赤は「勝利」、青は「集中」?宝石の色が持つ意味とは

2019.07.09

宝石の種類はさまざまで、地球由来のものもあれば隕石由来のもの、天然宝石だけでなく科学的に合成されたものもあります。人類に愛されてきた宝石の持つ色や誕生石に込められた願いなどを、歴史を踏まえて見てみましょう。

宝石にはどんなものがある?

『宝石』とは、ダイヤモンドや水晶など、化学的に均質な結晶構造を持つ『鉱物』のうち、特に希少性が高く外観が美しい固形物を指します。まずは宝石の分類方法を見てみましょう。

天然石と合成石

宝石にはさまざなな鉱物が選ばれ、複数の分類法があります。宝石の生成要因による分類を見てみましょう。

『天然宝石』は、自然環境から採取された、カットや研磨を除いて人の手が加わっていない宝石です。

加熱処理を加えた黄水晶(きすいしょう)や、放射線照射されたブルートパーズといった、外観の改良・改変が行われたものは『処理宝石』として区別されます。

『合成宝石(人工宝石)』は、合成ダイヤモンドや合成エメラルドなど、天然宝石と同じ成分から科学的に合成して作られた宝石です。

天然宝石に含まれる微細な内包物やヒビなどがなく、見た目は綺麗ですが、ニセモノと捉える傾向もあります。

人造石と模造石

『人造宝石』は、天然宝石とは異なる物質を使い、天然宝石に似せて作られたもので、類似石・イミテーションとも呼ばれます。

代表的な素材はキュービックジルコニア(CZ)です。ダイヤモンド類似石・合成アレキサンドライトといった、見た目は天然宝石でも中身は違う、というものがあるので注意しましょう。

『模造宝石』は、ガラスやアクリルなどを素材とした、宝石らしく見えるものです。クリスタル・ガラスと呼ばれる、クリスタル(水晶)らしく見えるガラスを使ったスワロフスキーのラインストーンなどがこれに当たります。

宝石の色と意味

宝石は鉱物の特性によってさまざまな色を持ちます。人類が宝石に込め、信じてきた願いや意味を見てみましょう。

赤・桃・黄

情熱的な赤い宝石は、ファッションのアクセントになるだけでなく、勝利や成功を求めて身につけられます。

世界四大宝石の一つでもあるルビーは、困難を打破し病気を防ぐ『勝利の石』とも呼ばれ、柘榴石(ざくろいし)としても知られるガーネットは、物事を成功に導く実りの象徴として、『恋愛成就のお守り』としても人気です。

ピンクは女性的で優しい印象を演出します。希少なピンクダイヤモンドの石言葉は『永遠の愛』、透明感のあるモルガナイトは清浄・愛情・優美を意味し、幸せな結婚を象徴するといわれる宝石です。

イエローは希望や温かさ、くつろぎを象徴します。黄水晶とも呼ばれるシトリンは、『友愛と希望』という石言葉を持ち、金貨の黄金色のイメージから、富をもたらす『幸運の石』として珍重されてきました。

緑・青・紫

緑は癒しや安らぎを象徴する色です。世界四大宝石として名高いエメラルドをはじめ、翡翠(ヒスイ・ジェード)は古来より『成功と繁栄』を象徴するものとして重宝されてきました。

また、夜間照明でも美しく輝くペリドットは『夜会のエメラルド』という別名を持ち、夫婦円満をもたらす宝石としても知られています。

冷静や集中を象徴する青の宝石として、特に有名なものは世界四大宝石の一つであるサファイアです。古代エジプトでは魔除けのペンダントにも使われていました。

古来より高貴な色とされる紫の宝石の代表格は、紫水晶としても知られるアメジストです。酒の酔いを醒ます、あるいは恋に溺れない、という効果があると信じられています。

白・黒・虹

白あるいは無色透明の宝石は、純粋や潔白を象徴します。結婚式で用いられるだけでなく、シーンを選ばず身につけられる清潔感のある宝石といえるでしょう。

永遠の象徴ともいえる、全ての宝石の中で最も硬いダイヤモンドや、健康・富・長寿などを石言葉とするパール(真珠)が代表的です。

ブラックダイヤモンドやブラックオニキスなど、黒の宝石は高級感や威厳を象徴し、ミステリアスな魅力と芯の強さを感じさせます。他の色にはない洗練された印象が特徴といえるでしょう。

夢や希望を感じさせる虹の宝石には、光を乱反射してさまざまな色を見せるオパールや、昼と夜で色を変えるアレキサンドライトがあります。

誕生石の一覧と意味

1〜12月の各月にちなんだ宝石を誕生石といいます。一つの月に複数の誕生石が当てられることがありますが、代表的な1種ずつを見てみましょう。

1月から4月までの誕生石

1月の誕生石はガーネットです。貞節・忠実・変わらぬ愛を石言葉とし、赤色のイメージが定着していますがオレンジや緑のものもあります。

2月の誕生石はアメジストです。真実の愛を守り抜く宝石と呼ばれ、レオナルド・ダ・ヴィンチが「邪悪な想念を霧散させ、知性の働きを活発にする」として好んで身につけていたという逸話もあります。

3月の誕生石はアクアマリンです。調和や幸福を象徴し、古来より海の力が宿った宝石と信じられ重宝されてきた歴史があります。

4月の誕生石はダイヤモンドです。研磨する技術のない古代ローマ時代から、病気や天災から身を守る魔除けとして用いられてきました。現代では不屈や永遠の愛を象徴する宝石とされています。

5月から8月までの誕生石

5月の誕生石はエメラルドです。安定や幸運を象徴し、ユリウス・カエサルは治療のために、クレオパトラは美容のために収集していたという逸話もあります。

6月の誕生石はパール(真珠)です。石言葉は富・長寿・清潔などで、月のしずく・人魚の涙と呼ばれる美しい光沢を持ち、世界各地で古くから珍重されてきました。

7月の誕生石はルビーです。石言葉は情熱・純愛・勇気などで、産地も産出量も限られた希少な宝石であるため、かつてはダイヤモンドに次ぐ価値を持っていました。

8月の誕生石はペリドットです。石言葉は平和・安心・幸福などで、宇宙から飛来する隕石の中でも特に希少なパラサイトの中から産出されることもあります。

9月から12月までの誕生石

9月の誕生石はサファイアです。石言葉は慈愛・誠実・高潔などで、キリスト教では司教の叙任の際に、またイギリス王室では伝統的にエンゲージリングとしてサファイアが採用されています。

10月の誕生石はオパールです。石言葉は希望・無邪気・潔白で、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスが、ローマ帝国の1/3を売ってまで手に入れようとしたという逸話があります。

11月の誕生石はトパーズです。石言葉は誠実・友情・潔白などで、日本でも産出される比較的安価な宝石で、特に高価なものはシェリーカラーでインペリアル・トパーズと呼ばれます。

12月の誕生石はラピスラズリ(瑠璃)です。石言葉は尊厳・崇高などで、人類が発見した最古の鉱物とされ、ツタンカーメン王のマスクやメディチ家の紋章などに利用例が見られます。

誕生石以外の代表的な宝石一覧

誕生石以外にもさまざまな宝石があります。代表的なものを50音順にいくつか見てみましょう。

ア行からサ行の宝石

アンバー(琥珀)は、天然樹脂で硬度は低いものの、その黄金色の美しさから宝石とされています。

オブシディアン(黒曜石)は、独特な光沢のある黒色が特徴です。石言葉は摩訶不思議で、鉄器が誕生するまでは切れ味のよい石器素材として広く用いられてきました。

キャッツアイ(猫目石)は、クリソベリルという宝石の変種です。光の効果で猫目のような輝きを見せる『キャッツアイ効果』を持つものは非常に高価になります。また、アレキサンドライトも実はクリソベリルの変種です。

スギライト(杉石)は、20世紀に日本で発見された宝石で、特に高貴な紫(皇帝紫)を持つものはローヤルアゼールと呼ばれます。

タ行からハ行の宝石

タイガーズアイ(虎目石)は、虎の目の虹彩を思わせる金褐色の縞模様が特徴です。灰青色をしたものはホークスアイ(鷹目石)、珍しい緑色のものはウルフアイ(狼眼石)と呼ばれます。

ヘマタイト(赤鉄鋼)は、黒〜銀灰色か茶〜赤色をしており、ブラックダイヤモンドと呼ばれることもある宝石です。

ヘリオライト(日長石)はギリシア語で『太陽の石』という意味で、サンストーンとも呼ばれます。虹色の反射を伴う透明度の高い結晶で、古代ギリシャでは太陽神の象徴としてして崇められました。

マ行からラ行の宝石

モルダバイトは、テクタイト(隕石由来の鉱物)の1種と考えられており、産出量が限られているため非常に高価な宝石です。他のテクタイトには見られない緑色透明を特徴とします。

リシア電気石(エルバアイト)は、結晶の品質の違いからさまざまな色を持つ鉱物です。緑色のものはブラジルエメラルド、青色のものはインディゴライトあるいはブルートルマリンと呼ばれる宝石になります。

ローズクォーツ(紅水晶)は水晶の中でも特に希少な宝石です。ピンク〜薄紅色を呈し、星が煌めくように光る『スター効果』を持つものも存在します。

宝石はさまざまなものがある

宝石は地球上に存在する多種多様な鉱物から選出されます。特に希少で美しいものとはいえ、その種類は100を超え、新規な宝石が発見されることもあります。

同じ宝石でも取り引きされる価格は国によって違い、万人にとって同じ価値のある宝石は存在しません。自分にとって最も価値ある宝石を探してみましょう。

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