数学の国際大会「数学オリンピック」って?出場に向けた対策も解説

2019.07.13

東欧諸国で数学コンテストが盛んになり、1959年にルーマニアの呼びかけで『数学オリンピック』がスタートしました。数学オリンピックがどういったものなのでしょうか?出題される問題の範囲や過去の成績などを解説していきます。

数学オリンピックとは?

数学オリンピック(IMO=The International Mathematical Olympiad)は、数学における国別対抗のコンテストです。1959年の第1回以降、ほぼ毎年参加国の持ち回りで開催されています。

世界規模の青少年数学コンテスト

この数学オリンピックは、毎年7月に世界各国から集まった数学が得意な青少年たちが挑むコンテストです。制限時間は4時間半で3問という試験を2日間に渡って行うので、わずか6問のために9時間を費やして数学の知識を競います。

基本的には6問正解した人に金メダル、5問正解した人に銀メダル、4問正解した人に銅メダルが授与されますが、6問正解した人がいない場合は調整が入ります。

最初は東欧諸国のみが参加していましたが、次第に参加国が増え、日本も1990年に開催された第31回中国・北京大会以降、毎年参加しています。

国内の数学コンテストJMOもある

数学オリンピックの世界大会に参加できるのは、各国6人までと決められています。そのため、日本では代表者を決めるための『日本数学オリンピック』(JMO=The Japan Mathematical Olympiad)を開催しています。

日本数学オリンピックには予選と本選があり、本選の結果によって1名に『川井杯』と金メダルが授与されることになっています。また、銀メダルと銅メダルは複数に授与されるのが通例です。

日本数学オリンピックの出題範囲は高校1年生までに習う数学となっていますが、学校ではあまり深くは教えられないものもあり、難易度は高くなっています。

数学オリンピックの詳細

では、数学オリンピックの詳細を見ていきましょう。2019年7月に第60回イギリス・バース大会が開催されますが、参加者6名はすでに第29回日本数学オリンピックにて決定しています。

そこで今回は、第29回日本数学オリンピックを例に参加資格や参加方法をご紹介します。

参加資格や参加方法

参加資格は、2019年1月の時点で大学教育もしくはそれに相当する教育を受けていない20歳未満の人となっています。数学オリンピックの代表になるためには、さらに日本国籍を持つ高校2年生以下の人と定められているのです。

受験料は4000円で、個人申込もしくは学校一括申込で参加できます。ちなみに第29回日本数学オリンピックの予選は 2019年 1月、本選は2019年 2月に開催されました。

そして本選で選ばれた6名が、2019年7月にイギリス・バースで開催される第60回数学オリンピックに参加できます。

試験の問題範囲

日本数学オリンピックに参加するにあたり、前提となっている知識は『世界各国の高校数学の授業で学ぶ程度の知識』とされていて、整数問題・幾何・組合せ・式変形などが問題の題材となります。

ちなみに、微積分・確率統計・行列は対象から外されています。

中学3年生以下はJJMO

中学生向けの日本数学オリンピックともいえる「日本ジュニア数学オリンピック」(JJMO=The Japan  Junior Mathematical Olympiad)も開催されています。

この日本ジュニア数学オリンピックへの参加資格は、2019年1月時点中学3年生以下の人で、試験内容は世界各国の中学数学で学ぶ校程度となっています。範囲は数の問題・図形の問題・ゲーム・組合わせ的問題などです。

受験料は3000円で、今年の予選は19年1月に、本選は同年2月に開催されました。

数学オリンピックの歴史と日本の成績

数学オリンピックは、世界各国の数学的な才能に恵まれた若者を発掘し、その才能を伸ばす機会を与えることが目的の大会です。

そして数学オリンピックで出会った世界中の数学好きの青少年たちや教育関係者が互いに交流を深めることも重要な目的となっています。

その数学オリンピックの歴史を、もう少し深く見ていきましょう。

開催されたのは1959年

数学オリンピックが初めて開催されたのは1959年です。第1回大会はルーマニアのブラジョブとブカレストで開催されました。

76年の第19回オーストリア・リエンツ大会までは毎年東欧諸国が持ち回りで開催していましたが、77年からは世界各国で開催されるようになっています。

日本が参加したのは1990年から

日本は1990年の第31回中国・北京大会から参加しています。同大会での成績は、54カ国中20位で、銀メダル2個、銅メダル1個を獲得しました。

過去の日本の成績

上記の第31回中国・北京大会以降は全大会に日本は参加しています。その中でもハイライトともいえるのが以下の2大会の成績です。

  • 2003年… 第44回日本・東京大会で総合9位、メダルを6個(金1・銀3・銅2)を獲得
  • 2009年…第50回ドイツ・ブレーメン大会で総合2位、メダルを6個(金5・銅1)獲得

2019年現在、日本で開催された唯一の数学オリンピックである第44回大会では、主催国の意地を見せて総合9位を収めました。また、これまでの日本の最高位が第50回大会の2位です。

数学オリンピック対策は?

それでは、数学オリンピックに参加するためにはどのような勉強をして用意をすれば良いのでしょうか。

過去問を解いて慣れる

この方法は数学に限ったことではありませんが、やはり過去に出題された問題から傾向と対策を立て慣れておくことが最も重要です。

数学オリンピックの過去の問題を5年分まとめた書籍(『数学オリンピック』)が発売されているので、2冊分(10年分)は押さえておきましょう。

受験勉強の方が重要なので、数学オリンピックの勉強の時間を割けない、という意見もあるようですが、実は数学オリンピックの予選問題は最難関大学の受験問題に出る可能性が高いので、受験対策にもなるものです。

ちなみに『数学オリンピック 2014-2018』には、2014年から2018年までの日本数学オリンピックの予選・本選、数学オリンピックの全問題が解答付きで掲載されています。また、日本人選手の成績も網羅されています。

対策講座を受講する

数学オリンピックを目指すための特別講座を開講している大手学習塾もあります。

数学オリンピックの過去問題だけでなく、予想される傾向から割り出したオリジナルの問題などを素材として、解く力・創る力を育くむプログラムが用意されています。

大学入試の数学にとらわれるのではなく、『学問としての数学』を学ぶ機会としても有効です。

おすすめの参考書を使う

独学でチャレンジするためには、数学オリンピック用の参考書を活用する方法もあります。

いくつか過去問題を含めた参考書がでていますが、まず紹介するのは『めざせ、数学オリンピック』です。この書籍は、日本はもちろん世界中の数学オリンピックの過去問題から厳選し、基礎・中級・上級に分類した問題集となっています。

そして、シリーズものとしては『数学オリンピックへの道』があります。これは、アメリカの数学オリンピックチーム選手団を選抜する『数学オリンピック夏期合宿プログラム』で使用されている問題から精選した問題集です。

最後に『数学オリンピック事典 -問題と解法-』という参考書を紹介します。これは、数学オリンピックの第1回から第40回までの全問題・解答に加え、日本数学オリンピックの1989年から2000年までの全問題・解答を網羅した集大成的問題集です。

数学オリンピックは青少年の数学コンテスト

数学オリンピックは、数学における国際大会のコンテストです。過去には、日本人で好成績を納めた選手もたくさんいます。

数学オリンピックは過去問なども公表されていて、数学に興味のある方は触れてみると面白いかもしれません。数学オリンピックの対策講座も開かれています。

世界中の数学の実力者が集う数学オリンピックですが、青少年がたくさん集まるということで若い世代ならではのドラマもあります。今後も、日本人選手の活躍に注目していきたいところです。

 

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