『宝石』と単なる石の違い知ってる?価値の条件など奥深い宝石の魅力

2019.07.07

『宝石』という言葉の響きに、とても豪華で華麗なイメージを抱く人が多いでしょう。しかし、日常で宝石に触れる機会は少なく、宝石について深く知る機会はなかなかありません。。そこで、宝石の種類をはじめ、特徴や価値について解説します。

宝石とは

『宝石』は、字の通り解釈すると宝の石です。そこから、美しい石を指して宝石と呼ぶと考えている人も多いようです。

しかし、そもそも宝石とは何なのでしょうか?単に綺麗な石を宝石とは呼びません。宝石と定義するための条件や他の鉱物との違いを見ていきましょう。

宝石の条件は三つ

宝石とされるには、条件が三つあります。一つは『美しさ』、二つ目に『希少性』、三つ目は『耐久性』です。

すべての人が見て美しいと感じ、素晴らしいと思えるものでなければいけません。やや抽象的ではありますが、これが必要な条件とされる美しさの尺度です。

パッと目にして美しいと感じても、それがどこでも簡単に手に入るものであると、宝石としては認められません。採取量が少なく珍しいもの、つまり希少性も求められる条件です。

そして、きれいで珍しくても、簡単に傷が付くようなものでもいけません。『モース硬度』という硬さの指標で7以上の数値を示し、かつ割れにくさに関する靭性(じんせい)も高いレベルを有する耐久性が、宝石には必要です。

鉱物や鉱石との違い

一般に石とされるものは、岩石や鉱物、鉱石と呼ばれることもあります。そして、基本的に『石と思われているものの多くは岩石』です。

河原などで見かける岩石をよく観察してみましょう。すると、大小の粒状のものが寄せ集まってできていることがわかります。

寄せ集められた一つ一つのものが、鉱物です。鉱物が一つにまとめられて、岩石をなしています。白米・もち米・玄米を混ぜて、一つのおにぎりを作ったイメージです。

鉱物とは『どの部分も同じ決まり(化学組成・結晶構造)を持つ天然の個体』です。鉱物は約4700種あり、宝石は鉱物として分類されます。

鉱石は、起源や構造とは関係なく、『人間にとって価値があるかどうか』で分類されます。

「この石は打って価値がある」。それが鉱石なので、昔は鉱石だったけれど現代は違うということも起こります。

宝石の種類

宝石の条件を知り、そして宝石とは鉱物に分類されることを見てきました。ここから、さらに宝石の種類に関して説明していきましょう。

人の手が加わっていない天然石

宝石の一種に『天然石(天然宝石)』があります。

これは、自然界で産み出される宝石で、カットと研磨という作業以外に、人の手が加わっていないものを指します。

つまり、4700種もの鉱物の中で、宝石としての3条件を満たし、かつカット・研磨以外には加工されていないものが天然石です。

成分が同じ合成石

次に『合成石』を見ていきましょう。これも天然宝石と同じ成分ですが、人工的に作られています。『本物の宝石』ではあっても『天然の宝石』ではありません。

合成石には合成ダイヤモンド・合成ルビー・合成サファイア・合成エメラルド・合成アレキサンドライト・合成オパールなどがありますが、宝石は必ずしも天然でなければならないわけではないのです。

自然界にはない人造石

『人造石(人造宝石)』とは、天然の石やそれを含むものではなく、イミテーションとも呼ばれます。

素材はガラスが多く使用されます。アクセサリーで使用されることの多い『キュービックジルコニア』などが、人造石の代表的なものとなります。

最近では、製造技術も大きく進歩し、ダイヤモンドと見間違うほどのキュービックジルコニアも現れました。

天然石に似せた模造石

外観は天然石ととてもよく似ていますが、限りなく天然石に似せて作られた宝石が『模造石』です。化学特性や物理特性・内部構成などが天然宝石とは異なります。

使用する原料は、プラスチックや陶器、ガラス・樹脂などです。スワロフスキーやコットンパール・ラインストーンなどが模造石に分類されます。

宝石の価値の決まり方

天然の石ではなくても宝石は存在します。では、天然石の宝石と模造石の宝石では、同じ価値があるのでしょうか? 宝石の価値について解説します。

貴石と半貴石

『貴石』と『半貴石』という言葉を知っていますか?雑誌のジュエリー特集などで、よく見かける言葉です。

どちらも天然の宝石ですが、貴石とは、硬度が7以上で希少価値があり、比較的、高価なものを指します。四大宝石のダイヤモンド・ルビー・サファイヤ・エメラルドをが、ここに入るでしょう。

また、上記の四大宝石やここにヒスイ・オパール・アレキサンドライトを加えて7種類を貴石とする考え方もあります。

一方の半貴石は、希少価値、硬度、価格がそれほど高くない、その他の宝石が該当すると考えられているのです。

基準は国や専門によって異なる

貴石と半貴石の区分方法を紹介しましたが、これ以外の区分けの方法が主張されることもあります。分類方法やその基準は、国や専門家の判断によって異なっているのが現状なのです。

世界四大宝石の特徴

貴石・半貴石の分類基準は複数の考えがありますが、宝石の中の頂点として位置付けるものがあります。それが、四大宝石といわれるダイヤモンド・ルビー・サファイア・エメラルドです。

それぞれの特徴について見ていきましょう。

宝石の定番ダイヤモンド

目の眩むような輝きで、『宝石の中の宝石』と呼ばれているものが『ダイヤモンド』です。結婚指輪など生涯の記念品などとしても、高い人気を誇っています。

意外にも、宝石としてのダイヤモンドの歴史は、他の宝石と比べてそれほど古くありません。なぜなら、最高峰の硬度を持つため、宝石として加工されるには、技術の発達を待つ必要があったからです。

『ダイヤモンドでダイヤモンドを研磨する』方法が発見されたのは14〜15世紀に入ってからです。

17世紀に、その輝きを最大限に引き出すブリリアントカットが発明されたことで、不動の地位を築きました。

赤が目立つルビー

宝石の中で、圧倒的な赤の美しさでひときわ目をひくものが『ルビー』です。研磨で初めて美しさを手に入れるほかの宝石とは違い、磨かずとも、原石が顔をのぞかせた瞬間にきらめくといわれます。

鉱物としてとらえると、ルビーは酸化アルミニウムの結晶のコランダムに分類されます。これに、2%弱のクロムが混ざるってできるのが、ルビーです。

深い青がきれいなサファイア

『サファイア』といえば、深い海の底を思わせる静かな青を思い浮かべる人が多いでしょう。人の心を打つ独特で美しい色を放つ宝石です。

神の意志を伝える石として、中世ヨーロッパではキリスト教の聖職者たちに崇拝されてきました。そのため、ヨーロッパ諸国では、サファイアに神聖な感覚を抱いている人が多いようです。

青のイメージが強いサファイアですが、意外にも、実は青だけではありません。さまざまな色が存在し、ピンクサファイア・イエローサファイアなどと色別に呼びます。

また、鉱物的にはルビーと同じコランダムで、クロムが混じると赤になり、ルビーと呼ばれます。そしてチタンや鉄分が入ると青くなり、サファイアになるのです。

クレオパトラも愛用したエメラルド

みなぎる生命力を思わせる美しい緑が印象的な宝石が『エメラルド』です。古くから宝石として愛されてきました。

かのクレオパトラも、エメラルドを愛用していたことは有名で、エメラルド採掘専用の鉱山を所有し、エメラルドに囲まれて生活していたといわれているほどです。

エメラルドはインクリュージョン(内包物)が多いことが特徴でもあります。価値としてはインクリュージョンのないものが高いですが、緑の色合いや深みで選びましょう。

誕生石の意味と種類

それぞれの時期ごとに、誕生石が設定されています。自分自身の誕生石を知っていますか?その意味と種類について説明しましょう。

誕生石とは

誕生石として選ばれた宝石は、そもそも旧約聖書に由来しているといわれています。イスラエルの12の部族、あるいは12の使徒(キリストの弟子)の象徴だと考えられているのです。

それらの宝石は、古来より伝えられた宝石言葉をそれぞれ持っています。そして、その宝石言葉から連想する時期を、12の月それぞれ割り当てました。これが、誕生石の基礎となったようです。

全米で誕生石の解釈が統一されたのはとても新しく、1912年8月のことです。カンサス・シティーで開催された米国宝石組合大会で誕生石が定められ、このことを機に急速に広まったのです。

誕生石の種類と意味

キリスト教に由来する誕生石には、古来より語り継がれた宝石言葉が備わっています。ときには人に勇気をあたえ、ときには戒めの言葉を投げかけるものでもあります。

それだけに、中世ヨーロッパの時代から、宝石言葉は民衆に大切にされてきたのでしょう。

その誕生言葉を携えた誕生石の種類と意味を、表にしてまとめました。参考にしてみてはいかがでしょうか。複数が存在する場合は一つを紹介します。

誕生石 意味
1 ガーネット 真実・忠実・貞操・友愛・勝利
2 アメジスト 宝石言葉:誠実・心の平和・高貴
3 アクアマリン 勇気・幸せ・富・喜び
4 ダイヤモンド 清浄無垢・永遠の愛・不屈・純愛
5 エメラルド 幸運・幸福・愛・健康
6 真珠・ムーンストーン 健康・長寿・富
7 ルビー 情熱・仁愛・威厳
8 ペリドット 夫婦の幸福・和合
9 サファイア 慈愛・誠実・徳望
10 トルマリン・オパール 歓喜・安楽・忍耐・幸運・希望
11 トパーズ・シトリン 友情・潔白・希望
12 ラピスラズリ・ジルコン・トルコ石・タンザナイト 成功・高貴・空想

宝石カットの種類

宝石の輝きは、カットによって生み出されます。そして、カットの方法には、いくつかの種類があるのです。宝石に新たな命を吹き込むカットについて、主なものを紹介します。

ダイヤモンドに使われるブリリアントカット

ダイヤモンドが最も美しく輝かせるカットと呼ばれ、最高峰の技術とも称されるものが『ブリリアントカット』です。反射・屈折率など、数学的知見から生み出された技術となります。

原型が考案されたのは17世紀に入ってからです。ヴェネツィアで初案が考案されました。その後1900年代に入り、ベルギーの数学者でもある宝石職人マルセル・トルコフスキーによって確立されました。

ブリリアントカットは、面数によって輝きが異なります。通常58面ですが、82面・144面と面の数が増えるほどに輝きも増して見えます。また、カット方法にもさまざまな種類があります。

エメラルドで見かけるステップカット

宝石の外周を四角形に型どり、ファセット(宝石の切子面)が側面のガードル(正面から見て最大の径を成す部分)に平行に削られているものが『ステップカット』です。

横から見ると、下の部分がステップ(階段)状になって見えるので、この名前がつけられました。別名、トラップカットとも呼ばれます。

そのうち、角を削り取り8角形としたものがエメラルドカット、角が削り取られていないものがスクウェアステップカット・バゲットカットです。

両方の特性を備えたミックスカット

ブリリアントカットとステップカットの双方の特性を生かしたカットが、『ミックスカット』です。通常はクラウン(横からみて上部)にブリリアントカットが、パビリオン(同、下部)にステップカットを施します。

ブリリアントカットがもたらすきらびやかな視覚効果と、ステップカットが生むデザイン性を合わせ、最良のシェイプをめざしたものです。

比較的新しい技法ですが、長らく最高の地位を維持していたラウンドブリリアントカットを脅かす存在となっています。

ミックスカットには、トリリアント カット・プリンセス カット・ローズ カット・カボション カットといった種類もあります。

宝石の価値を計る宝石鑑定士

宝石の3条件の一つに『誰が見ても美しいと思うこと』があります。見る人すべてに、美しいと思わせる魅力がなくては、宝石とはいえません。

しかし、その価値を緻密に計る能力は、長い経験や資質を持つ人だけが備えている者でもあります。宝石の価値を計る鑑定士について見ていきましょう。

宝石鑑定士とは

日本に『宝石鑑定士』という公的資格は存在せず、宝石鑑定士になるための試験などもありません。宝石鑑定士とはいわば俗称であって、宝石の価値を見抜く高い眼力を備えている人を表す言葉です。

しかし、だからといっていい加減なものではありません。実際に、宝石の価値を知りたい人が、宝石鑑定士と呼ばれる人を頼っています。

宝石の鑑定で計るべき点は、大きく2点あります。『その宝石が本物かどうか』、『本物であるならばクオリティはどうか』です。そして、この2点を正しくジャッジできる人のことを宝石鑑定士と呼びます。

宝石鑑定士に必要な資格

前述の通り、日本に公的な宝石鑑定士の資格はありません。しかし、宝石鑑定士を名乗るには、宝石鑑定に役立つ資格を有していることが必要になります。

世界的に権威があるとされているものが、イギリス『英国宝石学協会』が認定する『宝石鑑別士(FGA)』と、アメリカ『米国宝石学協会(GIA)』が認定する『GG(Graduate Gemologist)』の二つです。

留学する余裕がないという人におすすめは、日本宝飾クラフト学院です。英国宝石学協会と提携をしている、国内唯一の教育機関です。

同院の初めのコースを終えると、ディプロマコースに進学することが可能になります。そこで、試験に合格することでFGAの称号を取得できます。

日本宝飾クラフト学院 | 彫金教室 ジュエリー アクセサリー 学校など総合スクール

資格取得までの道のりとその後

日本宝飾クラフト学院のFGA取得までを見てきましょう。ファンデーションコースを受講後、試験に合格することで上級課程のディプロマコースに進みます。

このディプロマコースを受け、試験に合格するし、手続きを済ませるとFGAの称号を取得できるのです。

こうして宝石鑑定士の資格を取得したとしても、ライセンスを所持しているだけで宝石鑑定の仕事ができるかといえば、そう容易なことではありません。

いきなり宝石のプロとして仕事をすることは、現実的には困難です。たいていの場合、まずは鑑別機関や宝石店・宝石加工会社などで勤務し、そこで経験と技術を学んでいきます。

宝石を鑑定する作業は、いわば熟練した職人のような優れた技術といえます。その技術を身に付けるためには、宝石に関するあらゆる知識に加え、日々宝石そのものと真摯に向き合いながら鑑定眼を磨くことが必要です。

宝石の価値を知ろう

知識がなくても、宝石に酔いしれるほどの美しさを感じることがあります。そこに、宝石の知識や、確かな価値判断のための確かな視点が備われば、さらに鮮やかな輝きを感じられるでしょう。

宝石をより親しんで、真の価値に触れてみましょう。

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