奇抜で自由な作家『オスカー・ワイルド』。数奇な生涯と代表作を紹介

2019.07.08

近代文学に精通している方で、オスカーワイルドの名前を知らない方はいないでしょう。その派手な出で立ちに派手な生活は、現代にも伝わっているほどです。作家として大成し日本の文化人たちにも影響を与えた彼の作品は、どのようなものだったのか。本稿ではそんなオスカーワイルドの代表作を紹介していきます。

オスカー・ワイルドの足跡

奇抜な格好でこちらを見つめるオスカーワイルドの写真は、世界的にも有名なものとなっています。同年代の作家たちとはどこか違う彼の素顔がどのようなものであったのかは、彼の作品を知る前に知っておきたいポイントです。そこでここからはオスカーワイルド本人について詳しく紹介していきます。

奇抜でやり手な文化人

1864年にダブリンで誕生したオスカーの家庭は、医師や詩人を排出している恵まれた場所でした。オスカー自身もその血筋をしっかりと受け継ぎ、幼少の頃からスポーツ、学問共に優秀な成績を修めて名門オックスフォード大学に進学します。

この頃から執筆活動をはじめ、大学を首席で卒業するとアメリカに渡り講演会などで収入を経ながら活動するなど、若くして行動力ある文化人であったことがうかがえます。

帰国してからも多くの名作を発表していきますが、当時は罪とされていた年下の男性との恋愛行為が元となり、裁判にかけられ投獄されてしまいます。出所後はそのまま再起することはなく病に倒れ、46歳でこの世を去りました。

時代が時代であればより多くの作品を残したはずでしたが、オスカーたった1人では当時の風潮を覆すことはできませんでした。

オスカー・ワイルドの代表作といえば

オスカー・ワイルドが残した優れた作品群の中でも、特に評価の高い作品が『ドリアン・グレイの肖像』です。当時の流行りの作風であった退廃思想を色濃く落とし込んだ作風は、現代においてもオスカーの代表作として人気を集めています。ここからはそんな本作について詳しく紹介していきます。

ドリアン・グレイの肖像

『ドリアン・グレイの肖像』は1890年に発表された作品です。短編、中編を得意とするオスカーにとって最初で最後の長編作品でもあります。主人公ドリアンが知人のヘンリー卿の言葉通りに若さと美しさを武器に淫らな生活に没頭していきながら、画家の友人に描いてもらった肖像画に年を取らせて、いつまでも変わらない姿でいようとしながら周りの人間を巻き込み、破滅に向かっていく様を描いています。

多彩な著作群

退廃の美を軸にしていたオスカー・ワイルドですが、前述した代表作に止まらず子供向けや喜劇、戯曲など多彩な作品を執筆しています。ここからはそれらの作品群の中から著名なものをピックアップして紹介していきます。

幸福の王子

『幸福の王子』はオスカーが純粋な子供向け作品として1888年に発表した著作です。自我を持つ黄金の王子像が街で貧困に喘ぐ人々に、自分の体の装飾を友人のツバメに運ばせていく様を美しい自己犠牲の精神を交えて描いています。

サロメ

『サロメ』は1893年に発表された戯曲作品です。新約聖書にある逸話を題材としています。ユダヤの王を父にもつサロメが、父からの卑猥な視線に耐えきれず抜け出した先で閉じ込められた預言者と出会い、恋をしてしまいます。その恋は叶わない恋と決まっているにも関わらず、サロメは必ず預言者にキスをすることを誓い、悲劇的な死へと向かっていく様子を退廃的に表現しています。

理想の夫

『理想の夫』は1895年に発表された戯曲作品です。内容は喜劇テイストとなっており、その内容の完成度から1999年に映画化されるなど、近年においても高い評価を受けている作品です。上流階級の誠実な夫婦が、夫が犯した過去の罪を盾に追い詰められるも、周囲の人間によってこと無きを得る様子をコミカルに描いています。

自由な文化人の筆致は妖しく魅力的

自由でやり手な文化人であったオスカー・ワイルド。その生涯は悲惨な結末を迎えましたが、残した作品は幅広い層に支持される優れたものばかりです。一度手に取ってしまえば、彼の作品が持つ不思議な魔力に思わず引き寄せられてしまうことでしょう。作者の生き様同様に、著作の魅力は自由に一人歩きするものなのです。

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