一般的で、乾杯の際に白酒を飲み干して宴会の幕開けをする、という飲み方をされます。

これは伝統的な作法で、現代では白酒の代わりにビールやワインで乾杯することも増えています。食中酒の定番は紹興酒などの黄酒、というところは変わりないと考えて良いでしょう。

乾杯の際にアルコール度数の高い蒸留酒を飲む、というのは、食前にテキーラを飲み干すようなものです。

もし中国式の宴会に招かれることがあれば、小ぶりなグラスであっても、ビールのような感覚で飲むのは避けた方が良いでしょう。

白酒の飲み方

白酒はアルコール度数の高さが際立っていますが、芳醇な香りを特徴とした格調の高い酒も数多く存在します。飲む際には度数に留意し、香りを損なわない飲み方を意識するのが良いでしょう。

ストレートで飲む際には、チェイサー(口直し用の水)を用意しておけば悪酔いを防止できます。氷を浸してロックで飲めば、舌の火照りを抑えて飲むことができ味わいやすくなるため、酔いやすい人におすすめです。

高級酒の場合は、口に含む前にまず香りを楽しみ、口全体で味わいながら、喉に落ちていく余韻と鼻に抜ける芳香とのコラボレーションを堪能するのが良いでしょう。

白酒の種類はさまざま

中国全土のさまざまな産地で特色ある白酒が作られており、それら全てを一律に捉えることは困難です。原料や製法、香りや味による白酒の分類を見てみましょう。

原料や製法による分類

白酒は産地によってさまざまな製法があり、原料の違いから『穀物白酒』と『甘藷(カンショ)白酒』に大別することができます。

穀物白酒は主にコーリャンを主原料として、白酒を特徴付ける『個体発酵』と呼ばれる製法で作られます。歴史ある高級酒は穀物白酒、と考えると良いでしょう。

これに対して甘藷白酒はサツマイモを原料として、液体のもろみから酒を抽出する液体発酵を行い、香料などで香りづけした『調香白酒』です。こちらは低価格で、新型白酒などと呼ばれ広く一般に流通しています。

また、麹(こうじ)の種類によって、小麦や大豆を主原料とする大麹を用いた大麹酒、米粉を主原料とする小麹を用いた大麹酒、蒸した麩(ふ)を主原料とする麩麹を用いた麩麹酒の3種に大別することもできるのです。

麩は小麦から作られ、麩麹は大麹よりはるかに早く作ることができるため、最近では、伝統的な大麹酒の多くが低コストな麩麹酒に置き換えられています。

香型による分類

銘柄によってさまざまな香りを持つ白酒は、『香型(シャンシン)』と呼ばれる、香りと味による分類がなされます。

一律に評価することが難しい白酒の品質保証を目的とした分類で、これを元に全国名酒・全国優質酒といった格付けが行われるのです。

格付けされた白酒の多くは『濃香型』に分類され、他には醤香型・清香型・米香型などがあります。香りは製法によって大きく異なり、香型を意識すると白酒という酒の奥深さに気付くことになるでしょう。

主な香型

中国国内で最も愛飲されているといえる『濃香型』の白酒は、バランスの取れた濃い香りと爽やかな甘い後味が特徴です。五糧液(五粮液)や瀘州老窖(ろしゅうろうこう)特曲が代表的といえます。

白酒製造の黎明期から存在する汾酒は『清香型』に分類され、香りは上品で雑味のない柔らかな味わいと余香が特徴です。

有名な茅台酒は『醤香型』に分類され、濁りのない細やかな香りと濃醇で長く残る味わいを特徴としています。

ひな祭りに飲む日本の白酒との違い

日本にも『白酒』と書かれる酒がありますが、これは中国酒の白酒とはさまざまな面で異なります。白酒、という言葉について見てみましょう。

日本の白酒とは製法が違う

コーリャンを主原料とする中国の白酒と違い、日本の白酒(しろざけ)はもち米を用います。中国白酒は『発酵窖(老窖)』と呼ばれる穴の中で土を被せ発酵させるという、中国独自の伝統的手法を用いるのです。

これに対し日本の白酒は、蒸したもち米に、みりんを加えかき混ぜるか焼酎・米麹などを加え仕込んだものを、数週間後に臼で引きおろします。また、蒸留が行われないため、中国白酒のような蒸留酒でもありません。

なお、蒸留酒である中国白酒は無色透明を特徴としていますが、日本の白酒は白く、アルコール度数は9%程度というところも相違点として挙げられるでしょう。

甘酒との違い

『甘酒』は米麹と米、あるいは酒粕(さけかす)を主原料とします。アルコール度数は1%未満で、法的にはソフトドリンクという扱いです。

甘酒にはビタミン・アミノ酸・ブドウ糖が豊富に含まれており、これは栄養剤としての『点滴』とほぼ同じ成分であることから、飲む点滴とも呼ばれます。

甘酒は、正月の神社で参拝客に振る舞われることで有名です。ひな祭りの白酒とは全くの別物ですが、ソフトドリンクとして誰でも飲めること、安価であることなどの理由で白酒を甘酒に置き換えるケースも増えています。

白酒のそれぞれの読み方

中国酒の白酒は『パイチュウ』と読み、ひな祭りの祝い酒としての白酒は『しろざけ』と読みますが、この他にも日本には別の白酒も存在します。

神道において神に備える酒を神酒(みき・しんしゅ)といい、この1種としての白酒は『しろき』あるいは、しろさ・しろささと読まれます。

この場合の『き』は酒の古名であり、白尊とも書きます。なお、神酒には黒酒(くろき)・清酒(すみさけ)・濁酒(にごりざけ・どぶろく)などもあり、どぶろくは古来より豊穣祈願のために供えられてきた神酒なのです。

白酒に合う料理

一般に白酒は北京料理に合うといわれることがありますが、基本的には辛味が強かったり濃い味の料理に合います。

ただ中国全土で生産され飲まれていることからわかるように、合わせ方は好み次第というところもあります。

麻婆豆腐などの四川料理

『四川料理』は中国四川省の郷土料理で、周辺の雲南省や貴州省も含めた、特徴の共通する郷土料理の系統を指すこともあります。

中国の山椒である花椒(かしょう・ホアジャオ)や唐辛子を用いた、『麻辣』(マーラー)と呼ばれる痺れるような辛さを特徴とした料理です。

代表的な四川料理としては、麻婆豆腐・青椒肉絲(チンジャオロース)・回鍋肉(ホイコーロー)・担々麺などの、香辛料を多用した辛く脂っこい料理があります。

辛味と油に慣れた舌に、キレが良く鼻に抜ける芳香のある白酒を合わせてみてはいかがでしょうか。

酢豚などの広東料理

『広東料理』は、中国南部の広東省・香港・マカオなどで食べられている、広東省内の名物料理の集大成です。

フカヒレやカキなど海鮮物を生かした、さっぱりした薄味の料理が多いですが、オイスターソース・XO醬・八角などを用いたこってりした料理もあれば、湖南料理や江西料理の影響を受けた辛く酸っぱい料理もあります。

酢豚やフカヒレのうま煮など酸味が強い料理には、まろやかな味わいの白酒を、牛肉のオイスターソースがけやカニ玉などこってりした料理には、芳醇な香りでさっぱりした後味の白酒を合わせると良いでしょう。

北京ダックでも知られる北京料理

『北京料理』は、北京貴族の宮廷料理や北京市民の家庭料理、屋台の郷土料理などの体系で、北京市周辺の山東省・山西省・河北省の料理を北京風にアレンジした料理の総称とすることもあります。

宮廷料理を基礎とした料理には見栄えがするものも多く、四川料理の影響を受けて麻辣味を感じる料理が多いことも特徴です。

代表的な料理としては北京ダック、刀削麺(とうしょうめん)や餃子、杏仁豆腐などです。白酒は辛味の強い濃い味の料理にも、こってりとした酸味の強い料理にも合うので、中華料理で飲み比べをしてみてはいかがでしょうか。

お試しで飲みやすいおすすめの白酒

白酒を飲み始めようとするとき、まず何を選べばいいか迷うかもしれません。比較的安価で、基本的なチョイスを紹介します。

茅台酒を安く飲める茅台迎賓酒

『茅台迎賓酒』は、国賓の接待の場で振る舞われる国酒として名高い茅台酒を、手頃な価格で楽しめる商品です。

手持ちで飲みやすい形のボトルに封入してありますが、アルコール度数は53度とぐい飲みには向かないため、グラスに注いでチェイサーを用意したりロックで飲むと良いでしょう。

ただ、茅台酒とはいえ廉価版なので、芳醇な香りを味わえたとしても、より本格的な茅台酒には及びません。

本商品で茅台酒をテイスティングし、さらに純度の高い茅台酒を堪能したくなったなら、姉妹品の『貴州茅台酒』で洗練された香りと味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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北京で人気の紅星二鍋頭

高級酒の茅台酒に対して『紅星二鍋頭』は、庶民の味として北京を中心に広く親しまれている白酒です。

コーリャンを主原料として2度蒸留させた、伝統製法を踏襲した白酒ですが、格付けの高い白酒とは異なり強烈な味わいと強い香りを特徴としています。

料理と合わせるにはクセが強い酒ですが、飲み慣れると案外「イケる」と感じるかもしれません。格調の高い白酒と庶民向けの白酒を飲み比べてみて、初めて白酒の奥深さが体感できるというところもあります。

手持ちで飲みやすい形状のボトルのため、アルコール度数は56度とかなり高いことを踏まえ、飲み過ぎには注意しましょう。

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度数の高い天津高粱酒

『天津高粮酒』は、華北地方の特産コーリャン・大麦・ソラマメを原料とした白酒です。高粮酒と書かれていますが、これは高粱酒のことで、コーリャンを主原料とした白酒ということになります。

二鍋頭ほどの量産品でもなく、茅台酒ほど格付けの高い高級酒でもない、一般的な地酒としての白酒の一つです。

茅台酒と並び八大銘酒に数えられる汾酒はコーリャン・大麦・エンドウを原料としており、アルコール度数は汾酒で約60度、本商品は62度と類似点が見られます。

汾酒は格調の高い高級酒ですが、手頃な価格の本商品と飲み比べてみても面白いのではないでしょうか。

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  • 価格 : 1380円(税込)
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おすすめの高級白酒

白酒入門の次は『これを選べば間違いない』という白酒を代表する3種を紹介します。これらを飲めば、白酒が香型で分類され、格付けが行われる意味が自ずと理解できるはずです。

国酒ともいわれる国台酒

『国台酒』は、茅台酒の産地(中国貴州省茅台鎮)の中でも特に製造に適しているとされる地域で酒造蔵を行い、品質管理の行き届いた茅台酒です。

国内外で数々の受賞歴があり、一般入手できる茅台酒の中では『最上級クラス』の商品といえるでしょう。

茅台酒は短くとも5年の月日をかけて製造され、そのうち3年は寝かされます。国台酒は15年貯蔵という古酒で、ヴィンテージ白酒ともいえる仕上がりになっています。

上品な香りと豊かな味わいの醤香型白酒の最高峰を嗜み、中国酒の逸品を堪能する余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。

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茅台酒に並ぶ知名度の五粮液

『五粮液白酒』は、日本国内では茅台酒ほどの知名度は得られていないものの、中国では茅台酒に並ぶ白酒の最高峰として親しまれている酒です。

五粮液は八大銘酒の一つに数えられ、品質管理面でも評価が高く、中国国内で「検査を免除できる商品」として特例を受け、西欧各国の品質標準認証を得ています。

五粮液という名は、コーリャン・もち米・うるち米・トウモロコシ・小麦という5種類の穀物を原料とするところから取られ、これは数ある白酒の中でも例外的な独特の配合です。

人気が高く価格は高騰傾向にありますが、それだけ求められる香りと味わいを持っているといえるでしょう。

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10年貯蔵の老白汾酒

『杏花村老白汾酒』は、中国蒸留酒製造の始祖ともいえる汾酒の10年貯蔵品です。汾酒の製造が始められた醸造所である杏花村汾酒作坊は、世界遺産登録の暫定リストにも加えられています。

汾酒は清香型の白酒として八大銘酒に数えられ、他の香型の香りを含まない清爽で上品な香りが特徴です。味わいもさっぱりとして雑味がなく、香りと柔らかい味の余韻を楽しむこともできます。

白酒を飲み比べるなら、深い歴史のある汾酒は外せないでしょう。アルコール度数は53度と高いですが、飲み方はストレートで、繊細な香りと味わいをじっくりと堪能するのがおすすめです。

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中国のお酒白酒を楽しもう

中国の深い酒醸造の歴史の中で、白酒にはさまざまな香りと味を持った銘柄が作り出されてきました。広大な中国大陸の各地で、産地の特産穀物と、気候・土壌・微生物を生かした酒が生まれてきたのです。

貯蔵年の違いでも味わいが変わり、中には数百年寝かされているヴィンテージな酒もあります。味わい尽くせないほどの白酒が存在しますが、まずは代表的な銘柄から入門してみてはいかがでしょうか。

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