脳科学者はどんな仕事をしている?なるための学部や有名な学者を紹介

2019.07.10

『脳科学者』と呼ばれる人の活躍をメディアを通して目にすることがあります。しかし、脳科学者本来の仕事や、どのようなキャリアを経ているのかはあまり知られていません。そこで、脳科学者の仕事や有名な脳科学者を紹介します。

脳科学の基礎知識

テレビや雑誌で、脳科学者と呼ばれる人の意見や解説を聞くこともあります。

しかし、「脳科学とは何か」と聞かれて、即座に答えられる人は少ないのはないでしょうか。そこで、脳科学に関する基礎的な知識について解説します。

脳科学とは

脳科学を一言であらわすと『人や動物の脳が生み出す機能を研究する学問』です。脳は、行動や思考・感情といった、生命活動におけるあらゆる機能を司るため、脳科学には幅広いアプローチが求められます。

そのため、脳科学における研究範囲は広範です。心理学や医学をはじめ、電子工学なども含まれます。さらに、脳の構成単位(ニューロン/神経細胞)の活動や小さな分子レベルの研究などにも及ぶのです。

どのようなときに脳のどの部分が働き、人や動物の動きや感情を引き起こしているのかを研究する学問が脳科学です。

脳科学部は存在しない

重要な役割を果たす脳ですが、この脳科学はどこで学ぶのか気になるところです。一般的な学問のように、大学に進学すれば学べるのでしょうか?

しかし、現在の日本の大学には、脳科学部というものは存在しません。脳科学そのものを教える大学はほとんどなく、一部の大学院で研究の対象となっている程度です。

その大学院であっても、確固たる学問として学ぶというものではありません。脳にまつわるデータを収集しながら研究を続けるような状態が、現在の日本における大学院での学習スタイルのようです。

脳科学者になるために選びたい学部は?

それでは、脳科学を学べないのかといえば、そうではありません。プロセスは異なっても、さまざまな経緯で脳科学を学び、脳科学者と呼ばれるようになった人がいるのです。

脳科学は『幅広い分野からアプローチされる』のため、どの学問からスタートしても追求することが可能でしょう。そこで、脳科学者を目指すために進んでおきたい学部について解説しましょう。

医学部で脳神経科学を学ぶ

脳科学者を目指すための学部として、まず浮かぶのが『医学部』です。人体の仕組みや各器官に生じる病気などについて勉強する医学部は、脳の働きについても学びます。

ただし、医学部の中にも、脳科学そのものを学ぶ学科はありません。その中で脳科学にアプローチするには、脳神経科学で学ぶことが有効と考えられます。

脳神経科学は、神経系の構造や機能・発達・遺伝などについてを対象とした科目です。脳と神経との関連について基本から学べ、そこから脳科学の領域へと進むきっかけをつかみやすくなるでしょう。

心理学部で脳の認知機能などを学ぶ

『心理学部』では、講義だけでなく、実験や観察・調査などの分析を通して人の心について学びます。そのため、脳科学者になるための学習ができる学部といえるでしょう。

医学部では、神経細胞といった小さな単位によって脳の仕組みを学びます。それに対して、主に脳によって生み出される思考や行動について学ぶのが心理学です。

心が成長するプロセスや他者・社会からの影響などの研究は、脳とも関連しています。心理学部では、教育学・組織学・社会学など幅広い科目を通じて、脳を学ぶことが可能です。

工学部で実験装置の仕組みなどを学ぶ

『工学部』で脳を学ぶと聞くと、不思議に思う人もいるかもしれません。しかし、脳科学を学んだり、応用したりするときに、とても有効な学部だといえます。

工学部では、数学を用いた化学的観点から、機械・電気・電子・システムについて学びます。この、理系的なモノ作りの技術が、脳の活動を探るための実験装置の仕組みや開発などにつながっています。

近年では、脳の計算原理の解明や計測技術の開発を工学的に応用することが、分野の目的の一つになっています。こうした流れは、人工知能(AI)の研究・開発を発展させているのです。

脳科学者にはどんな仕事がある?

私たちが脳科学者を目にするのは、テレビや雑誌などのメディアがほとんどです。そこからは、脳科学者の仕事をうかがい知ることはなかなかできません。

脳科学者といわれる人たちは、どのような仕事をしているのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

大学の研究員や教員として働く

脳科学者には、大学で『研究員』をしたり、『大学教員』として仕事をしたりしながら研究を続けている人がいます。ある程度の設備がそろっていることは、研究を継続する上で有利でしょう。

ただし、大学の研究員のみの立場だと、収入的にはとても厳しい環境です。脳科学は発展途上の学問でもあるので、なおさらといえます。

そのため、脳科学を追求する人たちは、国立大学や私立大学で、専門を生かしながら教員として籍を置き、教えながら研究を続けるというスタイルをとることが多いようです。

医師として働く

『医師』としての仕事をしながら、脳科学者として研究を重ねている人もいます。医師の場合、収入的には比較的恵まれている人も多いので、研究を続けるには有利な立場といえます。

開業医だと、さらに収入が安定するでしょう。しかし、研究する環境が整っているとはいえない部分があります。

そのため、脳科学者として研究をする人は、大学病院などに所属しつつ脳科学の探究を続ける人ケースが一般的です。

国立や独立行政法人の研究所に勤める

脳科学者は、研究者として活動している人もいます。そのため、国立研究所や独立行政法人の研究所などに在籍し、脳科学の研究をしている場合もあります。

ただし、脳科学だけを研究する環境を与えられる人は、ほんの一部です。たいていは、医薬やその他の分野で依頼を受けた研究をすることも求められます。

そして、それと両立させるように脳科学の研究にも携わります。いわば、研究者として二束のわらじを履きながら取り組んでいるのです。

有名な脳科学者にはどんな人がいる?

脳科学者は、メディア以外でも活躍している人はたくさんいます。有名な脳科学者を3名紹介しましょう。

日常に関わる脳科学を研究する篠原菊紀

脳科学と聞くと、とても堅いイメージを抱く人もいるでしょう。しかし、篠原菊紀(しのはら きくのり)氏は、人々の日常に関わる脳の働きを中心に研究している脳科学者です。

自身を『はげひげ』と称し、とてもフランクな人柄です。学習・運動・遊びなど、日常的な場面を中心とした脳活動を研究しており、その研究成果への評価は高く、テレビ番組の監修などにも抜擢されています。

医師としても働く加藤俊徳

加藤俊徳(かとう としのり)氏の研究成果は、特に子ども向けの医療現場で活用されています。自身のクリニックで院長を務めながら、発達障害などに悩む子どもたちの診断・や援サービスを行っています。

クリニックの経営の傍ら、『株式会社脳の学校』代表や大学の客員教授なども兼務し、著書も多数です。中でも『脳の強化書』は、35万部を超えるベストセラーとなりました。

脳科学と恋愛を結びつける中野信子

知名度が急上昇している女性脳科学者が中野信子(なかの のぶこ)氏です。脳科学の観点から男女それぞれの恋愛心理について語るその内容に、多くの人が興味を引きつけられています。

中野氏は東大大学院卒というキャリアの持ち主です。IQは148以上といわれ、世界で上位2%に入る高いIQの持ち主しか入会できないMENSA会員の資格も持っています。

脳科学者の著書

脳科学者の発言はメディアでよく見聞きしますが、その人の研究内容や考え方に深く触れてみるには書籍を読みことが一番です。そこで、有名な脳科学者の著書を紹介します。

篠原菊紀 勉強にハマる脳の作り方

脳科学と臨床心理学に基づく効率的な勉強法を、著者がわかりやすく指南します。『勉強にハマる脳の作り方』では、35のレッスンを通して勉強法を身につける実践型の勉強本です。

「パチンコに依存するように勉強にハマれば、自然と研究し努力する」刺激的に聞こえるこのような心理を、別の目的に生かす方法を教えてくれます。

短期間で実力をつけたい、勉強が続いたことがないなど、挫折を味わった人はぜひ手にすることをおすすめします。集中力・勝負力・記憶力・ヤル気などを養えるでしょう。

  • 作品名:勉強にハマる脳の作り方
  • 価格:1512円(税込)
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加藤俊徳 脳の強化書

14才にして『脳を鍛える方法』を知ろうと決意し医学部への進学を果たし、以来、脳の研究を続ける加藤俊徳氏による著作が『脳の教科書』です。35万部を超える大ヒット作になりました。

本書では、人間に行動に別に、脳の神経細胞を八つの『番地』に区切っています。そして、八つそれぞれの脳番地を個別にトレーニングするパズルを考案しました。

一つ一つのパズルをすることで脳のトレーニングとなり、その結果、脳全体を強化できるという画期的かつ実用的な1冊です。

  • 作品名:脳の強化書
  • 価格:1,404円(税込)
  • Amazon:商品ページ

中野信子 努力不要論

著者の中野信子氏は本書の中で、『脳科学の視点で見ると、常識と思われているものの裏には、たくさんの欺瞞(ぎまん)があり、その代表的なものの一つが努力』だと指摘しています。

そして、努力が必要だという思い込みは、洗脳された結果ではないかと疑うことを薦めます。

「努力するのが苦しい」「努力は報われないのではないか」

そう感じている人には、ぜひ目を通して欲しい内容です。努力という洗脳から解放しようと、優しく手を差し伸べる著者の視点がそこにあります。

  • 作品名:努力不要論
  • 価格:1,512円(税込)
  • Amazon:商品ページ

脳科学者にはさまざまな分野がある

脳科学者の存在は知っていても、『脳科学』そのものは知らなかった人もいるでしょう。そして、脳科学者にはさまざまな分野があり、それぞれが独自の研究と活動をしています。

脳科学を知るための本は数多くあり、決して難しいものばかりではありません。『脳科学って面白そう』と感じたら、もう1歩踏み込んだ脳科学の世界に触れてみませんか?

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