IoTの市場規模はこれから急速に拡大するといわれています。活用範囲は広く、私達の生活でも導入されはじめています。IoTが注目されるようになった背景や具体的な仕組みを見ていきましょう。興味がある人はIoT関連の銘柄に投資するのもいいかもしれません。
IoTとは
最近よく耳にするIoTですが、どんな意味か知っていますか?IoTは、『Internet of Things』の頭文字をとったもので、日本語では『物のインターネット』という意味になります。
直訳しただけではイメージが湧かない人も多いはずです。具体的に何を指しているのかを見ていきましょう。
あらゆる物をインターネットで繋ぐ
『物のインターネット』という意味は、平たくいえば、世の中のあらゆるものをインターネットで繋ぐということです。
パソコンやスマホ、ウェアラブルデバイスで生活を管理したり、家電を遠隔操作したりする便利な社会が思い浮かぶかもしれません。
世の中のあらゆるものにセンサーと通信機能と搭載し、連携させようというのがIoTです。
IoTが使われると、情報が収集・共有されます。そして、これまで見えにくかった状態やプロセスが『可視化』できるようになるのです。活用の仕方は多種多様で、業種・業界によっても異なるでしょう。
たとえば、開発・設計・生産システムの効率化やリードタイムの短縮、ミスの防止、健康管理や人材育成などが挙げられます。
市場規模予測
IoTをビジネスに活用する企業は増加傾向にあり、活用分野や業界も多様化しています。
ITコンサルティングのITRの独自調査では、現在のIoTの市場規模は約4,850億円で、2020年には1兆3,800億円まで拡大すると予測しています。
業務効率の向上やコスト削減という目的で導入する企業が多い中、今後は、IoTを利用した組織能力向上や革新、新たなビジネス価値の創造など、企業のビジネスイノベーションに用いられる可能性あります。
IoTの仕組み
IoTは具体的にどのような仕組みと技術が使われているのでしょうか?
デバイスの中のセンサーが情報を集める
IoTは一見複雑なように見えますが、基本的なパターンは以下です。
- 情報を取得する
- 情報の転送・分析・蓄積・連携
- アクションを起こす
IoT機器の中には、『デバイス』というインターネットと繋がる重要な部分があります。このデバイスには、周囲の状態を感知し、情報の収集を行う『センサー』が付いています。
センサーによって収集された無数の情報は、データーベースに蓄積されます。これを『ビックデータ』とよび、分析や解析を通して、どの情報が有用なのかがピックアップされていきます。
そして、整理された情報を基にアクションを起こしていくのが一連の流れです。
主なセンサーの種類
デバイスの状態や周囲の情報を感知して集める『センサー』にはさまざまなものがあります。主なものを挙げてみましょう。
- 光センサー
- 温度センサー
- 湿度センサー
- 加速度センサー
- 磁気センサー
- 画像センサー
カメラやスマートフォン、最新家電はこれらのセンサーを搭載する代表的なものといえるでしょう。
また、特定の分野では、ガスや蒸気の漏れを感知する『流量センサー』や生物化学検知器といわれる『バイオセンサー』なども使われています。
身近なスマートフォンのセンサーネットワーク
身近にあるスマートフォンには、温度センサー、位置センサー、磁気センサーなどさまざまなセンサーが搭載されていますね。
センサー同士が互いに繋がり、情報を収集することを『センサーネットワーク』とよび、物理的状況及び経過を可視化するのに欠かせないコア部分になっています。
スマートフォンを例に挙げてみましょう。
たとえば、圧力センサーと温度センサーからの情報を組み合わせ、数時間後の降水量を予測する、位置センサーで人の居場所を取得し駅の混み具合を計算する、というのは、センサーネットワークによるものです。
無数のスマートフォンからセンサーデータを集め、分析・計算を加えることで、より確率的な数値を出すことができるでしょう。
IoTの主な活用事例一覧
IoTの身近な事例にスマートフォンを挙げましたが、活用の範囲は、それだけにとどまりません。主な活用事例を紹介します。
メーカーや運送業の安全性と効率性UP
『製造メーカー』では、主に生産性の向上や省エネ、安全管理などにIoTが用いられています。
たとえば、工場で消費されるエネルギーに関して「いつ、どこで、誰が、どのくらい」消費しているのかが可視化され、ラインごとの具体的な省エネ対策がとれるようになります。
省エネだけでなく、防災、労働環境、生産性までを監視対象にすることで、生産ラインの効率化や安全性の向上に役立つでしょう。
『運送業』においては、資産の輸送、追跡、監視、車両の性能維持などにIoTが用いられます。
交通状況や遅延状況を把握し、到着予定時間を正確に割り出したり、画像解析データを取り入れ、倉庫内での入出荷検品の効率を高めたりといった活用法があります。
農業従事者の負担を軽減
農業においては、従事者の負担を軽減させるためにIoTが用いられています。
IoTの導入により、パソコンやスマートフォンで、天気や植物の生育状況を把握し、GPSを搭載したロボットに、水やりや農薬散布などの労働を変わってもらう『スマート農業』が現実になりつつあるのです。
IoTでハウス内の環境が可視化されると、管理がしやすくなり安定した栽培と収穫ができるようになります。
農業は深刻な人手・労力不足に直面しています。従事者の高齢化が進む中、IoTやAIが最も活躍する分野といえるでしょう。
高機能自動販売機やスマートハウスへの応用
生活に密着した部分では、IoTを導入した『自動販売機の高機能化』が進んでいます。
自販機内に無線通信機を設置することで、釣銭切れ、販売状況、故障などがリアルタイムで把握できるようになります。売り上げデータを分析することで、マーケティングにも活用できるでしょう。
また、自販機に、防災情報、災害情報の表示機能を加えることで、ローカルエリアの情報を迅速に提供できるようになります。
近年は、IoTを導入した『スマートハウス』という言葉も聞かれるようになりました。
たとえば、住宅内外にセンサーを設置して自動で窓を開け閉めする、ガスや電気の使用量を監視して省エネに繋げる、家族の行動をチェックして異変を報告する、といったことが挙げられます。
IoT化にはコストがかかる?
IoT化というと、複雑なプロセスや工事を必要とし、コストが高いという印象があります。実際、企業や個人がIoT化を活用するにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
低価格でも実現可能
IoTの導入は、多くの企業にとって欠かせないものになるでしょう。
従来のIoTシステムにおいては、専用のセンサーや防御装置を導入するために、コストのかかる大規模な工事を必要としていました。
しかし、近年はニーズの高まりから、低価格で使いやすいIoT(情報収集アプリ)が登場しています。
IoTスタータキット
低価格のIoTの代表格が『IoTスタータキット』です。設置のための工事は不要で、状況を把握したい場所にキット(測定キット・管理キット)を設置するだけで、自動的にデータを収集してくれます。
開発を手掛ける日本ノーベル社は、製造・物流など中小企業の現場系ソフトウェア開発を多く行ってきました。
外部バッテリー仕様で、長時間使い続けるのには不向きですが、はじめてIoTを導入するには十分といえる機能です。
SmartBee IoTは1台9,000円
同じく、低価格のIoTで有名なのが、『SmartBee IoT』です。IoT向けのネットワーク技術として注目を浴びる『Sigfox』というネットワークを使用し、データの可視化を実現します。
電源不要なので、これまで設置しにくかった場所や物に簡単に取り付けることができます。
SmartBee IoTは1台9000円という低価格で、企業はもちろん、個人のニーズも増えています。
IoTに投資しよう。IoT関連の銘柄3選
低価格のIoTが増えているといっても、IoTを提供する企業側は、開発・研究に膨大な時間とお金を要します。より快適で豊かな世界を実現するために、こうした企業に投資してみませんか?
NEC
NECは10年後のICT時代を見据えた明確なビジョンを持ち、研究・開発を続けている企業です。
産業における複雑なバリューチェーンの効率化、治安の維持、生態系の維持など、さまざまな分野にAI、IoTを活用し、人と地球が調和した新しい世界を目指しています。
NECは海底から宇宙までをカバーする最先端のセンシング技術がある点にも注目しましょう。
ソーバル
ソーバルは、ソフト・ハードウエアの設計開発を行う企業です。IoTデータハブ やIoT開発キット、IoTコンサルティングを手掛け、最適化や効率化の実現をサポートしています。
IoT製品の特長は『すぐに使える』ことでしょう。煩雑なプロセスがないため、実証実験やデータ収集といった本来の目的に集中することができます。
システナ
株式会社システナは、IT製品の販売、システム開発などを行っている会社で、IoTサービスにも力を入れています。
システナのIoTサービスは、『データ蓄積』と『見える化』だけにフォーカスを絞っているのがポイントで、IoTをはじめて取り入れる人向けといえるでしょう。
IoT製品はシンプルでコストパフォーマンスに優れ、ニーズに合わせたIoTのパーツを組み合わせることで、可能性や適用範囲がどんどん広がります。
便利な世の中にIoTは欠かせない
IoTは、物を繋ぎ、情報を収集するだけにとどまりません。膨大な情報の中から有益なものを選び、それを活用するまでが1つのプロセスです。「どこにどう活用するか」は、企業や個人に委ねられているといえるでしょう。
IoTは、世の中をより豊かで便利にするには欠かせません。特に、深刻な人手不足の現場や災害対策などには、大きな力を発揮してくれるでしょう。