緑茶の入れ方は種類ごとに違う!正しい入れ方で本物を味わおう

2019.07.07

緑茶には様々な種類があり、それぞれ味わいや香り、色味が異なります。緑茶の種類別に特徴を理解することで、より自分に合ったものが選べるようになるでしょう。いろいろな緑茶の種類や、美味しい飲み方について解説します。

緑茶について理解しよう

緑茶の種類や歴史について解説します。

色によるお茶の違い

お茶は、緑色が緑茶、茶色が烏龍茶、赤色または黒色が紅茶と、色により三つの種類に大別できます。いずれのお茶も、カメリア・シネンシスと呼ばれるツバキ科の植物から作られ、以下のような製造方法の違いにより、作られる茶葉の種類が異なります。

緑茶 『蒸す』『炒る』などの方法で最初に生葉を加熱し、酵素の働きを止めて作られます。
烏龍茶 酵素を少し働かせた後に加熱し、酵素の働きを止めて作ります。
紅茶 酵素を十分に働かせた後に加熱し、酵素の働きを止めて作ります。

育て方や製造工程で変わる緑茶の種類

緑茶は、元になる樹の育て方や、生葉を蒸した後の製造工程の違いにより、異なる種類に分類されます。

茶畑に覆いをかけて育てた場合、覆う期間が短ければ『かぶせ茶』、かぶせ茶より覆う期間が長ければ『玉露』になります。さらに長い期間覆いをかぶせれば『抹茶』になりますが、抹茶だけは原材料が碾茶(てんちゃ)です。

茶畑に覆いをかけない場合は、若葉を摘んだ『煎茶』と、摘み残りの硬い茶葉等で作る『番茶』のどちらかになります。さらに、煎茶は製造工程により、『普通煎茶』『深蒸し煎茶』『ぐり茶』に分けられます。

これらの他にも、煎茶や番茶などを焙煎した『ほうじ茶』や、玄米を混ぜた『玄米茶』など、様々な種類へ姿をかえるのが緑茶の特徴です。

緑茶の歴史

人類が初めてお茶を口にしたのは、中国の伝説に登場する神農帝で、紀元前2700年頃とされています。日本にお茶が伝わった時期は800年代です。中国の文化を学んだ僧侶たちが茶葉と種子を持ち帰り、お茶の栽培が始まりました。

寺院を中心に飲まれていたお茶は、1300年代に入り武士や貴族の間にも広まっていきます。1500年代には、禅の思想を取り入れた『侘び寂び』を基本精神とする『茶道』が誕生し、千利休により確立されました。

1738年には、旧来の釜炒茶から、蒸して手もみをする『宇治製法』が生み出され、庶民の間でも煎茶が飲まれるようになりました。

現在の日本で飲まれている緑茶の大半は、この『宇治製法』を基にした製法で作られています。

緑茶に含まれる主な成分

緑茶は万能サプリメントともいわれ、優れた健康効果を持つ機能性飲料です。緑茶に含まれる主な成分について理解を深めましょう。

カテキン

『カテキン』はポリフェノールの一種で、緑茶に最も多く含まれている成分です。口臭や虫歯を防ぐ働きをはじめ、強い抗酸化力や抗菌力、コレステロール低下作用、血糖値上昇抑制作用などがあり、近年の研究から健康に良い様々な効果をもたらすことが分かってきています。

お茶は『タンニン』を多く含むことでも知られていますが、お茶に含まれるタンニンはカテキンの総称のことを指し、 お茶が持つ『渋み』の元になる成分です。

カテキン類は、茶類の中で緑茶に含まれる量が最も多く、烏龍茶、紅茶の順に減少します。その理由は、発酵工程において茶葉の酸化酵素によりカテキン同士が結合し、テアフラビン類やテアルビジン類という別の物質に変化することによります。

カフェイン

コーヒーに含まれる成分としてイメージが強いカフェインは、緑茶にも含まれています。集中力や記憶力の向上、偏頭痛の緩和、脂肪の分解促進、運動能力の向上、疲労回復、脳卒中リスクの軽減など、様々な良い効果が期待できます。

しかし、カフェインを極端に摂取すると体に悪影響を及ぼす可能性もあるため、摂り過ぎには注意が必要です。

アミノ酸やビタミン

緑茶には、アミノ酸類の一種である『テアニン』も含まれ、お茶の旨味に寄与する成分です。高級なお茶ほど多く含まれます。テアニンにはリラックス作用があり、ストレス緩和や睡眠の質を改善する効果なども期待でき、近年注目され始めている成分です。

また、緑茶は壊れやすいビタミンCを効率よく摂取できる、数少ない飲み物でもあります。お茶の中でも煎茶に最も多く含まれ、その量は野菜の中でも含有量の多い赤ピーマンの約1.5倍に相当するといわれています。

1日4~5杯の煎茶を飲めば、1日に必要なビタミンCの約半分の量を摂取できる計算になります。烏龍茶のビタミンC含有量はごくわずかで、紅茶にはまったく含まれていません。

水と温度

お茶を美味しく飲むためには、お茶に適した水を使い、お茶の種類に合った温度でいれることが重要です。

水の種類とお茶

お茶に適した水の種類は、微酸性の軟水です。日本の水道水はこの条件に当てはまるため、お茶に水道水を使用しても問題ありませんが、塩素を含むので必ず沸騰させ塩素を飛ばしてから使うようにしましょう。

市販のミネラルウォーターを使う場合、海外産のものはカルシウムやマグネシウムを多量に含む硬水であることが多いため、お茶に適した水とはいえません。

軟水が多い国産のミネラルウォーターを使うか、記載されている硬度を確認して使うようにしましょう。

その他、塩素・塩分・鉄・マンガンの多い水や、酸性またはアルカリ性が強い水も、味に対して悪影響を与える可能性があるため、お茶に適した水とはいえません。

茶葉の風味をよりダイレクトに味わうためにも、使う水はできるだけこだわることをおすすめします。

お茶と温度の関係

お茶を入れる際のお湯の温度は、高ければよいというものではありません。お茶の種類ごとに特色を際立たせ、美味しく飲める適温があります。

渋みを引き出すカテキンは80度以上の高温で、旨味を引き出すアミノ酸は50度以上の低温で、それぞれお湯に溶け出しやすいとされています。

煎茶の場合、渋みをおさえて旨味をより際立たせるためには70~80度で、旨味を強調したい玉露なら50度程度の低温でじっくりと抽出するとよいでしょう。

また、高温であるほど香りが出やすいため、玄米茶やほうじ茶、紅茶など、香りが特徴のお茶は熱湯を使うのが一般的です。渋いお茶を出したい場合やカテキンを多く摂取したい場合も、より高温のお湯でいれると効果的とされます。

水出しの特徴

冷水で手軽に作れる水出し緑茶は、夏場の暑い時期に飲みやすいお茶として人気です。最近の研究により、水出し緑茶にはお湯で入れるお茶にはない、様々な良い効果が期待されることが分かっています。

緑茶を水出しすると、苦味や渋みの成分であるカテキンやカフェインの抽出をおさえつつ、甘みや旨味の成分であるテアニンを効果的に引き出せます。また、熱により壊れやすいビタミンCも最大限に抽出することが可能です。

カテキンがほとんど放出されない代わりに、『エピガロカテキン』と呼ばれる別のカテキンが多く抽出されます。

エピガロカテキンは、体に侵入した有害な細菌などを食べて殺してくれる免疫細胞『マクロファージ』の働きを強め、免疫力を高める作用があるといわれています。

煎茶について知ろう

煎茶の製造工程や特徴、入れ方について解説します。

煎茶の製造工程

摘採 一般的に、手摘みで採る量は1芯2~3葉、機械摘みで採る量は1芯4~5葉です。
送風・加湿 品質低下をおさえ鮮度を保つため、高湿度の空気を送り、水分を保持し呼吸熱を下げます。
蒸熱(じょうねつ) 茶葉の色を緑色に保たせながら青臭みを除去するため蒸気で蒸します。時間が長いほど『深蒸し』の割合が上がります。
冷却 室温程度まで急速冷却することで、茶葉の色や香りの保持を図ります。
葉打ち 茶葉の色沢・香味を向上させるため、乾燥した熱風を送りながら打圧を加え揉みます。
粗揉(そじゅう) 茶葉を柔らかくするため圧力を加え、適度に摩擦を加えながら揉みます。
揉捻(じゅうねん) 茶葉の水分の均一化を図るため、茶葉をまとめて圧力を加えながら揉みます。
中揉(ちゅうじゅう) 揉捻後の茶葉は萎縮し、形が整わず水分含有量も多いため、熱風を当てながら圧力を加えて揉みます。
精揉(せいじゅう) 緑茶独特の細く伸びた形に整えるため、内部の水分を除去し乾燥を進め、人間が手で揉むような感じで一定の方向に揉みます。
乾燥 精揉工程を経た茶葉の水分含有量を、熱風で乾燥し約5%まで下げます。長期貯蔵が可能となり、お茶の香りが良くなります。

上記の表のような工程を荒茶工程といいます。荒茶に仕上げ加工を施し、はじめて製品となります。

煎茶の特徴と入れ方

お茶は、茶園で栽培した生葉を加工することにより製品となります。生葉を熱処理し形状を整え、水分量をある程度まで落とし保存可能な状態にする作業が『荒茶製造』です。

最も一般的な荒茶製造の工程で作られたお茶を『煎茶』と呼びます。煎茶は緑茶の中で最もポピュラーなお茶です。

煎茶2人分の美味しい入れ方の手順は以下の通りです。

  1. 茶葉を急須に入れる(ティースプーン2杯分、4g)
  2. お湯を一度湯のみに移し、湯冷ましする(ポットのお湯の場合は湯冷まし不要)
  3. 湯冷まししたお湯を200ml注ぐ(普通煎茶の場合90~100℃、浸出時間30秒)
  4. 少しずつ均等に湯のみへ注ぎ分け、最後の1滴まで注ぎきる

深蒸し煎茶の特徴と入れ方

普通煎茶より約2倍の時間をかけて蒸したお茶を『深蒸し煎茶』といいます。お茶の味やいれた後の緑色がより濃く出ます。

お茶の青臭みや渋みが少なく、長時間蒸されることで茶葉が細かくなり、お茶をいれた際に茶葉そのものが多く含まれるため、水に溶けにくい有効成分も摂取できることが特徴です。

深蒸し煎茶2人分の美味しい入れ方の手順は以下の通りです。

  1. 茶葉を急須に入れる(ティースプーン2杯分、4g)
  2. お湯を一度湯のみに移し、湯冷ましする(ポットのお湯の場合は湯冷まし不要)
  3. 湯冷まししたお湯を150~200ml注ぐ(お湯の温度80℃、浸出時間30秒)
  4. 少しずつ均等に湯のみへ注ぎ分け、最後の1滴まで注ぎきる

玉露について知ろう

玉露が作られる方法や美味しい入れ方を紹介します。

玉露とかぶせ茶

新芽が数枚開き始めた頃に、茶畑に覆いをかけ遮光しながら育てたお茶が『玉露』です。一般的には、ヨシズやワラ、化学繊維でできた資材などで被覆します。

光をおさえて新芽を育てることで、テアニンからカテキンへの生成が抑制され、渋みが少なく旨味が多い味のお茶になります。遮光栽培独特の『覆い香』といわれる香りが特徴的です。

被覆期間が玉露より短い1週間前後で育てられたお茶が『かぶせ茶』です。玉露を高級、煎茶を一般的とするならば、かぶせ茶は両方の中間に位置する緑茶となります。

玉露の入れ方

程よい渋みとさわやかな香り、すっきりとした味わいの煎茶に対し、玉露は甘みとコクのある味わいが得られます。

玉露2人分の美味しい入れ方の手順は以下の通りです。注ぐお湯の温度と抽出時間がポイントになります。

  1. 茶葉を急須に入れる(ティースプーン3杯分、6g)
  2. お湯を湯のみに注ぎ、急須に移し、さらに別の湯のみに移すなどして60℃程度まで冷ます
  3. 湯冷まししたお湯を100ml注ぐ(お湯の温度60℃、浸出時間2分)
  4. 少しずつ均等に注ぎ分け、最後の1滴まで注ぎきる

抹茶について知ろう

緑茶と抹茶の違いや、抹茶とてん茶の関係について解説します。

緑茶と抹茶の違い

『抹茶』は玉露と同じく、20日以上被覆した茶畑で栽培した茶葉を蒸し、揉まずに乾燥させたてん茶を茶臼で挽いたお茶です。

茶葉をまるごと使用しているため栄養価が高く、飲料用だけでなくお菓子や料理にも幅広く活用されます。最近では海外でも『Matcha』として認知されているお茶です。

抹茶には、一般的な緑茶に比べ、約10倍のテアニンが含まれています。テアニンはお茶のうまみ成分で、全ての緑茶に含まれていますが、栽培方法や栽培時期によって含有量が異なり、高級茶と呼ばれる緑茶ほど多く含まれる成分です。

てん茶の特徴と製造工程

茶葉を蒸した後、揉まずに乾燥し、茎や葉脈などを除いた後の細片が『てん茶』です。主に茶道のお点前用に使われ、洋菓子やアイスクリームなどの原料にもなります。

煎茶は製造過程で揉み作業を繰り返し行うのに対し、てん茶の製造過程では揉み作業を行いません。そのため、加工前までの荒茶製造にかかる時間は緑茶よりも短くなります。

摘採 摘採の20日以上前から茶園全体を被覆します。
送風・加湿 摘採した生葉の品質を保つために行われます。
蒸熱 通常の煎茶よりも短い時間で蒸します。
攪拌・冷却 蒸した茶葉の品質を保つため重なり合わないように拡散させながら冷却します。
荒乾燥・本乾燥 香味の調和をとるために、170~200度の熱風で30分ほど乾燥させます。
つる切り 茎の部分に多くの水分が残るため、つる切りで葉部と茎部を分けます。
再乾燥 茎や葉脈は水分が多いため、再度乾燥させます。

抹茶の特徴と製造工程

てん茶は、水分が多い茎や葉脈を除去した仕上げ茶の状態の方が保存しやすいため、抹茶用として使う場合も仕上げ茶で保管します。抹茶として出荷する直前に、温度が20度前後に調整された室内で石臼により挽かれ、抹茶が作られます。

石臼で挽く前に種類の違うてん茶を混ぜ、好みの味に調整する作業が『合組』です。合組後に仕上げ茶が吸湿していた場合は再乾燥を行います。

緑茶の選び方

美味しい緑茶の選び方について、注意すべきポイントを紹介します。

品質

プロは茶葉の品質に着目し、良いお茶を見極めます。緑茶の種類ごとに見るべきポイントは以下の通りです。

玉露 深い緑色でつやがあり、針先のように細く尖った形状のものを選びましょう。
煎茶 濃い緑色でつやがあり、細く硬くよれて重量感があるものを選びましょう。
深蒸し煎茶 茶葉がやや細かく、黄色がかった緑色のものを選びましょう。
ほうじ茶・番茶 煎茶に比べ大ぶりで軽い茶葉のものを選びましょう。

吸湿していたり他の物のにおいがしたり、色あせていたりするものは、うまく保存できていない可能性があるため避けましょう。

好みやニーズ

渋みや苦味、舌触りなど、お茶には様々な味や飲み口があります。自分好みの味を見つけることも、お茶を選ぶ上で大切なポイントです。

また、来客用で提供するお茶として適切かどうか、お茶請けと合うかどうか、手持ちの茶器と相性がよいかなど、飲むシーンをイメージしてお茶を選ぶことも重要です。

お茶は味だけでなく、香りや色にも様々な違いがあります。いろいろな角度から五感をはたらかせ、状況に適したお茶を選べるようになりましょう。

表示の見方

パッケージに記載されている内容からも様々なことが分かります。

名称 煎茶・深蒸し煎茶・玉露・番茶・粉茶・ほうじ茶・玄米茶など、一般的な種類が分かります。
原材料名 緑茶の場合は『茶』または『緑茶』と表示されています。
原産地名 国内の茶葉だけを利用している場合は『日本』や『国産』と表示されます。都道府県名で表示される場合もあります。輸入茶葉の場合は国名が表示されます。
内容量 グラムまたはキログラム単位で表示されます。
賞味期限 美味しく飲める期限です。
保存方法 開封前の保存方法です。
製造者 主に表示に関する責任者が明記されます。

好みの種類や飲み方を見つけよう

緑茶には様々な種類があり、味や製造方法、美味しく飲むための入れ方もそれぞれ異なります。種類ごとの特徴を理解することで、適切な緑茶が選べるようになるでしょう。

好みの飲み方や種類を見つけて、美味しいお茶の時間を過ごしてみてください。

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